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  7.  おさかな雑録 No.76 ユウレイクラゲ 2012年11月22日
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おさかな雑録

No.76 ユウレイクラゲ 2012年11月22日

何か妙なものが付いているぞ 

 例によってまき網の選別場所で見慣れない生き物を発見。今度はクラゲです。クラゲにもさまざまな種類があり、時として漁業に影響を与えることがあります。特に要注意なのがエチゼンクラゲなどの大型クラゲで、熊野灘ではこれまで被害は見られていませんが、選別場所にクラゲが落ちていると一応種類を確認しています。

 クラゲの同定はまだ慣れませんが、まずは「口腕」という、傘の下側の部分を確認します。

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ユウレイクラゲ 傘の直径 16cm 南伊勢町奈屋浦 平成24年10月22日撮影

 このクラゲは、エチゼンクラゲなどとは口腕の形が違います。また、傘の下側に比較的強固な帯のような組織が見えます。現場では種名まではわかりませんでしたが、とにかく要注意な種ではなさそうです。一安心して、もう少し撮影を続けていたところ、

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ユウレイクラゲ 傘の直径 16cm 南伊勢町奈屋浦 平成24年10月22日撮影

 なんだか妙な模様が目に付きました。淡い紫で、クラゲにしてはずいぶん華やかだなあと感じましたが、まだそのような模様のクラゲもいるのだと思い込んでいました。

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クラゲエボシ 露出部の全長 約2cm 南伊勢町奈屋浦 平成24年10月22日撮影

 しかし、やはり模様にしては変です。よくよく見ると、なんと、エボシガイの類ではありませんか!エボシガイ類は一度基質に付着したら、あとは自分で生活の場を変えることはできません。また、エボシガイ類は種によって基質が決まっていて、手当たり次第に付着することもできないでしょう。筆者も、流木やカメについているのは知っていましたが、まさかクラゲのような軟弱な基質に付着するとは、思いもよりませんでした。確かにクラゲは表層付近を浮遊し、プランクトンを食べる生き物なので、このエボシガイは餌の確保には有利かもしれません。しかし、クラゲが丈夫で長生きとはとても思えず、かなり思い切った生活戦略だと思われます。

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ユウレイクラゲ  傘の直径30cm 南伊勢町奈屋浦産 平成24年11月7日撮影

 さて、肝心のクラゲの種名は、縁辺の切れ込みが大きく、先端が凹んだ8個、あるいは16個の突起があるように見えることからユウレイクラゲと判明しました。ユウレイクラゲも比較的大きくなるものの、それほど注意しなければいけない種ではなさそうです。ユウレイクラゲは後日再び見ることがありましたが、エボシガイ類は付着していませんでした。インターネットで調べると、いくつか記録があり、エボシガイの種名はクラゲエボシと思われました。しかし、ユウレイクラゲやクラゲエボシの生態についてはほとんど知られていないようです。

 海の中には、不思議がいっぱいだということを改めて感じた一件でした。

 (2012年11月22日掲載 資源開発管理研究課)

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大型クラゲ類の同定方法(日本海区水産研究所) PDFファイル 

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