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情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第409号

答申

1 審査会の結論

 実施機関は本件審査請求に係る本件部分開示決定において道路使用許可申請書の申請者の氏名を非開示とした部分を取り消し、開示すべきである。

2 審査請求の趣旨

 審査請求の趣旨は、開示請求者が平成25年11月28日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「大四日市まつりに出店した露天商の道路使用許可に関する文書(平成25年分)申請書のみ」についての開示請求に対し、三重県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成25年12月10日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)の取消しを、実施機関の上級庁である三重県公安委員会(以下「諮問庁」という。)に求めるというものである。

3 本件対象公文書及び本件非開示部分について

 本件審査請求の対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、大四日市まつりに際して実施機関に提出された152件の道路使用許可申請書である。そして、本件対象公文書において、実施機関が非開示とした情報であって、審査請求人が開示を求めている情報は、申請者の氏名(以下「本件非開示部分」という。)である。

4 審査請求の理由

 審査請求人の主張を総合すると、次の理由により、本決定は妥当ではなく、本件非開示部分を開示するべきというものである。

(1)審査請求書における主張

 ア 条例第7条第2号は適用範囲外

 実施機関は、非開示理由として条例第7条第2号(個人情報)をあげているが、そもそも同号は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く)」と明記してあり、事業のための道路使用許可の申請者情報は、「事業を営む個人の当該事業に関する情報」であり同号の適用範囲外である。

 イ 事業者情報として公開すべき理由

 道路は通行の用に供するために整備された公共物であり、その道路を占有し通行者を排除して商業利用することは違法行為である。道路使用3号許可は、その違法行為に特別の許可を与えるものであり、特別に許可する許可権者と特別の権利を受けた事業者には、それを県民に説明する特別の責任が発生すると考えられる。

(2)意見書における主張

 ア 条例第7条第2号該当性について

 諮問庁が理由説明書において主張するとおり、申請者の「氏名」が個人識別情報であることには何の異議もない。問題なのは、個人情報保護と公益との比較衡量を真剣に検討していないことである。個人情報に該当するという理由で機械的に非開示にすることを肯定してしまえば、情報公開制度など有名無実なものになってしまう。大勢の観衆が往来する場所での火気使用、危険物保管の危険性は既に福知山市爆発事故で表面化している。同様の事故はどの街のどの祭りでも起こり得ることなのである。屋台を運営するということの責任を露天商はもちろんのこと諮問庁にも重く受け止めて欲しい。

 イ 条例第7条第3号該当性について

 条例第7条第2号に記載されるとおり、「個人に関する情報=非開示」という短絡な公式は成り立たない。法人格を持たない事業者は事業に関する法的手続きを個人名でするしかない。それは個人としての申請ではなく事業者としての申請である。この場合、「個人名=事業者名」ということになる。一つの名前が2つの意味を持ち、条例の解釈においても複合的な検討が必要になるはずである。
 諮問庁は、そのことの言い逃れのため、「本件対象公文書の申請者が事業を営む個人であるか否かについて問うていない(記載されていない)ことから不明」と主張している。
 諮問庁の言わんとすることは「露店の申請を出したからといってすなわち事業目的での申請だとは言い切れないだろう」というものだと思われるが、「事業目的じゃない屋台があったかもしれない」との推測で道路使用許可152通の全てを「個人情報」にされたのでは堪らない。公開が原則で合理的で明確な理由が存在する場合のみ非開示にできるという情報公開制度の根幹を踏みにじる乱暴な主張である。
 「不明」ならば確認を取ってボランティア露店(もし存在するのなら)のみを非開示にして情報開示する方法もあったはずである。同種の請求を行った四日市市役所は現に申請者の意見聴取の手続きを取った上で全申請者の氏名を開示している。諮問庁はこの事実に真摯に向き合うべきである。

5 諮問庁の説明要旨

 諮問庁の主張を総合すると、次の理由により、本決定が妥当というものである。

(1)条例第7条第2号該当性について

 条例第7条第2号は、「個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るもの」については、非開示となる旨を定めている。三重県情報公開条例の解釈及び運用(以下「解釈及び運用」という。)によると、「特定の個人が識別され得るもの」とは、「氏名その他の記述等それ自体として、当該情報に係る個人が誰であるかを識別させることとなる情報だけでなく、氏名その他の記述等によって識別された特定の個人情報の全体である。」と定義しており、審査請求人が取消しを求めている本件対象公文書の申請者の氏名は、正に個人識別情報であるといえる。

