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おさかな雑録

No.92 マサバ 2014年3月25日

突然ですが、問題です

以下の6枚の写真に写っている魚の名前を答えなさい。

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 南伊勢町贄浦 平成26年3月10日撮影

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 南伊勢町贄浦 平成26年3月10日撮影

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 南伊勢町贄浦 平成26年3月10日撮影

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 南伊勢町贄浦 平成26年3月10日撮影

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 南伊勢町贄浦 平成26年3月10日撮影

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 南伊勢町奈屋浦産 平成26年3月10日撮影

 さて、なぜこのような問題を出したか、ご説明します。

 ここのところ、まき網で大型のマサバの水揚げが続いています。
 マサバの主産卵場は伊豆諸島近海で、産卵盛期は4月です。産卵の準備が整った成魚は産卵回遊のため、2~5月までは伊豆諸島を目指して黒潮内側域に南下します。そして近年マサバ資源は増加傾向にあり、産卵親魚の資源量もかつての低水準期から脱して、伊豆諸島海域へのまとまった来遊が期待されています。熊野灘においても、今冬春季のマサバは大型魚を主体にまずまずの漁況となっています。

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 南伊勢町贄浦 平成26年3月10日撮影

 そしてまき網の選別場所でちょっと気になることが起こっています。ゴマサバの中にマサバが混じっているのです。小型の場合は主に餌用として扱われるため、区別せずにゴマサバとして水揚げされてしまうことは理解できますが、大型のマサバはゴマサバより良い値がつくはず。これではもったいないと思い「これ、マサバが混じっていますよ」と選別している人に声をかけました。すると、返ってきた答えが、「これは「あいごま」やで」とのこと。ちなみに、産地ではマサバのことを「平(ひら)さば」、あるいは「平」、ゴマサバのことは、「ごまさば」、「まるさば」、「ごま」と呼んでいます。
 「あいごま」とは、ゴマサバのようなマサバ、あるいはゴマサバとマサバの交雑個体を指すようなのですが、「あいごま」にされている魚は筆者にはマサバにしか見えません。選別している人も、「俺も「ひら」やと思うんやけど、仲買が…」と、煮え切らない様子。これは、ゆゆしき問題だと直感しました。買う側との基準が異なっていては、産地での選別を完璧にしても問題が解決しません。買う側である仲買人をはじめ、卸売場関係者、小売店、そして消費者にも、正しい見分け方を理解してもらう必要があります。

 そこで、まず、どのような魚がそれぞれ「ゴマサバ」、「マサバ」と判断されやすいのか、身近な研究所職員10名の協力を得て写真による調査を行うこととしました。その結果、写真1~6番の順に、3人、4人、3人、6人、5人、9人が「ゴマサバ」と判断していました。出題者としては典型的なマサバから、ゴマサバと紛らわしいものまで並べたつもりでしたが、意外にも全員が「マサバ」と答えた個体はありませんでした。一方で、体側腹側に斑点があるものは「ゴマサバ」とされやすい傾向が伺えました。

 ゴマサバとマサバの判別については、中央水産研究所による「マサバ・ゴマサバ判別マニュアル」という冊子にまとめられています。それによれば、尾叉長50mm以上の個体においては、「体側中央部の、たがいに不連続で、体側背面から延びる縞状模様と独立した縦走斑」の有無が第一の基準で、縦走斑があればゴマサバ、なければマサバとなります。これが不明瞭な場合、第1背鰭の1~9棘の基底長を尾叉長で割った判別指数が0.12以上でマサバ、0.12未満でゴマサバとなります。このマニュアルをより簡易にしたのが、 以下に示す、(独)水産総合研究センター作成「マサバとゴマサバの見分け方」下敷きです。

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 これらに従えば、上に示した6枚の画像の全てで、「魚体の側面に並ぶ黒い斑紋」は背中から延びる縞模様から明らかに離れていないものと判断されます。3、4番目の画像ではやや紛らわしいようですが、よく見れば縦走斑と体側背面から延びる縞状模様とがつながっています。よって、上に挙げた画像の個体はすべてマサバと判別されます。

 ここで重要なのは、実験台となった職員たちがゴマサバと判断する際に着目していた体側腹側の斑紋については、「マサバ・ゴマサバ判別マニュアル」では全く基準とされていないことです。

 今回の問題解決のためには、産地から消費者まで、まずはマニュアル通り、「体側中央に縦走する、背面の縞模様とは連続しない斑紋に着目する」、「紛らわしいものは背鰭を確認する」に加え、それ以前に「余計な形質にはとらわれない」という意識を定着させる必要もあります。現場へ出させていただいているものとして、筆者の今後の活動目標に掲げたいと思っています。また、小欄ご愛読の方々にも、実践及び普及方よろしくお願いしたいと存じます。これまで信じていたこと、すなわち固定観念を打ち破るということになるかもしれませんが、なに、心配は無用です。筆者も5年前に同じ道を通っていますから。

(2014年3月25日掲載 資源開発管理研究課)

 筆者の憶え違いから「あいごま」を「ごまひら」にしていた部分を修正(同年4月7日)

参考資料「マサバとゴマサバの見分け方」下敷きのコピー (1.26MB)

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