現在位置:
  1. トップページ >
  2. 県政・お知らせ情報 >
  3. 県政情報 >
  4. 情報公開・個人情報保護 >
  5. 三重県情報公開・個人情報保護審査会 >
  6. 答申 >
  7.  三重県情報公開審査会 答申第393号
担当所属:
  1.  県庁の組織一覧  >
  2.  総務部  >
  3. 情報公開課  >
  4.  情報公開班 
  • facebook
  • facebook share
  • twitter
  • google plus
  • line
平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第393号                             

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書のうち、「介護員養成研修に係る講師の氏名」を非開示とした部分については開示すべきであるが、その他の部分について非開示とした決定は妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成24年10月19日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「補助金適正化法又は同県条例に違反したことに対し、行政処分、事実公表もしくは法的対処を行った事案について分かる全ての文書」についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成24年11月2日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、特定の介護員養成研修事業者に対する改善指導に係る一連の文書である。

4 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、次のとおりである。
 国家資格を有する講師の研修を受講することにより資格を取得する介護員養成研修のような事業について、講師及び受講者の氏名を非開示とすることは、本研修事業の社会的公正、老人福祉事業に係る社会的信用を失墜させる要因となり容認できないものであり、当該氏名は開示されるべきである。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定が妥当というものである。
 非開示とした介護員養成研修に係る講師及び受講者の氏名は、個人に関する情報であって、開示することにより、特定の個人が識別され、若しくは識別され得る情報であり、条例第7条第2号本文に該当する。
 また、研修の講師については、それぞれ社会福祉士、介護福祉士及び看護師の国家資格を有する者、あるいは、訪問介護員2級課程修了者であるが、その氏名については、法令の規定や慣行により公にされていない情報であり、同号ただし書イに該当しない。
 さらに、これらの情報は、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報に該当しないことから、同号ただし書ロにも該当しない。
 以上の理由により、研修講師及び受講者の氏名については非開示と判断した。

6 審査会の判断

(1) 基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であれば全て非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきもの等については、開示しなければならないこととしている。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 実施機関が本決定において本号に該当するとして非開示とした情報のうち、異議申立てに係る情報は、本件対象公文書のうち特定の介護員養成研修事業者が行った介護員養成研修(以下「本件研修」という。)に係る講師及び受講者の氏名である。
 これらの情報は、個人に関する情報であって、直接あるいは他の情報と組み合わせることにより、特定の個人が識別され得る情報であり、本号本文に該当することは明らかである。そこで、次に当該情報が本号ただし書に該当するかどうかを検討する。

 ア 本件研修の位置づけ

 本件対象公文書における介護員養成研修とは、介護保険法に基づくものであり、居宅における要介護者等の入浴、排せつ、食事等の介護を行う訪問介護員の養成を目的として、実施機関が申請に基づき、介護員養成研修事業者(以下「事業者」という。)の指定を行い、当該事業者が研修を実施するものである。そして、同研修はその課程により介護職員基礎課程(以下「基礎課程」という。)、訪問介護1級課程及び訪問介護2級課程(以下「2級課程」という。)に分けられ実施されている。そして、この事業者の指定は介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第3条、訪問介護員に関する省令(平成12年3月10日付け厚生省令第23号)、介護員養成研修の取扱細則について(以下「取扱細則」という。)(平成18年6月20日付老振発第0620001)の規定に基づいて実施するものとされ、実施機関においてはこれらに基づき、「三重県介護員養成研修事業者指定事務取扱要綱(以下「取扱要綱」という。)」(平成16年4月1日施行)により要件を定めた上で、当該要件を満たすと認められた者について、事業者として指定している。

 イ 本件研修の講師の氏名は本号ただし書に該当するか

 実施機関の定める取扱要綱においては、指定の要件の一つとして、事業者に対し一定の情報の公開を求めており、受講者に研修内容等を明示するため、講師氏名及び職名等を明らかにした学則を定め、これを公開することとしている。また、介護員養成研修のうち基礎課程においては、指定を受けた研修について氏名を含む講師情報をインターネット上のホームページで公開することを義務付けている。
 この点、本件研修は基礎課程ではなく、2級課程であることから、取扱要綱の規定上は、2級課程における講師氏名については受講者に対しては公開されるものの、何人に対しても公開される訳ではない。
 しかしながら、同じ介護員養成研修において、基礎課程の講師氏名については公にされている状況や、介護保険法に定める訪問介護等を行う介護員を養成するという介護員養成研修の公益的な性質はその研修課程で異なるものではないこと、さらに一定の資格や実務経験等の適切な能力が求められる研修講師の役割の重要性等を踏まえると、2級課程の講師の氏名を非開示とすることに合理的な理由があるとは認められず、介護員養成研修の適正な実施という観点から、本件研修の講師の氏名はその課程に関わらず公にされることが求められているというべきである。
 したがって、本件研修における講師の氏名は、本号ただし書イの「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」であると認められ、当該情報を非開示とした実施機関の判断は、妥当ではない。

 ウ 本件研修の受講者の氏名は本号ただし書に該当するか

 介護員養成研修の受講者の氏名について、異議申立人は、本研修事業の社会的公正という観点や、受講者は介護員として従事することが予定されていることなどを理由に、当該情報を開示すべきであると主張している。
 しかし、当該情報は、介護保険法等の法令、厚生労働省が定める取扱細則及び実施機関が定める取扱要綱のいずれにおいても、一般に公にすべきものとする規定は確認できない。そして、このことは受講者という立場ではなく介護員として従事する場合においても同様である。さらに、当該情報は、当該個人が本件研修を受講したことを示す情報ではあるが、一般に介護保険法に基づく介護員等の名簿が公開されるものではないことを踏まえると、その受講者氏名が介護員養成研修を適正に実施する上で、公にされることが要請されるべきものとまではいえない。そのため、当該情報は本号ただし書イの情報すなわち「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当するとは認めることができない。
 また、異議申立人の主張をもって直ちに本号ただし書ロの情報すなわち「人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するとまではいえず、本号に該当する個人情報を開示することは是認できない。
 したがって、当該情報を非開示とした実施機関の判断は、妥当である。

(4)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の意見

 当審査会の結論は以上のとおりであるが、本件事案については、実施機関の事務処理の一部に不適切な点が見受けられることから、審査会として次のとおり意見を述べる。
 当審査会が本件対象公文書を見分したところ、本件異議申立ての対象ではない部分において、本来開示すべき「法人の代表者の氏名」や「担当者の連絡先等」を非開示とするなど不適切な点が見受けられた。このような事務処理は慎重さを欠くものであったといわざるを得ず、実施機関においては、今後同様のことが起こらないよう、開示・非開示部分の内容を十分精査する等慎重かつ丁寧な対応に努められたい。

8 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
24.11.30 ・諮問書の受理                                          
24.12. 4 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
24.12.26 ・理由説明書の受理
24.12.27

・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

25. 3. 1

・書面審理  
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明                       
・審議

     (平成24年度第10回B部会)

25. 3.22

・審議
・答申

(平成24年度第11回B部会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名   役職等   
※会長

早川  忠宏  

三重弁護士会推薦弁護士          

会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※会長職務代理者 丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

委員     

岩﨑 恭彦

三重大学人文学部准教授

※委員 川村 隆子

名古屋学院大学経済学部准教授   

委員 竹添 敦子

三重短期大学教授

※委員  藤本 真理

三重大学人文学部准教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

ページID:000031250