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令和元年三重県議会定例会 知事提案説明(追加提案・その2、3)

 ただいま上程されました議案の説明に先立ちまして、今後の県政運営にあたって、知事として私の所信を申し述べ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
 
(令和の時代の始まりにあたり)
 私は、知事として就任して以来2期8年間、県民の皆様が変化と成果を実感できるよう、県政の改革を進め、未来に夢と希望を持つことのできる新しい三重づくりをめざして、全力で知事の職務に取り組んできました。
 この間、県議会をはじめ、企業、関係団体、市町の方々など、県民の皆様から温かい励ましと県政へのお力添えをいただき、深く感謝申し上げます。
 平成の終わりに、現在の上皇上皇后陛下が、天皇皇后陛下の最後の地方への行幸啓として、ご来県されました。今回は上皇陛下と現天皇陛下それぞれの御退位、御即位により、明るい気持ちで改元を迎えることができ、4月から5月にかけて非常に多くの県内外の皆様がこの三重県において行幸啓を熱烈に歓迎し、改元を祝福していただいたことを、知事として喜ばしく思います。
 新しい元号「令和」は万葉集に由来します。万葉集には斎王を務めた大来)皇女(おおくのひめみこ))伊勢)守(いせのかみ))も務めた大伴家持が詠んだ歌、伊勢の地名が詠まれた歌も多く収められており、県民の皆様にも三重県と新しい時代への縁を感じていただける元号です。
 また、この元号はこれまで使われたことのない「令」と平和の「和」が組み合わされたものであり、伝統を重んじつつ、新しいことにもチャレンジし、新時代を創っていくという決意が感じられる美しい元号であると思います。
 この新しい時代を迎えるにあたり、伊勢志摩サミットや菓子博、インターハイなど数々の三重県の歴史に残る取組を「オール三重」で成功させたこれまでの経験やレガシーを生かし、平和で夢や希望に満ち溢れる未来を切り拓いていきます。
 輝かしい令和の最初に県政を担わせていただく知事として、県民の皆様とともに、一人ひとりが明日への希望を胸に、それぞれの花を大きく咲かせ、互いを照らし、輝かせることができる、誰もが大事にされる三重の実現に向け、全力を尽くします。
 
(次期行動計画の策定)
 平成24年度に「みえ県民力ビジョン」を策定し、県行政自らの変革を進める中で、県民の皆様にも「アクティブ・シチズン」として積極的に社会に参画していただくことを呼びかけながら、県民力を結集し、日本一幸福が実感できると胸を張ることができる三重の実現を目指し、政策を推進してきました。
 
 8年前から注力してきた防災対策につきましては、事前対策から復興対策までの各段階で様々な取組を講じてきた結果、人的被害や住宅への甚大な被害が生じた大規模な風水害等を、市町や自主防災組織をはじめとする多くの関係機関と連携して乗り越えてきました。その結果、「公助」による防災・減災対策の取組が進んでいると感じる県民の割合は86.5%に達し、一定の成果をあげていると考えています。
 観光振興については、伊勢志摩サミット開催等の好機を生かした結果、サミット開催前3年間で5件であった国際会議の開催件数はサミット開催後3年間で41件と大幅に増加しました。また、伊勢志摩サミットや菓子博、インターハイなどの好機を生かし、オール三重で観光振興に取り組んだ結果、観光入込客数は4年連続で増加し、過去最高を記録した昨年をさらに上回る4,261万人となりました。観光消費額についても4年連続で増加し、5,000億円を超え、昨年をさらに上回る5,338億円となり、神宮式年遷宮のあった平成25年に次ぐ過去2番目となりました。観光で地域の稼ぐ力を伸ばす、観光の産業化に向けた取組が着実に実を結びつつあります。
 また、雇用・経済対策については、私が知事に就任した平成23年度の1人あたり県民所得は、世界同時不況の影響により、308万8千円に、また、同年4月の有効求人倍率は0.70倍まで低下していましたが、平成27年度の県民所得は355万6千円で全国3位、有効求人倍率は平成31年3月現在1.71倍に向上しています。
 一方、私自身は先の選挙を通じ、経済の成長が実感できないという県民の皆様の声や、地域からの人口の流出、安全・安心に関する不安をお聞きしました。
 このため、引き続き、中小企業・小規模企業の皆様に対するきめ細かな支援に取り組むとともに、地域の人口流出、人口減少対策、また、医療・介護、児童虐待の対策についても注力する必要があると感じています。
 
