城は、最高所にある主郭と、5箇所程度の小規模な曲輪で構成されています。主郭は隅丸長方形を呈し、90㎡ほどの広さがあります。西側に延びる尾根を深い堀切で断ち切って造られており、北辺・西辺の一部には土塁が設けられています。また、主郭内では各所で火を焚いた跡がみられ、内部が焼けた土坑(穴)もみつかっています。これらは、炊事や狼煙を上げた痕跡の可能性があります。
こうした城内での活動を示すように、発掘調査では土師器や陶磁器、瓦質土器、石鍋など、多くの遺物が出土しました。一般的に、高所にある城跡では生活痕跡が希薄で出土遺物も少ないですが、粟生城跡では豊富な出土遺物から城の時期が判明したことも大きな成果です。

調査地全景

堀切の様子 土師器鍋の出土状況
おもな時代:室町時代
遺跡の所在地:大台町粟生
発掘調査報告書のリンク:
近畿自動車道尾鷲勢和線(紀勢~勢和間)埋蔵文化財発掘調査報告Ⅰ 粟生城跡(2002年)