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平成22年02月26日

情報公開・個人情報保護

三重県個人情報保護審査会 答申第59号

答申

 

1 審査会の結論

 実施機関は、本件異議申立ての対象となった保有個人情報のうち、審査会が非開示妥当と判断した部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成21年6月17日付けで三重県個人情報保護条例(平成14年三重県条例第1号。以下「条例」という。)に基づき行った「異議申立人に関する特別研修受講について特定の所属から人材政策室へ送付された全ての文書及び人材政策室において異議申立人の特別研修受講について作成された全ての文書(例、職務遂行能力等調査委員会での調査書、報告書等全ての文書)」の開示請求に対し、総務部人材政策室(以下「実施機関」という。)が平成21年6月30日付けで行った総務第04-83号による部分開示決定の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の非開示理由説明

 実施機関が理由説明書及び口頭による理由説明において主張している内容は、以下のように要約される。

(1) 条例第16条第5号(審議検討情報)に該当

  「平成○年度職務遂行能力等調査委員会(概要)」のうち、5ページの非開示とした部分は、異議申立人についての審議内容に当たり、開示することによって、委員が調査対象者からの不当な干渉、圧力を恐れて率直な発言を控えるなど、委員会での率直な意見の交換が損なわれるおそれがある。また、委員会構成員の職名等を開示しており、職員録等から誰が委員であるかを特定することは容易にできることから、審議内容の開示が委員に与える心理的圧力は大きなものと考える。これらのことから、今後の委員会での調査に不当な影響を及ぼすおそれがあるため、条例第16条第5号に該当するものと考え、非開示とした。

(2) 条例第16条第6号(事務事業情報)に該当

 ア 「平成○年度特別研修の受講について」のうち、異議申立人に係る「部局意見」の欄の記載内容は、開示が前提となると、今後当該職員に不当な恨み等を招くことを避けたいという心理が働き、部局の率直な意見表明を阻害するおそれがある。そのことによって、今後行われる職務遂行能力等調査委員会での調査等に不当な影響を及ぼすおそれがあり、制度の適正な執行に著しい支障が生じると考えられるため、条例第16条第6号に該当するものと考え、非開示とした。

 イ 「平成○年度職務遂行能力等調査委員会(概要)」のうち、6ページの非開示とした部分は、調査結果の確認に係る発言内容であり、異議申立人以外の職員への対応に係る内容も含まれている。ここには氏名を記載しておらず、特定の個人を識別することはできないとしても、これを安易に開示することは、この制度に対する県職員の信頼をなくすことにつながり、事務の遂行に支障をきたすおそれがあると認められる。したがって、条例第16条第6号に該当するものと考え、非開示とした。

(3) 条例第16条第7号(評価等情報)に該当

  異議申立人に係る「指導記録」のうち、「指導・観察の記録」欄及び「備考」欄の記述の一部は、異議申立人の仕事ぶりや能力、性格等に対する所属長の見立てや意見といった個人の評価に係る記述である。これらを開示すると、所属長が今後、異議申立人の指導記録を作成するに当たって、異議申立人との人間関係の考慮や、異議申立人等から不当な圧力を受けることを危惧し、率直な評価や意見等を記載しなくなるおそれがあり、異議申立人に対する所属長の今後の指導及び指導記録作成などの事務の適正な遂行を著しく困難にすると認められる。

 また、他人の評価と自分自身の評価が一致することは極めて少なく、評価をされた者が所属長に強い不満や悪意を持つ可能性も高く、所属長が今後反復、継続して行うべき異議申立人への指導をますます困難にしてしまうおそれがある。

 なお、これは当該案件のみならず、指導記録を作成する他の所属長にも広がり、制度の適正な執行に著しい支障が生じ、制度そのものを形骸化させてしまうおそれがあると考える。以上のことから当該記述は条例16条第7号に該当するものと考え、非開示とした。

(4) 条例第16条第6号(事務事業情報)及び第7号(評価等情報)に該当

 ア 異議申立人に係る「指導記録総括票」のうち、「結果測定」の数値、「指導記録作成期間に従事させ                    た業務の量・質の状況記述欄」、「問題行動等」及び「所属長総合意見」の各欄の記載は、開示することによって所属長が異議申立人との人間関係の考慮や異議申立人等から不当な圧力を受けることを危惧し、率直な意見表明を阻害するおそれがあり、そのことによって、今後行われる職遂行能力等調査委員会での適正な調査に大きな影響が生じるとともに、制度の適正な執行に著しい支障が生じると考える。また当該情報は個人の評価に関する情報に該当し、開示することにより事務を適正に行うことを著しく困難にすると認められる。さらに、所属長が今後反復、継続して行うべき異議申立人への指導をますます困難にしてしまうおそれもある。したがって、条例第16条第6号及び第7号に該当するものと考え、非開示とした。 

