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平成21年01月27日

研究報告第29号

1.施設栽培のトマト、イチゴで発生する病害虫や天敵に対する電解機能水利用への試み

冨川章・大久保憲秀・北上達・黒田克利

塩化カリウムを添加した蒸留水を電気分解し、強酸性水と強アルカリ性水を製造し、強酸性水を使ってトマトの灰色かび病、同葉かび病、同うどんこ病、いちごうどんこ病に対する防除効果を調べた。強酸性水を散布した時、トマト灰色かび病菌分生子では発芽阻害が、またイチゴうどんこ病菌では分生子および菌糸組織が収縮により消滅することが観察された。強酸性水を圃場で散布した時、トマト、イチゴのうどんこ病に対する防除効果は高く、トマト灰色かび病では防除に有効であった。強酸性水を使って、ワタアブラムシ、ミナミキロアザミウマ、ナミハダニ、シルバーリーフコナジラミ、トマトサビダニへの影響を調べた。さらに天敵であるオンシツツヤコバチ、ハモグリコマユバチ、イサエアヒメコバチ、コレマンアブラバチ、ショクガタマバエ、チリカブリダニ、ナナホシテントウへの影響を調べた。強アルカリ性水を使って、ワタアブラムシ、ミナミキロアザミウマ、カンザワハダニ、トマトサビダニへの影響を調べた。強酸性水処理はトマト葉かび病、害虫、天敵に対する効果はなかった。強アルカリ性水処理は、殺虫・殺ダニ効果はなかった。トマト、イチゴに強酸性水を散布したところ、トマトでは葉に局部的な白斑症状、果実にそうか症状を生じたが、イチゴでは傷害は認められなかった。

2.水稲新品種「みえのゆめ」の育成

山川智大・村上高敏・宮本啓一・橘尚明・橋爪不二夫・立松伸夫・服部英樹

三重県の水稲中生品種として、多収で品質も良く、かつ良食味の「みえのゆめ」を育成した。本品種は、良品質・良食味の「祭り晴」を母とし、多収性の「越南148号」を父として人工交配を行い、その雑種第1世代を葯培養して得られた系統の後代から育成したものである。「みえのゆめ」の成熟期は「ヤマヒカリ」と同じ「穂重型」に属する。耐倒伏性は「強」で、穂発芽性は「やや難」である。いもち病に関しては抵抗性遺伝子Pita2をもつと推定されるが、葉いもち病および穂いもち病に対する圃場抵抗性は「不明」である。外観品質は光沢があり良好で、食味は「ヤマヒカリ」並みの「良」である。
本品種は本県における中生の有望品種として2001年度から奨励品種に採用される予定である。

3.大豆の茎水分変化からみたコンバイン収穫適期の品種間差および茎水分の簡易測定法

北野順一・橘尚明・横山幸徳

コンバインによる大豆の収穫作業は、品質の低下の主要因となる汚粒の発生を軽減するために茎水分が50%以下に低下してから行う必要がある。そこで、茎水分の変化に注目した場合の主要品種のコンバイン収穫適性と収穫適期、ならびに茎水分の簡易な測定法について検討した。
エンレイ、オオツル、タチナガハ、タマホマレ、フクユタカについて成熟期後の積算気温と茎水分および裂莢率の関係を比較したところ、各々の関係には品種間差が認められた。平年の気象条件におけるコンバインによる収穫適期を成熟期からの積算気温から日数で示すと、オオツルは80~300℃・6~17日後、タチナガハは60~250℃・日で4~14日後、タマホマレは60~300℃・日で4~19日後、そしてフクユタカでは0~250℃・日で0~17日後であった。
高周波容量式大豆子実水分計を利用し現地圃場で茎水分を簡単に測定する方法を開発し、収穫適否の判断を容易にした。

4.水稲湛水直播栽培における播種後の落水管理が出芽・苗立ちに及ぼす影響

北野順一・生杉佳弘

水稲の湛水直播栽培において、播種後直ちに湛水にせず落水状態を維持する水管理による出芽や苗立ちおよびその出芽期間の土壌環境などについて検討した。
播種後の落水管理は、浮き苗や転び苗など地表面への定着不良および不安定な苗の発生を少なくし、出芽率の向上と初期生育の促進にも有効であった。
このような苗立ち時の不安定な苗の減少は、落水管理によって土壌表面が乾き固くなることによって被覆種子の浮き上がりが抑えられ、同時に好気的土壌環境が出芽と苗の根の生長も促進したことによると推察された。
落水管理での日平均地温は湛水管理より約1.2℃低かったが、土壌の酸化還元電位は常に高く保たれた。その結果、出芽は遅れたが、出芽率は向上する傾向が認められた。
落水管理の期間は、細粒灰色低地土では播種時から出芽始期までが適当であり、落水程度は圃場全体に軽い亀裂が入る程度が目安と考えられた。

5.樹体への不織布等の被覆によるカキの成熟抑制

西川豊・伊藤寿・前川哲男・森本亨

三重県のカキ主要品種である前川次郎を供試し、果実を含む枝葉部への不織布等による被覆が、果実の成熟に及ぼす影響について検討した。その結果、光透過率が60~70%の資材を用いて、着色開始期にあたる満開後100~120日頃から収穫期まで処理を行うと、晴天日の日中の被覆内温度が上昇し、無処理(露地栽培)に比較して成熟が7~14日程度抑制されることが明らかになった。また、前川次郎のほかロー19、太秋についても同様の抑制効果が認められた。

6.環境に優しい鳥害防止対策 第1報カンキツ園における鳥害の実態と防除方法の効果

竹内雅己・山上尚史・輪田健二

ヒヨドリは10月上中旬に三重県紀南地域に飛来する。山林自生の果実は12月下旬にほぼ落果するので、この頃からカンキツ園の被害が増加すると考えられる。ヒヨドリは自生林の果実のなかでは特にヒサカキとカクレミノを好むようであった。また、カンキツ品種のなかでは青島温州を特に好むが、果肉が厚い品種は好まなかった。既存の防除方法を検討した結果、鳥の視覚を刺激する蛇状機器でも、忌避物質のアントラニル酸メチルでも2週間の防止効果が認められた。また、カラオケを利用した代替餌は、カンキツ品種の中で強い嗜好を示す青島温州よりも好まれ、カラオケ利用による防除の可能性が示唆された。
 

本ページに関する問い合わせ先

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松阪市嬉野川北町530
電話番号:0598-42-6354 
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