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平成21年01月27日

研究報告第28号

1.野菜の機械移植に伴う栽培管理技術の確立

小西信幸・田中一久・礒崎真英・戸谷孝

三重県ではキャベツやブロッコリーの栽培は主に水田で行われている。セル成形苗を用いる機械定植体系の導入は省力化のために有効である。そこで機械定植体系導入のためのほ場の土質、土壌水分、畝幅と植え付け条数の違い、セル苗の定植姿勢の不良および定植後の施肥、除草管理技術を検討した。
粘質土壌の水田においては、耕起による細土率が低いと初期生育が劣り、3回の耕起で収穫物重(球重、花らい重)が最大となった。粘質土壌水田においてはキャベツ・ブロッコリーの地上部生育は1畦1条より2条の方が優れていた。特にキャベツでは、1畦1条では結球位置のずれが大きくなった。定植後の初期生育は定植時の株の姿勢に影響され根鉢を地中に埋めた方が早いが、定植から20日頃(第1回の追肥時)までに中耕・土寄せを行うと生育の遅延はみられなくなった。
水田における9月中旬定植・年明け穫りの作型の栽培では、基肥1回施用では満足すべき収量は得られなかった。また、除草は中耕により十分抑えられた。

2.イチゴにおける炭そ病抵抗性の遺伝子と選抜反応

森利樹

試験1では、種子親5品種と花粉親5品種間の交配による25組み合わせの全きょうだい家系を供試し、分散分析の結果から遺伝母数を求めた。優性分散が0.22であったのに対し相加的遺伝分散は1.60と大きく、狭義の遺伝率(h2=0.76)と広義の遺伝率(h2=0.86)はともに高かった。親品種とF1の間で親子回帰を調査した結果、見かけ上、抵抗性の低い側にわずかに優性の傾向が認められるものの、相加的遺伝効果が高いことが明らかになった。
試験2では、3組の交配後代で、それぞれF1集団から抵抗性の高い上位16%を選抜し、それらから育成したF2集団と比較し遺伝率を求めた。抵抗性の低い「女峰」と高い「宝交早生」の交配後代で最も高い遺伝率0.61が得られた。「女峰」と抵抗性中程度の「とよのか」の後代では遺伝率は0.30と比較的高く、抵抗性が最も高いレベルの実生3.3%得られた。これは、抵抗性品種を母本として用いなくても抵抗性の改良が可能であることを示している。「とよのか」と「宝交早生」の後代では遺伝率は0.04と低かったが、最も高いレベルの実生が18.0%得られた。
以上の結果から、炭そ病抵抗性は相加的効果を持つ複数の遺伝子に支配されていると推測でき、遺伝率は高い。この様な形質では、淘汰圧を加えた種子繁殖による世代更新によって、大きな遺伝的効果が期待できる。

3.茶病害虫の総合防除体系の確立 第1報薬剤抵抗性ケナガカブリダニ放飼によるカンザワハダニの生物的防除

磯部宏治・松ヶ谷祐二
薬剤抵抗性ケナガカブリダニ(野菜・茶業試験場育成系統、SEL10)を茶業センター場内の茶園に平成8年6月14日に10aあたり5000頭放飼し、平成8年3月21日から10月26日までのカンザワハダニ発生量調査の結果、慣行防除区では8月から9月にかけてカンザワハダニ密度が上昇したが、放飼区では低い密度で推移した。慣行防除区および放飼区のカンザワハダニの最高寄生葉率はそれぞれ48.9%、12.2%であった。薬剤抵抗性ケナガカブリダニの放飼は茶病害虫総合防除体系の確立に有効な手段の一つであると考えられた。

