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平成21年01月27日

研究報告26号

1.三重サツキの開花調節技術

内山達也・鎌田正行

三重県特産の花木であるサツキ、「三重サツキ」は、屋外の自然条件下では5月下旬から6月上旬にわたって開花するが、大型冷蔵庫による低温処理とガラス温室やビニールハウスを利用する加温処理により、比較的簡易に開花時期をコントロールする方法を検討した。その結果、2月および9月から10月中旬までの年間約2ヶ月半の期間を除き、ほぼ周年にわたって開花させることが可能であることを明らかにした。
露地栽培より早く、3月上旬からの早期開花を希望する場合には、11月下旬から低温5℃、40日冷蔵処理した後、18℃の加温管理を、また、4月下旬からの開花を希望する場合には60日冷蔵処理をした後、15℃の加温管理を行うことで開花が促進された。
一方、開花を遅らせて夏期の7、8月に開花させる場合には、5月中旬から5℃冷蔵管理し、希望開花開始日の約30日前に出庫する。また、晩秋期の11~12月の開花を希望する場合には、5月中旬からの冷蔵温度を3℃とし、希望開花日の約60日前に出庫することによって開花を遅らせることができた。

2.紫外線除去フィルムが花粉媒介昆虫ツチマルハナバチの受粉活動に及ぼす影響

西口郁夫

紫外線除去フィルムの持つ病害虫抑制効果を生かした生態系活用型農業の展開を図るために、紫外線除去フィルムに被覆したハウス内で、ツチマルハナバチの訪花活動を調査した。試験には、ハウス内環境に順化させていないツチマルハナバチを放飼したが、花粉量の多い作物への活発な花粉採集活動が見られた。ツチマルハナバチは紫外線の影響を受けないため、ミツバチでは不可能な紫外線除去フィルム被覆施設内で、花粉媒介昆虫として利用が可能である。

3.茶抽出物の飼料への添加による夏期における乳生産能低下の軽減効果

水谷将也・山本泰也・濱口勇

ヒトの腸内フローラの改善、抗菌作用、抗う蝕作用、さらに血中コレステロール上昇抑制等、種々の生物活性や生理効果が認められている緑茶ポリフェノールを乳牛に給餌することによって、飼養上とくに問題となっている暑熱時の乳生産(乳量や乳質)の低下をを軽減できるか否かについて検討した。
1996年の夏、分娩後80~220日の泌乳最盛期から中期にある乳牛を用い、日給餌飼料の乾物重に対して、0.03%の緑茶抽出物を添加し、その効果を乳生産の面から調べた。その結果、添加区では無添加区と比較し、統計的な有意差は認められなかったが、暑熱時の泌乳低下は軽減された。
また乳脂肪、乳蛋白質、蒸し無脂固形分等の率や、量も添加区でやや多い傾向が認められたれ、緑茶抽出物の給与が暑熱ストレスによる生産力低下の軽減に有効であることが示唆された。

4.豚枝肉の冷却による品質保持効果

安藝博・林道明・中村雅人・田中稔也・和田健一

豚の枝肉について屠殺後、早期の冷却による肉質改善の効果について検討した。胸最長筋のドリップ量は、6、8月の暑熱時には増加したが、屠殺後早期に2℃に急速冷却することにより、ドリップ量は減少した。シマリについては、2℃の急速冷却よりも、-20℃とする超急速冷却の方が有効であった。しかし、半膜様筋においては、これらの温度処理によりドリップ量とシマリを改善することはできなかった。これらは主として、胸最長筋より芯温が低下しにくいことによると推定した。

5.赤色光照明および鶏舎内構造物の赤色塗装による採卵鶏の悪癖防止

佐々木健二・今西禎雄

採卵鶏において、デビークを行わずに悪癖を防止する技術を究明するために、ウインドウレス鶏舎では赤色光照明を、また開放鶏舎では鶏舎内構造物(給餌・給水樋、天井、カーテン、壁等)に赤色塗装を施し、それらの効果について検討した。
その結果、赤色光照明及び赤色塗装により育成期における悪癖発生率が低減し、成鶏期では生存率が約90%と向上した。また採卵や卵質への影響は認められなかった。
これらのことから、開放鶏舎では赤色塗装、ウインドウレス鶏舎では赤色光照明は、育成期・成鶏期を通して悪癖発生率の低減に有効であることが示唆された。