 「みえ県民力ビジョン」策定当時における時代潮流と現状認識は、大規模な自然災害の脅威への対応、人口減少と少子・高齢社会への対応、グローバル化への対応を含めた強じんで多様な産業構造への転換などを課題として捉えていました。こうした認識は、現時点においても通ずるものであり、引き続き、「みえ県民力ビジョン」の基本理念である「県民力でめざす『幸福実感日本一』の三重」を継承していきたいと考えています。
 「みえ県民力ビジョン・第二次行動計画」が最終年度を迎えることから、残された課題や新たな課題に的確に対応し、県の施策の成果を確実に県民の皆様に届けられるよう「みえ県民力ビジョン・第三次行動計画(仮称)」を策定します。策定にあたっては社会経済情勢の変化や国の動きを踏まえ、「Society 5.0」および「SDGs」の考え方を県の施策を展開する視点に据えるとともに、地方創生の課題解決に向けて一層相乗効果を図れるよう、同じく最終年度を迎える「三重県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の次期戦略としても位置付け、一体的に取り組んでいきたいと考えています。
 
(令和元年度の県政運営)
 今年度の県政運営に関しては、「みえ県民力ビジョン・ 第二次行動計画」の9割以上の施策がおおむね順調に推移しているものの、進展度が遅れている施策も一部残っていることから、危機感を持って行財政運営を進め、目標達成に向けて着実に取組を進めていく必要があります。
 「未来への希望を支える安全・安心」の観点から、県民の皆様の命と暮らしを守る取組をこれまで以上にしっかりと進めるとともに、未来を切り拓くための取組にも果敢に挑戦していくこととし、五つの柱に沿った取組に注力し県政を進めていきます。
 
(災害に強い地域社会をつくるために)
 一つ目の柱は「災害に強い地域社会をつくるために」です。
 昨年は大規模自然災害が全国各地で頻発し、三重県においても台風による深刻な被害が発生したほか、南海トラフ地震の30年以内の発生確率も引き上げられました。
 今年は、伊勢湾台風から60年、昭和東南海地震から75年の節目を迎えることから、地域の児童生徒の参画も得ながらシンポジウムや啓発イベント等を実施するとともに、自治体災害対策全国会議を県内で開催し、過去の災害の教訓を振り返り、次世代への継承と県民の防災意識の醸成を図ります。
 また、「自助」「共助」「公助」の理念、県民の皆様や自主防災組織などの各主体の責務や役割などを規定した「三重県防災対策推進条例」については、制定から10年が経過しています。この間に発生した東日本大震災、紀伊半島大水害をはじめとする大規模災害を踏まえ、あらためて「防災の日常化」の定着を図るため、条例の見直しを行います。
 さらに、平常時、災害発生時、復興期それぞれに適切な活動を行うための能力を身につけるため、中長期的な人材育成の指針となる「三重県職員防災人材育成指針(仮称)」を策定します。
 災害時においても必要な医療が提供できるよう、施設・設備の整備への支援を行うとともに、すべての病院でBCP(事業継続計画)の考え方に基づく災害医療マニュアルの整備と定着化が促進されるよう支援します。
 南海トラフ地震の発生可能性が高まったと評価された場合に、県民の被害を軽減するため、あらかじめとるべき防災対応を検討し、「三重県地域防災計画」に反映するとともに、事前避難が必要となる地域の設定や避難所候補リストの作成、住民の避難方法等について、市町の地域防災計画等への反映を促進します。
 ハード対策では、県立学校における屋内運動場の天井等の落下防止について、今年度中に全棟の対策が完了するよう計画的に取組を進めます。
 また、国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に的確に対応し、橋梁耐震対策、のり面等の防災対策、道路冠水対策、河道掘削や土砂災害防止施設の整備、河口や沿岸部の堤防、ため池の耐震対策などを進めます。このほか、「みえ森と緑の県民税」を活用した災害に強い森林づくりなど効果的な整備を加速させます。
 さまざまな主体と連携し、ソフト、ハードの両面による総合的かつ効果的な対策として「『観往()知来(かんおうちらい)()』」防災・減災対策パッケージ」に取り組んでいきます。
 
