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平成20年02月18日

森みずりさん(伊勢湾台風の話)

森みずりさんは、昭和34年9月26日の台風15号(通称伊勢湾台風)当時、木曽岬町の近江島にお住まいでした。
特に、桑名市、木曽岬町など木曽三川の下流地帯にあたる地域は大被害を受け、木曽岬町では町民の約1割にあたる328名の方が亡くなっています。当時小学校5年生であった森さんは当時をこう語ります。

森みずりさん







森みずりさん

災害当時のことを教えてください。
台風がくる直前までは本当に静かないい天気だったことが印象に残っています。

ところが、ものすごい台風がやってきたと。
すぐ避難されたのですか?
いいえ、家の中にいました。新築したばかりの家でしたし、情報もすぐには入りませんでしたから。

台風の勢いはどうでしたか?
戸にかんぬきを掛けて、家の中で押さえていましたが、消防団の人が逃げろと言ってきたので、堤防の上に避難しました。
今思うと、堤防といっても土で固めただけのものでしたので、流されずに済んだのは運が良かったのだと思います。

その後どうされたのですか?
家は柱を残してばらばらになっていました。
両親が「これからどうしよう」というようなことを言っていたのを覚えています。

鈴峰荘鈴鹿市に設置された木曽岬町児童生徒避難所)へはいつ行かれたですか?
最初、働き手の大人以外は高田本山(津市一身田)と電通学園(鈴鹿市東旭が丘)に分かれて避難していて、小中学生だけは勉強のこともあったので、しばらくしてから鈴峰荘に移りました。

ところで、鈴峰荘ってどこにあったのですか?
詳しくはわかりませんが、庄野橋(鈴鹿市庄野町)のそばだったと記憶しています。
そこから歩いて「旭ダウ(現在の旭化成ケミカルズ)」にお風呂をもらいにも行きました。

鈴鹿市庄野地区「庄野郷土史」(PDF:130KB)

何名くらい行かれたのですか?
小中学生全員です。学校もだめになったので、帰っても勉強するところがありませんでした。

誰かが世話をしてくれたのですか?
中学生が身の回りのことを手伝ってくれていたたような気がしますがあまり覚えていません。

そこでの思いでは何かありますか?
妹を病気で亡くしたのが一番の思い出です。
当時、両親とはなかなか連絡がとれず、夕方になると私一人が歩いて鈴鹿逓信病院まで行き付き添っていましたが、妹はそのまま息をひきとりました。鈴峰荘で亡くなった唯一の子どもが私の妹でした。

悲しい思い出ですね。
鈴鹿市教育長の「おわかれの日に」という詩もよく覚えています。
みんなに印刷して渡してくれたように記憶しています。

鈴峰荘はいつまでいらしたのですか?
小学校が再建されたのが12月の途中でしたので、そのあたりまでですね。

学校は元通りになっていましたか?
いいえ、木造の建物をとりあえず使えるようにした程度のものでした。

 

帰ってからはどのように生活されていたのですか?
大人は、女性でも天秤棒を担いだり、トロッコを押したりして復旧作業に出ていました。

私は子どもでしたので細かいことはよくわかりませんが、塩害で数年間は不作続きだったと思います。

大量の流木を運ぶ女性たち







木曽岬町「伊勢湾台風30周年」より

ですから、あの頃の大人はよくぞあれだけの逆境を乗り越えたと思いますね。
私達にはできないと思います。

伊勢湾台風
日本では史上3番目に低い929.2ミリバールを観測した超大型の台風で、室戸台風、枕崎台風と並ぶ昭和の3大台風と言われています。
三重県では、台風進路の東側に入り烈風が吹きやすい状況にあったことや、台風通過直後が満潮時と重なるなどの悪条件が重なり、臨海部、特に木曽三川の下流地帯は甚大な被害が出ました。
また、当時は風水害に対する認識も、避難誘導や防災体制も不充分であったため、避難できなかった住民が多数いたとされ、死者・行方不明者が5,098人にのぼりました。
鈴峰荘
伊勢湾台風で学校も損傷した木曽岬町では、12月に仮復旧するまでの間、鈴鹿市内の鈴峰荘という施設で教師と小中学生が寄宿生活を送りながら勉強したことが町史に記録されています。
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