近年、教員志望者数の減少などによる教員不足が大きな問題となる中、採用されて間もない教職員が、メンタル面の不調等を訴え早期に休職、離職するケースが増えています。そこで、県教育委員会では、新規採用者が安心して着任し、過度な不安に悩まされることなく意欲的に子どもたちに向き合うことができるよう、次のとおり支援事業を実施します。
1 現状と課題
(1)令和5年度採用教諭へのアンケートによると、抱える悩みの上位は、学習指導(74%)、学
級経営(46%)、生徒指導(46%)となっています。新規採用者を対象とした研修において
は、こうした悩みの軽減につながるよう、基礎的・基本的な内容をより確実に学べることを主眼
におく必要があります。
(2)職務に関わる悩みや疑問が生じても、周囲に相談することを消極に考える者が23%いること
もわかりました。悩みを一人で抱え込んでしまうことがないよう、受講者同士での協議や交流を
とおして同僚性を高め、実践に向かう意欲の向上につなげていく必要があります。
2 取組概要
(1)新規採用者の課題に焦点を当てた動画教材の作成・活用
・新規採用者の課題に焦点を当て、新たに、「メンタルヘルス」、「マナーとコミュニケーショ
ン」、「人権教育」、「学習指導」、「学級経営」の5つのテーマにかかる動画教材を作成しま
す。
・令和7年度採用予定者の採用前研修(本年11月から)にこの動画を活用し、採用前からの資質
向上、不安や悩みの軽減を図ります。
・この動画は、令和6年度の新規採用者も活用できるよう、8月以降順次配信していきます。
(2)研修での協議と交流の充実
・教諭対象の初任者研修において、新たに、任意参加の交流会を年3回実施します。交流会では、
日頃の悩みや日常の中で感じること、挑戦していること等を気軽に共有できる機会として運営しま
す。
・教諭対象の初任者研修における、課題把握のためのアンケートや聞き取り等を継続し、その結果
を校内研修会等で活用します。
・初任者研修全体を通じ、受講者同士が日頃の実践等を交流する場面を多く設け、悩みを共有した
り、アイデアを出し合ったりする経験をとおして、意欲向上につなげていきます。
(3)経験者研修、管理職研修での取組
・管理職研修等において、各職場における同僚性や若手教員への支援の必要性についての内容を強
化し、新規採用者を支える職場環境づくりを進めます。
・引き続き、新規採用者と教職6年次、中堅教諭が10人程度のグループで授業改善について協議
する「授業実践研修」において、互いの学び合いから同僚性を高めます。