三重県教育委員会では、いじめの問題を十分に把握するために、独自でいじめの問題に関する調査を実
施しました。平成26年9月に実施した本調査の結果概要については、以下のとおりです。
1 調査内容
(1)学校及び教育委員会におけるいじめの問題への取組状況(以下、「取組状況調査」という。)
(2)学校において、児童生徒の状況を把握(アンケート調査等の実施)したうえで認知したいじめの
件数等(以下、「児童生徒調査」という。)
2 調査対象
(1)取組状況調査
・市町教育委員会
・公立の小学校・中学校・高等学校(通信制を除く)・特別支援学校
(2)児童生徒調査
公立の小学校・中学校・高等学校(通信制を除く)・特別支援学校
3 調査結果の概要
(1)取組状況調査(市町教育委員会回答)
・ 管内の学校の中で、平成26年4月から現在に至るまでに、いじめの問題について指導上困難な課
題を抱える学校があったと回答した割合は、10.3%(3市町)で、昨年度(7市町)と比較して
13.8%減少しました。
・ いじめの問題に関する教員を対象とした研修については、72.4%(21市町)において実施し
ています。「特に実施の予定はない」と回答した8市町については、県教育委員会主催の生徒指導担
当者講習会等に参加しています。
・ いじめの問題について、PTAや地域の関係団体等と協議する機会が設けられている教育委員会は、
69.0%(20市町)で、昨年度(17市町)と比較して10.4%増加しました。協議する機会
が設けられていないと回答した9市町については、地域の実情に応じて連携が図られるよう、今後も
指導・助言を行っていきます。
(2)取組状況調査(学校回答)
【アンケート調査の実施状況】
・ すべての学校において、いじめの実態把握に関するアンケート調査を実施しています。さらに、
98.1%の学校が、「年2~3回」又は「年4回以上」実施していると回答しており、学期1回以
上のアンケート調査が進んでいます。
【校内研修の実施状況】
・ すべての学校において、平成25年度中に「いじめの問題に特化した研修会」又は「生徒指導等の
研修会」で、いじめに関する校内研修を実施しました。研修内容としては、具体的な事例を基にした
研修や「いじめ防止基本方針」に基づいた取組に関する研修等が行われています。
【教員間での引継ぎ】
・ 指導上配慮を要する児童生徒の進級、進学又は転学等に際しての、学級担任等の教員間での引継ぎ
については、すべての学校で行われています。
【保護者や地域住民等との連携】
・ いじめや暴力行為等に関する対応の仕方等を保護者や地域住民等に公表し、協力と理解を得るよう
努めている学校は、小学校66.4%(21.4%増)、中学校64.2%(25.7%増)、高等学
校68.2%(32.9%増)、特別支援学校68.8%(31.3%増)で、すべての校種で増加
しています。
【警察との連携】
・ 犯罪行為の可能性のある場合、すべてに対して相談・通報しているのは、小学校60.8%
(1.5%増)、中学校52.2%(1.0%増)、高等学校28.8%(6.5%減)、特別支援
学校56.3%(12.5%増)となっています。また、その他の学校においては、特に重篤と考え
るものに限定して相談・通報していると回答しており、すべての学校において警察との連携に努めて
います。
(3)児童生徒調査(公立の小学校・中学校・高等学校(通信制を除く)・特別支援学校)
【認知件数】
・ 本調査で認知されたいじめの件数(平成26年4月から9月末)は、643件(小学校359件
<108件減>、中学校240件<167件減>、高等学校43件<20件減>、特別支援学校1件
<3件減>)で昨年度から298件減少しました。
・ 解消率については、9月末時点69.7%(5.8%増)となっていますが、認知されたいじめ事
案については、解消に向けての取組途中のものも計上されていることから、年度内の解消に向けての
取組が進められています。なお、県教育委員会としましては、学校だけで対応が困難な事案について
は、スクールソーシャルワーカーや生徒指導特別指導員等の専門家等による「学校問題解決サポート
チーム」を編成し、問題解決に向けた支援を行います。
・ いじめの認知件数は、「いじめ防止基本方針」に基づいた取組等により、減少したと考えられます
が、引き続き積極的にいじめを把握し、適切に対応するよう取り組んでまいります。
【態様別】
・ いじめの態様別では、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。」が438
件と最も多く、全体の51.0%を占めています。傾向については、昨年度と同様であり、悪ふざけ
や口論、遊びの中で気持ちや行動がエスカレートしてきて起こるトラブル等が、いじめのきっかけに
なっていると思われることから、今後も早期に発見し対応していくことが大切であると考えています。
・ 犯罪行為として取り扱われるべきと認められるものが含まれているいじめの対応に当たっては、早
期に警察に相談・通報の上、連携した対応を図るよう、周知徹底してまいります。
【重大事態に該当するいじめ】
・ いじめ防止対策推進法で定める重大事態に該当するいじめは、ありませんでした。
4 いじめの問題に対する取組
・ 認知されたいじめについては、学校や市町教育委員会との連携のもと、保護者や地域の協力を得な
がら、早期解決に向けて全力で取り組んでまいります。
・ 本調査結果については、市町教育委員会と県立学校へ周知し、市町及び学校の「いじめ防止基本方
針」に基づく取組が実効性のあるものとなるよう指導・助言を行ってまいります。
・ 学校だけでは対応することが難しい事案については、子ども安全対策監の統括のもと、引き続き、
スクールソーシャルワーカーや生徒指導特別指導員等の専門家等による「学校問題解決サポートチー
ム」を編成し、市町教育委員会及び学校を支援してまいります。
・ 「三重県いじめ防止基本方針」に基づいて、引き続きいじめ防止等のための対策を総合的、効果的
に推進してまいります。