 イ 職務遂行能力等調査委員会審査資料のうち、異議申立人に係る「点数」、「問題行動等の概要」、「所属長意見」の各欄の記載内容は、「指導記録総括票」の各該当欄の内容を転記若しくは要約したものであるため、上記(4)アと同様の理由により非開示とした。

 また、「部局意見」欄は、異議申立人の評価も含め、所属部局の意見が記載されている。部局意見は所属長の異議申立人に対する評価や意見等を吟味し、記載されるものであり、部局意見の開示により、所属長の職員に対する評価等が推察されるおそれがある。さらに、部局が異議申立人から不当な恨み等を招くことを危惧し、適正な意見を述べなくなるおそれもある。以上から、条例第16条第6号及び第7号に該当するものと考え、非開示とした。

 次に、「事務局意見」欄は異議申立人の評価も含め、職務遂行能力等調査委員会の事務局である実施機関の意見を記載している。事務局意見は所属長の異議申立人に対する評価や意見、部局意見等を吟味し、記載されるものである。したがって、事務局意見の開示により、所属長の異議申立人に対する評価や部局意見の内容が推察され、そのことが所属長や部局の率直な意見表明を阻害するおそれがある。このため、事務局意見の開示は制度の適正な遂行に著しい支障が生じるものと考える。したがって、条例第16条第6号及び第7号に該当するものと考え、非開示とした。

4 異議申立ての理由

 異議申立人が異議申立書及び意見書において主張している異議申立ての主たる理由は、以下のように要約される。

 異議申立人の評価に係る記述が所属長の恣意的で虚偽・ねつ造の記述である疑いがあり、委員会がそれを真に受けて調査した結果、異議申立人が不当な扱いを受け、今後も不当な扱いを受ける可能性が十分にあるので真偽を確かめたい。所属長等は、評価や意見をする際には根拠があり、責任を持っているはずである。もし、真実を記述するのであれば、今後の指導及び指導記録作成などの事務の適切な遂行に何ら問題はないはずであり、本人も納得できる評価であるなら今後の事務を適正に行う上で非常に有意義なことである。仮に、それが根拠のない評価や意見といった無責任なものであれば、それは評価ではなく、単なる悪口、人権侵害である。「他人の評価と自分自身の評価が一致することは極めて少なく」とあるが、これほどまでにも他人の評価と自分自身の評価が不一致な例も少ない。

 また、実施機関と面談した際に、「指導記録」がねつ造などではないか、と異議申立人が調査などを申し入れした時に「室長は所属長である。所属長の言うことは間違いない。故に、指導記録に誤りはない。」と言われ、調査すら行わずに黙認している。不当な圧力を恐れずに毅然とした態度で挑む人物こそが所属長であり、実施機関も所属長の人物性に絶対の自信を持っているというのであるから、「職員等から不当な圧力を受けることを危惧し、率直な評価や意見等を記載しなくなるおそれがある。」という非開示理由は納得できない。また、所属長に対して不当な圧力をかけるような職員があれば、その時点で厳重なる処分をすればよいことであり、将来を予測した「おそれがある」からといって部分開示とすることは誤りである。

 さらに、委員会の審議内容を開示すると、「委員の率直な意見の交換が損なわれるおそれがあり、今後の委員会での調査に不当な影響を及ぼすおそれがある」と主張するが、審議が所属長の作成した恣意的で虚偽・ねつ造の指導記録を根拠としている以上、その内容について当然知る権利を有する。開示することによって委員が率直な意見交換が行えなくなるほど自信のない、いい加減な審議で当該研修の受講が決定されたというのであれば非常に問題であり、審議が適正に行われたかについても検証したい。

 なお、異議申立人以外の職員の内容が含まれている場合は、社会通念上妥当な範囲について開示を要求する。

 

