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第70回みえ県展 審査評

 

日本画部門審査評

 精魂込めて描かれた応募作品を一堂に、今年も日本画部門は独特の緊張感に包まれながら、厳正な審査をさせていただいた。応募数は80点。今年からあらたに実施された応募規定の改定もあって、昨年より9点出品数が増えている。全体の内容、レベルのいずれも高く激戦で、やむを得ず僅差で入選を逃した残念な作品も多くあった。
 描かれたテーマは、伝統的な日本画の花鳥画をはじめ、愛しむ身近な風景や移ろう季節など、三重の豊かな自然を描いたテーマが多く、今年も本展を特徴付けている。さらに、現代の社会や時代を映した若々しいテーマの作品や、水墨の力作が増えたことも、今回の話題の一つと言えよう。

 審査の結果、出品数80点中33点が入選し、「ことばいづる処」が最優秀賞を受賞した。この作品は、あたかも顕微鏡を覗いたかのような、未知の不思議な造形が描かれ、見る者を自由な想像の世界へと誘い魅了して止まない。水墨画の技法を駆使した優作である。
 優秀賞(三重県議会議長賞)の「風蘭の詩」は、主題の蘭を極めて写実的に描き、一方背景の木や空は抽象的に描き分けている。目に見えない風を描き、濁りのない美しい色合いが、清らかで華麗な花をより際立たせていた。
 同じく優秀賞(三重県教育委員会教育長賞)の「土用干し」は、夏の土用、梅干し作業で見つけた一瞬の感動を映したものだ。光と影を主題に、竹笊に乗った小さなカマキリも、作品を作り上げるための、名脇役に見えてくる。

 これらを含む、受賞された選りすぐりの9作品は、確かな表現力に加え、作品の中から湧き出てくるようなエネルギー感に溢れていた。それは、作品に託した、作家達自身の内なる強い思いに違いない。是非とも次回も、力作、意欲作が数多く増えて出品されることを、心から期待している。
日本画部門審査主任 浅地 豊
 

洋画部門審査評

 今回より制限サイズが小さくなったためか、応募点数は昨年比26点増であったが、他部門との調整の結果、展示面積がやや縮小されたため、入選数は昨年とほぼ同数の79点を目処にとの報告を受け、入選作品を選んだ。審査員3名は共通して、作品の熟達度だけではなく、描くことへの素直な喜び、対象への愛情の確かさなども重要視したが、残念ながら数の制約により入選が叶わなかった作品が少なからずあったことを記しておきたい。

 最優秀賞「少年よ、大志をいだけ」は、東京駅とスカイツリーで示される現代の東京に、新聞の描写が刻々変化する世界情勢を伝える中に少年が立ち、未来への希望と不安が少年の眼差しに託されているようであり、現在への批評性の確かさが評価された。
 優秀賞「森の観音様」は掻き落としによる素朴で丹念な描線が微妙な色の重層を生み、同じく優秀賞「刻の調べ」も、時が刻まれたギリシャ彫刻が立体的なマチエールで造形され、いずれも重層する時間を表象させる優れた表現であった。
 岡田文化財団賞「今更」は、身近な事物の集まりが、小さな色面のモザイク状に分節され、執拗な細部描写と全体の色彩の統合との微妙なバランスが独自の魅力を放っていた。
 中日新聞社賞「津の街 美杉町 2019」は大画面の木版の表現に確かな技術と街並みへの愛情があふれ、三重県市長会長賞の「稍の夜香」は雨の夜の煌めく光と湿潤な空気を描き出す熟達度が評価された。
 すばらしきみえ賞「ブリッジ(船橋)」は海洋に漕ぎだす舟がタテ構図に大胆に切り取られて、地域の誇らしさを感じさせ、またfor your Dream賞「肉」は商品として価値づけされた肉の諸相にリアルさの在処を尋ねる新鮮さ、自然の恵み賞「つづらおる」はパステルの微妙で多様な色相と石垣の積層との優れた統合が評価された。

