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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第335号

答申

1 審査会の結論

 実施機関が行った本件部分開示決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成19年11月1日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「行政不服申立てに関する文書(但し情報公開室が当事者となった分を除く)。(平成14年度以降に異議申立て提出分)(情報公開室保有分に限る)」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成20年6月2日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)のうち、三重県情報公開審査会会長の旅費に係る支出負担行為整理兼支出命令書に添付された旅費請求内訳書及び旅行依頼書に添付された復命精算請求確認票に記載された自宅の最寄りの路線バスの停留所の名称を非開示とした部分の取消しを求めるというものである。
 なお、本件異議申立ては、実施機関が条例第14条の規定に基づき開示決定の期間を平成24年3月30日まで延長し、請求対象公文書のうち、その一部に対して部分開示決定をした部分に係るものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、支出負担行為整理兼支出命令書を含む113件の文書である。

4 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 三重県情報公開審査会委員の旅費に係る支出負担行為整理兼支出命令書に添付された旅費請求内訳書及び旅行依頼書に添付された復命精算請求確認票に記載された「委員の自宅の最寄りの路線バスの停留所の名称」のうち、審査会会長の自宅の最寄りの路線バスの停留所の名称は、個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るものであり、また、法令等又は慣行により公にされ又は公にすることが予定されている情報や、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するために公にすることが必要であるとは認められないから、条例第7条第2号に該当するものとして非開示とした。
 確かに、委員の自宅の最寄りのバス停留所の名称は、出張の経路の一つであって条例第7条第2号の公務員等の職務に関する情報に該当するものの、「旅費、食糧費等に関する開示基準規則」(平成8年三重県規則第57号)「第3条第1号の規定に基づき、審査会会長の住所のうち都道府県名及び市町名までは開示しており、さらに非開示とした当該バス停留所の周辺状況から、バスの停留所の名称を開示すれば、審査会会長の住所が特定される可能性が高く、当該委員の私生活上の権利利益を害するおそれがある。
 条例第7条第2号に規定する個人情報に該当することから、非開示とした。

5 異議申立て理由

 異議申立人の主張を総合すると、以下の理由により、非開示とする理由はないというものである。
 会長は自宅電話番号をNTT電話帳で自らの意思で公開している。電話帳に掲載したくないときは掲載されず、電話番号帳には自宅住所も同時に掲載されている。一方、市販の住宅地図やインターネットで各社が提供しているサービス、あるいは市内のバス路線提供会社のサービスから、当該住所近辺の路線各停留所名をすぐに知ることができる。路線バス会社のURLを見れば、当該住所付近を運行する路線の停留所が一目瞭然である。
 三重県では、約10年前に出張に伴う架空旅費で、組織ぐるみの公金詐取事件が発覚している。当時の知事は、かかる違法行為が再発しないように、県民に対して情報公開の徹底などを含む再発防止策を約束した。旅費の詐取を繰り返さないためにも、県民の監視が届くように旅費関係の文書の全面公開が制度化された。最近、県は個人情報保護法に悪乗りして、自宅住所を非開示とするように規則を改正し、その中でバス停留所まで非開示とした。しかしながら、県の組織的犯罪行為による公金詐取再発という、県民の共有財産を守るためにもバス停留所は開示すべきである。条例第7条第2号の適用除外項目にも、生命、財産などを保護するために必要な情報は開示するように定められている。 

6 審査会の判断  

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、非開示にする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、開示しなければならないこととしている。

(3)条例第7条第2号(個人情報)の該当性について  

 異議申立人が開示を主張している情報は、三重県情報公開審査会委員の旅費に係る支出負担行為整理兼支出命令書に添付された旅費請求内訳書及び旅行依頼書に添付された復命精算請求確認票に記載された「委員の自宅の最寄りの路線バスの停留所の名称」のうち、審査会会長の自宅の最寄りの路線バスの停留所の名称である。
 異義申立人は、過去に三重県であった旅費等の不適正支出の再発防止のために旅費、食糧費等に関する開示基準規則が定められた経緯から、旅費等の支出に関する情報を開示することは県民共有の財産を守るためにも必要なことであり、バス停留所の名称が開示されないことには、旅費が適正に支出されているかどうかが確認できないと主張している。
 公務員であっても、その自宅住所については極めてプライバシー性が高く、公務員の職務に関する情報には含まれない個人に関する情報である。一方、本件の自宅の最寄りのバス停留所の名称については、旅行経路に関する情報の一部であり公務員の職務に関する情報である。しかし、旅費、食糧費等に関する開示基準規則により、審査会会長の自宅住所については、既に都道府県名及び市町名が開示されていることから、当該情報を開示することにより、鉄道の駅の名称を開示する場合よりも容易に当該公務員の自宅住所を特定し得ると考えられる。このことから、審査会会長の自宅の最寄りのバス停留所の名称は、開示することにより、当該公務員の私生活上の権利利益を害するおそれのある情報である。
 異議申立人は電話帳には審査会会長の氏名がその住所とともに登載されていることから、その他の情報と照らし合わせることにより、最寄りのバス停留所の名称は特定できるとしている。しかし、電話帳に登載されていることを根拠に、住所や電話番号が慣行として公にされているとまではいえないことから、最寄りのバス停留所を特定できるとする異議申立人の主張は採用できない。
 また、当該復命精算請求確認票には、津駅前を発地点として、審査会会長の自宅の最寄りのバス停留所の名称は非開示とされているが、そのバス停留所までの運行距離数は開示されており、その記載から旅費の適正さについてはおおよその判断ができることから、本号ただし書ロに規定する人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報に該当するとまでは認められない。
 したがって、審査会会長の自宅の最寄りのバス停留所の名称は、本号本文に該当し、ただし書にも該当しないことから、非開示が妥当である。

(4)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、以下のとおりである。

審査会の処理経過 

 年 月 日 処理内容 
 20.10.14  ・諮問書の受理
20.10.16   ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
 20.11. 5  ・非開示理由説明書の受理
20.11.10 

・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提 出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

21. 1.19 ・書面審理
・実施機関の補足説明
・審議                
(第312回審査会)
21. 2.16 ・審議
・答申                
(第314回審査会)
 

三重県情報公開審査会委員 

職名 氏名 役職等
委員 川村 隆子 三重中京大学現代法経学部講師
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 田中 亜紀子 三重大学人文学部准教授
※会長職務代理者 早川 忠宏 三重弁護士会推薦弁護士
※委員 藤野 奈津子 三重短期大学法経科准教授
委員  丸山 康人 四日市看護医療大学副学長
 なお、本件事案については、※印を付した委員によって構成される部会において、調査審議を行った。
 また、岡本祐次会長は、本件事案が自身に係る情報の開示・非開示の判断であることから、条例第30条第2項の規定により、会長職務代理者の許可を得て本件事案の審議を回避している。  

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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