(誰もが安心して暮らし続けられるために)
 二つ目の柱は「誰もが安心して暮らし続けられるために」です。
 「人生100年時代」を見据え、誰もが生涯にわたっていきいきと活躍できる社会を実現するため、健康づくりの推進や医療・介護・福祉分野における連携と質の高いサービスの充実、子どもたちや障がい者など社会的な支援を必要とする方々に寄り添った対策に取り組んでいきます。
 主なものとしては、「三重とこわか健康マイレージ事業」を引き続き実施するとともに、新たに「三重とこわか県民健康会議」を設置し、県民の皆様の主体的な健康づくりや企業における健康経営の取組を推進します。
 地域における医療提供体制を確保するため、「三重県医師確保計画」を策定するとともに、地域医療の魅力を医学生や高校生等に対して伝える「みえ地域医療メディカルスクール」を開催し、地域医療を担う次世代の医療人材の育成に取り組みます。
 認知症対策については、「パール宣言」に基づくさまざまな取組の進捗状況を把握するとともに、認知症患者のレセプトデータを調査・分析し、早期からケアにつなげるモデル事業の実施や他市町への波及にも取り組みます。
 地域共生社会の実現に向けては、新たな地域福祉支援計画を策定するとともに、地域生活課題の一つである再犯防止を進めるため、地方再犯防止推進計画を策定します。
 
 児童虐待の状況が深刻化しているなか、本県では、児童相談センターへの弁護士や警察職員の配置などにいち早く取り組み、また、本年度は39年ぶりの新設となる鈴鹿児童相談所を設置しました。さらに、これまでリスクアセスメントツールにより蓄積した約6,000件の事例データを生かし、全国初となる児童相談対応への AI技術導入の検証を進めていきます。こうした取組も踏まえ、子どもたちの尊い命を守る対策を充実するため、その礎となる「子どもを虐待から守る条例」の改正を行います。なお、今国会に上程されている「体罰禁止の法定化」など、児童虐待を取り巻く環境変化にも対応できるよう見直しを進めます。
 犯罪被害者等を支える社会づくりに向けて、「三重県犯罪被害者等支援条例」を制定し、都道府県では初となる見舞金制度を創設しました。この条例に基づき、地域社会における理解の促進など、犯罪被害者等に寄り添った支援を総合的かつ計画的に行うため、「三重県犯罪被害者等支援推進計画(仮称)」を策定します。
 多様な主体との協創による安全で安心なまちづくりを総合的に推進していくため、「安全で安心な三重のまちづくりアクションプログラム」のさらなる具現化を図ります。プログラムを通じて明らかになった成果や課題等を踏まえるとともに、犯罪の起こりにくいまちづくりをより一層推進し、子どもや高齢者が当事者となる交通事故の抑止を含む次期プログラムを策定します。
 
