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平成21年01月27日

研究報告第15号

1.三重県平坦部の水田転換畑における多収ダイズの栽培条件

橘尚明・吉川重彦・松田兼三・辻久郎

三貢県平坦部地域における多収ダイズの栽培条件を検索するため、比較的高収の上野と低収の伊勢平坦地の転換ダイズ畑を対象に土壌および生育経過、体内成分の消長について比較検討した。

  1. 嬉野の土壌は、上野のそれより土壌的には若干すぐれ生育良好で繁茂が大であった。しかし、子実収量は上野の82%にすぎなかった。この結果は、主として両地区の気温較差の大小にもとずくものと推定した。
  2. 高収の上野・鈴鹿は、結莢期から成熟期のLAIが6~7と高く、しかも登熟期間も長く維持された。一方、低収地はLAIが低く、しかも結莢期から成熟期にかけて急激に低下した。
  3. 高収の上野では、葉柄搾汁液の窒素、尿素感度が桔莢期から成熟始期にかけて高まり植物体活性が生育後期まで高く維持された。
  4. 根系の分布は、子実収量と深く関わり、ことに株20cm以下の根量は、高収の上野・鈴鹿で多く、亀裂にそって比較的各層に均一に分布していた。
  5. 土壌溶液中のNO3-N濃度は、高収の上野では開花期から成熟期まで20cm、30cm深で1me/リットルと高く、特に30cm深では他地域にくらべ著しく高く経過し、植物体活性とも一致した。
  6. 以上のことから、本県平坦地においても、地下水位が低い土壌条件下のもとでは深耕と深層施肥によって根来を深く発達分布させ、植物体を後期まで活性高く維持させることによって、増収が期待できるものと考えた。

2.漬物加エからみた原料ダイコンの密植栽培

豊冨康弘・田中一久・本庄達之助

  1. 原料ダイコンの密植栽培を確立するため、阿波新晩生を用いて、栽植密度、は種期、収穫時期、施肥量と併せて加工適性を検討した。
  2. 栽植密度は、生育よく、目標の根責700g~900gの生産ができ、収量も高い8,000株/10aが適当で、加工適性も優れていることがわかった。また、10,000株/10aは6,000株/10aより約10日生育が遅れることがわかった。
  3. は種期は9月1日~5日が適当で、加工適性が優れていた。
  4. 収穫時期は65~70日収穫が生育よく、収量高く、加工適性が優れていた。
  5. 施肥量は10a当りN:26.0kg、P2O5:16.0kg、K2O:25.Okgが適当で、生育よく、収量高く、加工適性も摩れていた。

3.北勢地域における多肥栽培茶園の土壌溶液法による実態解析 第3報茶園土壌溶液の花粉管伸長法による検定

吉川重彦・橘尚明・松田兼三

茶花粉菅伸長法によって多肥茶園の土壌溶液を検定し、多肥の根系に及ぼす影響を推定しようとした。

  1. 茶花粉菅の伸長を阻害する成分は土壌溶液中の高濃度のアルミニウムであった。畦間部土壌溶液アルミニウム濃度は茶花粉管の伸長を阻害する濃度であった。畦間部の土壌断面の観察による根系の腐敗の状況は土壌溶液アルミニウム濃度の高い部分で著しい傾向にあった。
  2. 茶花粉菅の伸長促進する物質は分析した土壌溶液の無機成分の中では特定できなかった。
  3. 花粉管の伸長は有機質肥料を施用する12月~3月で大きく、無機質肥料を多量に施用する4月以後は小さくなり、逆に伸長阻害が急激に大きくなる推移を示した。

4.暗渠排水における地下水位低下と排水時間に関する研究 第5報暗渠を透水層の中間に敷設する場合の理論と実際

磯島義一

耕地における暗渠排水を行って、地下水が時刻の経過と共に低下していく実際の現象を追跡する著者の理論が完成した。

5.土壌情報のシステム化に関する研究 第1報土壌診断のパソコン利用

安田典夫

土壌情報のシステム化に関して、パソコン利用による土壌診断プログラムの開発を行った。
このシステムは現地から持込まれた土壌のサンプルあるいは土壌調査によって採取したサンプルについて農業改良普及所の測定診断室で分析を行い、データを整理したのち、パソコンに入力する。入力したデータは作物および土壌の種類ごとの診断基準値と比較して診断を下し、必要な改善対策と施肥および土壌改良資材量を計算する。また、これらの診断結果はレーダーチャートで判りやすく図示される。
この土壌診断プログラムの利用によって、分析値の解析にあたっては時間や労力を大幅に節約できるようになり、診断結果を農家へ速やかに知らせることが可能になった。

