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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第402号                               

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件異議申立ての対象となった公文書を開示すべきである。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成25年2月15日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「土地改良事業における換地計画書」についての開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成25年3月1日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、「特定土地改良区の換地業務報告書」及び「特定土地改良区の換地計画書」である。これら公文書のうち、実施機関が非開示とした部分で異議申立ての対象となっている部分は、以下のとおりである。
 ア)平成10年度特定土地改良区の換地業務報告書中の「評価基準及び評価」
 イ)平成11~16年度特定土地改良区の換地業務報告書中の「工事後の土地評価」
 ウ)特定土地改良区の換地計画書中の「評価点、等位、価額、換地交付基準額、清算金」

4 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 特定土地改良区の換地計画書に疑問があり、土地改良事業が公正適正に施行されているかどうかを検証し、法に照らして是正させることにある。
 土地改良法に基づく土地改良事業の原資は、その多くが国費等の公費で施行されているのだから、当該文書は原則全面公開とすべきである。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。
 本件対象公文書に記載されている土地の評価点、等位、清算金額等については、既に所有者の氏名、住所が明らかになっていることから個人の財産状況を示すものであり、公にすることにより個人の権利利益を害するおそれのある情報である。 
 ただし、換地処分後に相当期間が経過し、経済情勢や地価水準変動が著しく、開示することで個人に特段の支障を及ぼすものではないと判断したときには、清算金等を開示するものと取り扱っている。この相当期間の定めについては、財務省の諮問に対する国の審査会の答申があり、平成14年度(行情)答申第480号を参考にしている。この答申内で、30年を経た売買実例価格等については開示すべきであると判断しているため、30年経過したかどうかを基準に判断している。
 本件は、換地処分を行ったのが平成18年3月4日であり、換地清算が終了してから10年も経過していないため、当該情報は条例第7条第2項(個人情報)に該当するものとして非開示とした。 

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれたりするなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

  個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であればすべて非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきもの等については、開示しなければならないこととしている。

(3)本件条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 本件対象公文書中の評価基準及び評価、工事後の土地評価、評価点、等位、価額、換地交付基準額、清算金についてであるが、実施機関は条例第7条第2号(個人情報)に該当し、非開示が妥当であると主張している。
 確かに本件対象公文書における評価額等の記載内容は、個人所有の土地に関するものであり、既に所有者の住所・氏名が明らかとなっていることから、同所有者の財産状況を示す情報として、「個人に関する情報」に該当すると判断した実施機関の主張も理解できないわけではない。
 しかし、本件対象公文書に示された評価額等は、土地改良事業において、適正な換地処分を行うためになされたものであり、実際の取引時価や当時の実勢価格を示したものではない。仮に当時の実勢価格を知る手掛かりとなるものであったとしても、このような実勢価格の参考となる価格であれば、公示価格等でも広く知ることができ、これを開示すれば個人のプライバシーが侵害されるという情報とは思われない。従って、本件対象公文書の記載内容は、仮に個人に関する情報と解する余地があったとしても、極めてプライバシー性は低いものといわざるを得ない。
 また、売買実例価格等について、実施機関は国の類似の答申を参考に30年を経過したかどうかを開示・非開示の判断の基準としており、30年を経過していないものについては個人情報に該当すると主張している。しかし、上記理由から、経過年数の長短にかかわらず、本件情報はプライバシー性が低いと判断せざるを得ない。 
 一方、本件対象公文書に記載されたこれらの情報は、土地改良事業が適正に行われたか否かを確認するために必要不可欠な情報であり、開示の必要性は高い。
 よって、本件のような、土地改良事業において、同事業を適正に行うために、一定の基準に従って評価された金額等を記載した換地計画書等を、同土地所有者の個人に関する情報と解し、非開示とすることは相当ではない。以上のことから、条例第7条第2号(個人情報)には該当しないというべきである 。

(4) 結論

 よって、主文のとおり答申する。 

7 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

_別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
25. 4.11

・諮問書の受理

25. 4.12 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
25. 5. 1

・理由説明書の受理

25. 5. 2 ・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
25. 6.11

・書面審理  
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議

 (平成25年度第3回A部会)

25. 7. 9

・審議
・答申

                           (平成25年度第4回A部会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名   役職等   
※会長

早川 忠宏  

三重弁護士会推薦弁護士          

※会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
会長職務代理者 丸山 康人 四日市看護医療大学学長

※委員 

岩﨑 恭彦

三重大学人文学部准教授

委員 川村 隆子

名古屋学院大学経済学部准教授   

※委員 竹添 敦子

三重短期大学教授

委員

藤本 真理

三重大学人文学部准教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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