 5月は、子どもたちが巻き込まれた痛ましい事故や事件が相次ぎ発生しました。滋賀県大津市で発生した園児の死亡事故を受け、子どもの安全確保に向けて、県内すべての保育所等を対象に、園外活動での危険箇所を把握する独自調査を実施します。また、県管理道路の中で交通量が多い路線にある交差点を抽出し、独自調査の結果を踏まえて、危険箇所の現地点検を行い、対策を講じます。一昨日、大津市で開催された「日本創生のための将来世代応援知事同盟」のサミットでは、「子どもの安全確保に関する緊急声明」を発出し、私も事故現場に足を運び、改めて点検や対策の必要性を感じました。
 神奈川県川崎市で発生した登校中の児童等の殺傷事件を受け、登下校時の安全確保のため、各学校における通学路等の安全点検の徹底や地域のボランティア、警察による登下校時の見守りなどのこれまでの取組に加え、あらためて関係者への注意喚起・協力依頼を行いました。今後は、見守り活動、警察官による「見せる」警戒・パトロールなどを一層強化するとともに、集団登校の集合場所での警戒、児童生徒を対象とする防犯教室の実施や防犯ボランティアの地域リーダー向けのワークショップなど、市町や警察、関係団体、地域の皆様と連携し、子どもの命を守る取組を進めます。
 
 「SDGs」、マイクロプラスチック問題、気候変動適応等、環境にかかる新たな対応が求められている中で、「SDGs」等の目標年である2030年に向け、環境、社会、経済の統合的な向上を図りながら低炭素化や循環社会を実現するため、「三重県環境基本計画」については改定時期を前倒して策定します。
 森林等への建設残土の搬入・堆積により県民の皆様に不安が広がっており、大規模プロジェクトによる県内への建設残土の搬入・堆積のおそれもあることから、広域的な取組の観点や未然防止の視点で、崩落の防止や土壌の安全性確保など、実効性のある土砂等にかかる条例を制定します。
 
(若者の県内定着につなげるために)
 三つ目の柱は「若者の県内定着につなげるために」です。
 総務省から公表された「住民基本台帳人口移動報告2018年結果」によると、三重県の転出超過数は2年続けて4,000人を超え、依然として若者がその約8割を占める状況が続いています。
 そのため、地域で活躍でき可能性がひろがる「働く場づくり」、一人ひとりが輝き地域から求められる「ひとづくり」、さまざまな「ひと」の思いをつなぎ三重に呼び込む「きっかけづくり」の三つの観点から、若者の県内定着に向けた取組を強力に進めます。
 主な事業としては、「働く場づくり」では、若者が魅力を感じる働きやすい農林水産業の実現に向け、伊勢茶や伊賀米に加え、新たに柑橘や真珠について、AIやICTなどの活用によるスマート化を促進し、生産技術の見える化や作業の自動化・効率化を進めます。また、若者の県内企業への就労促進を図り定着につなげるため、地域の関係機関が一体となり、若者・子育て世代にとって魅力ある働く場づくりを進めます。
 「ひとづくり」としては、高校生に他者と協働する力や自己と社会の関わりを深く考える力など、社会の変化に対応できる力が育まれるよう、地域課題解決型の新しいキャリア教育モデルを構築します。また、今年4月、多様な経営感覚を持った林業人材を育成するため、新たに「みえ森林・林業アカデミー」を本格開講したところです。農業をビジネスとして展開できる雇用力のある経営者を養成するため、「みえ農業版MBA養成塾」の運営にも引き続き取り組みます。
 「きっかけづくり」では、U・Iターン就職を加速させるため、県外大学へ進学した学生や若者を対象にWebを活用した県内企業のインターンシップ情報の発信などに取り組みます。また、就職支援協定締結大学等との連携を強化し、SNSの活用や保護者への働きかけを行うなど学生への情報発信の多様化を図ります。県内企業に対しては、インターンシッププログラムの作成支援のほか、採用力強化セミナーを開催し、若者に選ばれる企業づくりを支援します。
 
