現在位置:
  1. トップページ >
  2. 観光・産業・しごと >
  3. 水産業 >
  4. おさかな図鑑 >
  5. おさかな情報 >
  6. おさかな雑録 >
  7.  おさかな雑録 No.35 トウカイヨシノボリ 2010年12月16日
担当所属:
  1.  県庁の組織一覧  >
  2.  農林水産部  >
  3. 水産研究所  >
  4.  企画・水産利用研究課 
  • facebook
  • facebook share
  • twitter
  • google plus
  • line

おさかな雑録

No.35 トウカイヨシノボリ 2010年12月16日

そのヨシノボリ,ナニヨシノボリですか?

 ようやく自分で採集できた『トウカイヨシノボリ』です。図鑑やWEBを見るのと違い,現物を採って・見て記憶に焼き付けることは,知識を吸収する点で全然違います。 水産有用種は当たり前,希少魚や環境に関する調査もあるので,その知識も研究員は必要となります。#
                                        オス  平成22年9月6日撮影 

 秋の週末,指導員役として参加した溜池のボランティア調査で採集しました。どこにでもある市街地近くの溜池です。“普通のトウヨシノボリと違うなぁ,これがトウカイヨシノボリか?”と感じたものの,自信がない私。「ヨシノボリ類とまでしか分からないので専門家に聞いてみます。」と説明し,生きたまま持ち帰り,岐阜大・向井先生と三重大・淀先生に同定を依頼しました。答えはトウカイヨシノボリ。今まで間違えが多く,恥ずかしい思いをしていたので,”嬉しい!ようやく・・・”といった感想でした。
 淡水域の代表的なハゼであるヨシノボリ類の分類は難しいんです。ちなみに日本には15種のヨシノボリ属が報告されています。実はフィールドで正確に同定するのは大変なんです。体色が,容器の色や魚の興奮具合,さらに繁殖期・非繁殖期で変わりやすいことも要因の一つです。

#
                                         メス 平成22年9月6日撮影

 多くのヨシノボリ類は,海を生活史の一部とする両側回遊性ですが,近年,その陸封個体群ではなく,一生を湖沼や池沼など止水域で生活する種が知られてきました。これが厄介な存在になりつつあります。少し前まで『トウヨシノボリ縞鰭型』とされていたものから,DNAや形態・模様の精査により,『ビワヨシノボリ』と『トウカイヨシノボリ』,さらに最近になって『シマヒレヨシノボリ』が独立種として分けられようとしています。
*両側回遊:普段は川で生活,産卵も生まれも川だけど,生活環の一部で一旦海に降り,再び川をさかのぼるもの。有名なのはアユ。
*陸封:かつては通し回遊(川と海をめぐる回遊)をしていたが,回遊を行わなくなったり,海の代わりに湖などで回遊するようになったもの。有名なのは琵琶湖のアユ。

 三重には『トウカイヨシノボリ』だけではなく,『シマヒレヨシノボリ』も生息しているようです。交雑もあるようなので,更に悩ましいヨシノボリがいることになります。市民による調査や観察会レベルでは『ヨシノボリ類』でまとめてもいいけど,研究機関による調査ではそうもいかない場合も・・・。悩みの種が増えちゃいました。どれも大きくならないから,観察しにくいんです。どこにでもいる身近なヨシノボリでこれほど苦労させられるとは,トホホです。
 春になると水に親しむ機会も増えます。ヨシノボリは簡単に採集できます。1種類と思っていても,何種類も混じっていることがあるので,プラケースの横から眺めてみて,観察してみてはどうでしょう。

                               (2010年12月16日掲載 鈴鹿水産研究室)

バックナンバー一覧

 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 水産研究所 企画・水産利用研究課 〒517-0404 
志摩市浜島町浜島3564-3
電話番号:0599-53-0016 
ファクス番号:0599-53-1843 
メールアドレス:suigi@pref.mie.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

ページID:000051231