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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第420号

答申

1 審査会の結論

 実施機関が行った決定は、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成26年9月22日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定事業者が特定地内で行う宅地造成にかかる開発許可申請に関する全ての文書」の開示請求に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が平成26年10月6日付けで行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、取消しを求めるというものである。

3 本件対象公文書及び本件非開示部分について

 本件異議申立ての対象となっている公文書(以下「本件対象公文書」という。)は、特定事業者が実施機関に提出した砂防指定地内行為許可申請書の自治会長の確認書及び隣接地関係者の確認書である。

4 異議申立ての理由

 異議申立書及び意見陳述における異議申立人の主張を要約すると、概ね次のとおりである。
 許可要件たる対象地隣接土地所有者の当該開発行為に対する同意又は承認の意思を証する確認書の日付が記載されていない等、又隣接地の地番と所有者が別添公図集合図(法務局での閲覧により公開)で地権者が特定されているにも関わらず、確認書の地権者署名押印が個人情報を理由として部分非開示としたことは押印を省略したことと併せ、確認書の真正を疑わせるに充分である。
 自治会長には市から役務費と称する公金が支払われており、公金の支出先としての住所氏名は公開される公の情報である。県は県民だより等の戸別配布を止めたことにより、県費の自治会長への直接の支出は無くなったとしても、今回の住所のみの部分非開示は不当違法である。
 公文書の真正の担保をゆるがす様な個人を特定する情報である事を理由とした部分非開示処分は情報公開による行政行為等の公正さのチェックという目的を否定するもので許されない。

5 実施機関の説明要旨

 砂防指定地内行為許可申請にかかる提出書類は三重県砂防指定地等管理条例施行規則第5条第2項で定められているが、その中に隣接地権者の確認書は明記されていない。確認書は、あくまでも任意の提出であり、行為許可の必要要件ではない。当該行為にかかる紛争の未然防止のため、できる限り事業者が聴取し、関係者の意向把握に努めているものである。
 確認書上の関係者は、必ずしも特定された地権者であるとは限らず、また、公図上の地権者名は必ずしも実態を反映していないことが多いため、確認書上の人物と公図上の人物は必ずしも一致するものではない。
自治会長の住所は、個人に関する情報であり、開示すると、特定の個人が識別され、又は識別され得る。三重県情報公開条例第7条第2号により非開示とすることが妥当と考える。

6 審査会の判断

(1)基本的な考え方

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれたりするなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して、以下のとおり判断する。

(2)  対象公文書及び本件非開示部分について

 本件対象公文書は、特定事業者が実施機関に提出した砂防指定地内行為許可申請書の自治会長の確認書及び隣接地関係者の確認書であり、実施機関が非開示とした情報(以下「本件非開示部分」という。)は、以下のとおりである。
 (a)自治会長の住所における番地
 (b)隣接地関係者の住所、氏名
 異議申立人が開示すべきとしている上記非開示部分について、当審査会において本件対象公文書を見分した結果を踏まえ、以下、非開示情報該当性を検討する。
 なお、自治会長の住所における番地以外の部分について、実施機関は「自治会の名称から番地以外の部分については当然、推測できる情報であるため、開示をすることとする」と理由説明書の中で述べているため、当審査会において、判断は行わない。

(3) 条例第7条第2号(個人情報)の意義について

 個人に関する情報であって特定の個人を識別し得るものについて、条例第7条第2号は、一定の場合を除き非開示情報としている。これは、個人に関するプライバシー等の人権保護を最大限に図ろうとする趣旨であり、プライバシー保護のために非開示とすることができる情報として、個人の識別が可能な情報(個人識別情報)を定めたものである。
 しかし、形式的に個人の識別が可能であれば全て非開示となるとすると、プライバシー保護という本来の趣旨を越えて非開示の範囲が広くなりすぎるおそれがある。
 そこで、条例は、個人識別情報を原則非開示とした上で、本号ただし書により、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきもの等については、開示しなければならないこととしている。

(4) 条例第7条第2号(個人情報)の該当性について

 ア 本件非開示部分(a)について

 異議申立人は、本件非開示部分(a)について、自治会という任意団体の情報であるため、条例第7条第2号の個人情報から除外されるべきであると主張している。確かに条例第7条第3号の法人情報には自治会等の権利能力のない団体の情報も含まれると解されるが、自治会長の住所における番地というのは、自治会の活動を行う拠点という法人情報として捉えるのではなく、当該自治会長個人の居住地という個人情報として捉えることが妥当であると判断する。したがって、本件非開示部分(a)は本条本号に該当するといえる。