(強みを生かし国内外から選ばれ続けるために)
 四つ目の柱は「強みを生かし国内外から選ばれ続けるために」です。
 雇用・経済情勢については、県内企業における深刻な労働力不足が続いているほか、米中間の通商問題や英国のEU離脱等、世界経済情勢に大きな影響を及ぼす動きがあり、先行き不透明感が増しています。また、国においては、AIやIoT(Internet of Things)等の革新的な技術に牽引される第4次産業革命の社会実装による「Society 5.0」の実現が進められています。
 このような中、中小企業・小規模企業が取り組むべき課題として、防災・減災対策や労働力不足の深刻化など、緊急性や重要性が増しているものがあり、5年前の三重県中小企業・小規模企業振興条例の制定当時と比べ、状況が変化しています。条例に基づく施策について効果を検証するとともに、「みえ産業振興ビジョン」で掲げた、知恵や知識、技術を組み合わせ、あるいは繋ぎ直していく「KUMINAOSHI(くみなおし)()」の視点も入れて、新たな課題への対応について検討します。
 産業政策を通じて地域課題の解決にも貢献していくため、「三重県事業承継支援方針」に基づき中小企業・小規模企業の円滑な事業承継に取り組むとともに、空の移動革命に向けた「空飛ぶクルマ」の実証実験の誘致などを進め、県内事業者による新たなサービス産業の創出を図ります。
 東京2020(にーぜろにーぜろ)()オリンピック・パラリンピックに関連するさまざまな場面において県産食材が一品でも多く活用され、大会後の恒常的な取引へと発展するよう、国際水準GAP等の認証取得促進の取組をさらに加速させるとともに、戦略的なプロモーションを実施します。
 本県の水産業及び漁村の持続的な発展や、「水産王国みえ」の復活に向け、「SDGs」や「Society5.0」の考え方などを踏まえ、漁業者や関係団体、さらには県民の皆様と一体となって取組を進めていけるよう、「三重県水産業・漁村振興指針」を基本計画として位置付けることも含め、新たに条例の制定に取り組みます。
 
 今年のゴールデンウィーク期間中の主要観光施設への入込客数は初めて300万人を超え、前年度から42.4%の増と県内全域で前年実績を上回りました。
 今月28日、29日に、「G20大阪サミット」が開催されます。日本がG20の議長国に就任して初めての開催であり、日本がこれまで経験したことのない最大規模のサミットとなります。令和のはじまりにふさわしく、世界中から日本に注目が集まり、特に関西圏の存在感がアピールされるこの機会をとらえ、伊勢志摩サミット開催地である三重の魅力を世界へ発信していきます。
 とりわけ今年は、熊野古道世界遺産登録15周年、四日市港開港120周年を迎えます。三重県に熱い注目の集まるこの好機を生かし、観光事業者等と連携して魅力的な観光地づくりに取り組むとともに、三重の魅力を国内外に発信し観光消費額の増加につなげていきます。
 また、新たな令和の時代の三重県観光のあるべき姿を思い描きながら、世界の人々から旅の目的地として選ばれるよう、新たな観光振興基本計画の策定に取り組みます。
 
(スポーツを通じて元気な地域社会をつくるために)
 五つ目の柱は「スポーツを通じて元気な地域社会をつくるために」です。
 今年4月、三重県のスポーツ振興に多大なる貢献をされ、1月に引退を表明された女子レスリングの吉田沙保里さんの輝かしい功績を讃えるため、「県民の日」記念事業として、三重県民栄誉特別功労賞の授与式を行いました。会場にお越しいただいた県民の皆様にも元気と明るい希望を与えていただきました。
 三重とこわか国体・三重とこわか大会の開催まで、あと2年と迫り、両大会の成功に向けて、広報活動、式典内容の検討、交通輸送対策や手話通訳等の情報支援ボランティアの養成などについて、引き続き会場市町や各競技団体等と緊密に連携し、「オール三重」で開催準備に取り組みます。
 大会運営については、すでに開催している都道府県の例にとらわれることなく、三重県らしさを盛り込むことができるよう創意工夫を凝らしつつ、簡素・効率化が図られた大会となるよう取り組んでいきます。
 東京2020(にーぜろにーぜろ)オリンピック・パラリンピックの開催まで、いよいよあと1年余りとなりました。オリンピックについては全競技日程が決まったほか、チケットの予約状況も好調ということであり、大会への期待が膨らんでいます。本県でも大会の開催気運を高めるとともに、大会を契機とした地域活性化につなげるため、さまざまな取組を進めていきます。
 まず、オリンピック聖火リレーについては、一昨日全国ルートが公表されました。本県においても、県内でのリレーを成功させるため、県内市町や関係機関等の協力を得てランナー選定や各種行事の計画立案等、本格的な運営準備を進めます。
 また、事前キャンプ地誘致については、4月にカナダアーティスティックスイミングチームの1年前キャンプを受け入れたところです。今後は、すでに誘致が実現したカナダレスリングや英国パラスイミングチームのキャンプ受け入れ準備を的確に進めるとともに、引き続き新たな誘致にも取り組みます。
 
