「膝づめミーティング」(東紀州地域)の概要
1.開催日時
平成18年7月10日(月)
14:30~17:30
2.開催場所
県尾鷲庁舎大会議室
3.出席者
尾鷲市長、熊野市長、紀北町長、御浜町長、紀宝町長、知事 ほか
東紀州地域の「膝づめミーティング」
4.知事挨拶
膝づめミーティングは今年4回目ということになります。まずはご出席して頂きましたことにお礼を申し上げますとともに、県政最大のパートナーとしての皆様のご理解とご協力に対し厚くお礼を申し上げたいと思います。合併が進展しまして、先般津地域で膝づめミーティングを開催しましたが、合併により津市だけとなり、伊賀地域といっしょに開催をしたわけですが、伊賀市、名張市の三市ということで、大変様変わりしたと感じています。今年は「県民しあわせプラン」戦略計画の最終年度であり、3年間の総仕上げの年になりました。あわせて次期戦略計画の策定も進めているところです。この膝づめミーティングにつきましても、基礎自治体の長である皆様方の忌憚のないご意見を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それから東紀州地域のことについてですが、本日は4月から設置しております東紀州対策局の局長も同席しております。東紀州課題というのは田川県政、北川県政の残された最も大きな課題の一つだと認識しています。幸い県議会におきましても、東紀州地域選出の県議会議員の方々もそうでありますが、全ての地域の県議会の皆さんが東紀州地域の課題については認識を深めておられ、県議会がまとまって東紀州対策が必要だと進めています。それだけに知事になってからいろいろな観点で東紀州地域の今後の政策の方針決定、事業の意思決定といったことについては、このような県議会の雰囲気もあり、いくつかの事業をやらせて頂いたと思っております。前々から私はこの地域を知っているだけに、これまでの間にいくつかの意思決定を行ってきたと思っています。
特にこの地域におきましては、着々と熊野尾鷲道路の工事が目に見えて進んでおりますが、平成 19年には三木里までの間が供用開始の予定でありますし、熊野まで40分くらいかかっている時間を15分くらいに、距離も非常に短くなります。また、今日ここへ来るのに1時間40分くらいですが、高速道路が完成しますと、熊野までなら1時間半くらいで行くのではないでしょうか。これを平成25年のご遷宮までになんとかしたいという思いで、国とも相談しているところです。しかし、三重県は500億円前後負担しなければならない、これは県にとって大変なことでありますが、まずは「命の道」を早期に、時間限定で取り組んでいる状況です。
それから熊野古道センターについてですが、先般6月に来た時に現場を見てきました。約1万本の尾鷲檜を使用しています。柱の長さをずっと繋いでいくと、25kmにもなるそうで、それを聞いただけでもびっくりしました。建築学的には非常に注目されるものでありますし、また、熊野古道を全国に発信する拠点にもなります。さらに、地元で活動されている方々の拠点にもなるのではないでしょうか。来年の2月に完成しますので心待ちにしています。
それから今現在、紀南交流拠点整備について、事業者の公募を行っており、来年には工事にかかってまいりますが、これも平成21年度中には完成する予定でおります。
防災拠点につきましても整備を行っており、本年度にヘリポートの整備等が終了する予定です。紀南地域については今年から本格的に工事が始まっているところです。
そういう事からこれまでと違い、東紀州地域の将来が非常に見えてきたと思っています。昨日県議会の萩野副議長が非常にいい指摘をしてくださったのは、そういう日程が見えてきただけに、それを活かしてどのようにするのかしっかり取り組みたい。高速道路ができ、それがストロー現象になり過疎がより進むということがあってはならないので、地域の課題は地域での取り組みが重くなるということを言っていただきました。まさにこれをどう活かしていくか、ということを今後地域の皆さんに取り組んでいただきたいと思いますし、それを支援していきたいと思っております。
なお、今年は11月18日から3日間、第17回日本ウミガメ会議というのが開催をされるということです。参加者は300人を超えるということも伺っています。今後もこういった事業も含めて是非、地域の活性化に取り組んで頂きたいと思います。
県政の課題等について少し申し上げたいと思います。資料の1ページを見て下さい。
県では、右側の時代認識の下に「地域主権の社会の確立」とありますが、まさに分権が進められようとしており、主体的に自分達の地域の取り組みとして考え作っていく、地域主権の社会というものを目指しているところです。今現在の県政の枠組みを図示したものがこの図であり、県政については今大きな新しいステージに変わってきていると思っています。人生の舞台づくりということですから、誰のため、何のためということを常に振りかえり考えながら、どのように作っていくかということを、県民が舞台の上で舞うわけですから、県民が主役であり、そして舞台づくりですから、行政の助けがあって県民の皆さんと変えていこうということで、県民との協働のためには県民の思いをしっかり受けとめなければなりません。そういうことで県政の中で県民と共に感性を磨いていくということが大事だということの三つの基本姿勢を持って、どのようにするかということを展開してきたところです。
どういう三重県をつくるかについては、総合計画「県民しあわせプラン」の具体的な戦略計画、実施計画に基づいて行っています。これが本年度で最終ですので、次期の戦略計画を現在策定中です。右側にどのようにというのがあります、ここでは国、県、市町、県民、こういったものが一緒になり、その中で地域主権の社会の確立のために、まずは分権化を推進していかなければなりません。これは国に対して地方6団体でも、いろいろと要請をしていますが、思うようにいっていない、あるいはごまかしの、だましの部分も出てきております。しかし、これはしっかり国に対して要請していかなければなりません。
一方、われわれ地方にとりまして、県だけではなく市町も同じですが、行政能力を高めて、分権化に向けてしっかりやっていく、自ら考えて取り組んでいく能力を高めていく、ということが必要であります。それから併せて地域主権の際に常に強調しておりますのが、県民の皆さんに「それぞれ自分にできることは自分でやってください」、要するに甘えるようなことは当然やめてください。したがって、自分でできることは自分でやり、できないことは家族で支えあい、そして地域で支えあう、そしてその上で基礎自治体としての市・町が、そして基礎自治体ができないことを県が補完し、県ができないことを国が補完するという補完性の原理をしっかり持っておかなければ地域主権の社会は確立できない。それがベースとなるものだと思っています。県では行政能力を向上させるという意味から「みえ行政経営体系」というものを整備しており、平成16年から運用しています。これは継続的に回転をしていかなければいけません。中身としては継続的な全体最適化であり、ベースには危機管理や環境マネージメント、経営品質向上活動を置き、そして管理職は率先実行取組というかたちで自分のミッション、その進行管理を行っていくということで進めています。併せて非常に財政の厳しい中、人件費の削減等も強く言われている中で、より資質の高い人材を育成していくということも大事なことです。
そこで、その下に「新しい時代の公」とありますが、どのようにという仕組みにつきまして、これまでのニューパブリックガバメントというような行政経営は、どちらかといえば行政内の改革という観点が強かったわけです。今、三重県が取り組んでおりますのは、むしろ県民との協働という県の行政のシステムの中で、弱っているところを追求していく、すなわちガバナンスというのを全面的に打ち出して行政の仕組みの中に入れていこうということです。これが「新しい時代の公」、ニューパブリックガバナンスということになります。これは既に平成16年から取り組みを始めまして、さらに磨きをかけてグレードアップをしています。このガバナンスの仕組みということが当たり前の仕組みとなるように、これからもやっていかなければならないということです。
それからその左側に「文化力」というのがあります。これにつきましては5月に「みえの文化力指針」というのを策定させて頂きました。2ページに「みえの文化力指針」のポイントというのがあります。今いろいろな社会のひずみ、それから成熟化という中で、行政というのが時代の変化に対応できない。対処療法的なことではなかなか社会のひずみが解決できないというように感じられることが多いと思います。そこで、漢方薬的な中長期的に社会全体の体質を変え、健康を取り戻すようなそういうものを政策のベースにはできないかということで、「文化」というところに注目をしました。「文化」というのは広い意味での文化で、ここに太字で書いてありますように、「生活の質を高めるための人々のさまざまな活動及びその成果」と定義し、そのうえで「文化の持つ、人や地域を元気にし、暮らしをより良くしていく力」、また、「人や地域が持っている人々を引きつけ魅了する力」という総合的な力を「文化力」ととらえ、政策に生かしていくこととしました。
