令和6年2月8日~9日の二日間、三重県松阪市飯高町波瀬地区と森地区で、三重県(松阪地域防災総合事務所)が企画した、全国初の「教育ワーケーション」テストツアーを行いました。
1 ワーケーションの定義
ワーケーションとは、Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語であり、「テレワーク等を活用して、ふだんの職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごす」ことです。時間や場所に制約されず、高い生産性や創造性を育む新しい働き方として、三重県ではワーケーション誘致を推進してきました。
2 教育ワーケーション試行の経緯
ワーケーションは、受け入れ地域とワーケーションを実施する企業の社員など地域外の人々との交流のきっかけになるものとして、地域活性化の効果も期待ができます。しかしながら、景勝地や体験ツアーといった観光資源が少ない地域では、受け入れの取組が遅れがちでした。
一方で、松阪地域には児童生徒数が少ない小規模校も点在しているほか、親子山村留学実施校や中高一貫教育校、全寮制校など特徴のある学校も多くあります。そこで、これらの学校を「地域資源」と捉えて、次世代育成や社会貢献等に関心を持つ企業による出前授業を「仕事」と位置付けたワーケーション(教育ワーケーション)が成立するか検証することにしました。
テストツアーは松阪市飯高町波瀬地区と森地区で行いましたが、その理由は以下の3つです。
①この地区内に立地する香肌小学校は、学校と地域が連携して親子山村留学制度に取組み、親子の移住を伴う転校生が増加する実績を有している。
②同校では体験授業や、社会人による出前授業を積極的に行っており、教育ワーケーションによる外部講師の受け入れにもハウツーがある。
③地区内にテレワークが可能な宿泊施設やアクティビティを提供する事業者がある。
3 教育ワーケーション参加者
ANAホールディングス株式会社及び株式会社パソナ JOB HUBの社員 計3名
この3名は、三重県事業の「とこワク(Work × Innovation)推進事業」の一環として参加しました。
4 主な実施内容
(1)令和6年2月8日(木)
地元で古民家ゲストハウス亀成園を営むインストラクターのガイドにより、旧和歌山街道の宿場町だった波瀬地区の街並みを散策してリフレッシュしました。
(2)令和6年2月9日(金)
①地域住民との意見交換会
香肌小の親子山村留学をきっかけに転入(移住)した方や、元々この地域に長く在住している方を招き、参加者との間で、移住の際に苦労した点や移住してよかった点、また、移住者と地元が良好な関係性を築くための工夫点、などについて意見交換しました。また、過疎化などの地域課題を解決するために、教育ワーケーションや兼業・副業など、企業や地域外の人々と、どのように関わっていくべきかについても意見を交わしました。(会場:飯森森林生産組合 会議室)
②出前授業
香肌小の全校児童(20名)を対象として「空のおしごと」をテーマに、参加者(CAの社員)から飛行機や航空会社についてお話をしていただきました。飛行機を飛ばすためには、パイロットやCAのほかにも地上スタッフなど多くの職種が関わっていることを学び、児童のキャリア教育に役立てました。
※これらのほか、参加者は適宜、テレワークやWEB会議等も行いました。
5 今後の予定
テストツアーの成果を踏まえ、地域特色を生かした教育ワーケーションの継続的な実施可能性等を検討していきます。また、教育ワーケーションの企画や受け入れを、地域で主体的に関わっていただく方策を検討します。