(スマート自治体の推進)
 これらの取組を進めるとともに、これまでの情報システムの活用や業務の見直しによる働き方改革に加え、ICT、とりわけAI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)等の新たな技術の導入により、業務の効率化と正確性の確保を図り、職員は企画立案業務や県民への直接的なサービスの提供など、職員でなければできない業務に注力するスマート自治体をめざします。
 そのため、AIによる音声翻訳サービス等を活用して、外国人旅行者や外国人住民に対するサービスを向上させたり、RPAを活用して内部の定型業務を自動化して効率化するなど、新しい技術の導入の検討や実証実験を行います。
 
(行財政改革取組)
 行財政改革については、職員の現場感覚を高め、協創を促進するための取組や弾力的な働き方を可能とする環境の整備を進めてきたところですが、働き方改革を進めるとともに、生産性の向上と正確性の確保を両立させたスマート自治体をめざしていく必要があり、さらなる推進が求められます。
 また、財政面では「三重県財政の健全化に向けた集中取組」を進めてきた結果、臨時財政対策債等を除いた令和元年度末の県債残高は7,683億円となり、「みえ県民力ビジョン・第二次行動計画」で示した目標7,684億円を下回る見込みです。総人件費も2年間で延べ52億円の減額が見込まれます。公債費、人件費が抑制されてきたことで、集中取組の数値目標である「経常収支適正度」も令和元年度に99.8%となり、目標の100%以下を達成するなど、取組の成果が現れてきたところです。
 なお、引き続き公債費等は高水準にあること、社会保障関係経費は引き続き増加すると見込まれることを踏まえると、本県財政の構造的な要因は短期間では解決できないため、中長期的に財政の健全化に取り組むことが必要です。
 これらのことから行財政改革取組を継続する必要があるため、これまでの行財政改革取組の成果・課題を検証しながら、新たな行財政改革取組の策定に取り組んでいきます。
 
(令和元年度6月補正予算の特徴)
 引き続き、上程されました補正予算3件の議案について、その概要を説明いたします。
 令和元年度当初予算は「骨格的予算」としつつも、県民生活の安全・安心を守るための取組など喫緊の課題に対応するための予算としましたが、今回の補正予算は、これを年間総合予算とする、いわゆる「肉付け予算」として編成し、今年度が最終年度となる「みえ県民力ビジョン・第二次行動計画」の取組の着実な推進を図るものです。
 6月補正予算においては、未来への希望を支える安全・安心の観点から、防災や介護など県民の皆様の命と暮らしを守る取組はしっかりと進めるとともに、農林水産業や観光の振興など未来を切り拓くための取組にも果敢に挑戦します。
 さらに、防災・減災対策を充実するため、国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を活用し、公共事業費を増額した結果、補正後の公共事業費は平成22年度以降(過去10年)で最大となります。
 同時に、県債残高など財政健全化の目標も達成する見込みですが、健全化の道筋を確実につけられるよう今年度が最終年度となる集中取組、新たに策定する行財政改革取組においても取組を進めていきます。
 
