県内の若者を対象とした「グローカル人材育成講座」開催記録
令和4年11月から12月にかけて、県内の若者のグローカルな視点を育むため、「グローカル人材育成講座」を開催しました。計3回にわたった講義では、出身地または在籍する学校が三重県内の生徒・学生を対象に、「環境」をテーマとして、グローカルに活躍する教授・水族館の職員・経営者などから直接お話をうかがう機会を提供しました。主催:三重県 雇用経済部 国際戦略課
※(公財)国際環境技術移転センター(ICETT)に委託し実施しました
第1回:地球温暖化に伴う気候危機と異常気象研究の最前線
~グローバル気候とローカル気象は深く関係~
日時:11月13日(日)13時30分から16時30分まで場所:四日市商工会議所1Fホール(四日市市諏訪町2番5号)
講師:三重大学 生物資源学研究科 共生環境学 気象・気候ダイナミクス 教授 立花 義裕 氏
三重県内の高校生・大学生・大学院生の総勢24名が参加しました。学生たちには、5チームに分かれてもらい、講義が終わるごとに班で話し合ってもらう形をとりました。
はじめに、立花教授から、講義1として昨年ノーベル物理学賞を受賞された眞鍋淑郎氏の温室効果理論について、分かりやすく解説いただきました。水分子がゆらゆらと揺れている様子を、会場の舞台を縦横無尽に使ってダイナミックに説明いただいた際には、参加者からは笑い声も聞かれました。その後の質疑応答の時間では、学生たちから疑問点について沢山の質問があり、立花教授はそれらに対して一つひとつ丁寧に答えられていました。
講義2では、「そもそも地球温暖化でどうして異常気象が頻発するのか」というテーマで、気候危機のメカニズムについて詳しくご説明いただきました。今年は、欧州では記録的な猛暑が記録され、日本では猛暑だけでなく大雨も多くみられましたが、なぜこのような異常気象が北半球で多く見られているのか、様々な天気図や海面水面図等を用いながら解説いただきました。漠然としか理解できていなかった部分がよく分かる内容で、思わずなるほど...と声が漏れてしまう参加者も見受けられました。
最後に、「学校では気象学や気候学を学べない現状と、大人たちの気候危機に対する無関心」、「日本では学校教育で気象・気候を学ぶ機会が少なく、知識が薄いという課題をどう解決するか」等の問題について、班で話し合うグループワークの時間が設けられました。学生からは、“100m以下の短い距離の移動でも車を使う大人が多い”という問題点を受けて、「環境に配慮して必要な時だけ自動車に乗るよう促すために、免許を取得する際に気候危機について講義を受けてもらうということを必須にすればいいのではないか。」といった柔軟な意見が飛び交い、会場は最後まで大いに盛り上がりました。
会場の様子
第2回:楽しいだけじゃない鳥羽水族館!~環境保全と種の保存、海外との関わり~
日時:12月11日(日)10時00分から16時00分場所:鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽3-3-6)
講師:鳥羽水族館 副館長 若井 嘉人 氏
〃 飼育研究部長 三谷 伸也 氏
〃 学芸員 杉本 幹 氏
<当日の流れ>
10:00 水族館職員による講義
12:00 昼休憩
13:30 チームごとにバックヤードツアー(30分程度)、館内を自由見学
16:00 解散
三重県内の高校生・大学生 計41名と、県内の留学生・ALT(外国語指導助手)計16名、総勢57名もの大変多くの参加者が集まりました。参加者は、県内学生と留学生・ALTの混合チーム(4~5名)にそれぞれ分かれて、英語でコミュニケーションを取りながら、講義内でのディスカッションや館内散策を通じて交流を深めました。
はじめに、水族館職員による講義を開催しました。「鳥羽水族館概要」から、「繁殖・種の保存の取り組み」、「大学や海外水族館との共同研究や交流」、「環境保全とプラスチック削減の取り組み」、「パラオへのJICA海外派遣」といった様々なトピックについて、詳しく教えていただきました。講義の合間には、チームごとに感想や疑問などを話し合う時間をとり、講座を聞いてどう感じたのか等を共有してもらいました。
午後には、普段は関係者以外立ち入ることができないバックヤード部分を、鳥羽水族館職員の方にご案内いただきました。その後、各チームに再度分かれてもらい、あらかじめ配付していた海の生き物にまつわるクイズの答えを探しながら館内を散策しました。
どのチームも、言葉の壁をなんとか乗り越えて、身振り手振りも交えながら積極的にコミュニケーションを取っていました。参加者からは、「水族館に環境保全などの多様な役割があり、国内・海外に多くのつながりがあることを知れた」「水族館を留学生と散策することができ、コミュニケーションを取るのは難しかったが新しい友達もできて楽しかった。」などといった感想が寄せられました。