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志摩市絵かきの町大王・美術ギャラリー体験レポート
2022.3.9公開

 
 志摩市に合併された旧・大王町には、風光明媚な絶景・名勝が数多くあり、大王埼灯台など、「絵になる風景」に事欠きません。そのため、明治の終わり頃から多くの画家が風景のスケッチに訪れ、いつしか、「絵かきの町」と呼ばれるようになりました。最近は感染症のため多くが自粛されていますが、3年前までは、絵を志す人なら一度は訪れたい名所として、プロアマ問わず多くの画家が全国から集まり、また県内外の美大生のスケッチ旅行や学校美術部の合宿の目的地になってきました。
 
 平成8年、旧大王町は、絵のモデルとなる町内の風景、絵を描きに訪れる画家たち、そして風景の中で画家たちを受け入れる地域の住民たちを、文化として大切にすることを誓った「絵かきの町宣言」をしました。宣言は合併後の志摩市が継承しています。
 
 その宣言に基づく事業の中心となる施設が、今回ご紹介する「志摩市絵かきの町・大王 美術ギャラリー」です。

 
大王埼灯台と大王にある産屋坂(おびやさか) 提供:志摩市観光協会  
 
 
<目次>

大王大賞展と町における創作活動について
(2階)ギャラリー
(3階)平賀亀祐記念館

館の概要


 

大王大賞展と町における創作活動について


 「絵かきの町・大王」のメイン事業が「大王大賞展」です。令和4年2月に同館で開催された第13回大王大賞展作品展に行ってきました
 
 どこに居住していても参加できる公募展です。全国から画家が訪れる町だけに、応募者の住所は全国に広がります。こちらは今年度「第13回」の入賞者ですが、三重県と近隣の府県に加え、神奈川、茨城、鳥取という県名も見られます。
 
 絵画コンテストは、宣言の翌年、平成9年から隔年で開催され、今年で25年の歴史を重ねました。出展作品のレベルが年々上がり、今や、外部から招聘する審査員の先生たちが舌を巻くほどになりました。先生方は絵画の専門家として様々な地域の絵画コンテストの審査員を引き受けていて、各コンテストのレベルを体感している人たちです。
 
 応募には、志摩市の風景や文化を描くという条件があります。旧大王町時代は、大王町のことをテーマにする必要がありました。明治・昭和と違い、ネット等で題材を探すことが可能になった現代でも、多くの応募者が、実際に大王町に訪れてスケッチなどをするそうです。制作作業は自宅で行うとしても、最初に画家自身の目で風景を捉えます。そこから、他の誰でもない、芸術家自身の個性を込め作品を制作します。元々、多くの画家を魅了してやまなかった大王町の風景です。それを描きに来た画家たちの作品に、当然、良い影響を与えます。そして、力のある画家がこのコンテストに挑戦した後、次回もさらに高い賞を目指し再挑戦する例も多いそうです。そんな歴史を重ね、レベルが上昇し続けています。
 

第13回大王大賞展 大王大賞受賞 生川朋義さん「暁光にうかぶ」
 三重県津市在住の生川さんは、第12回の「三重テレビ賞」をはじめ入賞の常連で、今回ついに最高賞の大賞を受賞しました。

 
 
 大王大賞展には、「ホープ賞」という名の若手枠があります。「40歳以下」が同賞の条件でした。第13回から学生部門を創設しました。今回、40歳以下の枠の1名入賞のほか、二人の大学生が「ホープ賞」を受賞しました。
 
 今回、高校生の応募が増えたそうです。大王町(志摩市)を訪れて絵を描く若者を応援し育てる狙いが的中した形です。そういった計画は、同展を主催する「絵かきの町・大王 実行委員会」で話し合われて決まります。委員会は地元の有志で構成され、「絵かきの町宣言」の理念を実現するため活動しています。
 
 スケッチ旅行の目的地らしい粋な計らいとして、同展の上位入賞者には、賞金に加えて、志摩市内で使用できる宿泊券が副賞として贈呈されるのですが、ホープ賞学生部門では、賞金に代えて、全国で使える旅行券を贈呈します。実行委員会の中村滋会長は、「大王町以外の土地も含めてスケッチ旅行に出かけて、絵心をさらに育ててほしいと願っています」と話してくれました。
 
