1. 「世界遺産のまち」でみかんの収穫に挑戦!
世界遺産「熊野古道」を始め、数々の名勝や秘境が存在する熊野市が今回の舞台です。みかんといえば晩秋から冬のイメージですが、この地域で多く生産されている「極早生(ごくわせ)」は、9月から10月に収穫されるシーズン一番手の品種です。今回、アプリ「デイワーク」を使ってアルバイトの募集を行ったのは、18ヘクタールの農地で15種類の柑橘を育てる「かきうち農園」です。若手農業者の支援にも積極的な同社では、20代~30代の従業員が複数在籍しているほか、みかんジュースなどの6次産業化にも取り組んでいます。取材に伺ったのは9月下旬の土曜日。デイワークを通じて今回アルバイトに応募したのは、市内の企業に勤める中山さんです。平日はデスクワークが中心のため、運動とリフレッシュを兼ねて今回応募に至ったとのことでした。中山さんにデイワークの使用感を伺うと、「カレンダー上に募集人数が表記されるので、自身の予定と照らし合わせやすいですね。相手への連絡もアプリ上で完結するので、気軽に申し込むことができました」とのことでした。
中山さんが事務所に到着すると、かきうち農園代表の垣内さんが出迎えてくれました。垣内さんは「おはようございます。ここから少し離れた所で作業をしますので、作業内容は現地に着いてから説明しますね」と話し、作業に使用するカゴとハサミを中山さんに手渡しました。その後、垣内さんの運転する車に乗せてもらい、事務所から5分程離れたみかん畑に向けて出発しました。


2. みかん収穫の基本、「二度切り」にチャレンジ!
みかん畑に到着すると、辺り一面が濃い緑色の葉を茂らせたみかんの木で埋め尽くされています。太陽の光を浴びた極早生のみかんは、その特徴である明るい緑色を帯びた黄緑色に輝いています。垣内さんは「この場所は大体1ヘクタールですね、畑は全部で18ヘクタールあるので本当に大変です」と話しながら、手際よく作業の準備を進めます。すべての準備が整い、いよいよ収穫のスタートです。基本となる「二度切り」について、「一回でギリギリを切ろうとすると、ハサミで実を傷つけてしまう恐れがあります。逆に枝の部分が残っていると、カゴやコンテナの中で他のみかんを傷つけてしまいます。なので、最初に枝を1~2センチ残して切り、次にヘタのギリギリを切るという『二度切り』が大事になります」と、ゆっくりと実演しながら、その理由を丁寧に説明してくれました。また、みかんの枝による擦り傷や、足元に落ちているみかんによる転倒など、作業の際の注意事項についても指導がありました。




3. 無心になって作業に没頭するひととき
中山さんは教わった通り、一つひとつ丁寧にみかんを収穫していきます。今回はすべての実を収穫する「総取り」のため、葉の裏や枝の奥などの実を見落とさないよう、目線や体勢を変えながら慎重にみかんを見つけていきます。熟練の従業員の方は「分からないことや判断に迷うことがあれば、いつでも声をかけてくださいね」と声をかけ、二人は付かず離れずの距離を保ちながら作業を進めました。作業開始から約1時間後、中山さんに作業の肉体的な負担を尋ねると「身をかがめたり、腕を伸ばしたり、普段あまりしない体勢が多く大変ですが、すごくいい運動になりますね」と笑顔で返答いただき、まだ余裕がある様子です。一連の動作も次第にスムーズになっていき、パチン、パチンという小気味のよいハサミの音が、澄んだ青空に響いています。



4. 作業終了!コンテナいっぱいのみかんが労働の証
午前12時に終了時刻を迎えました。みかんが詰まったコンテナを順番に車に積み込みます。その場で中山さんには給与が支払われ、垣内さんは「大変助かりました。ぜひこれからもお手伝いに来てくれるとありがたいです」と声を掛けました。中山さんも「目の前のみかんのことだけに集中して作業できたので、身体は疲れましたが頭はリフレッシュできました」と感想を伝えました。中山さんは事務所に戻ったあと、みかんがサイズ別に分類され出荷される様子を見ながら、「今日採ったみかんも皆さんに美味しく食べてもらいたいですね。私もこれからは今日のことを思い出しながら、一つひとつ大切にいただきたいと思います」と話し、事務所を後にしました。