 受賞候補作品の選定から最終の賞の決定まで、全て協議によって進めた点が、今回の審査の特徴であったことも付記しておきたい。
 
洋画部門審査主任 中谷 至宏
 

彫刻部門

 彫刻は素材に対する技術に束縛されることも多く、また近年その素材も多岐にわたる故の不自由さからか、例年出品数は少ない。本年は20点と昨年より若干増えているが、他の部門に比べて格段に少なかった。しかし全体に意欲作が多かったように感じられた。入選のうち半数は、審査員全員が一致した作品で、入賞についてもほぼ異論なく順当に決まった。

 最優秀賞「親分」の鈴木良治は、久しぶりの入賞である。流木を使った制作は以前と変わらないが、その大きさとまとまりの良さ、つまりは彫刻本来のマッスやヴォリュームをしっかりと見せる作品に好感が寄せられた。
 優秀賞の前川忠は昨年の入賞者であるが、全く作風の異なる「つかの間」は、様々な素材をひとつにし等身大の大きさに仕上げた力量にしろ、全体に漂う不思議な印象にしろ、眼を見張るものがあった。
 常連の人々に混ざって、新人奨励の意味をもつ岡田文化財団賞の山田絢子「C.S.T <気> PLEASANT COMPOSITION」は、作品そのものに加え、タイトルの不思議さが興味を駆り立てるものである。構成を主眼にしたものであり完成度は高いと思うが、その狙いが判然としないのは残念である。
 全般に大きな作品に目がいったが、for your Dream賞の伊藤薫「君を待つ」は小さいながらも清廉な印象で、しっかりまとめられた作品であり、中日新聞社賞の森本紗月「人魚姫物語」は、大理石をあつかう技術が申し分ないものであった。
 
彫刻部門審査主任 寺口 淳治

工芸部門審査評

 今年の工芸部門出品作品は前回より7点増え、77作品となった。 その中で入選は46作品。 今回も陶芸を多く数える事ができたが、染織・木工・人形・金工等近年の傾向を踏襲する様に素材が多岐に及んでいる。 比較的審査段階での意見のバラツキは見られず、出品作それぞれが完成度を含めレベルの高いものであった。

 最優秀賞の木工作品「栃拭漆文箱」(作:二宮邦彦)は、制作者の技術的な熟練度も然ることながら、全体バランスに対する木目の活かし方や微妙な曲線の上面の膨らみが存在感を高めていた。 優秀賞(三重県議会議長賞)の陶芸作品「泥彩ペンライン象嵌壺」(作:伊藤佑)は、素地の表情と全体に施された線彫をより際立たせていた象嵌の白が、落ち着いた雰囲気を漂わせている。 優秀賞(三重県教育委員会教育長賞)の木工作品「春のささやき」(作:廣瀨典子*)は、組み合わせたベースのパネル内に様々な種類の木材料を駆使し、細かな表情まで手を緩めることなく、確りと画面構成を構築していた。 三重県町村会長賞の陶芸作品「和」(作:小坂洋子)は、7点のそれぞれ大きさや表情・釉薬を変え、配置・構成により調和を図っている。 岡田文化財団賞の陶芸作品「きゅうすたち」(作:赤繁容子)は、器体の違いと焼きの変化を並べ展示する事により、作品其々の表面装飾を動きに似た表現に変化させている。 中日新聞社賞の陶芸作品「青瓷 組鉢(6枚組)」(作:木村将人)は、熟練の技と澄み渡った釉薬の冴えが貫入に施された少し抑えられた色染めにより、華美になり過ぎない物となっている。 すばらしきみえ賞の染織作品「神気」(作:伊藤佳子)は、淡い色に墨色の暈ぼかしが宝珠を握る龍の幽玄をより象徴的に表現している。 for your Dream賞の陶・木複合素材作品「絆」(作:赤塚敬一)は三体がほぼ同型の胴に表層の色の組み合わせや表情を変え、個々の関係性を表している。 自然の恵み賞の四連屏風「風に舞う」(作:倉田美道)は細かな刃の運びが伝統を感じさせ、全体の大きな図柄と各面の細部の作り込みが色使いと調和している。

 各素材の特性を各作家がよく把握し、作品に対する意識の高さを感じ、今後の作品作りに期待させる今回の県展工芸部門であった。 より多種多様な作品の応募により、一層の展覧会の発展を望む。
 