  
ホープ賞(学生限定)の入賞作品2点
 
 
 今回、ホープ賞以外にも、高校生が二人「秀作」として入賞しました。
 
  
高校生の作品
 
 
 審査は3人の絵画の専門家によって行われますが、そこに、「絵かきの町・大王 実行委員会」の中村会長も審査員として加わっています。中村会長は絵画を専門的に学んだことはありません。珍しい例ではないでしょうか。
 
 第一には、「地域を描く」というテーマを満たした作品かどうかを、地元に詳しい人が判断するためです。絵画の質とは別の形式面の問題です。しかし、地域の絵画文化を育む目的からは、「地域の風景、風俗などがどう描かれているか、特性をしっかり捉え、その上に個性を乗せられているか」という視点も不可欠だと、中村会長は考えています。形式だけではなく、地元の人を納得させられる描き方ができているか、中身の審査に踏み込むことになります。専門家たちもそのことを理解し、内容に関する中村会長の審査員としての意見も尊重して審査が行われるそうです。
 
 そんなところに「絵かきの町」独特の文化を感じました。「芸術が盛んな町は数多くあっても、大王町のように、町と絵画文化が一体となっている地域はなかなかないと思います」と、中村会長は胸を張ります。
 

銅賞の板野和郎さん「晩秋・大王崎」。中村会長は「この風景、いつも私が生活で通っている道です。道沿いにずらっと画家が並んでスケッチしているのをよく見かけます。ここで描かれている夕焼けの色がとてもしっくりくるんです」とのことでした。
 

 大王大賞展の優秀作品は志摩市が買い上げ、市内各地で展示されます。志摩市(大王町)の風景や文化を切り取って高く評価された絵画ですから、市(町)の文化や観光の振興の大きな武器となっています。
 
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(2階)ギャラリー   


 2階の展示室では、ギャラリー所蔵の絵画や写真を活用した企画展のほか、志摩市にゆかりのある作家を紹介するための企画展など、年間を通して展覧会を開催しています。また、地域で制作活動している個人や団体の発表の場としても提供されています。
 
 同館最新の企画展の情報は、志摩市のホームページでご確認ください。
 
 
 2階企画展示室
 
 
 令和4年3月21日までは、ご紹介してきた「第13回大王大賞展作品展」が開催されています。リンク先で詳細をご確認ください。
 


作品展の期間内に展示されている、金賞の城野秀世さんの「休日」。城野さんはなんと93歳だそうです。
 
 
 なお、令和4年3月24日~5月16日には、県ホームページで「文化びと」としてご紹介している塩本幸子さんが、「Sachiko&kuncit(サチコ アンド クンチ)」の名義で共同制作するパールアートの作品展、「世界を旅する絵画展―Sachiko&kuncit―」が開催されます。

  


 百聞は一見に如かず、やはり芸術はご自身の目で見て真価を確認するのが一番です。ぜひ「絵かきの町」をご堪能ください。同館は入場無料です。観光などでお立ち寄りの際には、同館をコースに加えることをお勧めします。

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(3階)平賀亀祐記念館


 同館の常設展にあたるのが、3階の平賀亀祐(ひらがかめすけ)記念館です。
 
 亀祐は、明治22年(1889年)に志摩市に生まれ、移民としてサンフランシスコ美術学校に入学して絵画を学んだ後フランスに渡り、ピカソと並ぶキュビズムの祖とされるジョルジュ・ブラックと親しく交わるなど、二度の大戦を含む激動の時代に海外で画家として活躍しました。
 
 昭和40年には第一回三重県民功労者表彰の受彰者となっています。
 
 同館では、作品の展示とともに、移民として働きながら絵を学んだ苦学の様子や、外国で出会った家族・友人との交流など、彼の人となりが詳しく解説されています。かなりユニークな人物だったことが窺われて、とても興味深い展示でした。

 

 
                                                                    (目次に戻る)


 

館の概要


志摩市絵かきの町・大王 美術ギャラリー
志摩市大王町波切3234-2(志摩市役所大王支所に併設)
三交バス大王支所前下車
0599-72-4336

9:00~17:00(最終入館は16:30まで)
休館日 火曜・水曜(祝日の場合は開館)・12月28日~翌1月4日休館
入場無料
 
県HPでのご紹介はこちらから



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本ページに関する問い合わせ先

三重県 環境生活部 文化振興課 〒514-8570 
津市広明町13番地
電話番号:059-224-2176 
ファクス番号:059-224-2408 
メールアドレス:bunka@pref.mie.lg.jp

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