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平成21年01月27日

研究報告第20号

1.イネにおける内生オーキシンの器官別含有量とその日変化

北野順一・渡邊紳一郎・坂齋

幼穂分化期以降のイネの葉鞘、葉身および乳熟期の籾の内生IAA含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量し、その含有量には器官や葉位によって大きな差異があり、また器官固有の日変化があることを明らかにした。結果の概要は以下のとおりである。

  1. 葉身および葉鞘における遊離型IAA含有量は、生体重当り葉身では8~38ng、葉鞘では12~36ngであった。
  2. 葉身および葉鞘の遊離型IAAは、抽出中の葉に最も多く下位葉ほど含有量は少なくなった。また、完全展開葉では葉鞘よりも葉身に多く存在した。
  3. 乳熟期の籾の遊離型IAA含有量ほ生体重1g当り1,0000~1,500ngで、結合型IAAは更に多く生体重1g当り4,000~6,000ngであった。
  4. 遊離型IAA含有量の日変化は、葉身では昼間の午後1時頃に最も多く、朝方の午前5時頃に最も少なくなり、葉鞘では葉身とは異なって午後1時頃に少なくなる傾向を示した。一方、乳熟期の籾では、正午頃に最も少なく、夕方の午後6時頃に最も多くなった。

2.転換佃における麦跡大豆不耕起播種栽培の雑草防除法

北野順一・生杉佳弘

転換畑における麦跡大豆不耕起播種栽培の雑草防除技術を確立するため、不耕起播種栽培の雑草発生相を耕起播種栽培と比較し、さらに耕種的手法と除草剤散布を組合わせた効率的な除草体系を組み立てた。

  1. 不耕起播種栽培における雑草発生量は、耕起播種栽培より4~5倍も多くなる。
  2. 雑草の発生期間は、6月上旬の麦収穫前から中耕時の7月中旬まで長期にわたる。
  3. 当技術センターが開発した不耕起播種機を利用した播種条周辺部の部分浅耕は、大豆株元の発生雑草に対する有効な除草手段となる。
  4. 麦稈被覆は雑草の発生および生育を抑制するが、同時に茎葉処理剤ならびに土壌処理剤の除草効果を低下させる。
  5. 茎葉処理剤ではグリホサート液剤、グルホシネート液剤およびジクワット・パラコート乳剤、土壌処理剤ではリニュロン水和剤とアラクロール乳剤の混用処理またはベンチオカーブ・プロメトリン乳剤の除草効果が高く、不耕起播種栽培に適応できる。
  6. 茎葉処理剤が大豆種子に付着すると大豆の出芽および苗立ちを阻害する。特に、グルホシネート液剤およびアラホス水溶剤は著しく出芽・苗立ち率を低下させる。
  7. 中耕・培土の除草効果は高く、6月上・中旬頃に播種する場合の中耕時期は播種後25日頃が適期である。
  8. 麦跡大豆不耕起播種栽培における基本的除草体系としては、「麦稈の被覆→播種部の部分浅耕→茎糞処理剤と土壌処理剤の混用播種後散布→中耕・培土」が実用的である。

3.イセイモのウイルスフリー苗の作出に関する研究(第1報)茎頂培養による植物体再生及び種いもの形成

平野三男・立松伸夫・服部英樹・橋爪不二夫・河野満

三重県で栽培されているイセイモは、いもに凹凸が目立つことや、収量が減少していることなどの問題点が指摘され改善が求められている。これらの原因については明らかでないが、ウイルス病もその一因と考えられている。そこでこれらの問題点を改善するために、イセイモのウイルス病発生状況を調査し、ウイルスフリー苗の作出からその栽培によるいもの収穫を試験し、次の結果を得た。

  1. 多気郡多気町で栽培されているイセイモを調査したところ、ほとんどの圃場で葉にモザイク症状がみられた。
  2. モザイク症状を示すイセイモ葉を電子顕微鏡で観察した結果、長さ700~800nmのひも状のPotyvirusが検出された。
  3. イセイモの茎頂培養を行ったところ、培養2か月後には植物ホルモン無添加区及び低濃度植物ホルモン添加区(BA:0~0.02mg/リットル、NAA:0~0.2mg/リットル)で約2~3cmの幼植物体が再生した。
  4. 数種の植物にイセイモ病葉の汁液接種を行ったが、病徴を再現することはできなかった。
  5. 茎頂培養により得られた種いもを現地栽培した結果、重さ約200g以上のいもを収穫することが出来た。