そして、心豊かに生きるための一人ひとりの力「人間力」、それから、たくさんの人が集まって地域の魅力や価値を高める力「地域力」、あるいは、新しい知恵や仕組みを生み出す「創造力」、この三つの側面に着目をし、これを全ての政策のベースに位置付けて、これまでどちらかというと経済的な側面、ものさし、合理性や効率性といったことに偏って判断されてきたものを、発想を転換して「文化的価値」にも着目して政策を見直そう、経済と文化のバランスのとれた政策に転換して進めていこうというものです。下に書いてありますように、「文化力」で何を目指すのか、三重県は資源、地域の文化というものをたくさん持っています。このような文化、資源を活かして「文化力」でこころを元気に、地域を元気に、そして産業も元気にしていこう、そして未来については、歴史と文化のいきづくこころのふるさと三重、暮らしを楽しむ三重、知恵が響きあう三重、こんな三重を目指したいと考えています。
3ページを見て頂きますと、県の職員がどのように政策を立案していくかということで、職員向けの政策ツールとして作ったものですが、考え方としては県民の皆さんと共有して取り組んでいかなければならないと思います。政策ツールとしては真ん中に点々の枠がありますが、その中に三つの「わ」というのが書いてあります。一つ目はストックの活用・循環、二つ目は交流・連携、三つ目は多様性と調和、というところに視点を持ちますと、下のマトリックスの表がありますが、九つの構成に展開ができるということです。その中でそれぞれの政策を考える際に「文化力」を高めていくためのヒントとしてこういうことをあげております。是非皆さんの行政の中でも参考にして頂ければありがたいと思っております。三重県では次期戦略計画の政策では、この視点で全ての政策についても見直していこうと思っています。
今までこういった取り組みというのはなかったことでございます。文化審議会にお話しをして参りましたが非常に注目をされました。それから6月に経済産業省が新経済成長戦略というのを発表しました。その議論の中でも三重県が言っている「文化力」というのにご注目を頂いて、経済産業省の戦略の展開の後に見える日本の姿に「文化力」という表現が付け加わったということです。今後こういう考え方は「新しい時代の公」が国全体にも広がってきただけに、「文化力」の考え方も今後いろいろなところで出てくるのではないかと思います。今までの芸術文化という狭い意味での文化ではなくて、三重県の「文化力」という考え方がでてくるのではないかと思います。
4ページを見ていただきますと、「県民しあわせプラン」次期戦略計画の策定方針について少し説明いたします。ここの基本方針に書いてありますように、これまでの「県民しあわせプラン」は五つの基本政策がありました。その柱はそのままですが、次期戦略計画の策定については、考え方のベースとして「新しい時代の公」と「文化力」、この二つを柱にしていこうと思っています。
それから二つ目に広域的な県土づくりの方向というのがあります。ここで三重県としてはより広域的な観点から県土づくりの方向を明らかにしまして、施策・事業を地域ごとに取りまとめていきます。これまでの生活創造圏のエリアは市町を中心に地域で担っていくのが今後の大事なことだと考えております。県はこれを支援していく役割を担っていくということ、それから県境を越えた広域的な視点も含みまして、そういった観点からの県土づくりの方向を明らかにしていきたいと考えています。その上で、県土を支えるそれぞれの地域の振興方向を念頭におきまして、本編の施策・事業を、皆さん方が地域で取り組んでいることとの連携をよく見えるように、皆さんにもそれを活かしてもらえるように「地域編」として作成したいと考えています。
それから次に計画期間のことですが、今の戦略計画は3年間ということでありますが、次期戦略計画につきましては4年間としたいと考えています。
また、今後のスケジュールですが、これにつきましては9月に計画素案を、11月に中間案をお示しできるようにします。なお、中間案については、パブリックコメント等の手続きにかけることを予定しています。最終的な次期戦略計画の決定としましては、来年春に統一地方選挙がございますので、5ページのスケジュールにありますが、最終案は選挙後に、議会としては6月議会で議論いただくようなことが想定されているスケジュールです。
以上少し申し上げましたが、明後日から島根県での知事会に出席し、相当議論をしなければならないのが、国の分権改革をめぐる課題です。後程このことについては担当から報告をさせますが、地域主権の社会を実現するために、分権、これは権限、財源ということも含めて進めていくことが大変大事なことであると思いますけれども、今議論をされている中身につきましては、必ずしもそういった本来の理念ではなく、それとかけ離れたところにあったり、あるいは自主性自立性を逆に損ねるような、あるいはいろんな面で格差拡大、地域間格差の拡大といったことをもたらしかねないと思って心配をしているところです。5月 26日には皆さん方にも呼びかけをして、三重県自治体代表者会議、三重県地方分権推進連盟といった形で決議をし、国に対して提言をし、また、全国の地方6団体でも要求をしているところです。
先週金曜日に骨太の方針が閣議決定されました。その中で我々が非常に心配していた件につきましては、直接的なものについては回避されたかに見えますが、しかし中身につきましてはまだまだ具体的なことはわかりません。それから金曜日に県の財政当局と影響がどれくらいかということを少し議論をしましたが、今後2011年を目指して5年間、相当厳しい財政的な圧力がかかってくるのではないか、更なる歳出の削減というものも相当厳しく出てくるのではないかと思っています。今のような国の政策の失敗による国の財政再建に、今や地方分権という本来、最も大事にしなければならない分権の中身が非常に悪影響を受けていると感じます。そういう意味で今後も皆さんとも思いを共通しながら取り組んでいきたいと思います。知事会では思いを申し述べ、議論をしてきたいと思います。
それから道州制についてですが、地方制度調査会で道州制ありきという形で方向付けがなされていたり、あるいは知事会の方でこの問題が非常に大きな課題になりますが、将来の考え方として三重県としては、道州制というのは選択肢の一つであると思っていますが、道州制の議論の前提として、目指すべきこの国の形をしっかりと描いていく必要があります。その上で役割を整理して、それにふさわしい将来の地方自治体の形、あり方が出てくると思います。少なくとも今の状況の中では、いったい道州制をすることによって、三重県民にとってどれだけのメリットがあるのか、あるいはどのようなデメリットがあるのかといった議論がされていないまま、道州制がいいということで進んでしまっているのは、私はいかがなものかと思っています。少なくとも三位一体改革のように国が大幅に権限移譲をする気がない中で、道州制というのを行った場合に、ただの都道府県合併と変わらないような状態であったり、あるいは北海道の議論を見ましても、実際にいざというときになるとその効用がどのくらいあるのかと疑問な点があまりにも多いということです。そういったことも含めて、道州制については、将来のあり方の一つとしてはおきながらも、しっかりその議論を国民的に進めていくことが大前提だと考えております。この件についてもご意見あれば聞かせていただきたいと思います。
ご承知の通り、三位一体の改革により、三重県も税収が増えましたが、増えた分以上に補助金、譲与税などは削減され、予算の規模は縮小せざるを得ないということです。しかも今度は5.7%の人員削減をいわれています。この先必要なサービスを本当に維持できるのかというとかなりきついところだと思います。したがって今のような仕組みの行政改革ということについては限界にきている。そういう意味でこれから大事なことは、むしろ中身の、質の行政改革をやっていかなければならないと思っています。「新しい時代の公」あるいは「文化力」の考え方は、質の行政改革という面からの考え方ではないかと思っています。非常につらい時ですが、努力しながら厳しい時代を三重県としてやっていきたいのでよろしくお願い致します。
市町行財政室長
私の方から国の財政構造改革についてご報告を差し上げたいと思います。お手元の資料の2でございますが、現在の国の改革の状況と直近の動きについてご報告をいたします。
改革の状況ですが、既にご承知の通り昨年度の三位一体改革により4兆円の国庫補助金改革及び3兆円の税源移譲については決着し、今年は地方交付税が改革の焦点という状況になっております。特に地方交付税総額の削減が問題にされております。また、竹中総務大臣が今後の分権改革工程表を提唱し、人口・面積による新型交付税でありますとか、地方債発行の自由化でありますとか、あるいは再生型の破綻法制の整備などが具体化に向けての検討がされています。また、行政改革推進法が5月 26日に成立しており、公営企業金融公庫が平成20年度に廃止されるということが決定されております。こういった動きを受けまして、地方6団体としましても、「地方分権の推進に関する意見書」というのを6月7日に提出しており、今後の分権改革についての意見を提案しています。