5 審査会の判断  

  当審査会は、異議申立人及び実施機関の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。

(1) 本件対象保有個人情報について

 本件異議申立てに係る対象保有個人情報は、異議申立人の特別研修受講決定に関する文書のうち、実施機関が非開示とした以下のものである。

 ア 異議申立人に係る「指導記録」(平成○年○月~平成○年○月分)のうち、「指導・観察の記録」欄及び「備考」欄の記述の一部。

 イ 異議申立人に係る「指導記録総括票」のうち、「結果測定」の数値、「指導記録作成期間に従事させた業務の量・質の状況記述欄」、「問題行動等」及び「所属長総合意見」の各欄の記述。

 ウ 「平成○年度特別研修の受講について」のうち、「部局意見」欄の記述。

 エ 「職務遂行能力等調査委員会審査資料」のうち、「点数」、「問題行動等の概要」、「所属長意見」、「部局意見」、「事務局意見」の各欄の記述。

 オ 「平成○年度職務遂行能力等調査委員会(概要)」のうち、異議申立人に係る審議の発言内容の一部。

 (2) 条例第16条第7号(評価等情報)の該当性について

 条例第16条第7号は、「個人の指導、診断、判定、評価等に関する情報であって、開示することによ      り、当該事務の適正な遂行を著しく困難にすると認められるもの」は、非開示とすることを定めている。

 ア 実施機関は、異議申立人に係る「指導記録」のうち、「指導・観察の記録」欄及び「備考」欄の記述の一部について、同号に該当するとして、非開示にしている。

 「指導記録」とは、所属長が職務遂行能力が不足する職員等について、指導の内容や勤務状況等を所属長が記録するものであり、職務遂行能力等調査委員会で、特別研修実施の要否等を調査する際の資料となるものとのことであることから、適正な調査を実施するためには所属長がありのままを率直に記載することが事務の適正な遂行のために必要であると考えられる。また、その記載内容は対象職員の勤務状況等について所属長の評価に関する事項が含まれるものであると認められる。

 当審査会としては、実施機関が主張するように、指導記録を開示するとなると、所属長が今後、対象職員の指導記録を作成するに当たって、対象職員との人間関係の悪化や、異議申立人等から不当な圧力を受けることを危惧し、率直な評価や意見等を記載しなくなるおそれがあると考える。

 実施機関が非開示とした「指導・観察の記録」欄及び「備考」欄の記述の一部には、所属長の異議申立人に対する評価に関する記述が見受けられる。したがって、これらを開示するとなると、所属長の今後の指導及び指導記録作成などの事務の適正な遂行を著しく困難にすると認められることから、「指導記録」のうち、「指導・観察の記録」欄及び「備考」欄の記述の一部について実施機関が条例第16条第7号により非開示としたのは妥当である。

 イ 次に、異議申立人に係る「指導記録総括票」のうち、「結果測定」の数値、「指導記録作成期間に従事させた業務の量・質の状況記述欄」、「問題行動等」及び「所属長総合意見」の各欄の記載について、実施機関は、条例第16条第6号及び第7号に該当するとして非開示としている。

「指導記録総括票」は、対象職員の「職務遂行能力」、「知識・技能・情報収集管理」、「責任感」、「意欲・積極性」、「コミュニケーション能力」、「規律性・執務態度」ついて評価し、数値化するとともに、「問題行動等」や「所属長総合意見」といった記載項目がある。これらを記載するに当たっては、「指導記録」と同様に所属長がありのままを率直に記載することが必要であると認められる。

 当審査会で、各記載内容を確認したところ、「指導記録作成期間に従事させた業務の量・質の状況記述欄」の1行目から5行目の13文字目(句読点を含む)までの部分については、対象職員の担当業務に関する事実の記載であり、評価等の情報ではないと認められるので、条例第16条第7号に該当せず、開示すべきであるが、同欄のそれ以降の記述については所属長の評価等を含むものであり、これを開示するとなると、今後、所属長が異議申立人の評価をありのままに率直に評価することが困難になると認められるので、同号により非開示とすることが妥当である。また、その他の欄については所属長の評価等を記載するものであり、これを開示するとなると、所属長が今後、対象職員との人間関係の悪化や、異議申立人等から不当な圧力を受けること等を危惧し、率直な評価や意見等を記載しなくなるおそれがあり、事務の適正な遂行を著しく困難にすると認められるので、条例第16条第7号により非開示とすることが妥当である。

