「障がい者」の表記に改めます
「障害者」の表記における「害」という漢字のひらがな表記については、さまざまな意見がありますが、「害」という漢字のイメージの悪さから、「障がい者」と表す自治体などが増加しています。
県では、今後、公文書、広報紙等で使用する表記について、次のとおり漢字表記をひらがな表記に改めることとします。
もとより、障がい者施策の推進にあたっては、障がいのある人も、ない人も、ともにくらすことができる社会を築くため、当事者の思いを大切にして取り組んでいくことが重要です。表記の変更に止まることなく、本来の取組の充実や「障がい」を理由とした差別をなくすことなどについて、県民のみなさんにご理解をいただけるよう一層努めることとします。
1 取扱方針
(1)今後、(2)に掲げるもの以外の表記については、「障がい」の表記を用いることとし、その用法についての共通理解を図り、できるところから順次使用していきます。
(2)法令、条例、規則等の変更までは行わず、「障害のある人の権利に関する条約」等における今後の国の動勢にも留意します。
2 取組内容
(1)今後、各室が作成する啓発資料など(パンフレット資料、ホームページ、文書等)は、下記(3)に該当する法令や固有名称などの表記を除きひらがな表記にします。
なお、これまでに作成した文書等の変更は行いません。
(2)市町等関係団体にはひらがな使用を求めません。
(3)法令、条例等に基づく制度などで漢字表記が使用されている場合には、そのままの漢字表記を使用します。
(4)施設や組織の名称などの固有名称などで漢字表記が使用されている場合には、今後整理します。
(5)上記の取組等に関して、主要関連部局の室長を構成員とする連絡調整会議を設置します。
3 具体的な表記例
(1)「障害」ということばが単語あるいは熟語として用いられ、前後の文脈から人や人の状況を表す場合はひらがな表記とします。
- 障害者 → 「障がいのある人(方)」、「障がい者」
- 身体障害者 → 「身体障がいのある人(方)」、「身体障がい者」
- 精神障害者 → 「精神障がいのある人(方)」、「精神障がい者」
- 知的障害者 → 「知的障がいのある人(方)」、「知的障がい者」
- 発達障害児 → 「発達障がいのある児童」、「発達障がい児」
- 視覚障害者 → 「視覚障がいのある人(方)」「視覚障がい者」
- 障害(者)福祉サービス → 「障がい(者)福祉サービス」
なお、次のような場合は、漢字表記で差し支えないと考えられます。
- 過重労働による健康障害についての基礎知識を習得する。
- 交通事故の後遺症による高次脳機能障害の話題が出た。
- Aさんは、飲酒に起因するアルコール性肝機能障害の疑いがある。
(2)法令及び国の制度等に基づく表記は従前どおりとし、固有名称等の表記は今後整理していきます。
- 障害者基本法
- 障害者自立支援法
- 発達障害者支援法
- 身体障害者福祉法
- 身体障害者手帳
- 身体障害者相談員
- 知的障害者相談員
- 健康福祉部障害福祉室
- 身体障害者総合福祉センター
- 自閉症・発達障害支援センター
- みえ障害者福祉プラン
- 三重県障害福祉計画
- 法令等に基づく事業、補助金等の名称など
(参考)
○ もともと「障害」は、「障礙」と表記されていましたが、昭和22年に公布された当用漢字表に「礙」「碍」(礙の俗字)が無くなり、法律に使用することができないため、「害」の字が代わりに使用されるようになったとされています。
○ 国の法律、規則等は漢字表記で統一されており、表記の見直し議論はありません。また、報道機関では、通常、漢字表記を用いています。
障害者基本法(昭和45年法律第84号)
第2条(定義) この法律において「障害者」とは、身体障害、知的障害又は精神障害(以下「障害」と総称する。)があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう。
○ 都道府県では、平成16年から福島県が、平成18年2月から北海道、大分県が、平成19年4月から山形県が、ひらがな表記を始めています。
○ 本県では、平成18年9月1日から教育委員会が独自にひらがな表記を始めています。
○ 県内では、志摩市、津市、松阪市、伊賀市、伊勢市がホームページの記述、組織名(課・係名)等をひらがな(障がい)表記にしています。
○ 「害」という漢字の使用を不快に思うとの主張がある一方で、漢字かひらがなかという議論自体を無意味あるいは不快に思うといった意見など、県民、県内外の団体などにもさまざまな議論があります。
○ 県としては、法律で定義された用語であることや用法としては正しくとも、「害」という漢字のもつマイナスの印象と、これを不快に思う皆さんの思いに配慮していく必要があると考え、庁内で検討してきました。