(2)条例第7条第3号該当性について

 審査請求書によると、審査請求人は、条例第7条第2号において、「個人に関する情報のうち事業を営む個人の当該事業に関する情報は除く。」と規定されていることから、本件対象公文書の申請者の氏名は、条例第7条第3号の法人情報と捉えるべきであり、条例第7条第2号の適用範囲外である旨主張しているものと解される。
 しかし、道路使用許可申請は、その申請者が事業を営む個人であるか否かについては問うていないことから、露店等を出すからといって露天商等の事業を営む個人とは限らない。そのため、申請者が事業を営む個人かは不明であり、かつ、仮に事業を営む個人であったとしても、その情報が公にされていない個人の氏名は個人情報として捉えるべきである。
 解釈及び運用は、法人情報に関して、「法人等の構成員に関する情報は、法人情報であると同時に、構成員各個人の個人情報でもある。」と定義している。
 法人の構成員に係る情報のうち、商業登記簿に登記されている役員の氏名は、個人情報ではあるものの法令の規定により公にされている情報として一般的に開示されているが、登記されていない構成員については、個人情報として非開示とされているのが現状である。
 仮に、個人の氏名を冠した商店名及び申請者氏名等の記載があれば、当該氏名を法人情報として捉えられなくはないが、本件対象公文書には、申請者の住所、氏名等が記載されているだけであることから、申請者の氏名は、条例第7条第2号ただし書イの法令又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報には該当しないものである。

(3)その他

 審査請求人は、審査請求書において、事業者情報として公開すべき理由として、「道路は通行の用に供するために整備された公共物でありその道路を占有し、通行者を排除して商業利用することは違法行為です。道路使用3号許可は、その違法行為に特別の許可を与えるもので、特別に許可する許可権者と特別の権利を受けた事業者には、それを県民に説明する特別の責任が発生すると考えます。」と主張しており、この主張は、条例第7条第3号ただし書の「公益上の理由による義務的開示」を求めているものと解される。
 しかし、本件対象公文書は、道路における相対的禁止行為を、一定の要件を備えさえすれば許可によってその禁止が解除されるという道路使用許可申請書であり、申請者の氏名を公にすることに当該保護すべき利益を上回る公益上の必要性があるとは認められず、審査請求人の「特別に許可する許可権者と特別の権利を受けた事業者には、それを県民に説明する特別の責任が発生する」という主張は妥当ではない。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれたりするなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であれば全て非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきもの等については、開示しなければならないこととしている。

(3)本件条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 本件非開示部分は、個人名でなされた道路使用許可申請の申請者氏名であるが、この氏名について、審査請求人は、当該道路使用許可申請は事業のために申請されたものであり、たとえ個人名での申請であったとしても事業者としての申請であるから、当該氏名は「事業を営む個人の当該事業に関する情報」として条例第7条第2号の個人情報から除外されるべきであると主張する。他方、諮問庁は、道路使用許可申請の申請者が事業を営む個人であるか否かについては問うていないことから、本件非開示部分が一概に「事業を営む個人」であるとはいえないとして、同号の個人情報から除外することを否定している。
 これら両者の主張から、主たる争点は、本件非開示部分が「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当するか否かであると判断できるため、以下において当該争点について検討する。

 ア 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」の趣旨

 本号は、「事業を営む個人の当該事業に関する情報」については、これを個人情報から除外し、条例第7条第3号(法人情報)で判断することとしている。これは、「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、個人に関する情報ではあるものの、当該事業に関する情報としての側面が強いため、法人等に関する情報と同様の要件により非開示情報該当性を判断することが適当であることから、本号の個人情報からは除外しているものと解される。
 ただし、事業を営む個人の当該事業に関する情報であっても、例外的に「公にすることにより当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあるもの」については非開示とすることができるとされている。これは、事業を営む個人の当該事業に関する情報であっても、同時に当該個人の私事に関する情報の側面もあり、同側面の方が、明らかに大きいような場合にはこれに該当すると解される。