 ウ 「職務遂行能力等調査委員会審査資料」のうち、異議申立人に係る「点数」、「問題行動等の概要」、「所属長意見」の各欄の記述について、当審査会で確認したところ、前記「指導記録総括票」の内容を転記したものであると認められるため、(2)イのとおり、非開示が妥当である。

 次に、「部局意見」欄について、実施機関は、所属長の異議申立人に対する評価や意見等を吟味し、記載されるものであり、部局意見の開示により、所属長の職員に対する評価等が推察されるおそれがあること、また、部局が異議申立人から不当な恨み等を招くことを危惧し、適正な意見を述べなくなるおそれがあることから条例第16条第6号及び第7号に該当するとして非開示としている。

 当審査会としては、所属長の評価等に関する記載は、(2)アで述べたとおり、所属長が対象職員との人間関係の悪化や当該職員から不当な圧力を受けること等を危惧し、率直な評価や意見等を記載しなくなるおそれがあり、これを開示するとなると所属長の今後の指導や事務の適正な遂行を著しく困難にするものと考える。一方、部局における評価や意見については、所属長のように特定個人の評価というわけではないし、また、部局は直接指導する立場にもなく、職務として人事評価も含めた服務管理を行うものであり、その行為については説明責任を負うものであることから、これを開示することによって仮に不当な恨み等を招いたとしても職務として受忍すべきものであると考える。

 したがって、部局の評価等に関する記述を開示したとしても今後の部局における事務を著しく困難にするとは認められないことから、条例第16条第7号により非開示とすることは妥当でない。

 この点を踏まえ、当審査会で「部局意見」欄の内容を確認したところ、全体としては部局の評価や意見の記述であるが、当欄の8行目から11行目の2文字目(句読点を含む)までは、所属長の異議申立人に対する評価等に関する記載があり、この部分は(2)アと同様に条例第16条第7号により非開示とすることが妥当であるが、その他の部分については開示すべきである。

 「事務局意見」欄についても、実施機関は、所属長の評価や部局意見の内容が推察されることなどから、「部局意見」欄と同様に非開示としているが、当審査会としては、前述の「部局意見」欄と同様に「事務局意見」欄も今後の事務を著しく困難にするとは認められないことから開示すべきであると考える。しかしながら、同欄2行目及び7行目から8行目の15文字目(句読点を含む)までは所属長の評価等に関する記述であり、この部分は(2)アと同様に条例第16条第7号により非開示とすることが妥当である。

(3) 条例第16条第6号(事務事業情報)の該当性について

 条例第16条第6号は、県、国、独立行政法人等、県以外の地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるものは、非開示とすることを定めている。

 ア 実施機関は、前記(2)イの「指導記録総括票」の非開示とした部分については、所属長の評価等に支障が生じるほか、そのことによって、その後の職務遂行能力等調査委員会での適正な調査に大きな影響が生じ、制度の適正な執行に著しい支障が生じるとして条例第16条第6号にも該当すると主張している。前記(2)イで条例第16条第7号に該当せず、開示すべきとした「指導記録作成期間に従事させた業務の量・質の状況記述欄」の1行目から5行目の13文字目(句読点を含む)までの部分について当審査会において検討すると、この欄に記載される対象職員の担当業務に関する事実の記載については開示されたとしても、所属長の記入を躊躇させるものではなく、記載できないことによる支障が認められないため、条例第16条第6号にも該当せず、開示すべきである。

 イ 実施機関は、「平成○年度特別研修の受講について」のうち、異議申立人に係る「部局意見」欄について、これを開示するとなると、部局が当該職員に不当な恨み等を招くことを避けたいという心理が働き、部局の率直な意見表明を阻害するおそれがあり、今後行われる職務遂行能力等調査委員会での調査等に不当な影響を及ぼすおそれがあるため、制度の適正な執行に著しい支障が生じると考えられることから、条例第16条第6号に該当すると主張している。

 しかしながら、前記(2)ウのとおり、部局意見を開示したとしても部局の率直な意見表明を阻害するとは認められず、制度の適正な執行に著しい支障が生じるとは認められないことから開示すべきである。