先週の金曜日、7月7日に「骨太の方針 2006」が閣議決定されております。内容としましては、第一に人件費と地方単独事業を中心とする地方の歳出削減努力の継続を要請したいという点があります。第二番目として、地方交付税につきましては、総額議論がありましたが、現行法定率は堅持することが明記されております。また、今後の交付税総額につきましては、地方の財政収支の状況等も踏まえ、適切に対処するという旨が明記されました。さらに、交付税の配分につきましては、行政改革努力を行っている団体とか、税収の伸びが期待できない団体に配慮を行うということ、あるいは、算定方法につきましては、財政運営に配慮しながら簡素化を図るということが明記されています。また、地方税につきましては、今後税源移譲を含めた税源配分の見直しを検討するということが明記されました。今後の分権改革につきましては、新分権一括法を制定して国と地方の役割分担の見直し、国の関与の廃止・縮小を図るとされたところです。
次に新型交付税でございますが、地方からの非常に強い懸念を受けまして、6月16日に総務省が見解を示しております。まず、新型交付税につきましては、交付税の財源保障の機能や交付税総額に影響を与えるものではないと明言しております。また、次のページですが、離島、過疎市町など真に配慮が必要な地方公共団体には、今後の具体の制度設計にあたっては、十分な配慮を行うということを明記しております。さらに、過疎債など交付税措置が法定されている地方債につきましては、現行の交付税措置を継続することを明言しております。こういった状況を踏まえて、今後3年間で5兆円規模に拡大していくスケジュールを示しております。来年の平成19年度から段階的に導入がされる見込みです。
それから平成20年度に廃止されます公営企業金融公庫ですが、現在地方6団体から全国ベースの共同資金調達機関の設置が提案されており、政府としても、新たな新組織の設立に向けて法制度を整備する方向で現在検討を進めております。ただ、現在公営企業金融公庫が保有しています財政基盤につきましては、財政力の弱い地方公共団体の資金調達にかかるセーフティネットを構築するために活用するという方向が記されておりますが、具体的な計画については未決着な状況です。
最後に再生型破綻法制につきまして、北海道夕張市の破綻を受けまして、非常に動きが出てきておりますが、7月7日の骨太方針の中では、再建法制の見直しが明記されており、今後、破綻回避のための早期是正の仕組みでありますとか、あるいは債務調整の可能性といった課題を検討した上で、この秋総務省から制度の方向性が示されて、3年以内に制度整備を行うというような状況です。
東紀州対策局長
私からは、「東紀州対策の総合調整について」と「東紀州地域振興創造会議の取組概要について」の2つの資料でご説明をさせて頂きます。
東紀州対策の総合調整についてですが、経緯のところの7行目に、東紀州対策局の設置の趣旨としましては、東紀州地域の自立に向けた取組みへの支援と県が行うべき活性化対策を総合的かつ重点的に推進するということで、この4月に設置されました。その下に主な取組みということで六つございますが、下の四つは従来の地域振興部からのものであり、上の二つの「東紀州地域振興創造会議」と「総合調整」の二つが新しい取組みですので、それについて説明させて頂きます。
総合調整につきまして、その前提となりますのは地域機関の紀北、紀南の従来の県民局、現在は庁舎内のそれぞれの事務所の連携と、それから地域機関と本庁との連携、それから本庁の中での連携という三つの連携と、五つの市町との連携という、あわせて四つの連携をきめ細かく図っていくことが総合調整の大前提ということで考えております。その上で東紀州対策局といたしましては、本庁に東紀州対策関係部局長会議を5月8日に設置を致しました。また、地域におきましては、紀南・紀北で東紀州対策地域機関総合会議というのを設置しまして、必要に応じて合同会議を開催するということをしております。ちなみに今週の水曜日に紀南と紀北の合同会議を開催させて頂くということと、それから8月の上旬にはそれぞれの市町長のところで勉強会をさせて頂くことをお願いしております。そういった形で今後のスケジュールとしましては、7~8月にかけて次期戦略計画への位置付け等の検討・調整を進めていくということと、9~10月にかけては来年度の当初予算にかかる各部局の予算要求の方針等の把握・調整、12~1月で予算編成過程において必要な調整を実施ということで、きめ細かく調整を図るということで考えています。
次に、東紀州地域振興創造会議の取組概要ですが、これにつきましては平成16年11月に東紀州地域経営創造会議ということで県議会のメンバー17名で構成されていますが、そこから「東紀州地域経営を創造するための知事への提言」ということで提言がされました。それを受けて平成17年7月に地域住民、市町、県で構成する東紀州地域振興創造会議を設置したところでございます。委員につきましては26名で、公募による東紀州地域の住民代表12名、市町推薦による東紀州地域の住民代表8名、知事が推薦する委員として市町の職員6名の26名で構成しております。
第1回の会議を平成17年の9月に行いまして、2回、3回と地域にとって重要なテーマであります道路整備でありますとか、熊野古道を活用した地域の活性化、産業振興等をテーマに委員の方からご意見を頂きながら、県がそれに理解を深めるということで、説明しながら進めていきました。第4回会議以降は東紀州対策局が設置されて以降の会議です。第4回の会議を開くにあたりまして、各委員の方からそれぞれ1時間ずつご意見を聞かせて頂き、今後の進め方とか委員会についての思い等を確認させて頂く中で、二つ変更させていただきました。一つは会議だけで委員の方がしっかり意見交換をするということは難しいということで、インターネットのメーリングリストというのを利用しまして、日頃から意見交換ができるようにすることと、それから分科会を設けまして、分科会でしっかり議論して頂くということを行うとともに、次に細かいスケジュールがございますが、戦略計画や予算に反映していくということを考えますと、日程上かなり厳しい制約がございますので、そういう面にご理解を頂きながら進めていくということで、スケジュールの確認をさせて頂いた上で、第4回、第5回とやっておりまして、現在分科会を開催しております。今後10月頃までに中間的に意見をまとめた上で、この振興会議自体は来年19年の8月までということになっておりますが、戦略計画、予算に反映するということで、10月までにこれまでの意見をまとめさせて頂いて、来年の最終報告に向けて進めさせて頂くということで考えております。
5.意見交換
(1)県の政策課題について
尾鷲市長
知事が提唱されています「文化力」、なかなか当初は消化が難しかったですが、知事の考えはこういうことではないかと思います。戦後、日本は国民総生産額を中心としたものさしで、経済大国になりましたけど、しかし、いろいろなひずみが現代に出てきて、あらゆる意味で「文化力」を日本の国に活かしていく時代ではないのか、そういう意味では新しい価値観の概念でしょうし、いずれは国民の総幸福量という、そういう価値観であるのかと思います。また、最近全て費用対効果ということで量られていますが、そういった世の中を少しでも是正していこうということではないのかと思いますので、私どもにとっては費用対効果で量れないものが高速道路だったわけです。知事が先頭になって非常に明確にしなさいと、これは知事にとってはRDFや産業廃棄物の問題などで忙殺されて、非常に厳しい状況の中で、野呂知事として打ち出された大きな道路戦略だと思います。しかも私達にとって非常にわかりやすいです。伊勢神宮のご遷宮までに完成させようと、少なくとも新直轄、熊野尾鷲道路の全線を完成する、非常にわかりやすい戦略です。何故こういうことを申し上げるかというと、知事が言う「文化力」、最終的にはこのことも含めて知事が考えていくのは費用対効果の世の中を少し是正する、あるいは私達のこの地域の自立、という観点からまず道路網を整備して、地域の対策を行って、自立する術を地域として持つべきだということが大きな宿題だと思っています。尾鷲市としましては、この道路が完成するまでにピッチを上げて住民と共にまちづくりを行っていきたいと考えております。
紀北町長
尾鷲市長もおっしゃったように、知事が近畿自動車道紀勢線について、新直轄、直轄の道路工事について、7年後の伊勢神宮のご遷宮に向けての大決断をなされたこと、あるいは東紀州対策局、観光局等々、普段おっしゃっていることについて手を打ってこられたことについて深く感謝をいたします。
この「文化力」という言葉については、非常に奥が深いと思います。地方と国の流れからいえば、20世紀の大量生産、大量消費の特徴から、21世紀は環境だとか福祉だとかということが重要視されていく中で「文化力」が非常に重要になってくるのではないかと思います。これは一般的な社会評価の中で隣人の幸せを願うとか、力の弱い人達の生活を安定させて、彼らの生活圏を認めていくと、そういったことも時代的な要請としては必要であります。非常に重要視されるのではないかと思います。
