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平成21年05月08日

情報公開・個人情報保護

三重県個人情報保護審査会 答申第52号

答申

1 審査会の結論

 実施機関が行った部分開示決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

  異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成20年9月29日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「措置入院になった際の経緯を示した書類全て」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成20年10月17日付け及び平成20年10月21日付けで行った部分開示決定の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の非開示理由説明

 実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。

(1) 条例第16条第2号該当性(精神保健指定医の所属病院名)
 措置入院のための診察は、三重県知事が指定した精神保健指定医が、非常勤の特別職地方公務員の地位において行う職務である。当該精神保健指定医が平常医師として勤務している病院名(所属病院)は、開示請求者以外の個人に関する情報であって、この情報をもとに特定の個人を識別することができ得るため、条例第16条第2号に該当し、非開示とした。 

(2) 条例第16条第2号ハただし書及び第6号該当性(措置決定に携わった職員氏名及び印影、精神保健指定医の氏名)
 精神保健福祉法による措置入院は、医療の提供及び保護のために入院させなければ、精神障害のために自傷又は他害行為を起こす恐れがあると認められる場合に、本人の意思に反しても入院させることができる制度であることから、一般に、本人がこの措置に納得しないことが想定される。
 措置決定に携わった職員氏名及び印影、精神保健指定医の氏名について本人に開示した場合、措置入院に対する不満から、職員・精神保健指定医への不信感や誤解に基づき、診断書の記載内容の真偽や詳細等を確かめるため、職員や精神保健指定医の私生活や業務に支障を及ぼすような行為がなされることが予想され、ひいては措置入院制度の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと認められる。よって、条例第16条第2号ハただし書及び第6号に該当するので非開示とした。
 なお、印影については、措置決定に携わった職員氏名に含まれると考えたため、決定通知書の「開示しない部分」欄に記載しなかった。 

(3) 条例第16条第7号該当性(病名・病状等措置診察に係る箇所、通報に伴う調査概要・調査者意見)
 措置入院に係る診断は、医師が本人の求めに応じて行う診療とは異なることから、極めて厳格、適正な手続きが必要とされる。この手続きの適正性を担保するために、診断書等に記載する情報は、本人の意向にとらわれない客観的かつ具体的な内容であることが要求されている。その結果これらの記載内容は、事柄の性質上本人の認識や意向に沿わない事項が多いことが想定されることから、精神保健指定医は本人に開示されないことを前提に記載している。仮に後日、本人に開示されることを容認すれば、本人の反応等に配慮して記載を簡略化したり正確に記述することを躊躇するなど、診断内容の形骸化をもたらすこととなり、ひいては制度の適正な運営に重大な支障を及ぼすものと認められる。
 また、精神保健福祉法第24条の通報に関する調査票のうち、調査の概要・調査者意見については、精神保健福祉職員が、警察官及び家族からの聴き取り及び本人との面接の結果を踏まえて、自傷他害のおそれがあるため措置診察を要するとの判断を行った根拠となる本人に対する評価が記述されている。この措置診察に至るまでの調査結果・評価についても、上記と同様の理由から、本人に開示すると制度の適正な運営に重大な支障を及ぼすものと認められる。
 上記のことから、条例第16条第7号に該当し非開示とした。

(4) 条例第64条第3項該当性(保護通報書)
  ○○警察署長から○○保健所宛に提出された保護通報書は、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」第45条第1項に規定する司法警察職員が行う処分に係る情報であり、条例第64条第3項により適用除外である。

4 異議申立ての理由

 異議申立人が異議申立書、意見書及び口頭意見陳述において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。

 私はやっていないことで措置入院をさせられた経緯があるので、自分が県や保健所等にどう登録されているのか、知りたい。部分開示とは名ばかりで、殆ど全文非開示である。自分の情報であり、かつ、黒ぬりの部分が一番重要である。どうか全文開示を御願いしたい。
 私はぬれぎぬが元で措置入院となった。しかし、一連の私のせいになっている事件は全くのぬれぎぬであり、私は一切関わっていない。完全な冤罪である。私は自分のこれから、将来の為に、影響を及ぼすであろう自分の、県、保健所、警察等に登録されている個人情報について全面開示を求める。実施機関の理由説明書には開示をした場合に、私が病院等諸機関の職員等に及ぼすかもしれないことに対する危惧(仮定)について書かれていたが、私は病院等諸機関の職員等に対し、私生活及び業務全般一切に支障を及ぼさせる気は毛頭なく、私は純粋に自分の将来の為に、自分の重要な個人情報に誤った登録が為されていた場合、その情報の全面的な訂正を求めるべく、全面開示を求める次第である。

