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平成20年08月05日

浜島,鳥羽および南勢におけるアラメとカジメの成熟および生産

竹内泰介・松田浩一 (三重県科学技術振興センター水産研究部)

目的

アワビ類やサザエなどの重要な餌料であるサガラメとカジメの2種について,三重県沿岸の資源状態を明らかにする目的で,成熟と側葉数の推移,及び季節毎の側葉の生産数を調査した。

方法

三重県志摩市浜島地先(以降浜島)において, 2003年8月から2004年10月までの間,1ヶ月に1~2回の頻度でサガラメとカジメそれぞれ10個体をサンプリングし,側葉数の計測と側葉毎に子嚢斑の有無を確認した。また同海域において,水深3mおよび6.5mの地点に4m四方の永久コドラートを設置し,それぞれサガラメとカジメの側葉生産数の調査を行なった。調査は2003年6月から開始し,2004年11月まで行なった。生産数の算定は,両種ともコドラート内の10~20個体について標識を装着して個体識別を行ったうえで,各個体について側葉5枚毎に小孔を穿ち,その後1.5~3ヶ月毎に小孔の位置を確認することで行なった。側葉の生産が進んだ時には新たに小孔を穿った。なお南勢町葛島西岸(以降南勢)と鳥羽市菅島東岸(以降鳥羽)の水深2~3m地点でもサガラメの側葉の生産数を調査し,浜島における側葉の生産数と比較した。

結果と考察

浜島におけるサガラメの側葉数は2003年10月にピークを示した後徐々に減少し,2004年1月に最低となった。その後は徐々に増加し,6月に再びピークとなった後は,徐々に減少した。一方カジメの側葉数は2003年9月にピークとなり,その後徐々に減少し,12月に最低となった。2004年1月以降は緩やかに増加し,7月に再びピークを示した。サガラメについて,全側葉数に対する子嚢斑が見られる側葉数の割合(子嚢斑形成率)は2003年8月に4.1%であったが,その後10月から11月までは61.9~72.2%と高い値で推移し,この期間がサガラメの成熟が活発な時期と考えられた。その後は徐々に子嚢斑形成率は減少し,4月から9月には子嚢斑を持つ個体が見られなくなった。一方カジメは,2003年9月から11月までの子嚢斑形成率は67.2~75.3%と高く,サガラメより若干成熟が活発な時期が早く,また長い期間見られた。その後カジメの子嚢斑形成率は急減したものの,サガラメと異なり,ほぼ調査期間を通じて子嚢斑を持つ個体が確認できた。

浜島の側葉生産数は,サガラメでは夏季に少なく,秋季に徐々に増加して冬季に最大となり,春季に減少するという傾向が見られ,冬季の生産数は0.49枚/日と夏季の生産数0.08枚/日の約6倍であった。現存する側葉数と生産された側葉数をもとに算定した側葉の脱落数は,成熟期の直後である冬季に最大となった。カジメの側葉の生産数も夏季に最低であったが,生産数が最大になったのはサガラメより遅く春季であり,春季の生産数は0.31枚/日と夏季の生産数0.06枚/日の約5倍であった。カジメの脱落数は秋季に最大であった。

鳥羽と南勢におけるサガラメの季節毎の側葉生産数についても,ほぼ浜島と同様の傾向を示したが,鳥羽の冬季から春季の生産数は浜島および南勢より若干少なかった。したがって,1個体あたりの1年間の側葉生産数は,浜島と南勢でそれぞれ99.3枚,95.8枚であったのに対し,鳥羽では83.2枚と少なかった。一方,1年間の側葉脱落数では,浜島で86.3枚,南勢で90.4枚,鳥羽で71.9と南勢で多かった。これは南勢の冬季における側葉脱落数が他の2海域より多かったことが要因となっていた。これら3海域の側葉の生産数,脱落数の違いは,3海域の水温の違いが原因している可能性があると考えられた。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 水産研究所 企画・水産利用研究課 〒517-0404 
志摩市浜島町浜島3564-3
電話番号:0599-53-0016 
ファクス番号:0599-53-2225 
メールアドレス:suigi@pref.mie.lg.jp

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