そのような大上段に物を言うことよりも、むしろ紀北町の中で「文化力」とはどういうことだろうかと、一つだけ具体的に申し上げます。この度、県の助成を受けて島勝浦に体験交流型の施設を建設させて頂きました。2,000万円ほどの事業費ですが、島勝浦は過疎化が著しい漁村で、人口がどんどん減っていく、高齢化が進んでいく、今寂れていく第一産業の水産業が非常に元気がない。そんな中で桂木中学校が廃校となったわけです。これをどうするか、合併する前からいろいろと検討されてきたわけですが、紀北町になってから本年度これを事業化させて頂きました。その中でそれは知事のいわれている観光産業の育成にも絡みながら、どのようにこれを失敗させないでおこうかということ、つまり、地元の人達がこの施設を活かしていこうとする体制を我々行政は非常に神経を使ったというわけです。その結果、区長をはじめ区の役員としては、区の人口600人あまりの方々にいろいろ説明をして、地元がひとつこれを盛り上げていこうというレベルまできました。大変ありがたいことだと思います。私は挨拶の中で別にテレビで聞くような標準語でお客さんを迎え入れなくてもいいんですよ、地元の島勝弁でしゃべってください。そして、地元でずっと続いてきた魚の食べ方、料理方法、それを都会の人達が求めているのではないか。新しい出会い、新しい発見を期待して地方に来てくれるのだから、どうぞ普段着のままの姿で、あなた達の生活で迎えようじゃないかというふうにお願いしました。これも一つの地域としての「文化力」の一形態ではないかと思います。今後ご指導を頂きながら考えていこうと思っております。
熊野市長
まずは東紀州地域の振興のための特別な部門、東紀州対策局を設置いただき、お礼申し上げます。それともう一つは熊野尾鷲道路について、あと7年で完成をするという知事の言葉に、お礼を申し上げるとともに、常日頃この地域については高速道路が地域開発についての必要条件であると申し上げてきました。我々に残された課題としては充分条件を我々がしっかりしていかなければならないということと、これにより機会の平等は頂けるので、今の充分条件を整備することは結果を残すことだと思っています。そういう点では東紀州対策局を作って頂いて県庁内の縦割りの調整をして頂いて、市町との連携を図っていただきスムーズに事業展開を図っていただけると大きな期待をしています。
ただ、市町と県の行政の役割分担については、知事が先程補完性の原理ということを申されたが、現実には補完性の原理が十分に徹底をされているとは思えない部分もあるので、その点については今後さらに徹底してほしいと思います。以前に比べれば直接県が地元の住民に働きかけをすることは少なくなっていますが、あまり直接やられると県職員が異動した瞬間に、それまでの政策の中身が変わってしまい、そういう反響、反発が市町にまわってくる。住民からすれば市も県もあまり関係ないわけですから、たらいまわしにされていると感じる。やはり補完性の原理ということであれば市町の考えを今まで以上に尊重して頂きたいと思います。以前から申し上げておりますのは、市町においては総合計画を策定していますので、内容はいろいろあると思いますが、今までは県の各部局において市町の総合計画を読んでいただくことはあまりなかったと思います。ですから東紀州対策局におかれましては、まずは市町の考え方や方向性というのをしっかり把握して頂ければ、おのずと役割分担というのが出てくるのではないかと思いますので、これについては是非よろしくお願いします。
それと「新しい時代の公」と「文化力」について、特に「文化力」については一言で概念がわかるわけではないので難しいのですが、平たく言えば地域住民の皆さんの力でまちをより良くしていくことと単純に考えています。熊野市では「新しい時代の公」ということも含めて平成17年度から市内15地域において、補完性の原理を踏まえて、その地域において自らの課題をうち立てて、何をやらなければいけないのかも地域で考えて頂き、ただし、その地域でできないこと、要するに自助できないもの、互助できないもの、工事が必要なものに対し、行政として1地域最大200万を出させて頂いて、好きなやり方で、どのようにまちづくりをしてもらってもいいですという方法で事業を進めております。そういう中で行政に頼らない、地域で皆さんがいろいろな知恵を出し合って、少しずつ期待ができるような事業ができてきています。例えば今地震とか集中豪雨に対する防災対策について、行政が行う災害に強いまちづくりではなくて、その地域に必要なものに応じたかたちでの災害対策ということがでてきています。また、地域活性化ということについても、行政が思いつかないようなボランティアでの物産の販売施設を作って、ボランティアで運営をしていくと、行政がやればお金がかかるものを地域住民の方々が無償で、地域のためにやらなければならないということで取組みを進めてもらっています。やはり住民の皆さんの力というのは、それを信用して、それを支援するような仕組みを作っていくことが大切だと思います。まさに「新しい時代の公」であり、「文化力」というのは方向性として正しいものでありますし、うまくいけば全県下で展開できるのではないかと思います。
御浜町長
今まで県政の在り方というのは、東紀州を非常に疎遠にしていたというように私は感じていました。以前の話ですが、三重県の一番南、和歌山県の南、奈良県の南は合併したらどうかという話しがあり、これは一番財政力が弱い三つです。それで疎遠というように感じたことがありました。今回、東紀州対策局を設けて頂いたことは、東紀州に関心をいただいていることであり、非常にありがたいことだと思っております。また、高速道路の整備に目途がついたことに非常に喜んでいるところでございます。これから東紀州対策局を通じて、我々の地域が大きな北と南の格差の是正ということを大事にしていただきたいと思います。
「新しい時代の公」や「文化力」をベースとして、県民が主役の県政を作っていくことは大事なことだとは思いますが、我々としてもまだまだはっきりと認識はできない。我々もしっかり受けとめて勉強させて頂いて、住民との対話の中で「新しい時代の公」や「文化力」というものを説明していかなければならないと思っています。
そして私たちの町の件ですが、先程夕張市のお話がございました。私も過去20年間のいろいろ負の遺産を抱えた第3セクター「パーク七里御浜株式会社」について、町が株と貸付金のトータル約25億円を債権放棄することで、解決させて頂きました。これにつきましても、今後も県のご協力をいただき、地域にはなくてはならない商業の活力のあるところですので、地域活性化のためによろしくお願い申し上げたいと思います。
紀宝町長
高速道路につきまして、知事も大変なご決断を頂き、この事業がご遷宮にあわせて進められているということで、東紀州地域の一番南の端のものにとっても大変嬉しく思っています。また、東紀州対策局につきましても、知事の地域に対する思いをひしひしと感じております。
私の方から言わせて頂きたいのが、「文化力」という形の中では、それぞれの地域の中で文化というものが受け継がれており、そういう文化というのは地域にとってまちづくり、地域づくりであり、「新しい時代の公」にも繋がっていく、そういった中では「文化力」というものが地域振興に向けてのかたちを作りあげていくのではないかと思っています。私どもも「文化力」をさらに強めていきたいと思っております。
私達の地域では特に熊野川という川がありまして、この地域の長い歴史があるわけですが、産業の面においても、また、文化的な生活をするための面でも、大変有効な手段だったわけです。そういった中で私の地域の「文化力」も高められていったわけであり、この熊野川に対する思いというのは、熊野三山をはじめ、引き継がれてきています。
そして、この「文化力」というのもそうでありますし、自然形態というのも当然そういう状況になっているのでありますが、先程知事の話にもありましたが、11月18日から3日間、日本ウミガメ会議というのが開催される予定となっています。この「ウミガメ」というのは私達の町のキャッチフレーズになっていまして、「うみがめマイタウン」として広くPRし、努力してきています。これは私達の町の大きな文化であり、「文化力」として維持していきたいと思っていることでありますが、このウミガメという形の状況ひとつとりましても、これまで培ってきた文化、自然形態というのも当然文化であると思います。
ところが現在、七里御浜の侵食が進み、大変私達の町にとっても文化の喪失であり、地域振興の喪失でもあるとの思いをいたしているところです。これからも大変厳しいところでありますが、これからの地域づくり対策、砂利浜の復元など、いろんな方法、議論等があると思いますが、行政という中で法的な縛りもありますが、そういったものについても文化の再生であり、また地域の住民の安全、安心を確保するという意味におきましても、これからも一つの新たな文化づくりなり、また地域の特徴といいますか、そういう形の中でも三重県にもご協力を頂き、「文化力」の回復に配慮をいただければありがたいと思っています。よろしくお願い致します。
尾鷲市長
