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人権学習教材「わたし かがやく」活用のための連続講座                                  ~ケータイ・スマホ ハンドブックをつくろう~

 電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、携帯電話・スマートフォン等の使用に関連する子どもたちのトラブルやいじめの問題は、多くの学校で大きな教育課題の一つとなっています。三重県教育委員会は、「わたし かがやく」の別冊として、メディアリテラシーやコミュニケーションのあり方を学ぶための教材「みんなで学ぶネットモラル」を2008年に発行しました。しかし、この課題を解決するには、使用上の留意点や危険性について教職員が指導することと合わせて、子どもたちが主体的に取り組む活動をつくっていくことが必要であると考えます。

 このことに関わって、金城学院高等学校(愛知県)では、先進的な取組が行われています。金城学院高等学校では2009年から、生徒の有志が主体となって、「ケータイハンドブック」を作成し、年ごとに改訂を重ねてきました。新聞やテレビで紹介されて話題になり、2013年には、『中高生のためのケータイ・スマホ ハンドブック』(学事出版)として書籍化されました。

 今回の講座は、金城学院高等学校の取組をモデルに、

①子どもたちが主体的な学習活動を通して

②「ケータイ・スマホ」を適切に使用する力を身に付け

③その学びを周囲にも発信していく

という学習展開をつくることをめざしたものです。

【講座1】(8月7日午前)

 まず、金城学院高等学校の取組概要を紹介しながら、今回の講座のねらいを確認しました。

 次に、「みんなで学ぶネットモラル」を活用した授業展開例を提示しました。

「メールによるコミュニケーションの疑似体験を通じた学習」 

(小学校向け授業展開例)

※人権学習教材「わたし かがやく」教職員用活用ハンドブック(p.70)の授業実践例をアレンジしました。

 (1)ペアになり、次のようなメール文をメモ用紙【リンク1】を用いて交換する。その際、表情が見えないように背中越しに渡すようにする。

     AからBへのメール 

                 #

     
     BからAへの返信  

                #

 

 メールで何かを頼む役・頼まれる役の両方を体験するため、立場を入れ替えて、以下のメール文を同様に交換する。

     CからDへのメール 

                #  

 

     DからCへの返信  
                  # 

 

(2)メールを受け取ったときの気持ちを出し合う。

(3)以下のような、それぞれの事情を提示し、「もし事情を知っていたら、受け止め方がどのように変わるか」を話し合う。

Aさんの事情

 Aさんは、家で宿題をしていました。がんばってはいたのですが、どうしてもわからない問題があり、困ってしまいました。そこで仲良しのBさんに、メールで聞いてみることにしました。

 Bさんの事情

 Bさんは、家で宿題をしていました。難しい問題もあったけど、がんばってやり、もう少しで終わる!というときに、仲良しのAさんからメールが来ました。

 

 

Cさんの事情

 Cさんは、毎朝、学校が始まる前に友だちとドッジボールをするのを楽しみにしています。いつもは自分がボールを取るために早く学校に行くのですが、明日の朝は、お母さんにゴミ出しを頼まれたので、学校に行くのが遅くなりそうです。そこでいつも一緒にドッジボールをしているDさんに、メールで頼むことにしました。

 Dさんの事情

 Dさんは、毎朝、学校が始まる前に友だちとドッジボールをしています。友だちと遊ぶのは楽しいけれど、自分はドッジボールがあまり得意じゃないので、できれば別の遊びをしたいなあと思っています。そんなある日、いつも一緒にドッジボールをしているCさんからメールが来ました。

(4)メールによるコミュニケーションの特性を理解する。

 文字だけでのコミュニケーションは、表情や声の調子がわからないので、気持ちや意味合いが正確には伝わりにくいということ、特にメールは短い言葉でやりとりすることが多いので、いっそう誤解が生じやすいことを確認する。

 また、そのような誤解を避けるにはどうすればいいか、意見を出し合う。

【講座2】(8月7日午後)

