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今後生産増大が見込まれる大径材の有効利用を考える
~ 心去り平角材としての利用 ~

林業研究所  山吉栄作

◆はじめに
 県内のスギ人工林は着実に成熟し、供給される丸太の主体は柱適寸丸太(末口径16~20cm)から中・大径材(末口径20cm以上)へと移行しつつあります。そのため、中・大径材の用途拡大が今後の大きな課題であり、その対策の一つとして、中・大径材から平角材を採材し、梁桁等の中断面、大断面材としての利用を進めていくことが求められています。
 この平角材の採材においては、末口径36cm以上の大径材の場合、丸太の中心部を境にして、樹心部(髄)を含まない心去り平角材を2本採材することも可能となります。しかし、既往の研究の多くは、髄を含む心持ち平角材を対象にしており、心去り平角材に関する研究データはまだまだ少ない状況にあります。
 そこで、当研究所では、県産の心去りスギ平角材を対象に、4種類の乾燥試験と実大材の曲げ強度試験を実施しましたので、その概要と結果について紹介します。

◆乾燥試験
 図-1に示すように、県産スギ大径材の髄近辺から2丁取りした心去り平角材(断面12cm×24cm、長さ4m)168本を対象に、4種類の乾燥方法で乾燥を行いました。各乾燥方法における人工乾燥(蒸気式)の乾燥スケジュールと天然乾燥の乾燥期間を表-1に示します。


図-1.大径材から2丁取りした心去りスギ平角材

表-1.乾燥方法と乾燥スケジュール





◆曲げ強度試験
 乾燥後、3等分点4点荷重方式(下面2点で支持、上面2点から荷重)で心去り平角材の曲げ強度試験を行いました。なお、平角材を載せる下面2点の支持台間の距離は3360 mm、上面2点の荷重点間の距離は1120 mm、荷重速度はストローク制御により毎分10 mmとしました。

◆試験結果
(1)初期含水率と仕上り含水率
 心去り平角材の初期含水率は、約40~220%とばらつきが大きく、また全体のほぼ半数が含水率100%以上であり、高含水率材の出現割合が高いことが分かりました。
 ③[高温セット+天乾]と④[天乾]においては、初期含水率が200%以上の非常に含水率の高い材も含まれていましたが、最長23カ月の天乾を実施することで、仕上り含水率を全て10~20%の範囲内に収めることができました。
 ①[高温セット+中温]と②[中温]では、仕上り含水率のばらつきが大きく、特に初期含水率が100%を超える材は仕上り後も20%を超える未乾燥材が多数見られ、また①[高温セット+中温]の初期含水率100%未満では仕上り含水率10%以下の過乾燥材も多く見られました。
 よって、人工乾燥により、仕上り含水率を10~20%の範囲内で揃えるには、乾燥前に重量による選別を行い、軽い材、重い材に適した乾燥スケジュールを見つける必要があります。

(2)表面割れ及び内部割れの発生状況
 乾燥後、4材面で測定した表面割れの合計長さと、木口面で測定した内部割れの合計長さを図-2に示します。また、比較として、既往の心持ち平角材の測定結果も併記します。




図-2.表面割れ及び内部割れの発生状況


 表面割れは、心持ちの天乾において特に多く発生しますが、心去りの天乾では、心持ちの割れ長さの約1/5と少なく、天乾前に高温セットを行うことで、より発生を抑えられました。また、内部割れは、①[高温セット+中温]の心去りと心持ちを比べた場合、心去りの方が内部割れの発生が少なくなりました。
このことから、心去り材は、心持ち材に比べ、表面割れ及び内部割れが発生しにくいことが分かりました。

(3)曲げ強度性能
 曲げヤング率と曲げ強度の関係を図-3に示します。通常、曲げ強度は、曲げヤング率との間に高い正の相関を示しますが、今回は特に①[高温セット+中温]において、曲げヤング率に対し曲げ強度が著しく低いものがあり、スギ無等級材の基準強度(22.2 N/mm2)を下回るものが多数見られました。これは、①の試験体44本のうち15本が、曲げで破壊する前に、幅広面の中央付近で割裂するようにせん断破壊したことが要因ですが、このせん断破壊は、仕上り含水率10%以下の過乾燥材で多く生じました。通常、過乾燥材の場合、内部割れが発生しやすく、その割れは年輪に対して直角に入るため、心去り材においては、内部割れの入る方向とせん断破壊する方向が重なりやすくなります。また、内部割れは、心持ち材では髄近辺で寸断されますが、心去り材では連続して入るため、これらがせん断破壊を生じやすくする要因と考えられます。



図-3.曲げヤング率と曲げ強度の関係


 以上のことから、心去り材は、人工乾燥を行っても内部割れは発生しにくいですが、少量でも内部割れが発生すると、せん断破壊を誘発し、強度低下を招く恐れがあるため、人工乾燥を行う際は、過乾燥材をつくらないように十分注意し、内部割れの発生を極力減らすことが大切です。
 

本ページに関する問い合わせ先

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