令和3年7月19日、三重県生活環境の保全に関する条例第72条の4第1項の規定に基づき、昭和電工マテリアルズ株式会社(東京都千代田区丸の内一丁目9番2号 代表取締役 丸山寿)から、同社名張事業所(名張市八幡1300番地15)の敷地の一部において、カドミウム及びその化合物、セレン及びその化合物、並びにふっ素及びその化合物による土壌汚染が発見された旨の届出がありました。
1 内容
令和2年8月、同社事業所が設備更新に伴い、土壌汚染に係る自主調査を行ったところ、カドミウム及びその化合物、セレン及びその化合物、並びにふっ素及びその化合物による溶出量基準超過が確認されました。
なお、届出が遅延した理由は、事業者が当該自主調査を土壌汚染対策法に基づく指定調査機関では行っていなかったことから、当時、届出は不要であると判断していたためです。
【カドミウム及びその化合物】
土壌:調査地点(全1地点)で土壌溶出量基準超過
土壌溶出量:最大 0.004mg/L(基準値※:0.003mg/Lの1.3倍)
※令和3年4月1日に土壌溶出量基準の見直しが行われ、基準値が0.01mg/Lから0.003mg/Lに改正されました。
【セレン及びその化合物】
土壌:調査地点(全1地点)で土壌溶出量基準超過
土壌溶出量:最大 0.013mg/L(基準値:0.01mg/Lの1.3倍)
【ふっ素及びその化合物】
土壌:調査地点(全1地点)で土壌溶出量基準超過
土壌溶出量:最大 2.8mg/L(基準値:0.8mg/Lの3.5倍)
2 原因と対策
同社事業所では、今回土壌汚染が確認されたカドミウム、セレン及びふっ素を含む材料を鉛蓄電池の製造や分析試薬に使用していますが、発見された土壌汚染との因果関係は不明です。
三重県伊賀地域防災総合事務所が現地確認を行ったところ、土壌汚染が発見された場所は、工場の建屋内で内部の床はコンクリートで覆われていることから、雨水により汚染物質が地下水へ溶出する可能性は低く、汚染土壌が飛散することもないため、周辺の生活環境への影響はないと考えます。県では、事業所内で土地が改変される場合には、汚染土壌の調査や掘削除去等が適切に実施されるよう、事業者を指導していきます。
3 お問い合わせ先
昭和電工マテリアルズ株式会社 名張事業所環境安全管理センター
電話番号 :0595-64-2217
【参考】
〇三重県生活環境の保全に関する条例(関係条文)
第七十二条の四 土地の所有者等は、人の健康又は生活環境に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあるものとして規則で定める基準を超える土壌又は地下水の特定有害物質による汚染を発見したときは、速やかに当該汚染の拡散を防止するための応急の措置を講ずるとともに、当該汚染の状況及び講じた措置について、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。ただし、水質汚濁防止法第十四条の二第一項の規定による届出があった場合は、この限りでない。
以下(略)
〇カドミウム
カドミウムは、常温で銀白色の柔らかい金属で、地球の地殻に広く分布しています。カドミウムは、メッキの原料をはじめ、合金の成分、塩化ビニル樹脂の安定剤やプラスチック・ガラス製品の顔料など、さまざまな用途に使われています。カドミウムは、人体に長期間にわたって取り込まれると、イタイイタイ病のような中毒症状を生じさせることが知られています。
〇セレン
セレンは、常温で赤褐色から暗灰色の固体です。セレンは光を受けると電気を流す性質があるため、コピー機の感光ドラムや太陽電池に使われています。また、合金の添加剤として用いられるほか、セレンが欠乏している地域の土壌改良剤にも使われています。セレンは人にとって必須元素とされ、過酸化水素や遊離過酸化物を還元する酵素を構成する物質です。一方、過剰なセレンの摂取は、眼や呼吸器への刺激などが認められています。
〇ふっ素
ふっ素及びその化合物は、ホタル石などの形態で自然界に広く分布しています。環境中においては、河川や地下水、土壌中に含まれており、海水中のふっ素は比較的高濃度となっています。ふっ素化合物は、ガラス加工や電子工業等において使用されるほか、ふっ素樹脂等として広く用いられます。また、適量のふっ素は虫歯予防に有効であり、歯磨材にも添加されています。ふっ素による健康被害としては、飲料水として過剰な摂取による斑状歯の発生等が知られています。