講演 「子どもナウ(NOW) 子どもたちを取り巻くインターネットの現状と課題」 公益財団法人 反差別・人権研究所みえ 松村 元樹 さん 

 公益財団法人 反差別・人権研究所みえの松村元樹さんより、「子どもナウ(NOW) 子どもたちを取り巻くインターネットの現状と課題」と題してご講演いただきました。

 伊賀市の中学生を対象とした調査結果等から、スマートフォン・携帯電話の所持状況、フィルタリングの設定状況等について報告いただいたほか、SNS上での誹謗中傷やいやがらせの実例を教えていただきました。

 グループワーク

 金城学院高等学校の取組や松村さんの講演をふまえ、児童生徒が主体となって「ケータイ・スマホ」に対する取組をつくるためのアイデアを、グループで出し合いました。

 出されたアイデア  【例1例2

(1)①核となる児童生徒は?

児童会・生徒会、人権委員、人権サークル、クラス、有志 等   

②どうやってやる気を引き出す?

金城学院高等学校の取組について知らせる、ケータイ・スマホのいいところと悪いところを出し合わせる 等

(2)作成の準備・素材集めとしてどんな取組ができる?

児童生徒や保護者にアンケートをする、友だちに困った事例などを聞いてみる、新聞等で関連記事を調べる 等

(3)取組内容を、誰に、どんな手段で、どんな機会に発信できる?

 

他の生徒、新入生、保護者、地域の人々、学校評価委員 等に

冊子や通信、壁新聞やポスター、ホームページ 等の手段で

集会、保護者会、授業公開、文化祭、人権学習、保護者懇談会 等の機会に

 

 「核となる児童生徒」についてのアイデアとして、「ケータイ・スマホの使用に関して課題のある子どもを巻き込めるようにする」という観点も指摘されました。目の前の児童生徒の実態を起点に取組を進めるうえで重要なポイントであると考えます。

 その後、それぞれに自分の学校でなら、どのような取組ができるかを考えていただきました。その計画をベースに、各学校において実践をしていただき、第3回講座で持ち寄っていただくようお願いしました。

【講座3】(12月25日午後)

実践報告

 小学校2校、中学校1校、高等学校1校から実践を報告していただきました(玉城中学校については、事務局より紹介しました)。

松阪市立天白小学校

・児童の携帯電話等の所持状況や困った経験等についてのアンケートを実施した。

・三重県警の出張講座を5・6年生を対象に実施し、保護者にも参加を呼びかけた。

・講座1で紹介された授業展開例を実施した。

・児童が学習内容をポスターにまとめ、掲示した。

・学習内容を学級便りで保護者にも発信し、家庭でも児童と一緒に考えてもらえるようにした。

津市立明合小学校

・5年生児童を対象に、講座1で紹介された授業展開例を実施した。その後、小グループに分かれ、メールに関わる朗読劇の台本をつくった。

・授業参観の際に朗読劇を実施した。また、6年生児童にも別の機会に朗読劇を見てもらうなど、メールに関わるコミュニケーションの特性について児童自身が発信する機会をつくった。

大紀町立大紀中学校

・人権に関わる全校集会において、生徒会役員を中心に、次のような発表を行った。

①ネットモラルに関わる状況等について

②クラス対抗クイズ(ネットについて)

③「人から言われてうれしかった言葉」「人にかけたい言葉」紹介 等

・集会に向けては、アンケートを実施したり、生徒議会での話し合いを行ったりした。

玉城町立玉城中学校

・保健委員会活動として、次のような取組を実施した。

①携帯電話・スマートフォンの使用に関わって「困ったこと、嫌だったこと」を出し合った。

②携帯電話・スマートフォンに関わって、自分たちが知りたいこと等を出し合った。

・今後、電磁波チェッカーを用いた体験活動を行い、保健委員会で考えたことや調べたことを冊子にまとめ、集会等で紹介し、配付する予定である。

高田高校

・携帯電話・スマートフォンに関わって困っていること等を出し合い、どうしたらよいかについて意見交換を行った。勉強の妨げにならないようにするためのアイデアなど、生徒にとって身近な問題について、小グループで話し合った。

 講演 「教育目標におけるハンドブックの意味」 金城高等学校 宮之原 弘さん

 その後、金城学院高等学校においてハンドブックの作成に当初から関わってみえた宮之原弘さんを講師に招き、「教育目標におけるハンドブックの意味」と題して、ご講演いただきました。お話いただいた中から、4点についてご紹介します。

