令和5年7月13日、三重県生活環境の保全に関する条例第72条の4第1項の規定に基づき、鳥羽ドック株式会社(取締役社長 内田陽一郎、鳥羽市安楽島町高山1075-57)から、同社鳥羽第1ドック及び鳥羽第2ドック(鳥羽市安楽島町地内)のそれぞれの敷地の一部において、鉛及びその化合物並びに六価クロム化合物による土壌汚染が発見された旨の届出がありました。
1 内容
鳥羽ドック株式会社が当該土地の取引にあたり、自主的に土壌汚染対策法に基づく土壌調査(有害物質26項目)を実施したところ、次のとおり、鉛及びその化合物並びに六価クロム化合物が基準を超過していました。
鳥羽第1ドック(全10区画)
【鉛及びその化合物】
土壌含有量:調査地点のうち、4区画で基準超過
最大2800mg/kg(基準値150mg/kgの約18.7倍)
【六価クロム化合物】
土壌溶出量:調査起点のうち、1区画で基準超過
0.12mg/L(超過1地点)(基準値0.05mg/Lの2.4倍)
鳥羽第2ドック(全16区画)
【鉛及びその化合物】
土壌溶出量:調査地点のうち、1区画で基準超過
0.032mg/L(基準値0.01mg/Lの3.2倍)
土壌含有量:調査地点のうち、4区画で基準超過
最大2100mg/kg(基準値150mg/kgの14倍)
同事業場では以前、船舶の塗装工程で重金属を含む塗料を使用・保管しており、こぼれた塗料が地中に浸透したことが原因と考えられます。
届出を受け、本日(7月13日)、南勢志摩地域活性化局が現場調査を行ったところ、土壌汚染が確認された場所は工場であり不特定多数の人物の立入がある場所ではありませんが、第1ドックでは汚染土壌が露出している場所があるため、進入禁止措置を行いました。第2ドックではコンクリート舗装等により、容易に雨水が浸透しない措置が講じられていることから、汚染された土壌の飛散流出のおそれがないことを確認しました。
また、事業者が実施した地下水調査の結果では、基準を超える鉛及びその化合物及び六価クロム化合物が検出されなかったことから、直ちに周辺の生活環境への影響はないと考えます。
なお、事業者は今後、溶出基準を超過した土壌の掘削除去を行うとともに、含有基準を超過した土壌はアスファルト及びモルタルで舗装を行い、汚染土壌の飛散流出の防止を行います。
県は、事業者に対し、土壌汚染対策を適切に行うよう指導していきます。
2 届出内容の問い合わせ
鳥羽ドック株式会社
電話:0596-36-0155
【参考】
〇三重県生活環境の保全に関する条例(関係条文)
第72条の4第1項 土地の所有者等は、人の健康又は生活環境に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあるものとして規則で定める基準を超える土壌又は地下水の特定有害物質による汚染を発見したときは、速やかに当該汚染の拡散を防止するための応急の措置を講ずるとともに、当該汚染の状況及び講じた措置について、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。ただし、水質汚濁防止法第14条の2第1項の規定による届出があった場合は、この限りでない。
〇鉛及びその化合物
古くから人類に利用されていた金属であり、現在でも鉛蓄電池やはんだ等に広く用いられています。地下の表層部には、重量比で0.0015%存在し、広く分布しているため、地質等に由来するものも発見されます。 そのため、人の組織等にも存在しますが、高濃度の鉛では、貧血や筋肉の虚弱などの中毒症状が現れます。また、無機鉛化合物には発癌性があるとされています。
〇六価クロム及びその化合物
クロムは主としてクロム鉄鉱として産出されており、地殻表層部には重量比で0.02%程度存在しています。自然界に存在するクロムの原子価は、ほぼ三価のものに限られ、六価のものは、多くの場合人為起源に由来しています。
六価クロムは、発がん性があるとされ、高濃度の場合は皮膚に付着した状態を放置すると皮膚炎や腫瘍の原因になることがあります。
○土壌溶出量
土壌に含まれる有害物質がどの程度水に溶け出すかを示す値です。土壌に含まれる有害物質が地下水に溶け出した場合、その有害物質を含んだ地下水を飲用することによるリスクの評価に使われます。
○土壌含有量
土壌に含まれる有害物質の量を示す値です。有害物質を含む土壌を口や肌などから直接摂取することによるリスクの評価に使われます。