濃尾平野における地盤沈下の状況を把握するため、東海三県地盤沈下調査会(三重県ほか二県一市、名古屋港及び四日市港各管理組合、国の機関及び学識経験者で構成)の構成機関が協力して、水準測量を継続的に実施しています。このたび、令和4年における三重県北勢地域の地盤沈下の状況がまとまりましたので発表します。
1.発表内容
三重県北勢地域(桑名市、四日市市、木曽岬町、川越町及び朝日町)の130地点(延長=186km)において水準測量を行ったところ、年間1cm以上の沈下を示した地点は観測されませんでした。
一方、同地域内の観測井戸の地下水位については、上昇(回復)傾向となっています。
○地盤沈下の状況
・観測水準点 130地点
・年間1cm以上沈下した水準点 0地点
[沈下を示した水準点 73地点(全観測点の56%)]
・昭和36年から令和4年の累積沈下量の最大値
163.26cm(桑名市長島町白鶏)
北勢地域の地盤沈下は、昭和47年から昭和49年をピークに、昭和59年まで年間1cm以上の沈下量を示す水準点が多数観測され、広範囲にわたる沈下域※が形成されました。
令和元年には桑名市長島町南部地域において15年ぶりに沈下域が観測されていたものの、令和2年以降において沈下域は観測されていません。
※沈下域:隣接する3点以上の水準点の年間沈下量が1cm以上の地域
○地下水の状況
地盤沈下と密接に関連のある地下水位の状況を把握するため、中部地方整備局と協力して北勢地域内21箇所の観測井戸で継続的に水位を観測しています。
その結果、令和4年は9箇所の観測井戸で水位が上昇しました。なお、下降を示した井戸についても、長期的には地下水位は上昇(回復)傾向を示しています。
2.今後の対応
令和元年は少し変化が見られたものの、長期的には北勢地域の地盤沈下は沈静化傾向であり、令和4年においてもその傾向は大きく変わらない結果となりました。北勢地域は南海トラフ巨大地震等に伴って発生する津波や高潮などの自然災害の潜在的危険性が高い地域であることから、同地域における地盤沈下の状況について、長期的な視点から観測・監視を継続して行っていきます。