 イ 本件非開示部分は「事業を営む個人の当該事業に関する情報」に該当するか

 道路使用許可は、道路本来の通行目的以外でやむを得ない道路の使用について、その対象とすることにより、適法な道路の使用に努めることを目的に、道路交通法(昭和35年法律第105号)第77条において定められた許可制度である。そして、同条第1項各号において、道路使用許可の対象として、道路工事や工作物の設置のほか、祭礼、各種イベント等での使用等の行為が列挙されているが、これら道路使用許可の対象となる行為は、その目的、態様ともに様々であることから、その全ての行為が一概に「事業」に関する行為と評価できるわけではない。
 しかし、本件対象公文書は、「大四日市まつりに出店した露天商の道路使用許可に関する文書」という請求内容に対して、実施機関が特定したものであるところ、同文書において実施機関が開示した部分のうち、「道路使用の目的」欄には、大四日市まつりに際し道路を使用する旨記載され、「方法又は形態」欄には、露店・屋台等の形式と推察される「組立て式」との表記とともに当該露店等において提供されると推察される具体的な飲食物や物品、役務の種類等が記載されていることが確認できる。それゆえ、本件対象公文書は、種々の使用目的・行為からなる道路使用許可申請書ではなく、「大四日市まつり」に際して道路に露店等を出店することを目的に提出された道路使用許可申請書に限定し特定されたものであると認めることができる。
 そこで、当該露店等の出店者である本件対象公文書の申請者が「事業を営む個人」に該当するかを見るに、この点に関し諮問庁は、露店等の出店者は必ずしも「事業を営む個人」とは限らない旨主張している。
 しかし、一般に、本件における「大四日市まつり」のような祭礼・イベント等において、個人が露店等を出店し、飲食物の提供、物品の販売及び役務の提供等を行おうとする行為は、それが個人の趣味・娯楽に類するもの等純然たる個人の私的行為であることが書面上明らかに認められるなどの特段の事情がない限りは、個人による「事業活動」の一環としての行為と捉えるのが社会通念上相当である。
 そして、本件においては、そのような特段の事情が認められないことから、本件対象公文書における申請者は、本号における「事業を営む個人」に当たることは明らかであり、その氏名についても、その名をもって事業を行う者の氏名であるから、「事業を営む個人の当該事業に関する情報」にほかならないものと解される。
 なお、諮問庁は、仮に本件対象公文書における申請者が事業を営む個人であったとしても、その情報が公にされていない個人の氏名は個人情報として捉えるべきであると主張している。しかし、当該氏名は、その性質から、いわば事業を代表する者としての事業者の名称と評価できるものであるため、当該氏名が本号で規定するところの「公にすることにより当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当しない限りは、その氏名が公にされているか否かは上記判断に影響を及ぼすものではない。

 ウ 本件非開示部分は公にすることにより私生活上の権利利益を害するおそれがあるか

 本件非開示部分は、個人の氏名であることから、事業を営む個人としての側面と当該個人の私事に関する情報としての側面も有する。しかし、本件対象公文書における当該情報は、大四日市まつりに露店等を出店する者の氏名という社会生活上の意味合いが大部分を占め、私事に関する側面が、事業を営む個人としての側面に勝るとはいえない。
 したがって、本件非開示部分は、これを公にしたとしても、当該個人の私生活上の権利利益を害するおそれがあるとは認められず、「事業を営む個人の当該事業に関する情報」として、条例第7条第3号(法人情報)で判断することとなる。

(4)条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。
 しかしながら、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる影響から県民等の生活又は環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、開示が義務づけられることになる。

(5)条例第7条第3号(法人情報)の該当性について

 本件非開示部分である申請者氏名は、当該個人が、大四日市まつりに際して露店、屋台等を出店するため、道路使用許可申請を行ったことを示すという情報にすぎないことから、これを公にしても、当該事業を営む個人の競争上の地位又はその他正当な利益を害するものとは認められない。
 したがって、本件非開示部分を非開示とした実施機関の判断は妥当ではない。

(6)審査請求人及び諮問庁のその他の主張について

 審査請求人及び諮問庁とも条例第7条第2号ただし書イの該当性や同条第3号ただし書の公益的開示の可否等種々の主張をしているが、当審査会における判断は上記のとおり本件非開示部分は条例第7条第2号の個人情報から除外され、なおかつ同条第3号にも該当しないというものであるため、これらの主張については、当該判断に影響を及ぼすものではなく判断は行わない。

(7)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

 別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
26. 1.10

・諮問書の受理
・諮問庁に対して理由説明書の提出依頼

26. 1.23 ・理由説明書の受理
26. 1.24 ・審査請求人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認
26. 2. 7 ・異議申立人からの意見書及び口頭での意見陳述申出書受理
26. 2.12 ・諮問庁に対して意見書(写)の送付
26. 2.21

・書面審理
・審査請求人の口頭意見陳述
・諮問庁の補足説明
・審議

(平成25年度第9回B部会)

26. 3. 7

・審議
・答申

(平成25年度第10回B部会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名   役職等   
※会長

早川 忠宏

三重弁護士会推薦弁護士

会長職務代理者 樹神 成 三重大学人文学部教授
※会長職務代理者 丸山 康人 四日市看護医療大学学長

委員     

岩﨑 恭彦

三重大学人文学部准教授

※委員 川村 隆子

名古屋学院大学経済学部准教授

委員 竹添 敦子

三重短期大学教授

※委員

藤本 真理

三重大学人文学部准教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
メールアドレス:koukai@pref.mie.lg.jp

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