漁海況長期予報
2023年 4~7月までの予測
3月16~24日に、北海道から鹿児島県までの各都道県水産研究機関および水産研究・教育機構が海況・漁況に関する情報を持ち寄り、今後の見通しを立てましたので、その概要を紹介します。
(予測対象)海況および熊野灘のマイワシの漁況
*さば類とマアジは新たな予報は出していませんが、最新の情報を付記します。
海況
黒潮は大蛇行(A型流路)が継続し、熊野灘に近づく可能性もあります。
熊野灘沿岸の水温は「高め」基調で推移し、暖水の波及時には「かなり高め」となる見込みです。
【解説】 3月下旬現在、黒潮は九州東岸~室戸岬沖を大きく離岸し、潮岬沖を著しく離岸しながら南下して大王埼沖の30°N以南に達した後、遠州灘沖をS字を描きながら北上し、三宅島の南を通過して北東へ流出しています(大蛇行流路:A型)。 |
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マイワシ
14cm以上の1歳魚以上を主体に、来遊量は前年並の低水準で推移するでしょう。
【解説】
2022年12月~2023年2月期の熊野灘のまき網による漁獲量は1.6トンと極めて低調で前年同期並となり、同期過去10年平均を大幅に下回りました。
黒潮大蛇行の影響もあって、房総半島周辺~伊豆諸島が大規模な産卵場となっています。黒潮大蛇行は、今期も継続する見込みのため、熊野灘への産卵親魚の来遊は少ないと予測されます。以上を総合して、来遊量は前年並の低水準となるでしょう。
さば類
マサバは25~40cmの2歳以上を主体に30cm以下の1歳魚も漁獲され、来遊量は低調であった前年並~上回るでしょう。
ゴマサバは30~40cmの2歳以上を主体に漁獲され、来遊量は低水準で推移するでしょう。
【解説】
2022年12月~2023年2月期の熊野灘のまき網による漁獲量は177トンで、前年同期および同期過去10年平均を大幅に下回りました。マサバの漁獲主体は、1~2月は体長(尾叉長、以下同じ)34cm前後でした。また、ゴマサバの漁獲主体は、1~2月は29cm前後でした。
マサバの親魚量(4歳以上)は過去最高水準の資源量であると推定されていますが、熊野灘では前年に引き続き今期も著しい不漁となっています。これは黒潮大蛇行の影響により、来遊が極端に少なかったためと考えられます。今後も黒潮大蛇行は継続すると見込まれるため、来遊量は著しい不漁であった前年並みの低水準となるでしょう。ゴマサバの資源量は近年低水準であり、今期の来遊量も低水準でしょう。
マアジ
15~22cmの1歳魚を主体に、来遊量は前年を上回るでしょう。
解説
2022年12月~2023年2月期のまき網の漁獲量は327トンで、前年同期を上回り、同期過去10年平均を大幅に上回りました。ただし、マイワシやさば類の漁獲が低調なため、積極的にマアジが漁獲された結果である可能性もあります。漁獲主体は、12月は体長(尾叉長、以下同じ)14cm前後、1~2月は15cm前後でした。7~11月の漁況から、まき網、定置網で漁獲される0歳魚は前年を大きく上回っており、今期の漁獲主体となる1歳魚は前年を上回ると予測されます。
※ 次回の漁海況長期予報は、7月下旬頃(未定)に8~12月の予報を行う予定です。
参考サイト
我が国周辺の水産資源の現状を知るために(資源評価結果や各海域の長期予報が掲載されています)