(予算規模)
 補正予算の姿としては、一般会計の6月補正予算の規模は231億円、補正後の予算総額は前年度対比3.8%増の7,236億円となり、3年ぶりの増となります。
 歳入予算では、国の3か年緊急対策により国庫支出金が83億円、投資的経費の増により県債が108億円、財政調整基金からの繰入の増などにより繰入金32億円をそれぞれ増額しています。
 また、特別会計で14億9,178万5千円、企業会計で2億7,970万 9千円をそれぞれ増額し、三会計を合わせた予算額で、3.1%増の1兆1,258億1,797万3千円となります。
 
(主な取組)
 次に、6月補正予算の主な取組について、五つの柱に沿って説明いたします。
 予算の一つ目の柱、「災害に強い地域社会をつくるために」です。
 県が備蓄している乳児用粉ミルクの更新にあわせて、地震等でライフラインが断絶した場合でも、水・燃料を使わずに授乳できる乳児用液体ミルクを備蓄します。
 大規模災害発生時の医療提供体制を充実強化するため、災害拠点病院の施設整備等を支援するとともに、DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)の編成を充実させるため、人材育成等を行います。
 また、災害時の学校運営に関する専門的な知識や実践的な対応能力を備える教職員を育成し、災害時における学校教育の復旧を支援するための新しい仕組を構築します。
 ハード対策として、災害時の人員や物流を確保する緊急輸送道路の橋梁耐震化をさらに進めるとともに、河川改修等の治水対策や堤防、ダム等の耐震対策を進めます。危機管理型水位計の本年度中の設置完了をめざすほか、決壊した際、人家等に被害が及ぶ恐れのあるため池のハザードマップ作成を支援します。
 県立高等学校の施設について、老朽化対策など教育環境向上のための整備を進めるとともに、猛暑に備えるため、本年夏は空調未整備の普通教室にレンタルによる臨時対応を講じたうえで、全ての普通教室で令和2年度までに空調設備が整うよう、設計を実施します。また、トイレの洋式化など設備面での機能向上を含めた長寿命化改修に係る設計を実施します。

 二つ目の柱、「誰もが安心して暮らし続けられるために」です。
 「医療・介護・福祉の連携と人材の確保」に向けては、介護職場で補助的な業務を担う「介護助手」について、県内で導入した施設を対象として導入前後の介護職員の離職率等を調査し、その結果を国を通じて全国展開します。
 若年性認知症の更なる周知啓発を図るため、「全国若年認知症フォーラム」を県内で開催するとともに、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)を活用した認知症予防の取組を進めます。
 「子育て支援」については、がん患者が将来子どもを産み育てる希望を叶えられるよう妊孕性(にんようせい)温存治療に対して助成を行います。また、仕事と不妊治療を両立できるよう、企業向けの講演会を開催するとともに、不妊治療を受けやすい環境づくりに向けた支援を検討するための調査等を実施します。
 「外国人材の受入・共生」に向けては、外国籍の子どもや国際結婚をした夫婦の子どもなど、外国につながる子どもに対する就学前支援教室(プレスクール)の実施に必要となる人材の育成、教材やマニュアルの作成を行います。
 
 三つ目の柱、「若者の県内定着につなげるために」です。
 子どもたちの健全な心身の育成と森林・林業に関する職業意識の醸成を図るため、野外体験指導者等と連携して、自然環境キャンプなどの新たなプログラムを作成します。
 県内定着のきっかけづくりについては、東京圏から県内企業等への就職・定着を促進するための求人情報サイトを開設し、サイトを通じて就職した人に対し、市町と連携して、移住に必要な支援を行います。
 「第四次人権が尊重される三重をつくる行動プラン」及び「第三次三重県男女共同参画基本計画」の策定に向けた県民意識調査をそれぞれ行います。
 