4.ブドウ数品種の無核果形成に及ぼすジベレリン処理の影響

輪田龍治・伊藤寿・須崎徳高

ブドウ、「伊豆綿」、「高墨」、「ブラック・オリンピア」、「レッド・クイーン」、「ガーネット」及び「ルピー・オクヤマ」を供試しGA処理が無核果の形成と果実品質に及ぼす影響を調査した。

  1. GA処理の無核果形成に及ぼす影響は、「伊豆錦」、「高墨」、「ブラック・オリンビア」及び「レッド・クイーン」では開花直前~満開5日後の間のGA12.5~25ppm、「ガーネット」では満開10日前~満開時の間のGA25~100ppmの処理で高い無核化効果が得られた。
  2. GA処理の果実品質に及ぼす影響は、「伊豆錦」では第1回目処理時期が早いと果粒重が小さくなり、第1回目処理時期が遅いと果色度、糖度が低下した。「高墨」及び「ブラック・オリンピア」は処理により果粒重の減少、黒色及び糖度が低下した。「レッド・クイーン」は処理により果粒重が減少した。「ガーネット」は第1回目処理時期が遅れると果粒重の減少、黒色度及び糖度が低下した。「ルビー・オクヤマ」は処理により51~79%の果粒が裂果した。
  3. 実用的には、「伊豆錦」「レッド・クイーン」は開花直前のGA12.5~25ppmと満開10日後のGA25ppm、「高墨」、「ブラック・オリンビア」は満開時のGA12.5~25ppmと満開10日後のGA25ppm、「ガーネット」は満開10~8日前のGA25ppmと満開10日後のGA25ppm処理が無核果形成及び果実生長に対して有効であり、「ルビー・オクヤマ」は、処理により裂果が多くなるのでGAの利用は困難と思われた。

5.半発酵による新香味茶製造技術開発に関する研究

森俊和・稲垣卓次・木下ならす

  1. 国内産茶品種を用い、特に普及品種である「やぶきた」を中心に供試して、新茶種である半発酵による新香味茶の開発試験を実施し検討した。
  2. 萎凋及び発酵は、遠赤外線、温風、中揉機利用とも部分発酵が発生した。粗揉機利用は、均一な萎凋・発酵の製品が得られた。葉質別では、被覆茶が露地芽に比べ、苦渋昧が少ないが、品質に大差がなかった。
  3. 殺青方法は、釜炒で200℃・6分担庶、蒸熱の30秒が適当であったが、色沢が赤黒みになった。
  4. 整形は、揉捻機利用の40分が優れ、再乾機利用は、標準投入量が「やや締まり良好」であった。二次乾燥は、少し強めの火入れで、爽快味が得られた。
  5. 品種別の製造法は、「青心大有」、「やきぶた」で、いずれも重量減で30%萎凋が優れた。
  6. 製品の化学成分は、新香味茶にγ一アミノ酪酸が含まれ紅茶タイプの爽やかな香気(E-2-へキセナール)の成分が多かった。
  7. 嗜好性は、世代等に関係なく好評で、経済性は、専用機で、1kgの製造コストが1,395円程度であった。

6.チャノホソガの性フェロモンの発生予察への利用

大谷一哉

チャノホソガの既知性フェロモン成分(E_11_HDAL、Z_11_HDAL)を本種の発生予察への利用をはかるために、一連の試験を行い次のことが明らかとなった。

  1. E_1_HDALとZ_11_HDALの9:1混合物を誘引源とする性フェロモントラップの誘殺数は、他のいずれのトラップより多く、調査期間を通して高い誘引性が認められた。
  2. ライトトラップによる誘殺数では、湿式タイプが乾式タイプより圧倒的に多かった。湿式タイプでの光源別の誘殺数は、蛍光灯>裸電球>ブラックライトの順に多かった。
  3. E_11_HDALとZ_11_HDALの9:1混合物を誘引源とする性フェロモントラップによる誘殺消長のピ-クは明瞭で、4月~10月に5回の成虫発生期が確認できた。この誘殺消長は湿式ライトトラッブによる誘殺消長とほぼ一致した。
  4. 茶園での性フェロモントラップの設置は、低温期の第1回成虫発生期では、茶樹の摘採面付近が適当で、第2回成虫発生期以降は摘採面より20cm~40cm高い位置が適当である。
  5. E_11_HDALとZ_11_HDALの9:1混合物を1mg含浸させたゴムキャップの誘引性は、ほぼ30日間の持続性があり、各成虫発生期が終了した時期での交換が望ましい。
  6. E_11_HDALとZ_11_HDALの9:1混合物を1mg含浸させたゴムキャップを誘引源とした性フェロモントラップの場合、入口面積を慣行の1/16(8cm2)に改良することによって、モニタリング労力を簡素化することができる。

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