漁海況長期予報
2023年 8~12月までの予測
7月26~27日に、北海道から鹿児島県までの各都道県水産研究機関および水産研究・教育機構が海況・漁況に関する情報を持ち寄り、今後の見通しを立てましたので、その概要を紹介します。
(予測対象)海況および熊野灘のマイワシ、さば類、マアジの漁況
海況
黒潮は大蛇行が継続し、流路はA型基調で推移するでしょう。
熊野灘沿岸の水温は「平年並~高め」基調で推移し、暖水の波及時には「かなり高め」となる見込みです。
【解説】 7月下旬現在、黒潮は足摺岬~室戸岬沖で大きく離岸した後南下。熊野灘沖の30°N付近まで達した後、御前埼沖を北上し、御蔵島付近を北東へ流れています(A型:大蛇行流路)。 |
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マイワシ
11~17cm前後の0歳魚を主体に、来遊量は低水準で推移するでしょう。
【解説】
2023年3月~6月の中型まき網による漁獲量は1トンで、前年同期(78トン)、同期過去10年平均(4,390トン)を大きく下回りました。期間を通じてほとんど漁獲されず、漁獲主体は17~23cm(被鱗体長)でした。また、3月~6月の大型定置網による漁獲量は0.6トンで、前年同期(8.9トン)、同期過去10年平均(31.1トン)を大きく下回りました。
中型まき網、大型定置網ともに3月~6月の漁獲量が前年を大きく下回ったことから、熊野灘への加入は極めて少ない可能性が高く、来遊量は低水準で推移すると見込まれます。
さば類
マサバ、ゴマサバともに30cm前後以上の1歳以上と、15~25cmの0歳魚が漁獲され、来遊量は低水準で推移するでしょう。
【解説】
2023年1月~6月の中型まき網によるさば類の漁獲量は421トンで、前年同期(8,031トン)、同期過去10年平均(20,324トン)を大きく下回りました。期間を通じてまとまった漁獲はありませんでした。3月の漁獲主体は体長34cm(尾叉長、以下同じ)前後のゴマサバで、32~40cm前後のマサバも混じりました。
1月~6月の漁況では、中型まき網において0歳魚のサバ類を主体とした漁獲が無いため、今年も加入が極めて少ない可能性が高く、来遊量はマサバ、ゴマサバとも低水準で推移すると見込まれます。
マアジ
20~25cmの1歳魚を主体に、0歳魚、2歳以上が混じり、来遊量は前年並となるでしょう。
解説
2023年1月~6月の中型まき網による漁獲量は584トンで、前年同期(309トン)、同期過去10年平均(372トン)を上回りました。4月の漁獲主体は体長16cm(尾叉長、以下同じ)前後の推定1歳魚でした。4月~6月の大型定置網による漁獲量は39トンで、前年同期(141トン)、同期過去10年平均(73トン)を下回りました。5月の漁獲主体は8~10cm前後の0歳魚と16cm前後の推定1歳魚でした。
今期の来遊量は、1歳魚は前期のまき網の漁況から前年を上回るが、0歳魚は前期の定置網の漁況から前年を下回ると予測され、総じて前年並と見込まれます。
※ 次回の漁海況長期予報は、12月下旬頃(未定)に2024年1~6月の予報を行う予定です。
参考サイト
我が国周辺の水産資源の現状を知るために(資源評価結果や各海域の長期予報が掲載されています)