6.田面水および河川水におけるピペロホス・ジメタメトリンの消長

石川裕一・生杉佳弘

田面水と河川水におけるアビロサン粒剤(有効成分ピペロホス4.4%、ジメタメトリン1.1%)の濃度消長を調査した。

  1. 水田水中のアビロサン濃度は施用直後~1日後でビペロホス1300ppb前後、ジメタメトリン400ppb前後であったが、その後漸次減少した。
  2. 河川水の場合、最高濃度に達したのは、1978年は使用最盛日の7日後、1979年は地点により異なり、1日後と7日後であった。最高濃度に達してからの各地点の濃度は著しく低下した。また、上流と下流の濃度を比較した場合、2か年とも散布水田に近い上流地点のほうが高かった。
  3. 調査期間中、アビロサン粒剤の河川水中流出により水生動植物が影響を受けた事実はみられなかった。

7.豚の脂肪品質改善に関する研究 第1報:とうもろこしの多用とマイロ、大麦、カポック油粕、キャッサバの脂肪品質に及ぼす影響

和田健一・伊藤均

現在、肉豚用飼料に占める自家配合飼料、指定配合飼料の割合は極めて高く、その際飼料原料として多量のとうもろこしが使用される例が多い。
近年、脂肪がやや軟く、しまりに欠ける枝肉の多発がいわれているが、一般にはその主因が、とうもろこしの多給にあるともいわれている。そこで本試験では、とうもろこしを85%まで多給した場合の脂肪品質を把握し、マイロ、大麦、カポック油粕、甘藷、キャッサバ等脂肪品質を改善させるといわれる原料の効果と、それ等の適正な給与時期を検討した。

  1. とうもろこしの多給は、マイロの多給に比べ1日平均増体重、飼料要求率、飼料の消化率はやや優れる傾向にあった。
  2. 肥育後期(生体重65kg以降)の大麦多給は、1日平均増体重では、とうもろこし多給と差はなく、摂取TDN量によるTDN要求率は、むしろ改善された。
  3. カポック油粕の肥育後期での使用により1日平均増体重は、やや小さくなったが、飼料要求率では、とうもろこし多給の場合と変らなかった。
  4. 甘藷、キャッサバ、マイロの20%と大麦10%を併用し肥育後期に給与した場合、発育はとうもろこし多給の場合よりもむしろ良くなる傾向にあった。
  5. 給与飼料、給与時期により枝肉諸形質、肉質には差は認められなかった。
  6. マイロの給与量と内層脂肪のリノール酸・ステアリン酸比との間には、去勢でY=-0.0023X+0.867、雌でY=-0.0045X+1.139(Y:リノール酸・ステアリン酸比、X:マイロの配合割合)という回帰式がえられた。
  7. 大麦の給与量とリノール酸・ステアリン酸比との間には、去勢でY=-0.0027X+0.813、雌でY=-0.0034X+1.077の回帰式がえられた。(Y:リノール酸・ステアリン酸比、X:大麦の配合割合)
  8. 脂肪の品質は、マイロの配合量が増加するにつれて良くなった。マイロを50%以上配合した場合には、触感によっても差が認められた。
  9. とうもろこし85%の多給でも、通常の場合は軟脂豚は発生しない。しかしややしまりに欠ける個体の出現率は、去勢で17%、雌で40%となった。
  10. 脂肪品質のうち、触感では大麦56.5%、カポック油粕3.0%配合で高い評点となった。屈折率、リノール酸・ステアリン酸比では触感による評価よりも差があらわれやすく、大麦の増加につれて改善された。カポック油粕3%配合では特にその低下は著しく、脂肪は硬化した。
  11. 大麦20%の肥育全期間を通じての給与、あるいは肥育前期(生体重40~65kg)に56.5%を給与した場合に脂肪品質は改善されず、カポック油粕3%を肥育前期に給与した場合、肥育後期での給与に比べその効果は小さくなるものの持続した。
  12. カポック油粕を肥育後期に3%配合することにより脂肪は硬化しすぎることも考えられる。従って肥育前期に給与するか、後期に配合割合をやや落して使用することが望ましい。
  13. 甘藷、キャッサバ、マイロの20%と大麦10%の併用飼料を肥育後期に使用した場合、雌で脂肪品質は改善された。
  14. マイロによる脂肪品質の改善は、体脂肪中のリノール酸の減少によるものであり、これはマイロ配合飼料中のリノール酸量が少ないことによる。
  15. 大麦による脂肪品質の改善は、体脂肪中のステアリン酸の僅かな増加とリノール酸の減少の結果であった。
  16. カポック油粕の脂肪品質改善は、体脂肪中のステアリン酸の増加と、それとほぼ同量のオレイン酸の減少による結果であった。
  17. カポック油粕の脂肪品質改善作用は、飼料中の脂肪酸組成に由来するものではなく、ステアリン酸からオレイン酸が合成される過程に阻害的に作用するものであると考えられる。

