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平成20年05月30日

松阪市飯高町の林業の現況

1)沿革

飯高町は奈良時代から伊勢と大和を結ぶ交通の要所であったため、林業は吉野林業の強い影響を受けて波瀬地域を中心に発達したものである。
郷土誌によると元禄16年(1703年)七日市の村民が「杉苗植付願書」を提出しており、この頃には小規模ではあるが植林されていたことを示している。本格的な取り組みは、正徳年間(1711年~1715年)に波瀬の5代目田中彦左衛門氏によるもので、雑木を伐採して杉の植林を行ったのが人工林の始まりとされている。宝暦(1751年~1759年)頃から製炭が盛んになり、その跡地にも植林されたといわれる。
明治期に入り、村有林や区有林になった山を有効に活用するため、波瀬村有識者が地上権設定による「歩口山制度」を始め造林の振興を図った。
これがやがて、森、川俣、宮前と町内に広がっていった。

近年、集約育林による良質材の生産を行い、短伐期収入を目的とした「磨き丸太」の主産地形成を図り、また、長伐期による大径木仕立てによる良質な素材生産及び森林資源の有効利用を目的とした「割箸」「杭」「足場丸太」「ウッドパーツ」等の生産を推進してきた。

みがき丸太

現在、本町内の森林は、中径木の森林が大半を占めてきており生産される小、中径木の間伐材を新しい技術、施設を整備し加工することにより付加価値を高めている。
また、最近の木材事情を考えると大手住宅メーカーの参入や消費者ニーズの変化に伴い製品の規格化や乾燥材の使用、取引の大ロット化等変化がみられ、広域での対策が必要となりつつあり、南伊勢流域活性化センターを設立し流域単位での取組みを行っている。本町においても流域の中での位置を見据え、森林施業、木材生産、製品加工、流通の新技術導入を図り、特用林産物である椎茸栽培、森林を利用した観光施設等の活用も含めた新しい林業を模索し、林業全体の振興を目指している。

2)飯高の林業の特色

本町の林野面積は、22,720ha総面積の94%を占めており、林産物の生産、国土保全、水資源の涵養、環境保全等、多面的な機能を有している。
民有林21,726haにおける人工林率は72%であり樹種は、杉65%、桧32%で全体の97%を占め、令級構成は、1~3令級6%、4~7令級54%、8令級以上40%となっており、波瀬林業を中心とした本町は、県下でも有数の林業地帯を形成している。

1.造林

製炭木の伐採跡地に始まった造林は、地桁えを丁寧に実施し、植付は、5,000~6,000本/haの密植である。苗木は、自家養苗であったが、現在は、吉野系の県内実生苗を多く使用している。一方では京都北山系及び自林内の優良な苗木を挿し木で自家生産し、植付けている林家もみられる。

2.保育

1.下刈

下刈は、植付年次は年1回、2~4年生時は年2回刈、5~6年生時は年1回刈を実施し、通常、手鎌で作業を行い、ほとんど機械施業はしない。これは林地の地形が急峻なことのみならず、苗木の周りの下草を丁寧に刈り、幼木時の根曲がりを防ぐことを目的としたものである。地勢により部分刈を7年生まで実施し、つる切りも同時に実施する。

2.枝打

枝打は、裾枝打にはじまり、用材として利用出来るまでに合計5回程度実施するのが通常である。
裾枝打は、成長量にもよるが10~15年生で実施し、その後、背丈打、梯子打の工程を30年生程度まで実施する。
枝打は、高度の技術を要するが、生産される木材が磨き丸太、無節柱、桁材等,付加価値の高い製品となるため実施している。

3.除、間伐

除伐、いわゆる捨切であり不良木の伐倒を立木の成長にあわせて8年生程度から実施している。
間伐は、除伐後の成立本数にもよるが13年生程度から実施し10%~25%の割合で5年に1度、合計5回行う。
磨き丸太は、15年生程度の林分の優勢木からの収益を目的とした施業であるが、同時に皆伐までの本数調整伐のためでもあるので選木には慎重な判断を必要としている。