 イ 本件非開示部分(b)について

 本件非開示部分(b)は、個人に関する情報であり、特定の個人が識別され得る情報であることは明らかである。したがって、本件非開示部分(b)は本条本号に該当するといえる。

(5)条例第7条第2号(個人情報)ただし書イの該当性について

 本号ただし書イは、本号本文で非開示情報とされている個人識別情報について、法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報については非開示から除くものとしている。その趣旨は、個人識別情報であっても、一般に公にされ、又は公にすることが予定されている情報であれば、非開示とすることにより保護すべき利益が存するとは考えがたいことや、たとえ個人のプライバシーを侵害する可能性のある情報が含まれたとしても受忍限度内にとどまるものと考えられることによるものと解される。

 ア 本件非開示部分(a)について

 異議申立人は、公金の支出先としての住所、氏名は公開される公の情報であり、自治会に対して市から公金が支出されているため、公開することが妥当であると主張している。しかし、本件非開示部分(a)は法令等の規定又は慣行として公にされている事実はなく、公にすることが予定されている情報でもない。したがって、本件非開示部分(a)はただし書イに該当しないと判断する。

 イ 本件非開示部分(b)について

 異議申立人は、本件非開示部分(b)について、登記と一致している情報については誰もが確認できるものであるため、ただし書イに該当すると主張している。
 しかし、本件非開示部分(b)は、事業を実施する周辺の土地の関係者が特定事業者へ提出した、事業実施を承諾したことを示す書類に記載された当該関係者の住所及び氏名であり、これらが当該土地の占有者の住所及び氏名である可能性も否定できず、登記簿に記載されている地権者と必ずしも一致するとは限らないという実施機関の説明に特段、不自然、不合理な点は認められない。したがって、本件非開示部分(b)はただし書イに該当しないと判断する。

(6) 条例第7条第2号(個人情報)ただし書ロの該当性について

 条例第7条第2号ただし書ロは、個人識別情報であっても「公益上公にすることが必要であると認められるもの」については公開の対象となる旨規定している。この規定は、個人識別情報であっても、人の生命、身体、健康、財産、生活又は環境を保護するため、公にすることが必要であると認められるものがあるが、その場合には、公益と一方これを公開されることによる個人のプライバシー侵害による不利益とを比較衡量した結果、なお公益の方が大とされたものを、条例第7条第2号の例外として公開の対象とする旨定めたものである。
 砂防指定地として指定された土地は、治水上砂防のために支障のある行為を防止する観点から竹木の伐採や土石・砂れきの採取等、一定の行為に制限がなされ、制限された行為を行う場合は、都道府県知事の許可が必要となる。したがって、公益上、本件非開示部分についても公にする必要があると異議申立人は主張する。しかし、本件非開示部分に記載されている情報は、単なる自治会長の住所及び隣接地関係者の住所、氏名であり、かつ本件対象公文書は当該許可を受けるにあたって必要な書類ではなく、これらの書類の有無が実施機関の審査に影響を及ぼすものではない。したがって、これらの情報について、人の生命、身体及び健康等を保護するために開示する必要性が認められるものではなく、本件非開示部分(a)及び(b)はただし書ロに該当しないと判断する。
 以上から、本件非開示部分を非開示とした実施機関の判断は妥当である。

(7) 異議申立人のその他の主張について

 また、異議申立人はその他種々主張するが、いずれも審査会の判断を左右するものではない。

(8)結論

 よって、主文のとおり答申する。

7 審査会の処理経過

  当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

_別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
26.10.30

・諮問書の受理

26.10.31 ・実施機関に対して理由説明書の提出依頼
26.11.19

・理由説明書の受理
・異議申立人に対して理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認

26.12.19

・書面審理
・異議申立人の口頭意見陳述
・実施機関の補足説明
・審議

(平成26年度第8回B部会)

27. 1.16 ・審議
・答申

(平成26年度第9回B部会)

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名 役職等
※会長

早 川   忠 宏  

三重弁護士会推薦弁護士          

※会長職務代理者 川 村  隆 子 名古屋学院大学経済学部准教授
会長職務代理者 竹 添  敦 子 三重短期大学教授
委員 岩 﨑  恭 彦 三重大学人文学部准教授
委員 髙 橋  秀 治

三重大学人文学部教授 

※委員 東 川  薫

四日市看護医療大学准教授

※委員  藤 本  真 理

三重大学人文学部准教授

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
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