都市計画決定権者である三重県から送付のあった環境影響評価方法書について、環境影響評価法に基づき知事が環境保全の見地から意見を述べるにあたり、三重県環境影響評価委員会へ諮問していました。同評価委員会での審議の結果、平成28年3月23日に答申がありましたので、平成28年3月24日付けで次のとおり環境影響評価方法書に対して知事意見を述べました。
(事業概要)
対象事業の名称:(仮称)都市計画道路鈴鹿亀山道路
都市計画決定権者の名称:三重県
※この道路は都市計画法に規定される都市施設であるため、環境影響評価法の特例規定により、
環境影響評価の手続は、都市計画決定権者(三重県)が都市計画の決定手続と併せて実施しています。
対象事業の種類:一般国道の改築の事業
対象事業実施区域の位置:三重県鈴鹿市~亀山市
対象事業の規模:約10km
以下、知事意見を掲載します。
(総則的事項)
1 詳細なルートや構造等の設定においては、社会面、経済面のほか、環境面にも可能な限り配慮するとともに、今後の詳細なルートや構造等の設定に鑑みながら適切に調査地点を設定して調査、予測、評価を行うこと。
2 準備書の作成までに環境影響評価の項目及び手法の選定等に係る事項に新たな事情が生じた場合には、必要に応じて、項目及び手法を見直し、追加調査を実施すること。
3 予測、評価を行うにあたっては、既存の文献、類似事例等を参考にしたうえで、環境影響について可能な限り定量的な把握に努めるとともに、知見が不十分で予測、評価に不確実性を伴う場合には、事後調査を計画すること。
4 環境保全措置を計画する場合には、措置の内容を具体的に記載するとともに、その検討した経緯及び選択した環境保全措置の不確実性についても明らかにし、事後調査を計画すること。
(個別的事項)
1 大気質、騒音、振動、水質
工事の実施に伴う粉じん、騒音、振動、悪臭及び濁水等の影響を可能な限り低減するよう配慮すること。また、将来交通量や車種構成、インターチェンジの形状、維持管理方法等の諸条件を明確にしたうえで、供用時の環境影響を予測、評価すること。
2 水質、動物、植物、生態系、水生生物
(1)事業実施区域における地下水の水位や流動方向等について、既存データの収集や既存井戸での調査等により把握し、鈴鹿川周辺に存在する水道水源や、動物、植物、生態系及び水生生物への影響を可能な限り回避・低減すること。
(2)動物、植物、生態系及び水生生物への影響の予測及び評価は、水質の調査結果を関連付けて行うよう努めること。
3 地形・地質、植物
東海層群から生じる湧水等によって湿地化した土地では、重要種が存在する可能性があることに留意して、植物の調査を行うこと。
4 地形・地質
東海層群からはゾウやワニ等の化石が出土しているため、事業の進捗に合せて地層の確認と化石の存在について専門家から助言を聴取し、事業を進めること。
5 陸生動物
(1)昆虫は場所、時期、時間によって発生状況が異なるため、可能な限り多くの地点、時期、時間で調査を行うこと。また、調査においては採取のうえ標本として保存するよう努めること。
(2)事業実施区域やその周辺にはイヌワシ、クマタカ、オオタカ等の天然記念物、希少種がいるため、営巣や採餌場について詳細な調査を行うこと。
(3)道路の存在が動物の生息域を分断することに留意して、他の道路事業での事例を参考として調査、予測、評価を行うこと。
6 水生生物
ネコギギの調査については、各種団体の調査等の情報を幅広く収集し、綿密な調査を行うよう努めること。
7 景観
景観資源である東海道や、能褒野王塚古墳等への景観に可能な限り配慮してルートや構造等を設定すること。特に、東海道に存在する庄野宿は歴史的なまちなみ景観として重要であることから、十分配慮すること。