実は知事が「文化力」を県政の柱に置かれていることの一番の具現化というのが、来年2月オープンの熊野古道センターだと思います。知事として「文化力」を地域振興に活かした最も象徴的な施設がこの施設ではないかと思います。ですから熊野古道は世界遺産に登録され、それを地域資源として歴史と文化と伝統をもってして地域の振興を図る、ということではないかと思います。
二つ目の「新しい時代の公」というものもこのセンターには入っているかと思います。それは指定管理者制度で民間企業あるいは法人とか、どこが管理者になるかわかりませんが、少なくとも古道センターについても、尾鷲市が担当している地域振興等についても、いずれも民間企業であり、法人等の中で選ばれるようになったわけです。それが、今までにない「新しい時代の公」の象徴的な形だというように思いますので、尾鷲市としても熊野古道センターができると同時に、市としての施設についても、知事が言われる「文化力」、「新しい時代の公」を生かしていきたいと思います。
紀北町長
私も「文化力」についてはだいたい理解をしているように思いますが、熊野古道が世界遺産になって2年になりますが、 17年度の来訪者の数は1万人減となりました。これは長い目で見ればいろいろな象徴があると思うのですが、その中で長期的にこの熊野古道に足を運んでくれる方々、県内も県外も含めて、そんな中でプラスアルファが欲しいな、ということです。その中で町村週報というのがあります。町に毎週送られてくる情報の中で、最近は「森林セラピー」というのがありまして、これは18年度においては全国で10の自治体が手を挙げております。しかし、その中に三重県は入っていなかったのですが、当然紀北町も手を挙げたいなとは思いますが、とてもその余裕はありません。「森林セラピー」をやることによって、身体を癒し、心を癒していく、もちろんそこに医学が参入していくことによって、地域あるいは県全体がプラスになっていくのではないかということで、その辺り県がご配慮をして頂けたらどうかな、という提案をさせて頂きたいと思います。
知事
「文化力」というのは先程のご説明の中で申し上げたのですが、県の政策を考える際に経済的な側面だけではない観点から、バランス良く私達の生き様、生き方を変えていくようなことに資する政策に変化を持たせましょうということで、したがって、これが「文化力」の政策だということをあまり強調すると逆にわかりにくくなってしまうような気がします。
一つの例として、紀宝町長がいわれた七里御浜の海岸侵食の件ですが、いろいろな原因はありますが、私達は自然に対して挑戦しすぎた、そのことが今、大変な海岸の浸食という状況にしているのではないかと思います。したがって、道路を整備する時もわざわざ崖崩れがあるようなところで道を造るよりも、あるいは家を建てる時にもそういう危険性のあるところへは造らないというような、そういうことを事前に政策の中で考えていくということがとても大事ではないかと思います。そういうことを考えていく時に産業政策から公共事業の在り方、あるいは教育、福祉、あらゆる面でそういったことがあるのではないかと思います。しかし、旧来そういうことがなかったというわけではありません。そういうことについてはそれぞれの担当で、その時の時代背景で考えられるものを一生懸命つぎ込んだものがあるのですが、それぞれの政策体系でそれが一つの横串の通ったものであったかというと、従来のコスト主義で政策というのは作られてきたのではないかと思います。その中で皆さんがそれぞれのところで受け止めて頂けたらと思います。
あくまで政策のツールとして作ったところですと言いながら、これは今後の展開の中でもそういう環境を盛り上げていける、先導するものがないわけではありません。今年、新しい図書館の在り方というのを今検討会を設置して検討しております。東京大学で先進的な取り組みを行ってみえる先生にご指導を頂きながら、今後知的集約の産業構造だとか、知的集約の地域社会作り、例えば地産地消といっていますように、地域にある資源を地域の活性化に結び付けていくという意味では、知的集約型の社会構造というものが、目指すべき三重県の姿であると思います。そういう中で知識の中核的な拠点として新たな図書館像を考えられないか、あるいは市町村と連携できる図書館であるとか、あるいは知的財産に関連したところ等の連携とか考えられないかなと思います。これは今後の検討ですので、どのようになるかわかりませんが、そういったものを知っておくというのもあります。
それからもう一つ、東紀州にも関係するのが2013年戦略というのがあります。すなわちご遷宮が2013年にあります。前に祝祭博をやりましたように、今回もご遷宮は全国あるいは世界に向けての情報発信の非常にいい機会でございます。祝祭博はご遷宮の翌年にやりましたが、そういうふうに考えると2014年というのは一つの大きなターゲットになる年だと思います。そこで「こころのふるさと三重」というのをテーマにして、これをご遷宮を機会にどうやって発信していくか、盛り上げていくか、それを活かした地域づくりというものを行い、それをどうやって発信していくかということを今検討しています。考え方はできれば今年中に素案のような形でたたき台を作って、そしてそれを広く県民の皆さんにも議論していただき、展開していきたいと思っています。これには県が主導的に行うものと、市町が行うイベントを連携してやっていくことが大事だと思います。熊野古道戦略としては既に伊勢路として伊勢と紀伊山地の霊場等を結びつけるルートを強調する形でいろいろな取り組みをしなければいけないと思います。そういう展開もその中にはいろいろ織り込んでいけるのではないかと思います。具体的な中身はこれからです。
「文化力」についてはあくまでものさしとしてのものですが、しかし、そういうものを環境づくりに役立つ、そういう施策も併せて考えていきたいと思います。
紀北町長の方から森林セラピーの話が出ましたが、具体的な中身はわかりますでしょうか。
紀北町長
これは全国町村会から毎週「町村週報」というものが来ます。これは最近のものですから、資料を県の方にお届けします。
知事
後ほど聞かせていただいて、私どもも勉強させていただきます。
皆さんのおっしゃって頂いた中で「文化力」というよりも、「新しい時代の公」としての取り組みというのはみなさん工夫されていると感じました。熊野市での取り組みは一地域200万円でされるということで、面白いなと思います。今後、地域内分権、地域内権限移譲、こういったことが「新しい時代の公」を進めていく中で、基礎自治体での大きなテーマではないかと思います。昨日も熊野市を通った時に、国道筋の花が非常に印象的で、街角が綺麗になったなと強く思いました。ゴミも目につかない。やはり街を綺麗にしていこうという機運まで醸成していきますし、「新しい時代の公」というのはその地域地域でいろいろな特色を出しながらやれることもいろいろあると思います。よい例は県が他の市町へご紹介させて頂けるのではないかなと思いますので、是非他の市町もいろいろな取り組みがあると思いますので、ご紹介を頂けたらと思います。
紀宝町長
七里御浜のことですが、国立公園になっているということから、法的な縛りごとがある中で、いろいろ災害対策等含めて、それぞれの建設工事の副産物が出てくる中で、海岸の浸食対策の検討をしていきたいと思っています。そういった中で、国立公園の法的な部分でのクリアがなかなか難しいところがあり、これについて、どのような形がいいのかわかりませんが、海岸侵食対策について取り組める方法がないのか、特区的なものができないかご検討頂ければありがたいと思っています。
知事
それは具体的にどういう法的な縛りがありますか。
紀宝町長
尾鷲熊野道路整備工事で発生する建設残土について、公共事業に利用できないかと考える中で、海岸侵食対策にどうか。
知事
海岸侵食対策に利用してもすぐに流れてしまうでしょうから、また、具体的な話になれば。
(2)地域課題について
熊野市長
熊野市としての課題はなんと言っても働く場の創出です。新しい数字で申し上げますと、紀南地域だと思いますが、有効求人倍率が一番新しい数字で 0.54。四日市は1.66ということで、いかに働く場所がないかということです。地元の公立高校の木本高校と紀南高校で昨年390人が卒業しました。内約3割の126人が就職していますが、地元での就職はわずか29人ということで、4人に1人弱しか就職希望の子どもが地元に残れないという実態であります。当然過疎化、高齢化、少子化が他の地域に比べて加速的に進む状況が続いている。いかにして働く場を創出していこうというわけです。
あえて雇用の場と言わないのは、熊野古道が世界遺産になり、また、市の方でスポーツ計画を進めて就職は多少よくなっているのですが、実際宿泊施設での実態を見てみると、雇用は増えているかもしれないですが、パートの雇用が増え、正社員での雇用はほとんどみられません。そういう意味では地元企業は多少、国全体の景気の影響でいい面ができたとしても正雇用ということは期待できないです。したがって、我々としては正雇用で働く場所を増やしていく必要があると思っています。そういう点で高速道路網が今後整備されるということは、条件面として大変ありがたいことです。
もう一つ、雇用の場そのものを創って頂くという点では、紀南中核交流施設整備構想についても着々と進めて頂いていることは大変ありがたいことです。ぜひ今後も計画通り進めていただけるとありがたい。
