情報提供推進の仕組みと課題
2004年3月31日
三重県情報提供推進委員会
三重県では、2002年4月に、要綱で情報提供推進委員会を設置し、情報提供について第三者からの点検と提言を受ける仕組みを設けた。委員会の任期は2年であった。三重県では要綱設置の委員会は特定の課題についての時限設置の委員会であるという方針があり、2004年3月に委員会の活動は終了する。そこで、委員会の活動を終えるに当たり、2年間の活動を簡単に振り返ることで、情報提供推進の第三者機関の意義と課題についてまとめておきたい。
この2年間の活動を振り返ってみると、委員会の実際の活動は、a)三重県における情報提供の仕組みと現状の点検、b)情報提供に関する特定の課題についての調査研究=提言であった。具体的な課題としては、県民意見反映手続きを取り上げ、その成果を、『2003年度 三重県における情報提供の現状と課題 ―意見反映手続きに関する提言―』(2003年6月、以下、『提言』)にまとめた。その内容を受けて、「県民の意見を行政に反映させる手続きに関する指針及び運用方針」も改正されようとしている。
意見反映手続きを情報提供の視点から本委員会が取り上げたことを通じて、審議会による意見反映手続きの利用、関連資料の公表のあり方、周知方針(関係団体・特定非営利活動法人、専門家・有識者、市町村窓口等への配布)について新たな視点から提言することができた。その意味では、情報提供推進の第三者機関が情報提供の仕組みと制度について調査研究し、提言することの意義は小さくないと考える。
しかしながら、このような意義を踏まえつつも、反省すべき点、また課題とすべき点も明確になったように思われる。
第一は、『提言』の内容の実現を継続的に追跡する仕組みが必要であることである。
第二は、関係団体・特定非営利活動法人、専門家・有識者、市町村から、県の行う情報提供についての意見を聴くことが十分出来なかったことである。『提言』でこれらの者に対する情報提供の必要を強調しているが、その考え方や手法については問題が残されており、情報提供について継続して県民の声を聞くことが必要であろう。
第三は、委員会の関心が、情報提供の仕組みや規模といった問題に集中した感が否めないことである。提供された情報の質や内容が県民にとって役立っているかどうか、あるいはそのように提供されているかの視点が弱かったということである。先の『提言』で、関連資料の公表について、概要や論点を明確にした情報提供をと提案しているのは、情報提供の質あるいは適切さを問題としていると言えなくない。こうした発想で、県のホームページや特定の行政課題について、効果的な情報提供とは何かを、その内容に即して県民や県職員とともに考えるということが弱かった。
以上のように自らの活動の意義と反省、課題について振り返るとき、情報提供推進委員会の委員のあいだでは、他県に先駆けての先進的な取り組みであること、「県民しあわせプラン」に盛り込まれた「新しい時代の『公』のあり方」を踏まえた県政運営の展望からいっても情報提供の推進が大事であること、また2年をかけて委員会が取り組んだ県民意見反映手続きの改善がどのように実現するか見守るためにも、委員会を存続させるべきだとの思いが強かった。要綱設置の委員会は時限設置ということの趣旨は理解できるものの、それならば、情報提供推進の第三者機関の常置の方法が検討されてもよいように思われる。
常置の具体的なあり方についていくつかの方法が考えら、また委員会の存続は常置に限定されないかもしれない。委員会としては、要綱設置であるという形式的な理由により活動が中断されるのであり、情報提供の第三者機関の存続の意義、そしてその課題は無くなるものではないと考えている。