2010年4月20日

第5回ブリ標識放流の再捕状況（速報）

水産研究部　資源開発管理研究課

結果の概要

　2006年4月26日に三重県志摩半島沖でイナダ銘柄6尾と小ブリ12尾を放流し、141日後の9月14日に熊野灘北部の贄浦の小型定置で1尾が再捕されました（表1の通り）。この再捕魚はワラサ銘柄でしたが、標識番号から4/26に放流したイナダであると確認されました。長さは46cmから56cm、体重は2.98kgに成長していました。放流178日後の10月21日には御座岬沖SW1kmの海域（漁場水深約35m）で釣りによって再捕され、この個体は3.3kgに成長していました。放流205日後の11月17日には志摩市片田定置で1尾が再捕されました。この個体は約200日で15cm成長していました。
　2006年10月17日に志摩市大王埼沿岸のイセエビ刺網（漁場水深約40m）で標識ブリが再捕されました。放流して約半年が経過し、長さは76.1cmから82.7cm、体重は7.8kgに成長していました。2007年1月5日には志摩市片田定置で1尾が再捕されました。このブリは体重10kgを越える立派なブリに成長していました。1月21日には尾鷲市早田定置から再捕報告がありました。1月5日のブリ（♀）と1月21日のブリ（♂）の生殖腺は共に未熟の状態でした。2月6日には尾鷲市九鬼1号定置から再捕報告がありました。このブリ（♀）の卵巣は1月のブリに比べて明らかに発達していました。2月15日には九鬼2号から同時に2尾の再捕報告、翌日の2月16日には和歌山県宇久井定置と大紀町の錦定置から再捕報告があり、これら4個体は全て同じ2006年4月26日に放流したブリでした。300日弱で6kg級の小ブリから10～11kg前後の大型ブリに成長していました。放流して312日後の3月4日には再び和歌山県宇久井定置から再捕報告がありました。
　2007年4月になって、愛知県小牧市の水産会社から標識ブリの報告がありました。三重県から仕入れたブリという情報だけで正確な再捕位置は不明ですが、タグの番号から2006年4月26日に放流した小ブリであること、また回収されたデータから3月29日の朝に水揚げされたことも分かりました。
　放流から4年、1400日以上も経過した2010年4月18日、高知県土佐清水市　足摺岬先端の定置網で再補されました。放流時はイナダ、再捕時はもちろん立派なブリに成長していました。

表１．2006年4月26日に志摩市和具沖で放流したイナダの再捕記録一覧（イナダ：放流時の体重1～1.5kg級、尾叉長45～49cm）6尾放流

表２．2006年4月26日に志摩市和具沖で放流した小ブリの再捕記録一覧（小ブリ：放流時の体重6～7kg級、尾叉長72～80cm）12尾放流