働く場を創っていく際に、一つは従来から輸出と集客ということを言っています。輸出という点について言えば、民間の皆さんの支援をして、いろいろなものを商品化して外へ向かって売っていただいたりしているんですが、後継者のいない中小の事業者の方々、農家の方々からすると、リスクを負って新たな投資をするということは、あまり多くありません。熊野市は紀和町と合併しました。紀和町に「財団法人紀和町ふるさと公社」があります。ここまでひどい経済状況になりますと「官から民へ」と小泉首相は言っていますが、地域によっては「官から民へ」の流れは逆であろう、行政が民間のやる分まで、ある程度踏み込んだ施策を出さないと地域おこしは難しいと思います。市の方では、ふるさと公社でキジ肉を「東紀州地鶏」として、あるいは「新姫」という柑橘の商品化などを考えていこうと思っています。その際に今まで行政がしてきたのは生産の支援、一番難しいのはやはりマーケティングであり、商品の販売です。市の方も行政としてリスクを負うという発想で、一生懸命頑張っているのですが、十分ではない。県においても産業振興を行う場合に、一番弱い部分についての取り組みを、非常にリスクを伴いますが、ぜひ一歩踏み込んだものをお願いできればありがたいと思います。
それから集客という点では、熊野古道が世界遺産になって、古道センターができるということもあります。熊野市としても、熊野古道を中心にして体験型のいろんな取組みなどを組み合わせたメニューをたくさん作って、修学旅行の誘致などを考えていきたい。
それと熊野市はスポーツ集客が非常に伸びています。熊野古道に来るお客さん以上に、スポーツ集客で宿泊されるお客様が多い実態がある。今後ともスポーツ集客を進めていきたいと思っています。その際にやはりここまでいろいろな取り組みを進めてきて、あと二つ取り組みをプラスアルファすることが必要だと思います。
一つは暖かい気候で受け入れ体制を十分にやって、おもてなしも上がってきているが、他の地域は施設面でも十分に整っている。特に雨が降ったときの対策をどうするべきかということです。それともう1つ、他の地域と比較して、魅力を作っていくということで、我々としてはただ単に暖かいこの場所で合宿をさせるのではなく、スポーツをもっと科学的にトレーニングできる、そういう機能ができないかと思っています。シドニーオリンピックで日本が金メダルを獲れたのは、国立スポーツ科学センターというのを国が作っている。これは基本的にアスリート達が使える最先端の機材とかがあります。岐阜県には岐阜県スポーツ科学センターというものがあります。我々としてはもう一歩プラスアルファの魅力を作りたいと研究を進めております。ただ、非常に市として力が及んでいない。こういう点についてもいろいろなご支援を頂けるとありがたい。併せてこういうトレーニングセンターの一つの機能としては、メディカルな部分を作っていきたい。高齢化が進んでいる地域なので、スポーツと住民の健康にもしっかりと取り組んでいけるような機能を設けたそういうセンターを作っていきたい。集客のための屋内体育館などにトレーニング機能を付けて、住民向けには健康増進のためのいろんなメニューを提供していく。こういうことができないかと検討している最中なのですが、なかなかスムーズに進んでいない。是非今後支援を頂ければと思います。
それから先程知事も言われましたが、伊勢路は元々、伊勢神宮から熊野三山に人を運ぶためのもの。熊野古道が世界遺産になっても残念ながら集客力は20万人ぐらい。伊勢神宮の集客、伊勢志摩の集客とは到底比較できないほどの差があるということです。「伊勢に七度、熊野に三度」の言葉の通り、伊勢志摩との連携というのも大切だなと思います。海岸の265号線、あの道路をもう少しシーニックバイウェイという形で各市町が景観を活かしていくことによって、伊勢志摩に来るお客様を東紀州まで来て頂けるような、そういう風にできるだろう。観光局長にもその旨申し上げて検討をお願いしました。知事もご認識いただければありがたいと思っています。
知事
雇用面での地域間格差・南北格差にについてご指摘がありました。私どもも認識を持っているわけでございます。それだけにいろんな仕掛けが必要だということで、一連の対応について私達が意思決定してきたわけであります。したがいまして、今後紀南中核交流施設については、今年度中に決まってきますから、来年はいよいよ工事が始まる状況になってきました。そういう意味ではスケジュール通り対応をしていきたいと思っています。それの活用につきましては、もちろん民間事業者がどういう構想で取り組んでいくか、きちっと見えてくる中で進めていかなければなりませんけれども、民間業者だけに頼るのではなくて、地元として積極的にこの施設をどう活用し、地域の活性化に結び付けていくのか、そのためにはこの施設とどのように地域が連携していくのか、そういったことについても地元でぜひ主体的に取り組んで頂きたいと思います。
それから、特に特産品の新製品開発等の取り組み、その販路について支援できないかということについて、県もいろいろな取り組みを今現在やっていますので、そういったものを活用していただきたいと思います。三重の「地物が一番」のキャンペーンをやっているところでありますし、それから「古道弁当」も紀北の方でも、それから熊野でもしています。ああいった取り組みがなされているのも評価したいと思っています。
6次産業化ということで、県の方もいろいろな取り組みをやっております。あるいはベンチャー支援としても、ただ単に商品開発だけではなくて、それを事業化するための資金の支援、あるいは販路開拓そういったところを支援しています。ぜひそういうところの活用を考えていただければと思います。それから最近出てきた中で大手商社と連携して、大手からの支援を受けながら特に製品の評価や販路開拓であるとか、そういったところに大変大きな力を持っているので、それを活かして何とか結びつけていきたいと思います。すでにご承知の通り伊藤忠・三菱商事などと県は協定を結んでいます。ぜひ、熊野市におかれてもそういうお申し出ならば、何かできるものがあるかどうか担当の方に一度確認して頂いたらどうかなと思います。それは県の方で、その場を設定できると思います。
また、ローソンもいろいろな展開をしています。ローソンの話を聞いていると、対象となるのが北勢の方が多いですが、ローソンでは地場ものを地場商品としてうまく展開できないか、うまく展開できるとそれは大都市とかへも商品として持って行くことができる。是非いろいろやって欲しいと思います。紀和町の「ふるさと公社」というのがありますが、そこのキジ肉については「三重の食パワーアップ100事業」で取り組んでいただいております。こういった制度をご活用いただき、私どもも今市長の言われたようなことでの支援に役立てたいと思っています。
それからスポーツ集客についてお話を伺いましたが、熊野市でのスポーツでの取り組みについては大変評価のできる、また、成果を出してきていることだと思います。雨天にも使用できるような施設の問題とか、トレーニング機能を備えた施設であるとか、さらには健康増進へも広がりも持てるようなそういう展開の方向については、一つの大きな取り組みの方向だと思いますけれども、ただ施設そのものについて、県がどう支援ができるのか、少なくとも県営スポーツ施設ということについては、とても今の財政状況では施設の展開についてはなかなか県民の理解を得られない、現実財政的にもかなり難しいのではないかと思います。国でのいろいろな外部施設等への支援制度、補助制度もあるわけです。こういう中で県教育委員会とご相談頂きながら、何か県として役割を活せるような検討を進めて頂ければと思います。
それからシーニックバイウェイの高速道路からその関連する国道だとか道路の関係ですが、シーニックバイウェイについてはいろいろ事業もしており、熊野市内でもそういった取り組みについて、今後整備していくところができてくると思います。今後更にこういったことの検討を進めていきたいと思います。これも財政面からいきますと非常に厳しい中で対応していくことであります。今後、道路戦略についても来年が見直しの年です。限られた中でどう対応していくかということについての優先順位付け等については、市の方の動向も十分に踏まえていきたいと思いますので、市の方でも考え方の整理をいただくことも大事なところです。
それから体験型の観光も非常に大事だと思います。是非こういったことも県の観光局とよくすり合わせをして頂いて、県のほうもお手伝いさせていただきたいと思います。ツーリストなどとも連携していくと効果があがるのではないかと思います。
伊勢路については伊勢と結びつけるというのは県の今後の観光戦略のひとつの大事な方向だと思っています。
御浜町長
私どもの町は年中みかんのとれるまちということで、柑橘の振興対策についてです。この度の南紀みかんの収穫作業につきまして、大変ご支援を頂きまして感謝を申し上げたいと思います。産地間競争の中で打ち勝っていくためには、どうしても高度光センサーが必要だということで、地域と市町が協力してがんばっていきたいと思っています。全体で約1万8千tの柑橘があります。そういう中でよいみかんをより多くという活動をしています。そしてまた、今回、三重南紀みかんが三重ブランドに認定されまして、本当にありがとうございます。伊勢エビ、松阪肉、アワビなどがブランドと聞いておりますが、そういう中へ入れてもらったということは非常にブランド化されるということで、非常に活力になり、農家もやる気を持ってきたのではないかと、非常に嬉しく思います。