6.PCR法による牛胚の性判別

西康裕・余田行義・榊原秀夫

PCRによる牛胚の性判別法では、その前段階として、胚の一部のバイオプシーが必要であるが、採胚からバイオプシー、性判別、移植までのすべての操作を1日で行うことは労力的に困難な場合が多い。そこで、著者らは凍結胚を融解・培養し、翌日、バイオプシーと性判別を行い移植する方法について検討した。
バイオプシー後の生存率は、凍結胚、新鮮胚いずれにおいても体内胚の方が体外胚より高かった。しかし、新鮮胚をバイオプシー後、凍結保存すること、体内胚、体外胚とも生存率は低くなった。
性判別胚(体内胚)の移植後の受胎率は、凍結胚で3/7(42.9%)、新鮮胚1/5(20.0%)であった。新鮮胚をバイオプシー後、凍結した胚では受胎例は見られなかった。
受胎した4頭中1頭は流産したが、結果的に雄子牛2頭、雌子牛(双子)が生まれ、いずれも胚の性判定と一致した。

7.種雄豚の上物枝肉生産能力推定システムの開発

坂本登・糀谷斉・和田健一・安藝博・中村雅人

繁殖肥育一環養豚経営にとって、種雄豚の上物枝肉生産能力を知ることが重要である。種雄豚の上物枝肉生産能力を推定するための方法を考案し、その妥当性をシュミレーション手法と実際の現地調査によって検証した。
本研究において、交配記録、肉豚出荷記録、と畜場における格付け結果等を用いるパーソナルコンピューターシステム(種豚能力推定システム for Windows95Ver.1.0)の製造した。このシステムを導入することによって、養豚経営における意志決定を支援することが期待される。

8.ブドウ果実の糖分析過程におけるインベルターゼによるショ糖の加水分解

藤原孝之・坂倉元・伊藤寿・本庄達之助

ブドウ果実の糖分析中のショ糖分解に及ぼすインベルターゼの影響を検討した。

  1. ブドウ果実の搾汁液においては、ショ糖の加水分解が急激に起こり、主にインベルターゼの作用によるものと判断された。搾汁液のショ糖分解程度およびインベルターゼ活性には、大きな品種間差異が認められた。
  2. 今回供試したブドウ7品種の中で、スチューベンのみは特異的にインベルターゼ活性が低く、ショ糖含量が高かった。
  3. スチューベンを除くブドウ各品種のインベルターゼ活性は、イチゴ、ニホンナシ、メロンおよびウンシュウミカンより極めて高かった。
  4. ブドウの糖分析において、エタノール抽出を行う場合、抽出時のショ糖分解を抑えるために、抽出前に果肉切片をマイクロ波処理することが必要と判断された。

9.高速液体クロマトグラフィーによる果実搾汁液の糖分解における簡易飼料調整法

藤原孝之・坂倉元・伊藤寿・本庄達之助

ウンシュウミカン、メロン、イチゴ、ニホンナシおよびブドウの5種類の果実についてHPLCにより糖を測定する場合の、アルコール抽出に代わる前処理法として、搾汁液を用いる簡便な方法を検討した。

  1. 各果実において、室温下で搾汁し、直ちにHPLC分析することにより、エタノール抽出と同様の信頼性を有する測定値が得られた。なお、ウンシュウミカンでは、搾汁法とエタノール抽出法により糖組成にわずかながら差異が認められたが、これは搾汁液と残さ中の糖組成が異なるためと考えられた。また、ウンシュウミカンは、搾汁率の違いがわずかながら果汁の糖組成に影響を与えるので、一定の方法で搾汁を行う必要がある。
  2. 搾汁液を24時間、また、搾汁液を希釈、濾過した試料を48時間それぞれ室温下で保存したところ、ウンシュウミカンでは糖組成の変化は認められなかったが、他の果実ではショ糖の分解がおこった。ブドウでは希釈液、ブドウ以外の果実では搾汁液および希釈液についてそれぞれ電子レンジを用いてマイクロ波処理すると、簡便にショ糖分解を軽減できることが明らかになった。
  3. 以上の結果から、果実の搾汁液を用い、マイクロ波加熱を適宜行う前処理により、HPLCで多数試料の糖濃度を簡便に測定できることが明らかとなった。

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