8.豚の脂肪品質改善に関する研究 第2報:脂肪品質簡易判定法の検討

伊藤均・和田健一

豚肉の異常肉のうち軟脂豚の判定基準は従来より官能による評価を主休としてきたが、その判定は熟練を要し、客観性に欠けるため、簡便でしかも客観性に富む判定法として果実硬度計の使用の可能性を検討した。
使用した硬度計の針頭は円錐型、3mmφの円柱型(角型、丸型、平型)の2種、計4種類であった。
屈折率・リノール酸・ステアリン酸比は軟脂豚の判定に有用な基準であるが、これらと硬度との相関を算出することで軟脂豚の判定に硬度計が使用可能か否か検討した。

  1. 去勢と雌の性別に脂肪諸形質の比較をすると硬度は去勢が雌より約0.1kg高く、おおよその判定には硬度計が使えることがわかった。
  2. 円錐形先端部の場合、内層脂肪における屈折率およぴリノール酸・ステアリン酸比と硬度との相関は、測定値のバラツキが多いためか低かった。腎臓周囲脂肪に関してもそれ・轤フ相関は低かった。
  3. 円柱型(3mmφ)先端部の場合、円錐型先端部の場合よりもそれらの相関が高く、硬度計の針頭は円柱型のものが脂肪質の判定により適当であると思われた。
  4. 円柱型の3種の針頭の比較では平型の方が測定値のバラツキが少なく、屈折率との相関が最も高かった。
  5. 先端部針頭形状および測定部位を考慮して硬度計の使用を試みたが、屈折率およびリノール酸・ステアリン酸比との相関は高くてもー0.7程度しかならなかった。従って硬度計は官能評価にまさる判定法とはならず、実際の現場に使用するには無理があると思われる。

9.塩素系消毒薬(ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム)の散布による消毒効果の検討

今西禎雄・荒木誠一・水野隆夫・坂倉元

塩素系消毒薬(ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、SDIC)の養鶏施設における効果的な消毒方法を検討するため、付着菌数の減少を指標として散布濃度とその消毒効果、水洗方法の違いが消毒効果に及ぼす影響および鶏舎に対する消毒効果について検討した。

  1. 2000、4000および8000倍液のSDICを人工又は自然汚染検体に散布したところ、菌数の減少は人工汚染検体で1/103.1=~1/103.3、自然汚染検休では1/100.2~1/101.4であった。なお、散布濃度の違いによる菌数の減少に大きな差は認められなかった。
  2. 加圧水流による水洗と加圧水流と擦り洗いを併用して水洗した自然汚染検体に2000倍液のSDICを散布したところ、擦り洗いを併用した検体の方が菌数の減少割合が大きく、消毒効果を高めることができた。
  3. 鶏舎に対する消毒効果では、擦り洗いを併用した水洗により、有機物や細菌をできるだけ少なくした条件で、床面に500倍又は1000倍液のSDICを散布したところ、その付着菌数の減少は500倍液散布で1/102.0、1000倍液では1/100.9であった。
    水洗により有機物の付着を少なくし、また、散布濃度を濃くすることによりSDICの消毒効果が高まることが認められた。

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