しかしながら、昔と違って農家の所得水準が非常に低くなってきています。それが一番大切なことであって、後継者不足・担い手不足が非常に目立ってきました。東紀州は南北を比べたら配分所得が一番低いということで依然として差がある。何とか農家も所得を上げて、昔みたいにある程度農家の所得が安定できるような方法を考えていかなければなりません。そして我々地域は第一次産業が主産業ですので、第一次産業の進歩、格差是正のために大いに頑張って、行政としても誠実にスクラムを組んでいかなければならないと思っています。
そしてこれからの具体的な事例として、産地の育成支援ということの指導をお願いしたいと思います。優良品種とか品質の導入・促進、担い手育成対策、研修制度の確立、後継者の育成対策など、行政としても取り組みをしておりますが、やはり高齢化が進む中で、県の指導も頂いてしっかりとした、足腰の強いみかんづくりを進めていかなければいけないと、議会でも議論しているところです。今年も気温の差、温度差が非常に大きかった。花も少ない状態で、今年もみかんは全国的に少ないだろうと思います。毎年県でも知事を初め、PRをさせて頂いているところです。より一層ご協力とご支援を頂きたいと思っています。私どもも全力を尽くして頑張りますのでよろしくお願いします。
知事
皆さんご努力されてきて、今年3月に南紀みかんを三重ブランドに認定させていただいたわけであります。これまでの努力に敬意を表したいと思います。三重ブランドというのはそう簡単に認定できるものではなく、三重県としては自信を持って消費者の皆さんに本当にこれが美味しくて価値のあるものですよと、厳しい認定の制度の中で出しているものです。そういう意味で、ぜひ今後ブランド力を付けて頂く努力を期待したい。
ご提示頂いた2点についても県としてできるだけの支援をしていきたいと思っています。高品質化等、優良品種の苗供給体制を含めたいろんな支援について、科学技術振興センターでもいろいろと一緒に取り組みをしております。これも引き続いて取り組んで参りますし、それから担い手の育成についても、これはこちらの担い手の対策協議会、それと三重県の農林水産支援センター、これもいろいろ問題があったわけですが、立て直しの方向もできてきましたので、今年からさらに新しい農業展開や担い手対策にしっかり取り組めるようにしていきたいと思います。特に今まで新規就農者の受け入れの体制整備では、県下では先進的な取り組みをして頂いていますので、今後研修の実施だとかいろいろな取り組みに対して、県としても引き続き支援をしていきたいと思っております。
紀宝町長
へき地医療の確保についてということでお話を申し上げたい。紀南病院の医師の関係につきましては、健康福祉部において特段のご配慮を頂きまして、心より感謝申し上げたいと思います。私どもの旧紀宝町の地域につきましては、無医町と言いますか、医者がいないといった状況でありまして、診療所を設けて、町で職員として地域医療、健康づくりを請け負っていただいています。その中で、へき地医療につきましては全国的にも医師の確保が課題なっているところですが、当町の現任の医師においても、来年度で定年を迎えるという状況であり、医師の確保が大きな課題となっています。また、医療施設整備の老朽化に伴いまして、施設の整備も大きな課題となっています。そういった中で医師の確保と診療所の建て替えについてお願い申し上げたい。
私ども町立診療所の現任医師においては、来年度定年を控えているところで、これまでも医師確保につきまして、ご協力と支援をお願いしまして、ご紹介を頂くなどご配慮を賜っていたところです。当町においても、公募するなどして努力をしているところですけれども、先日もお問い合わせを頂き、現地も見ていただいたところですが、なかなか上手くいかず、未だに確保できていないのが現状です。これからも引き続きご支援とご協力をお願い致します。
2点目が診療所の建て替えについてです。診療所につきましては築後35年が経過しており、老朽化が激しくなってきています。新任のお医者さんをお迎えするに致しましても、また、気持ちよく働いてもらうためにも、やはり職場環境整備等が大事になってくるわけです。本年度には設計等を行い、19年度に建設をしたいと考えています。これから国の補助を申請させていただく予定ですので、これらの採択に向けて、県のご努力、ご尽力をお・閧「したいと思います。また、あわせて、三重県における今後のへき地医療の確保策として、へき地医療施設整備補助金等についても県のご配慮をよろしくお願いします。
知事
医師の確保等については、本当に県も頭を悩ませている状態です。地域にとりましても大変深刻なことです。医師の配置がスムーズにできるように、特にやはり田舎へ医師が来ていただけるような制度を作るということで、重点項目として、今年も国の方へ要請もしています。
また、自治医科大学の定員についても定数増を要請しておりまして、これは明後日の知事会での議論の中でも国に対して知事会上げての要望事項として取り上げていこうという検討事項に入っています。
県では修学資金の貸与制度であるとか、ドクタープール制度など、いろいろな取り組みをしています。例えばドクタープール制度で18年度1名何とか確保できそうですが、これは地域の状況を見ますと紀南病院へまずは派遣するということで、取り組みの成果をどうやって変えていくか、苦しんでいるところです。今後とも情報提供をさせて頂きながら、協力をさせて頂きたいと思っております。
それから診療所の建て替えについては、来年度予算に向けての国の聴き取りもありますので、ぜひ、国の格付けの中できちんと入れていただけるように、県の方も一緒に働かせて頂きたい。県独自の補助事業制度は旧来からないという状況ですし、今の財政状況からはさらに新規にこういうものを行うのはかなり厳しい状況であります。その辺ご理解いただきたいと思います。
尾鷲市長
先程、熊野市長の話がありましたが、「元気な三重を目指す」と知事のうれしそうな顔を新年早々拝見しました。偶然ですが尾鷲市は「元気な尾鷲を目指す」という全く同じキーワードです。ご承知のように三重県においては、北勢・中勢については大手企業、特にIT企業の投資が目白押しで総額1兆円を超えるような、我々からすれば2桁も3桁も4桁も違うような話で、なかなか現実感がわかないのですが、いずれにしても三重県は全国的に優秀な設備投資、2番ですか、確かそのような上位です。私達の地域におきましても雇用の確保というのは、行政の最重要課題の一つであります。尾鷲市においても同じような状況であります。尾鷲市につきましては、財政状況が非常に厳しい中でも、やはり行財政改革で削減できた経費を少しでも将来の夢のある町のために再投資していこうということで、可能なぎりぎりの線で、それを先行投資して、三重県型デカップリング事業をうまく活用させていただいて、平成11年から現在まで、約6件の県補助を頂いています。これまで併せてデカップリングの補助事業に関係した企業において150名の雇用の確保ができています。
それから知事の非常に大きな英断のもと、尾鷲市の海洋深層水事業もいよいよ4月に取水事業がスタートしました。海洋深層水の活用型工業団地も作らせていただいて、今現在、大阪の摂津市にあります会社が、地元尾鷲で、尾鷲名水株式会社という会社を立ち上げてここでの雇用が約50名で、そのうち正社員が20名強で、約50名の半分が正社員ということになってありがたく思っております。当初より1、2カ月立ち上げが遅れましたが、いよいよ7月に出荷を開始しました。大きな期待ができる企業だなと思います。その中で県の農水商工部に協力いただきながら、モクモクを中心とした三重県中小企業家同友会の皆さん方が、地元古江町の古江小学校の跡地を利用して海洋深層水を使った「塩づくり」、体験学習をやるということで、集客交流のノウハウを持っている企業ですので、大きな期待をかけて進出を望んでいます。私ども6月議会で補助の承認を頂きましたので、三重県におきましても順調にデカップリングに着工できるようにお願いします。この施設は来年の3月に完成します。これを合わせると深層水関連で全国の営業所も含めて三つそろうわけです。
知事に一つお願いしたいのが、この深層水はみえ尾鷲海洋深層水です。私達今、県の農水商工部もかなり力添えを頂いて企業に来ていただいている訳ですが、確かに事業自体は尾鷲市ではありますが、ぜひ海洋深層水は三重県の財産として、知事の提案で補助も頂きましたが、三重県の海洋深層水というつもりで受け皿づくり・組織作りも県の内部でしていただきたい、ということも強くお願いしたいと思います。このクエの陸上養殖なんかも尾鷲ブランドとして「幻真クエ」というブランドで全国に発信していますので尾鷲ブランドの新しい一つの動きであります。
それから今現在モクモクを中心としたグループで約65名sの雇用が確保できる。私の市長として当面の目標は海洋深層水で100人を超えるものを作れないかな。なんとかこれを早い段階で100名の雇用が確保できるまで立ち上げていきたい。そのためにも三重県として今以上のご支援を頂きたいと思います。
