幼児期における自然体験を通して、子どもは知的好奇心や感性が豊かに育まれ、社会性、自尊心、自己肯定感の向上効果が期待されると言われています。
県では、子どもの豊かな育ちを基本とした子育てを推進するため、自己肯定感の向上を含め、子どもの「生き抜いていく力」を育む野外体験保育の推進を図ることとしています。
本年度は、学識経験者を含む調査・検討委員会を設置し、県内保育施設へのアンケート調査や保護者向け意識調査等を実施し、県内の野外体験保育の実態を把握するとともに、有効性の検証や普及方策の検討を行いました。
このたび、調査結果をとりまとめましたので公表します。
1 主な結果概要
調査からは、次のようなことがみえてきました。
(1)野外体験保育の実施頻度と、子どもの様子には関係が見られる。
野外体験保育の実施頻度が高い保育施設ほど、多くの園児に「自分からすすんで何でもやる」「さまざ
まな情報から必要なものが選べる」「自分に割り当てられた仕事はしっかりとやる」「人のために何かを
してあげるのが好きだ」などの様子が見られると回答した割合が高い。
(2)野外体験を多く取り入れる施設に子どもを通わせる保護者は、子育てに肯定的な感情を持っている。
野外体験保育に積極的に取り組む施設に子どもを通わせる保護者の9割以上が、「子どもの成長している
姿を見るのが嬉しい」「子育てを通じて、自分も成長していきたい」などの項目に、「そう思う」と回答
しており、今の子育てと自分の生き方に肯定的な感情を持っている様子が見られる。
(3)野外体験保育の実施頻度が低い施設ほど、野外体験保育のニーズは高い。
県内の48.0%の保育施設がもっと野外体験保育に取り組む必要があると回答している。特に、野外体験
保育の実施頻度が低い施設ほど、「もっと取り組みたい」と回答した割合が高い。
(4)野外体験保育の実施頻度が高い施設ほど、地域の人々の保育への参加が多い。
野外体験保育の実施頻度と、地域の人々の保育への参加回数には関係が見られ、実施頻度が高いほど、
地域の人々が参加する行事等の回数が多い施設の割合が高い。
2 調査結果の活用
今回の結果については、報告書を県内各市町に送付するとともに、調査結果の概要を県内の保育所・幼稚園に配布します。
3 平成28年度の取組方策
調査において明らかとなった課題への対応や、野外体験保育の普及を図るため、当調査結果の報告書を活用するとともに、野外体験保育に対する理解・関心の向上、保育者の人材育成、学習・交流の機会の提供を中心に、以下の方策に取り組みます。
(1)野外体験保育シンポジウムの開催
野外体験保育に対する理解・関心の向上を図るため、広く県民の皆さん、保育関係者、市町等を対象
に、野外体験保育の取組事例や、子どもたちの変化などを紹介するシンポジウムを開催。
(2)野外体験保育アドバイザーの派遣
野外体験保育に取り組む人材を育成するため、野外体験保育に取り組もうとする保育施設に対し、野外
体験を安全かつ効果的に実施できるノウハウを持った専門家をアドバイザーとして派遣。
(3)野外体験保育事例研究会の開催
保育者に対して学習・交流の機会を提供するため、野外体験保育を実施している、または、これから取
り組もうとする施設の保育者を対象に、事例検討や意見交換ができる研究会を実施。