工芸部門審査主任  八木  明
*廣瀨典子の 廣は广に黄
 

写真部門審査評

 70回目を迎えた本県展のなかで写真部門には、前回よりも数多くの応募点数が寄せられた。表現ジャンルも多様で、家族の肖像や風景、祭事や海外に取材したもの、さらにはネイチャー・フォトや画像処理を施したデザイン的な仕事まで多様な表現に出会えた。公開審査では、今回もまた数多くのギャラリーの熱い視線を背中に感じながらも、完成度の高い作品群を前にして、審査員一同、審査を楽しむことが出来た。
 今回も展示スペースが限られることから、入選作品を絞らざるを得なかったが、それでもテーマや対象に対して、素直に向き合う姿勢が確認でき、また、応募作品の明暗や色調、構図にも破たんはなく、応募作品の表現レベルが確実に向上していることが窺えた。
その一方で、全体の印象としてはどこかマンネリ化や、物足りなさを感じたことも事実である。表現の幅を広げ、さらに質を高めるためには、テーマ設定や対象の選び方に関して、もう一歩踏み込んだ工夫や新たなものの見方が必要となろう。

 最優秀賞を獲得した作品「夜の訪問者」は、秋の夜家の明かりに寄せられて窓に張り付いたヤモリを取材したもの。窓の向こうの漆黒の闇と室内の白いカーテンによって画面を構築し、描写しているものはガラスに張り付くヤモリの腹だけ。だが、それに対応するかのように画面左下には撮影日時のデータが赤い文字で表記され、そのことが日常生活の中で取材した、〈日々是写真〉を想わせる好ましい作品であり、審査員全員の票を集めた。

 その他、優れた表現も多く見受けられたが、敢えて注文を付けるとすれば、撮影者自身と社会との関係を探るようなアプローチも見てみたかった。審美的な〈絵づくり〉もさることながら、写真本来の機能を意識した対象との関係についても今後、挑戦してもらいたい。そうした意味では単一作品としてだけではなく、〈組み写真〉や連作としてのテーマ設定にも取り組んでいただきたい。
 
写真部門審査主任 竹葉 丈

書部門審査評

  出品点数が増えたことは嬉しく思います。
書の分野は島谷弘幸、樋口鈴峰両先生と小生が審査を担当させていただきました。陳列スペースの関係上、やむなく約半数の選外を出さざるを得なく、優劣の線引きが紙一重だけに身を切られる思いでありました。
 100点の入選者はそれぞれの個性を発揮した作品であったと思います。
 その中から9点の入賞者を選定致しましたが、書の基本と、それぞれの個性が見て取れる作品であったと思います。
今後の励みの材料として、受賞者の作品評を加えておきますので参考にしていただければと思います。
 
・百地拓窓(最優秀賞)/力強く、骨格のある線で調和体を書き、大小字とのバランスも佳く、読みやすさもあり、調和体の姿としての価値のある作。
・村林龍鳳(優秀賞 三重県議会議長賞)/北魏の楷書を表現した力強い線筆と造形感が一致した、気の入った作。
・熊野明美(優秀賞 三重県教育委員会教育長賞)/線筆の強さとリズム感が見事であり、文字の上下関係の配置も一貫性があり見事な作。
・豊田真苑(三重県町村会長賞)/篆書の造形感を活かし落ち着いた線筆で、安定感のある作。
・中川琱雲(岡田文化財団賞)/篆書に少し隷意を入れた作であるが、横幅を一定にし、縦の間をうまく調節した緩やかな嫌みのない表現になっている。
・喜田紅雲(中日新聞社賞)/筆先を活かし、自在な境地で行草を表現している。動きの中の余白の働きもおもしろい作。
・小山美笙(すばらしきみえ賞)/行草体の心地よいリズム感を得て、大小、緩急の妙を得た作。
・三ツ岩こころ(for your Dream賞)/仮名の本来の姿をふまえ、起承転結の構成とリズム感、また余白の美しさを活かした17歳とは思えぬ作であった。
・西村皋風(自然の恵み賞)/筆圧の利いた線と、余白を活かした最小限の線で表現した作。
 
 それぞれに持ち味を活かした入賞作であり、三重県の書道のレベルの高さを感じさせるものになった。
 若い人が受賞したこともあり、今後も大いに期待したい。
 
書部門審査主任 星 弘道






 

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