 四つ目の柱、「強みを生かし国内外から選ばれ続けるために」です。
 「『みえ産業振興ビジョン』の推進」については、「空飛ぶクルマ」を活用した新たなサービスの創出により地域課題を解決するため、民間事業者による県内での事業化を見据えた気運醸成などを行います。
 「国際展開の推進」については、バンコクに設置した「三重タイ イノベーションセンター」において、食品加工分野にかかる人材育成や県産品のPRに取り組みます。
 「農林水産業の競争力強化・成長産業化」に向けては、柑橘や木材製品、活カキなどの高品質な県産農林水産物をアジア経済圏等へ輸出拡大するため、ブランド確立に向けたプロモーション支援を行います。
 豚コレラ等の発生に備えて、死亡した野生いのしし等の検査体制を充実するとともに、畜産農場における家畜防疫に必要な設備の設置や資材の投入の支援を行います。
 「観光振興、情報発信」については、個人の外国人旅行者(FIT)の増加に対応するため、動画によるブランディングプロモーションを実施するとともに、キャッシュレス化の推進に向けた実証事業を行います。
 「交通ネットワークの整備」に向けては、地域高規格道路や幹線道路にアクセスする道路等の整備を行います。また、県民の皆様からの要望の声が多い交通安全のための区画線の引き直しを進めるとともに、舗装の維持管理や道路施設の適切な修繕・更新に取り組みます。
 リニア中央新幹線の早期全線開業・県内駅設置に向け、JR東海と連携して必要なデータ等の収集や、リニア事業に対する県民の皆様の気運醸成を図ります。
 車を持たない高齢者等の円滑な移動の確保に向けて、県及び市町の交通・福祉部門等が連携し、課題や対策について検討を行います。
 
 五つ目の柱、「スポーツを通じて元気な地域社会をつくるために」です。
 「東京2020(にーぜろにーぜろ)()大会への対応」として、県内市町や関係団体と連携して東京オリンピック聖火リレーの運営準備に加え、本県独自の「出発式」や「ミニセレブレーション」を実施します。
 
(予算以外の議案等の概要)
 引き続き、上程されました条例案12件、その他議案3件の議案について、その概要を説明いたします。
 議案第6号及び第8号は、地方公務員法に規定する会計年度任用職員及び公立学校の会計年度任用職員について報酬等の額、その支給方法を定める条例をそれぞれ制定するものです。
 議案第7号は、市町が実施する森林整備等に対する支援及び森林整備を担う人材の育成等に要する経費の財源に充てるため、三重県森林環境譲与税基金を設けるものです。
 議案第9号は、地方公務員法等の一部改正に鑑み、会計年度任用職員制度の創設に関連する関係条例の規定を整備するものです。
 議案第10号は、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部改正に鑑み、選挙長等の報酬の額を改定するとともに、地方自治法の一部改正に伴い、規定を整理するものです。
 議案第11号は、地方税法等の一部を改正する法律による地方税法の一部改正等に鑑み、法人事業税、自動車税等についての規定を整備するものです。
 議案第12号は、関係省令等の一部改正に鑑み、県税の特例措置についての規定を整備するものです。
 議案第13号は、地方公務員法等の一部改正に鑑み、規定を整備するものです。
 議案第14号は、三重県総合博物館の機能向上を図るため、開館時間等の規定を整備するものです。
 議案第18号及び第19号は、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部改正に伴い、手数料の額を改定するものです。
 議案第20号は、地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部改正に伴い、手数料の額を改定するとともに、自動車の保有に係る手続きの利便性の向上を図るため、規定を整備するものです。
 議案第15号は、県の行う土木関係建設事業の経費に関し、関係市町に負担を求めようとするものです。
 議案第16号は、工事請負契約を変更しようとするものです。
 議案第17号は、財産の取得をしようとするものです。
 
 以上で諸議案の説明を終わり、次に報告事項について説明いたします。
 報告第1号から第27号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
 報告第28号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
 報告第29号から第33号までは、平成30年度一般会計、特別会計及び企業会計のうち、翌年度へ繰り越した経費について、それぞれ繰越計算書を調製しましたので、報告するものです。
 
 以上をもちまして提案の説明を終わります。
 なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

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三重県 総務部 財政課 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
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