 ウ 「職務遂行能力等調査委員会審査資料」のうち、異議申立人に係る「点数」、「問題行動等の概要」、「所属長意見」、「部局意見」及び「事務局意見」の各欄の記述について、実施機関は条例第16条第6号にも該当すると主張している。前記(2)ウで開示すべきとした「部局意見」欄と「事務局意見」欄の部分について、当審査会において検討すると、これらの部分は前記(2)ウで判断したとおり、部局や事務局がそれぞれの欄を記載することについて、率直な意見表明を阻害するとは認められないため、制度の適正な執行に著しい支障が生じるとは認められず、条例第16条第6号にも該当しないことから開示すべきである。

 エ 次に、「平成○年度職務遂行能力等調査委員会(概要)」のうち、6ページの非開示とした部分について、実施機関は、異議申立人以外の職員の対応に係る確認のための発言内容であり、氏名を記載しておらず、特定の個人を識別することはできないとしても、これを安易に開示することは、この制度に対する県職員の信頼をなくすことにつながり、事務の遂行に支障をきたすおそれがあるため、条例第16条第6号に該当すると主張するが、これらの情報はそもそも開示請求者以外の個人に関する情報のため、条例第16条第6号の該当性を検討するまでもなく、条例第16条第2号により、非開示とすべきである。

(4) 条例第16条第5号(審議検討情報)の該当性について

 条例第16条第5号は、「県、国、独立行政法人等、県以外の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民等の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」は、非開示とすることを定めている。

  実施機関は、「平成○年度職務遂行能力等調査委員会(概要)」のうち、5ページの異議申立人に係る審議の発言内容の一部について、開示するとなると、当該委員会構成員の職名等を開示しているため、職員録等から誰が委員であるか特定することができることもあり、今後、委員が調査対象者からの不当な干渉、圧力を恐れて率直な発言を控えるなど、委員会での率直な意見の交換が損なわれるおそれがあることから、今後の委員会での調査に不当な影響を及ぼすおそれがあると主張し、条例第16条第5号に該当すると主張する。

 当審査会としては、当該委員会は職員の職務遂行能力等を調査し、特別研修の要否等の処遇について意見する重要な委員会であり、審議された内容については、原則として本人に開示すべきと考えるが、それと併せて当該委員会での率直な意見交換もまた、事務の適正な遂行のため保護すべきであると考える。

 本件発言内容は、実施機関の主張するように委員の構成員が特定できたとしても、どの委員が発言したか分からなくなっており、率直な意見交換が損なわれるとは認められない。

 したがって、本件「平成○年度職務遂行能力等調査委員会(概要)」のうち、5ページの異議申立人に係る審議の発言内容について、条例第16条第5号に該当せず、開示すべきである。

 なお、本件発言内容のうち、2行目から4行目については、異議申立人に対する所属長の評価に関する記述であり、実施機関が主張するように、これらを開示すると、所属長が今後、異議申立人の指導記録を作成するに当たって、率直な評価や意見等を記載しなくなるおそれがあり、異議申立人に対する所属長の今後の指導及び指導記録作成などの事務の適正な遂行を著しく困難にすると認められるため、条例第16条第7号に該当し、非開示が妥当である。

(5) 結論

よって、主文のとおり答申する。

6 審査会の処理経過

当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

 

別紙1

審査会の処理経過

 

年 月 日

 

処理内容

 

平成21年 8月25日

 

・ 諮問書の受理

 

 

平成21年 8月28日

 

・ 実施機関に対して理由説明書の提出依頼

 

 

平成21年 9月 8日

 

・ 理由説明書の受理

 

 

平成21年 9月15日

 

・ 異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

 

 

平成21年 9月25日

 

・ 意見書の受理

 

 

平成21年10月30日

 

・ 書面審理

・ 実施機関の補足説明

・ 審議

(第75回個人情報保護審査会)

 

平成21年11月20日

 

 

・ 審議

(第76回個人情報保護審査会)

 

平成21年12月21日

 

・ 審議

                            (第77回個人情報保護審査会)

 

平成22年1月25日

 

・ 審議

                            (第78回個人情報保護審査会)

 

平成22年2月24日

 

 

・    審議

・    答申

                            (第79回個人情報保護審査会)

 

三重県個人情報保護審査会委員

職名

氏名

役職等

会長

浅尾 光弘

弁護士

委員

合田 篤子

三重大学人文学部准教授

会長職務代理者

樹神 成

三重大学人文学部教授

委員

寺川 史朗

三重大学人文学部准教授

委員

安田 千代

司法書士、行政書士

 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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