4.林内掃除

当町の気候、地勢、地質から林内における雑木、下層木の成長は旺盛で、林内の立木の成長に害するため、掃除を実施する。また、枝打、間伐等を実施する際にも林内作業の効率を上げるため同時に施行している。

林内

3.収穫

当町の民有林の内10令級以上の林分は、約16%を占めており皆伐期を迎えた森林は、森林組合、素材業者及び林家直接の労務班により伐採され搬出されている。
林内道路が隣接されたところでは直接トラックに載せられるが、林内路網密度が低いことから通常は、架線によるところが大勢をしめている。
小径木の出材は、林内作業車を利用し、奥地の優良材の搬出手段として最近では、ヘリコプターの利用も行われている。
伐採、搬出作業はチェンソー、架線等の人力による作業が多く出材経費を増加させている。このことから、本町では、林道、作業道等の基盤整備とともに林業高性能機械の導入を実施し、コストダウンを図って行くものである。

4.林産物の生産状況

造林樹種は、杉が主体で吉野林業に準じた密植による集約的な林業が行われ、昭和初期までは酒樽が相当量産出された。戦時中には電柱材を盛んに生産し、仝国の電柱価格を支配していた程であったが、最近では優良材生産を目標にして枝打も行われ一部では磨き丸太の生産も行われている。
生産された素材の大部分は、松阪市の原木市場に出荷されるが一部は奈良県に出荷され吉野材として取引されている。また、間伐された小径木は森林組合みえ中央の木材共販所に集荷され足場丸太・杭業者に販売され独自の小径木市場を形成している。

木材加工は、戦後の住宅ブームを反映して本町においても建築用材の製材が盛んに行われたが、外材の進出、賃金の高騰等により縮小されつつある。また、足場丸太、割箸、木工品等の生産も小規模であるが行われている。しかし、大手住宅メーカーの参入等により建築様式が著しく変化した現在では役物中心の生産が難しくなりつつあり、多様化した木製品の生産を模索している。

特用林産は雑木林を伐採し、杉、桧の人工林化が盛んな頃には木炭の製造や椎茸栽培が活発に行われたが生活様式の変化に伴う需要の減退や原木の入手困難等により木炭生産は、激減している。一方、椎茸栽培については、原木の入手困難ばかりでなく重労働なことから菌床栽培に移行しつつあり森林組合みえ中央いおいて菌床ブロックを生産し林家により椎茸栽培を行っている。

5.労務対策

本町における林業労働力は、昭和30年代には拡大造林が盛んに行われ林業労働者は、1,500~2,000人程であったが、国の高度経済成長政策により山村の若年労働力の都市への流出が増大し、過疎とともに林業労働力は低下してきた。この対策として本町は、全国にさきがけて飯高町林業労働者退職金共済制度を昭和45年より実施し、労働者の掛金の一部を補助している。また、県による森林作業員退職金共済制度(平成11年度解散)や森林組合作業班員の林業労働者就労安定化事業(ボーナス制度)も利用し老後の保障制度を整え労働力の確保に務めている。

昭和56年度より、三重県基幹林業技能者育成確保対策事業を実施し若年の林業労働者に森林施業に必要な資格、免許、技術等の幅広い専門的な技能を習得し、地域林業労働者の中核となるべく林業作業士の育成に取組み現在14名が活躍している。

作業風景

最近は、林業に対する若者の思考が変化し「Uターン」「 I ターン」により「転職組」「学士さん」の流入もあり、受入れれ体制の整備を図り、これからの林業労働力の確保を目指している。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 松阪農林事務所 森林・林業室(林業振興課) 〒515-0011 
松阪市高町138(松阪庁舎4階)
電話番号:0598-50-0568 
ファクス番号:0598-50-0623 
メールアドレス:mnorin@pref.mie.lg.jp

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