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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第354号                             

答申

1 審査会の結論

 実施機関が行った決定は、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、異議申立人が平成22年2月15日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定橋梁の架替事業について、特定個人宅に影響(建物に騒音、振動)の事前調査の有無を示す文書」(以下「本件対象公文書」という。)の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成22年2月25日付けで行った公文書不存在決定(以下「本決定」という。)の取消しを求めるというものである。

3 実施機関の説明要旨

 当該建物の事前調査を行っていないことから、対象となる公文書は存在しない。

4 異議申立ての理由

 異議申立人が主張する異議申立ての理由は、おおむね次のとおりである。
 「建設工事に対する騒音・振動規制の手引き」(三重県環境部発行)では、建設作業を行うにあたっては、騒音・振動に関する事前調査を行わなければならないと定められている。また、同手引きで、発注者及び施工業者は「工事現場の周辺状況等を調査のうえ、極力低騒音・低振動の工法や建設機械の採用に努めてください。」とされている。
 このように制度として行わなければならない事前調査に関する文書が不存在ということはあり得ず、実際には存在するはずであるから本決定は公文書の隠蔽と言わざるを得ない。

5 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)本決定の妥当性について

 実施機関から説明を聴取したところ、本件の橋梁架替工事の施行にあたり、低振動工法を採用したこと、工事箇所から家屋までの距離が相当あることから、工事の振動による家屋への影響はないものと判断し、工事着手前に建物調査を実施しなかったのであるが、工事完了後に、異議申立人から工事の振動により当該家屋が損傷した旨の申し出があったことから、工事との因果関係について事後調査を行い、その結果、家屋の損傷が本件工事の施行に起因する地盤変動により生じたものであると認められたことから、異議申立人と損害に係る補償契約を締結し、補償金を支払った、とのことである。
 公共事業の施行による建物等の損害に関する事務処理については、昭和63年1月21日制定「三重県県土整備部公共事業の施行に伴う損害等の賠償に係る事務要領」の「4 地盤変動により生じた建物等の損害等に係る事務処理」(以下「事務処理」という。)第2条において「公共事業に係る施設の規模、構造及び工法並びに工事箇所の地盤の状況等から判断して、工事の施行による地盤変動により建物等に損害等が生ずるおそれがあると認められるときは、(中略)工事の着手に先立ち、又は工事の施行中に起業地及びその周辺地域において、(中略)必要と認められるものについて調査を行うものとする。」とされ、同第3条では「起業地の周辺地域の建物等の所有者(中略)から地盤変動による建物等の損害等の発生の申出があったときは、地盤変動による建物等の損害等と工事との因果関係について、速やかに調査を行うものとする。」とされていることが認められる。
 上記事務処理に照らして考えると、明らかに当該家屋に損害が生ずるおそれがないと判断したのであれば、事前調査を実施せず、本件対象公文書は存在しないとする実施機関の説明は自然であり、信用できるものである。
 また、実施機関において、事務処理第3条の規定に基づき当該家屋の事後調査を実施し、その調査結果に基づき異議申立人に対し損害額を補償している事実にかんがみれば、事前調査の報告書は不存在であるとする実施機関の説明は何ら不自然ではなく、他にその存在を推認させる証拠もない。
 以上のことから、本件対象公文書が存在すると認める理由はなく、不存在を理由とした本決定は妥当であると認められる。
 なお、異議申立人は、建設作業を行うにあたっては、騒音規制法及び振動規制法の定めるところにより、騒音・振動に関して事前調査を行わなければならない旨主張するが、騒音規制法及び振動規制法は、著しい騒音・振動を発生する特定の建設作業を行う施行事業者が、作業開始の7日前までに建設作業の内容、作業時間、騒音の防止方法等を市町村長へ届け出ることを義務づけたものであり、振動・騒音によって影響を受けるおそれのある建物等の事前調査の実施を義務づけたものではないから、異議申立人の主張は失当である。

(3)結論

 よって、主文のとおり答申する。

6 審査会の意見

 審査会の判断は上記のとおりであるが、次のとおり意見を申し述べる。
 実施機関は、当審査会での口頭説明において、事前調査を実施しないという意思決定及びその決定に至る経緯について記録していないと説明するが、事案の内容や重大性によっては、決定内容や意思形成過程を記録すべきであり、文書を作成しないことが公文書の管理のあり方として適当でないと考えられる場合もあることから、実施機関においては公文書の管理について適正な運用に努められたい。
 また、実施機関は、当審査会が本事案の適正な審査の実現のため提出を求めた「理由説明書」において、不存在とした理由を「事前調査を行っておらず、対象となる公文書が存在しないため。」とのみ記載し、異議申立書に記載された異議申立人の主張に対し何ら詳細な事情説明を行わなかったことは、異議申立人に十分な弁明・反論の機会があったとは言い難く、実施機関においては、今後同様のことがないよう、真摯な対応をすることが望まれる。

7 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
22. 5.14 ・諮問書の受理
22. 5.17 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
22. 5.27 ・理由説明書の受理
22. 6. 2 ・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
22. 7.30

・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議

(第344回審査会)

22.  8.17

・審議
・答申          

    (第345回審査会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名   役職等   
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
委員 川村 隆子 三重中京大学現代法経学部准教授
※委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
委員 竹添 敦子 三重短期大学教授
※委員 田中 亜紀子 三重大学人文学部准教授
※会長職務代理者 早川 忠宏 三重弁護士会推薦弁護士

委員 

丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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