三重県総合博物館(MieMu)は、津市在住の県民の方から県指定有形文化財の古文書(貞観五年民部
省勘文案ほか)をご寄贈いただきました。
つきましては、下記のとおり当該寄贈資料の展示を行いますので、ぜひご覧ください。
記
1 寄贈資料の名称と数量
県指定有形文化財(書跡)古文書(貞観五年民部省勘文案ほか)二巻一幅
2 寄贈者
故 坂口 富子(さかぐち とみこ)氏(津市)の遺志をうけた相続人
3 寄贈の経緯
当該資料は、故 坂口茂(さかぐち しげる)氏が長年にわたって三重県に関する歴史や美術資料を
コレクションされたものの一つで、茂氏がお亡くなりになった際に、妻の富子氏が引き継がれました。
富子氏は本年お亡くなりになりましたが、生前より「三重県指定文化財は個人が所有するよりも、
その地域の人々がいつでも見る事ができる方が良いのではないか。自分が亡くなった際は、それらを
三重県ヘ寄贈してほしい」という強い思いを持っていらっしゃったことから、相続人により、県へご
寄贈いただくこととなりました。
4 寄贈資料の展示
場所:三重県総合博物館(MieMu)三重の実物図鑑 人文コーナー
津市一身田上津部田3060番地
期間:平成27年10月10日(土曜日)から11月1日(日曜日)まで
5 寄贈資料の概要
県指定有形文化財(書跡)古文書(貞観五年民部省勘文案ほか)は、巻物2点、掛軸1点の計3点か
らなり、いずれも、平安時代の三重県内の荘園に関する古文書です。
※荘園(しょうえん)とは、8世紀から16世紀にかけて貴族や武士、寺院がもっていた土地のこ
とです。
1)伊勢国大国荘絹送状(いせこく おおくにのしょう けんそうじょう)1幅 掛幅
[時代]万寿5(1028)年 [法量]縦31.0cm×横43.0cm
[内容]伊勢国大国荘(おおくにのしょう(現多気郡多気町にあった東寺領の荘園))の荘官と思われ
る員弁茂助(いなべ もすけ)による、東寺あての前年分の地子代(じしだい:土地の税金)
絹三〇疋(ひき)の送り状です。
2)貞観五年九月民部省勘文案(じょうがんごねんくがつ みんぶしょうかんもんあん)1巻 巻子
[時代]貞観5(863)年 [法量]縦27.0cm×横158.0cm
[内容]嵯峨(さが)天皇の皇子秀良(ひでなが)親王が承和2(835)年に成願寺に施入(せに
ゅう:寄付)した多気郡の荘家(しょうけ:荘園を管理する建物)と17町余の田地につい
て民部省が調査した結果を記したものです。
※勘文(かんもん)とは、学者などが、朝廷から由来・先例等について調査を求められ、報
告した文章のことで、案(あん)は素案のことです。
3)伊賀国黒田杣所司等注進状案(いがこく くろだのそま しょしとう ちゅうしんじょうあん)1巻
巻子
[時代]保安5(1124)年 [法量]縦29.0cm×横258.0cm
[内容]保安3(1122)年に当時東大寺の領地であった黒田荘(くろだのしょう)を管理する役
人から進上した米、絹布、麻布等の数量を書き記したものです。
※注進状(ちゅうしんじょう)とは、中世の上申文書の一つで、荘園の代官が現地の状況や
年貢の収支を荘園領主に報告するときなどに用いた文書のことです。