4.ウシ胚の多量確保技術の確立 経膣採卵を利用した正常卵子の多量採取と体外胚の効率的生産に関する研究

島田浩明・余田行義・西康裕・榊原秀夫

ウシ生体卵巣から卵胞内卵子を吸引採取し、体外で受精・培養することでウシ胚を生産するとともに、同一個体で短期間に採卵操作を繰り返し、ウシ胚を効率的かつ多量に生産する手段を検討した。
採卵にはウシ14頭を供試し、延べ25回実施した。その結果、計70個の卵子が採取でき、うち正常な卵子は53個であった。一採取当たりに換算すると2.8個の卵子数となり、正常卵は2.1個であった。
採取した卵子を用い、体外受精を行った結果、正常卵子53個中、移植可能胚までの発育数は14個(26.4%)であった。
同一個体において1ヶ月以内に2回採卵を実施したウシは2頭、3回実施は2頭であったが、採卵成績はバラツキが大きく、短期間に繰り返し採卵を行うことのメリットは明らかでなかった。

5.豚肉品質に関する研究

安藝博・林道明・田中稔也・市川隆久・中村雅人・和田健一

豚の品質向上のため、各種の調査、検査および試験を実施した結果、以下の所見が得られた。

  1. 胸最長筋および脂肪部分の官能検査と理化学検査との間には相関がみられた。
  2. 種雄豚の能力は、枝肉の格付けや肉質に大きく影響した。
  3. 屠場出荷前24時間以内の絶食では、胸最長筋の肉色への影響はみられなかった。
  4. 肉質の簡易測定法のうち、濾紙を用いたドリップ検査および屈折計による脂肪屈折率測定は実用化可能であることを明らかにした。

6.保蔵および調理によるモロヘイヤの成分含量の変化

藤原孝之・小西信幸

  1. モロヘイヤの成分含量は、葉身と他の可食部分(葉および葉柄)とではかなり異なった。βーカロテンおよびビタミンCの大部分は葉身に含まれ、硝酸は茎・葉柄部に、シュウ酸は葉身により多く含まれていた。
  2. モロヘイヤを異なる温度下で保蔵した結果、5℃で外観変化が少なく、さらにβーカロテンとビタミンCとも保持されることから、流通上最適な温度と考えられた。一方、1℃では低温障害の発生が認められた。
  3. モロヘイヤをゆでた場合は、βーカロテンおよびシュウ酸の変化は僅かであったが、ビタミンCおよび硝酸はゆでる時間が長くなるほど減少した。

7.Webページ開設農業者が求めるインターネット農業情報

糀谷斉・植田眞一

公的な農業関係の試験研究機関は、とりわけ直接的受益者である農業者に対し研究の活動内容や成果を公開し説明する責務があり、近年、急速に普及しているインターネットを活用した情報提供は今後ますます重要となるであろう。このためには、研究期間は農業者のインターネット農業情報のニーズを的確に把握し、有効な情報を発信する必要がある。そこで、Webページ開設農業者に対して、農業経営における意志決定に利用される情報の特徴と情報源を明らかにするためアンケート調査を実施した。その結果、インターネットWebページは、簡易に情報を入手することのできる情報源として位置づけられ、また、「新技術・新品種の情報」や「消費者、流通業者、農業者間のネットワークなどに関する情報」に対する要求が多かった。また、公的農業研究機関のWebページは、情報量が少ない点を改善することや、部分的な情報よりも体系的な情報として提供することが必要であり、また、研究結果に加えて、今後の研究方向についての情報も充実させることが重要であることが明らかになった。

8.三重県における水田農業の戦略的な展開方向

大泉賢吾

三重県下における稲作や環境に関する農家の意識の分析を行った。同時に、三重県の総合計画、農業改良普及計画、農業団体の中期経営計画の課題を整理した。そして、これらの整合性の観点から農業戦略構築の可能性を検討したが、結果としては戦略構築が容易ではないことが明らかとなったことから農家、行政、関係機関などの意識を整合する事が重要であることを示唆した。このため今後の農業の重点政策は「意識の整合」にあると考えられる。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 農業研究所 〒515-2316 
松阪市嬉野川北町530
電話番号:0598-42-6354 
ファクス番号:0598-42-1644 
メールアドレス:nougi@pref.mie.lg.jp

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