5 審査会の判断

 当審査会は、異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。

 (1) 本件対象保有個人情報について
 実施機関が特定した保有個人情報は、平成○年○月○日付け決裁文書「精神保健指定医による診察の実施について(伺い)」(以下「文書1」という。)、平成○年○月○日付け決裁文書「精神保健福祉法第29条第1項の規定による措置入院について(伺い)」(以下「文書2」という。)及び平成○年○月○日付け供覧文書「精神障害者又はその疑いのある通報について」(以下「文書3」という。)である。
 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「法」という。)第24条では、警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、もよりの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならないと規定している。文書1は、警察官からの通報を受けて、精神保健指定医による診察を実施すること並びに保護者あて通知すること、精神保健指定医あて依頼すること及び三重県健康福祉部長あて通知することについて起案、決裁したものである。この文書中には、「措置入院のための移送に関する事前調査及び移送記録票」、「精神保健福祉法第24条の通報に関する調査票」及び○○警察署長から○○保健所長あての「保護通報書」がある。
 法第29条第1項では、都道府県知事は、第27条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができると規定している。文書2は、診察結果を受け、異議申立人に入院を命ずること並びに保護者及び病院管理者へ通知すること、異議申立人に対する指令書を送付すること及び三重県健康福祉部長へ報告することについて起案、決裁したものである。この文書中には、措置入院に関する診断書(1次及び2次)がある。
 文書3は、○○保健所長から三重県健康福祉部長に、異議申立人に係る精神保健福祉法第24条に基づく通報があった旨の報告及び同法第27条第1項の規定に基づく診察を行った結果の報告を供覧したものである。この文書中には、「精神保健福祉法第24条の通報に関する調査票」の写し、○○警察署長から○○保健所長あてに提出された「保護通報書」の写し及び措置入院に関する診断書(1次及び2次)がある。
 本件異議申立ての対象となった保有個人情報は、これらの文書のうち実施機関が非開示とした「精神保健指定医の所属病院名」、「措置決定に携わった職員氏名」、「精神保健指定医の氏名」、「通報に伴う調査概要・調査者意見」、「病名・病状等措置診察に係る箇所」及び「保護通報書」である。

  (2) 条例第16条第2号(開示請求者以外の個人情報)の該当性について
 条例第16条第2号は、本文で「開示請求者以外の個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関するものを除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお、開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を非開示とすることを定めている。
 また、同号ただし書において、次に掲げる情報を除くとし、「イ 法令等の規定により又は慣行として本人(当該開示請求に係る死者を除く。)又はその遺族等が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」、「ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」、「ハ 公務員等の職務に関する情報。ただし、開示することにより、当該公務員等の私生活上の権利利益を害するおそれがあるもの又はそのおそれがあると知事が認めて規則で定める職にある公務員等の氏名を除く。」と定め、同号本文の非開示情報の例外を規定している。
  実施機関は、「精神保健指定医の所属病院名」、「措置決定に携わった職員氏名」及び「精神保健指定医の氏名」を同号に該当するとして非開示としており、以下、その内容について検討する。

 ア 「精神保健指定医の所属病院名」は、特別職地方公務員である精神保健指定医が特別職地方公務員の立場としてではなく、平常医師として勤務する病院の名称である。所属病院名を開示すると精神保健指定医が特定され得るため、同号本文に該当すると認められる。また、同号ただし書に該当するとは認められない。
 イ 「措置決定に携わった職員氏名」及び「精神保健指定医の氏名」については、同号ただし書ハの公務員等の職務に関する情報であると認められる。しかしながら、これらの情報は、法第27条第1項の規定による診察の実施の要否又は措置入院の要否の判断に重要な役割を果たした者等に関する情報であって、一般にこれらの情報を本人に開示した場合、実施機関が主張するように、措置入院に対する不満や、措置決定に関わった職員及び精神保健指定医に対する不信感、誤解に基づき、精神保健指定医の診断書の記載内容の真偽や詳細等を確かめるため、職員や精神保健指定医の日常生活に支障を及ぼすような行為がなされるおそれを否定できない。したがって、これらの情報は同号ただし書ハのただし書に規定する「開示することにより、当該公務員等の私生活上の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当すると認められる。
 以上のことから、「精神保健指定医の所属病院名」、「措置決定に携わった職員氏名」及び「精神保健指定医の氏名」は条例第16条第2号により非開示が妥当である。

 (3) 条例第16条第6号(事務事業情報)の該当性について
 条例第16条第6号は、県、国又は県以外の地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるものは、非開示とすることを定めている。
 実施機関は、前記(2)の「措置決定に携わった職員氏名」及び「精神保健指定医の氏名」については、同号にも該当すると主張する。
 これらの情報は、前記(2)イのとおり、一般に職員や精神保健指定医の日常生活に支障を及ぼすおそれがあると同時に、職員や精神保健指定医の業務に支障を及ぼすおそれがあり、ひいては措置入院制度の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるため、条例第16条第6号にも該当し、非開示が妥当である。

