江戸時代の初め、仏像をつくりながら諸国を旅した僧侶「円空」。彼の制作した仏像は「円空仏」と呼ばれ、今も根強い人気を誇ります。円空は、延宝2(1674)年志摩地方を訪れ、仏像を制作するとともに地域に残されていた大般若経(だいはんにゃきょう)を修理し、その見返し部分に釈迦説法図(しゃかせっぽうず)を描いています。
数少ない円空の絵画作品の中で、質量ともに他を圧倒するこれらの作品全点と、志摩地方の仏像を中心に、県内各地の主な円空仏について紹介しますので、ぜひお越しください。
1 展覧会の概要
(1)期間:令和4年10月8日(土)から12月4日(日)まで
休館日:毎週月曜日(10月10日は開館、翌11日休館)
※志摩市片田・大般若経と、志摩市立神・大般若経は、期間中前期後期で約半数ずつ
展示します。前期:10月8日(土)から11月6日(日)まで、
後期:11月8日(火)から12月4日(日)まで。
(2)開催時間:9時から17時まで(最終入場は16時30分まで)
(3)会場:三重県総合博物館3階 企画展示室(津市一身田上津部田3060)
(4)観覧料:【企画展のみ】一般800円、学生480円、高校生以下無料
【基本展示室とのセット券】一般1,050円、学生630円、
高校生以下無料
(5)展示内容
○第一章 円空の描いた絵
延宝2(1674)年、円空は志摩地方を訪れました。
この年の6月から8月にかけて円空は志摩市阿児町立神に滞在し、伝来した大般若経を修復します。その際、円空は経文(きょうもん)が書かれていない見返しの部分に釈迦説法図130点を描きました。これは、円空の貴重な絵画作品として注目されています。それらの絵画は簡略な線で表されますが、伸びやかで生き生きとした筆づかいが感じられます。同様の絵は、志摩市志摩町片田の大般若経58点にも描かれており、立神より先に描かれたと考えられています。片田の大般若経では、当初仏の姿を丁寧に描いているのですが、それらはやがて自由で奔放な構図へと大胆に変化していきます。
片田、立神と順に見ることで、円空の作風の変化を感じていただければと思います。
○第二章 三重の円空仏
三重県内には、現在30体を超える円空仏が伝来しています。
代表的なものは、延宝2(1674)年頃に志摩地方で制作されたと考えられる円空仏です。また、伊勢市内にも円空仏が比較的まとまって残されていることから、時期は不明ながら当地に滞在していたと見る向きもあります。近年、三重県内では円空が仏像を作り始めた最初期の作例が2体確認されており、それらの仏像をあわせて展観することで多彩な表現が確認できます。このほか、生誕地の岐阜県と接する三重県北部には、近世の交流を通じてもたらされた円空仏が伝わっており、円空仏の分布の奥行きも感じられます。
○第三章 円空仏の広がり
ここでは、円空が志摩地方を訪れる前後の作例と、岐阜県内の作例について触れます。
寛文11(1671)年、円空は法隆寺(奈良県)において法相宗(ほっそうしゅう)の僧に弟子入りし、翌年には郡上(岐阜県)を経て吉野(奈良県)で越年します。そして、延宝2(1674)年には志摩に至りました。翌年、大峯(奈良県)で修験道の元祖といえる役行者(えんのぎょうじゃ)の像を制作しました。志摩滞在前後を代表する作例として、法隆寺の大日如来坐像と松尾寺(奈良県)に伝わった役行者倚像(いぞう)を紹介します。加えて、円空の没した岐阜県関市とその周辺の円空仏も展示します。三重の円空仏から広がる世界を少しでも感じていただければと思います。
(6)主催:三重県総合博物館
(7)後援:三重県博物館協会、歴史街道推進協議会
(8)助成:公益財団法人 岡田文化財団
独立行政法人 日本芸術文化振興会
2 関連行事 ※参加はすべて無料です。
(1)記念講演会「円空の発見―橋本平八を中心に」 ※事前申し込み必要。
講師:毛利 伊知郎(もうり いちろう) 氏(前三重県立美術館長)
日時:11月3日(木・祝) 13時30分から15時まで
場所:三重県総合博物館3階 レクチャールーム
定員:54名
対象:小学生以上
【申し込み方法】
・10月13日(木)までに電子申請か往復はがきにてお申し込みください。締切日必着。
・電子申請は、当館ホームページのイベント案内からお申し込みください。
アドレス https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/MieMu/84927046739.htm
・1通の申し込みで最大4名様までお申し込みいただけます。代表者の氏名、住所、当日連絡が取れる電話番号、参加者全員の氏名を記入してご応募ください。
【申し込み・問い合わせ先】
〒514-0061 三重県津市一身田上津部田3060 電話:059-228-2283
三重県総合博物館 三重の円空記念講演会 係
(2)展示解説会
担当学芸員が展示について解説いたします。
日時:10月16日(日)、11月13日(日)、27日(日)
各13時30分から15時まで
場所:三重県総合博物館3階 レクチャールーム
定員:54名(当日受付・先着順 13時から受付)
対象:小学生以上
<参考:次回の企画展(予定)>
(1)展覧会名:第33回企画展「親鸞と高田本山~専修寺国宝からひろがる世界~」(予定)
(2)期間:令和5年4月22日(土)から6月18日(日)まで
休館日:毎週月曜日
(3)開催時間:9時から17時まで(最終入場は16時30分まで)
(4)会場:三重県総合博物館3階 企画展示室(津市一身田上津部田3060)
(5)展示内容:高田本山(真宗高田派本山専修寺、三重県津市)所蔵の国宝西方指南抄(さいほうしなんしょう)・国宝三帖和讃(さんじょうわさん)、重要文化財の親鸞聖人消息・専修寺聖教を軸に、日本の文化史・思想史上重要な位置を占める親鸞を紹介します。晩年京にいた親鸞と遠く離れた関東の門弟たちの交流を、親鸞直筆の消息や典籍からひもときます。また、それらの宝物を伝える高田本山の歴史を、重要文化財専修寺文書を中心に紹介します。
(6)主催:三重県総合博物館
(7)特別協力:真宗高田派本山専修寺、専修寺宝物館
(8)詳細については改めて告知します。