それから、林業です。知事は林業に詳しく、東紀州の地域にも詳しい。知事も林業家の一人として、知事の政策の中で三重県産材の補助制度が作られていると認識をしています。この補助制度はこのままいくと今年の9月で補助金がなくなると聞いていますので、これはこの地域の林業家に取りましては大変期待をかけており、尾鷲市でも独自に市内で尾鷲産材を使った方には80~125m2までは30万円、それ以上は35万円、市外でも尾鷲産材を使って頂いた方には県外でも20万円の補助金が出ます。これに加え三重県産材の補助制度を使いますと非常に有利な営業功績があげられるということで、地域の林業関係・森林組合等ほとんどこの制度の維持を望んでいます。この事業は知事のカラーだと思いますので、財政が厳しい中ですが、ぜひ残していただきたいとお願いします。
知事
これまでの取り組みと成果についてお話を伺いました。私どもとしてもみえ尾鷲深層水について、みなさんの取り組みがさらに成果として続いていくと期待しております。そのためには更なる新製品の開発であるとか、高付加価値化など積極的な取り組みを期待しますとともに、尾鷲市がそれぞれと連携していただくということだと思います。県の方も今後も十分協働しながら取り組みの支援をしたいと思っています。例えば、みえ尾鷲深層水をどう売り出すかということ、いろいろな取り組みをやって頂きたいのですが、水の品評会・コンテストみたいなものがあります。いかにいい水かうまい水か、あるいは健康にもいいんだと、こういうコンテストに積極的に出品したり、企業の販路開拓だけではなく、いろいろなことも考えていただければと思います。
そういう意味では熊野古道センターは、相当専門家、建築家からも注目されている。そういう意味では建築でのコンテストにも十分耐えうる、あるいは最高の傑作とも思っています。そういうことも含めて、そういう別の面からの支援も検討させて頂いたらと思います。
それから、林業についてですが、林業についてはまさに今、生業としての林業が大変な窮地に陥っています。しかし、これは地球環境といった広い意味での問題も有していますから、そういう意味では、これをしっかり対策していくことが今日の時代のテーマだと思います。残念ながら国の森林関係の予算は年々削減をされております。私どももいろいろな国の支援を利用しながらと思っている中で、なかなか年々厳しい、つらいところです。去年条例ができて今年3月に基本計画も作って森林づくりにしっかり取り組んでいかなければならないと思っていますので、その中では、山の管理に対する支援ということと、山というのは育てて、使って、また、新たに植えて育てていくという循環が必要ですので、木材の使用・利用という側面から、住宅への県産財の利用を促進することは大事なことだと思っています。ちょうど今、次期戦略計画の策定という作業に入っていますので、十分こういったことを考えながらしっかりやっていきたいと思います。
紀北町長
我々の「地域力の向上」ということを申し上げたいと思います。都市部においては大企業が相当な景気回復をして、税収も増えてきながら地方自治体としてはどうもその兆しがまだ見えてこないというのが現実です。東紀州においても恐らく皆様同様、地場産業を始め、産業経済が衰退していく中で、それから平成16年9月の大災害、特に紀北町は相当の被害を受けて固定資産税等の減免あるいは生活力が非常に下がっておりまして、その影響がありまして元気がないというようなこともあります。
当町の合併後の平成17年度当初予算は、旧両町が47億5千万円くらいだったと思いますので、それを単純に合計しても95億円の当初予算が組めるかな、少なくとも90億円かと思っていましたが、財調をはたいても85億8千万円しか組めない。そのような状況になったとき、地域の経済を活性化させようとしても推進役の自治体、基礎的な自治体がその任務を果たせない状態であります。したがいまして、このようなところで住民の皆さんは今後この地域にずっと長く住んでいけるのかという不安感が漂っています。
その対策として、一つは地域産業、地域経済力の向上であり、その細分化をしていきますと、地場産業の振興、既存企業・店舗の存続と育成、地域に合った企業の誘致、入り込み客の増加、これは特に観光産業を主体としていきますが、とりわけ地域の最大の事業主体である市町財政の基盤強化ということであります。
二つ目は、「文化力の向上」のためには、既存文化の掘り起こしと伝承、世界遺産熊野古道の保持と活用の中で、先般申し上げました森林セラピーがございます。
それから三つ目としましては、広域連携の強化のためには、既存組織の連携を強化していくことが必要になります。それから情報の共有も必要であろう、地域自らが地域力を高めるための新たな取り組みとして、東紀州全体的な首長サミットもあってもいいかなと思っています。それから人材の掘り起こしと育成・活用です。
それからもう一つは生活排水の排水処理の整備率というのが紀北町は9.75%です。これが三重県のワースト1です。それは合併浄化槽の国、県の補助事業を実施しておりますが、新築の家庭でないとそれを使ってくれないということがあります。今、県の方では、市町村でやってくださいという指導を受けており、その方向で今検討中ですが、単独槽だけだったら4,870個あるんです。合併槽は933しかないのです。その辺で単独槽はカウントしませんから、整備率は9.75%ということになります。その辺りも非常に気になっておるところであります。
それから国道422号は促進期成同盟会が作られてもうすでに30数年になります。これは合併する前の5町村でしたが、合併しても紀北町と大台町と津市と伊賀市と松阪市、そういう組み合わせになって、知事に総会と理事会を開いて陳情をしたいなと思います。これは三重県の地形が非常に縦長ですので、それを山間部を通って関西圏との連絡をとる、あるいは集客をするについては非常に有効なものではないかなと考え続けているのですが、今知事がやっておられる近畿自動車道紀勢線、これもやれ、あれもやれは大変だとは思いますが、我々はこれを非常に気長くやろうという議論になっています。
それからもう一つは合併の当時、熊野灘レクレーション都市の事業の中で三浦から大白に至る道路を改良して頂きたいと思います。これは両町の町民の声でありました。長さとしては非常に短いものでございます。是非とも何とか知事の頭の隅に入れてもらいたいなということです。
それから最後になりますが、これは数年前にある林業の専門家の先生方に聞いたのかもしれませんが、大台ヶ原には、奈良の方、あるいは関西からバスで頂上まで行けます。しかし、三重県側にはそのバスは降りれない、だからどうするのかというと、東紀州の海辺まで直線距離だったら大体18kmだといいます。その時になんとか繋いでいくロープウェイの設置を考えてもいいのではないか。その際にお客はそれに乗って帰っていくのかといえばそうではなくて、このロープウェイを利用するお客さんは、バスは東紀州の方へ回送されて受け入れて帰っていく。そういう考え方で三重県側へお客さんを誘導するのはいかがなものかなと、検討することはできないでしょうかと聞いております。
漁協振興の中で、一つだけ申し上げますが、今、各漁協はまだ合併をしかねているところが紀北町の中にあります。その漁協も大変苦しい。苦しいけれども、稚魚放流だとか、漁礁だとか、いろいろやっており、根付けの磯を毎年販売しています。それについては、1千万でその1年間の権利を買うと、業者はそれを超える売上げをしたいわけです。そうするとサイズなんかかまっていることができない。どんな小さい物でも獲ってしまうということで、悪循環となっているわけです。ですから漁協に、町として例えば1千万の3分の1は3年間行政が持ちましょう。磯の販売資金がないと運営ができないまま衰退していく。ますます寂れていく。そういう一つの例でありますので、総合的にご検討を願いたいと思います。
知事
一つひとつはぜひ担当部所の方と、相談しながらやってもらいたいと思います。とにかく地域力を向上させるためにいろいろな課題があることについては、今日お聞きしておきたいと思います。町の方も大変かと思います。県の方も限られた中で、しかも国からますます真綿で首を絞めてきている中で、県も選択と集中をしっかりやっていかなければいけません。選択と集中というのか、二つ、三つ切って一つに集中するとか、いろいろ苦しいやり方をしなければいけないということが、今後ますますここ数年ぐらいの流れの中では出てくるかと思います。基本的には、国が小さな政府という形で東京スタンダード、アメリカンスタンダードで押してくる限りこの傾向は続くと思います。したがって、小さな政府論もどこまでの基準を目指していくのかということが明示されていない状況です。
個々にいろいろありましたので、一つひとつ担当との連絡を取り合っていただきやっていただけたらと思います。
知事
皆様の苦しい胸の内をお聞きしました。けれども東紀州はこれまでと違いこの閉塞感を打ち破るこれからの展開が見えてきていますので、是非より効果があがるように協力して今後も取り組んで参りたいと思っております。ありがとうございました。