 (4) 条例第16条第7号(評価等情報)の該当性について
 条例第16条第7号は、「個人の指導、診断、判定、評価等に関する情報であって、開示することにより、当該事務の適正な遂行を著しく困難にすると認められるもの」は、非開示とすることを定めている。
 実施機関は、「通報に伴う調査概要・調査者意見」及び「病名・病状等措置診察に係る箇所」を同号に該当するとして非開示にしている。なお、「通報に伴う調査概要・調査者意見」で具体的に非開示とした部分としては、文書1及び文書3中の「精神保健福祉法第24条の通報に関する調査票」のうち、「調査の概要(病状等)」欄及び「調査者の意見」欄の記述である。また、「病名・病状等措置診察に係る箇所」で具体的に非開示とした部分としては、文書2の起案文中の「病名」、「主な措置症状」及び「その他参考事項」の記述、文書2及び文書3中の「措置入院に関する診断書」のうち、「病名(1.主たる精神障害)」、「生活歴及び現病歴」、「問題行動」、「現在の病状又は状態像」及び「診察時の特記事項」の各欄の記載並びに「精神障害者又はその疑いのある者の診察について(報告)」(○○第○号)のうち、「病名」欄の記載である。
 これらの記載内容は、措置入院の要否を判断するために必要な情報であり、事柄の性質上、本人の認識や意向に沿わない事柄を含むものである。措置入院制度は、本人の意思に反して強制的に入院させることができる制度であることから、極めて厳格、適正な手続きが要請されており、患者本人や家族の意向にとらわれない客観的かつ具体的な内容であることが要求されている。これらの情報が開示されるとなると、本人の反応等に配慮して記載を簡略化したり、正確に記述することを躊躇するなど、診断内容の形骸化をもたらし、措置入院制度の適正な遂行を著しく困難にすると認められる。
 したがって、これらの記載内容は条例第16条第7号により、非開示が妥当である。

 (5) 条例第64条第3項(適用除外)の該当性について
  条例第64条第3項は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)第4章の規定(開示請求権等)の適用を受けないこととされる保有個人情報については、条例の開示請求権等の規定の適用を除外することを定めたものである。
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第45条第1項は、刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判、検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分、刑若しくは保護処分の執行、更生緊急保護又は恩赦に係る保有個人情報については、同法第4章の規定は適用しない旨を規定している。したがって、これらの保有個人情報については、条例の開示請求権等の規定の適用が除外されることとなる。
 実施機関が条例第64条第3項に該当するとして非開示とした「保護通報書」は、警察官が異議申立人を保護したことについて記載された文書であり、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第45条第1項に規定する司法警察職員が行う保護処分の執行に係る保有個人情報であると認められ、条例第64条第3項に基づき、条例の適用除外となり、非開示が妥当である。   

 (6) 結論

 よって、主文のとおり答申する。

6 審査会の意見

 審査会の判断は上記のとおりであるが、次のとおり意見を申し述べる。
 実施機関は、決定通知書の「開示しない部分」欄に措置決定に携わった職員の印影及び措置入院に関する診断を行った精神保健指定医の登録番号の記載がないにもかかわらず、開示の実施の際にそれぞれを非開示としている。決定内容と異なる開示の実施は不適切であり、今後、このようなことのないように適切な制度の運用に努められたい。
 なお、措置決定に携わった職員の印影及び措置診断を行った精神保健指定医の登録番号は、条例第16条第2号ただし書ハの公務員等の職務に関する情報であると認められる。しかしながら、これらの情報は、5(2)イで述べたとおり、同号ただし書ハのただし書に規定する「開示することにより、当該公務員等の私生活上の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当すると認められることから、非開示としたことは妥当である。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

 

 

別紙1

審査会の処理経過

 

 

年 月 日

 

処理内容

 

平成20年12月10日

 

・ 諮問書の受理

 

 

平成20年12月15日

 

・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼

 

 

平成21年 1月8日

 

・ 理由説明書の受理

 

 

平成21年 1月15日

 

・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

 

 

平成21年1月29日

 

・ 意見書の受理

 

 

平成21年 2月27日

 

・ 書面審理

・ 実施機関の補足説明

・ 異議申立人の口頭意見陳述

・ 審議

                    (第67回個人情報保護審査会)

 

平成21年 3月23日

 

・ 審議

                    (第68回個人情報保護審査会)

 

平成21年 4月23日

 

・ 審議

・ 答申

                    (第69回個人情報保護審査会)

 

三重県個人情報保護審査会委員

職名

氏名

役職等

会長

浅尾 光弘

弁護士

委員

合田 篤子

三重大学人文学部准教授

会長職務代理者

樹神 成

三重大学人文学部教授

委員

寺川 史朗

三重大学人文学部准教授

委員

安田 千代

司法書士、行政書士

 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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