(1)携帯電話・スマートフォンの管理責任の所在について

 管理責任は、本来保護者にある。しかし、保護者の多くはどうしたらいいのかわからずにいる。学校と保護者で責任のなすりつけ合いをしてもはじまらない。大事なことは、学校・保護者・生徒が協力して問題解決の道を探ることである。

(2)コミュニケーションの基本は一対一の向き合ったコミュニケーション

 どれだけメディアが発達しても、一対一の向き合ったコミュニケーションの重要性は変わらないことを生徒たちに伝えるようにしている。例えば「SNS上でのコミュニケーションでトラブルになりそうになったら、SNS上でのやりとりはやめて電話をしなさい。あるいは、翌日会って話をしなさい」と指導している。

(3)生徒を主役にした活動の支援のために

 毎年、新入生に対し、上級生がハンドブックについてのガイダンスを行う。その上で「興味のある人はハンドブックの作成をいっしょにやりましょう」と呼びかけると、一定数の生徒が集まってくる。

 その生徒たちに対して、教職員は、ハンドブック作成の目的からずれてしまわないように軌道修正はするが、非指示的姿勢でできるだけ口出ししないようにしている。「仮にハンドブックの改訂ができなければそれでも構わない」という姿勢で関わっている。

(4)金城学院中学校 高等学校の教育目標に関わって

 金城学院中学校 高等学校の教育目標は、 ①自立(対自分)  ②自律(対隣人)  ③連帯(対社会) である。ハンドブック作成の活動は、この目標の達成に役立っている。

①自立(対自分)

 自分の携帯電話・スマートフォンとの係わり方を振り返ることにつながっている。自分が携帯電話に依存していることに気づき、仲間と「ケータイ・スマホ依存から抜け出す4ヶ条」(※1)等を考案し、依存から回復した生徒もいた。

※1:ケータイ・スマホ ハンドブック 第6版より

#

②自律(対隣人)

 他者への思いやりを持つことの大切さなどに気づくことにつながっている。「『ネット上のいじめ問題』に関する五つの提案」(※2)を考案した。

※2:ケータイ・スマホ ハンドブック 第6版より

#

③連帯(対社会)

 自分たちの学びを共有し、社会に発信するアクションとして、有志生徒による新入生へのガイダンスや、ハンドブックをテキストとした保護者対象の学習会につながっている。

 参加者アンケートより

(第1・2回)

・ 携帯電話・スマートフォンや子どもたちの現状を具体的に知ることができ、とても勉強になった。現状を把握する上で教職員間でもネットに関する最新の知識を得る機会が必要だと思った。根本のところは「自己肯定感の育成」が大切だと思う。携帯電話やスマートフォンの使用等の指導と合わせて日々の関わりを大切にしていくことの重要性を改めて考えさせられた。

・ ワークショップ形式の模擬授業で、実際に体験できたのが良かった。校内でも教職員間で交流したいと思った。

・ 普段、話をする機会のない他の校種の方たちと共通の話題で情報交換することができ、とてもよかった。第3回が楽しみです。

・ 子どもをとりまく環境に目を向けることが責務であると改めて思う機会になった。「わからない」ではなく知ろうとすること、そして、目の前の現象の裏にある原因を考えることを今後も続けていきたい。

(第3回)

・ 現場で使える材料が多くあり、連続講座の1~3回を通してとても参考になった。今後も開催してほしい。

・ スマホ、ケータイの扱い方や気をつけることなど授業でも取り上げているが、なかなかよい資料やルールなどわからず困っていた。今日の話や資料をこれからの取組に活用したいと思う。

・ いろいろな学校の実践報告を聞くことは大変勉強になる。日頃の人権教育を進めるうえでの課題なども含めて意見交流ができた。

・ 講演会の内容がとても参考になった。スマホ依存は生徒の心の叫びであるという言葉が印象に残った。

 

 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 教育委員会事務局 人権教育課 調査研修班 〒514-0113 
津市一身田大古曽693-1(人権センター内)
電話番号:059-233-5520 
ファクス番号:059-233-5523 
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