室生赤目青山国定公園(三重県側)のあらまし
侵食地形の妙 林立する柱状節理の壁
指定日
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昭和45年12月28日
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面積
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13,564ヘクタール
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市町
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名張市、伊賀市、津市、松阪市
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自然美
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赤目四十八滝、青山高原、香落渓、大洞山、尼ヶ岳、霊山
高見山、池木屋山、宮の谷渓谷 |
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動植物
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青山高原のツツジ、ススキ、奥山愛宕神社の天然ブナ林、霊山のイヌツゲ、アセビ、三多気の桜
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歴史的
建造物 |
奥山愛宕神社、北畠神社、霊山城跡、若宮八幡宮
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アクティビティ | 香肌峡(松阪市ホームページ) 赤目四十八滝 |
伊賀・伊勢の分水嶺をなす布引山地から、三重・奈良の県境部にあたる室生火山群地域の三峰山地をへて、池木屋山(1,396メートル)までの台高山脈北部を含む区域で、変化に富む景観や自然に恵まれたところです。
布引山地は標高700~850メートルのなだらかな隆起準平原で、青山高原とも呼ばれ、ハイキングや観光で親しまれているところです。布引山地の南に続き、つり鐘を伏せたような1,000メートル内外の尼ヶ岳、大洞山、倶留尊山などは室生火山群とよばれ、今から1300年万年前の熔岩で形成された山で、近畿地方としては珍しい火山地形です。名張川には、赤目四十八滝と呼ばれ、滝の多いことで有名な赤目渓谷と香落渓を、鎧岳や屏風岩などには、川の侵食作用による高さ50~100メートルにおよぶ見事な柱状節理の岩壁をみることができます。三峰山地は西日本を東西に二分する大断層「中央構造線」に並行する山地で、これより南では険しい山岳地帯となります。台高山脈北部は1,000メートル級の山岳がつらなり、櫛田川などのはげしい侵食によって、宮の谷、江馬小屋峡、蓮峡などが深い峡谷美をなしています。高見峠からは中央構造線が形づくる地形を目にすることができます。
この一帯はスギ・ヒノキの造林が進んでいますが、布引山地にはススキやササの草原が広がり、アセビや紅色のツツジ類が春から初夏にかけて華やかに彩り、ブナ林の残る奥山愛宕神社や、霊山などのイヌツゲ・アセビなどの林は注目すべき自然景観となっています。室生火山群では、赤目渓谷のモミ・ツガ・カシ類などの自然林、香落渓のシャクナゲ類を主とした岩壁植物群落があり、秋の紅葉の名所として有名です。三峰山地の山頂部は草原のなかにシロヤシオの群落があり、特異な森林景観を示しています。三峰山地から台高山脈北部の標高700メートル付近より上部には、春に新緑、秋には紅・黄葉となるブナの天然林がみられ、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、シカなどの大型野生動物の生息地となっています。高見山にわずかに残るブナ林は冬になると樹氷につつまれます。また、馬小唄にも歌われた大洞山南麓の三多気はヤマザクラの名所(国指定の名勝)で、1.5キロメートルにわたる桜並木が見事な花を咲かせます。
この一帯の歴史は古く、万葉の頃から大和と伊勢を結ぶ街道が山間に開け、近世に至ってからは益々往来が盛んとなり、今でも伊勢国司の北畠氏館跡の庭園(国の史跡)や、室町時代の山城のなごりをとどめる霧山城跡(国の史跡)などの史跡・旧蹟が残されています。