県内で初めてクロテンコナカイガラムシによる被害がキュウリで確認されました。
1 病害虫名:クロテンコナカイガラムシ Phenacoccus solenopsis Tinsley
2 発生確認作物:キュウリ
3 発生確認地域:北勢地域
4 発生確認の経過
(1)令和7年8月に北勢地域のキュウリにおいて、コナカイガラムシ類の寄生が確認されました。
(2)採取した成虫および幼虫について名古屋植物防疫所に同定を依頼した結果、クロテンコナカイガラムシ Phenacoccus solenopsis Tinsleyであることが確認されました。
5 国内での発生状況と寄主植物
(1)本種はアメリカ大陸原産であり、日本では平成21年に沖縄県で発生が確認されて以降、愛知県、京都府、奈良県、滋賀県、岐阜県、和歌山県を含む22府県で発生が確認されています。
(2)本種は広食性で、ウリ科、ナス科、キク科等を含めて60科以上の植物種に対して寄生することが報告されています。国内でもトマト、ミニトマト、キュウリ、オクラ、ホウレンソウ等様々な植物種で寄生が確認されています。
6 本種の特徴および被害状況
(1)雌成虫は翅がなく、体型は楕円形で、体長は約3mmから5mm程度です。背面に白色のロウ質物を分泌し、全体としては白く見えますが、ロウ質物は一部分で薄くなるため、2齢幼虫以降は2対の黒斑があるように見えます。雄成虫は1対の翅を持ちます。
(2)雌成虫はワタ状のロウ質物の卵のう内に平均350個程度産卵します。1齢幼虫は数日間卵のう内で過ごした後、摂食のために歩いて分散します。繁殖様式は、交尾後産卵する有性生殖と雌成虫が交尾せずに産卵する単為生殖の両方が知られています。本種の単為生殖個体群における1世代の発育期間は平均70日程度です。
(3)植物の茎、葉、花芽及び果実に寄生し、吸汁により寄主植物を衰弱させます。さらに、本虫は排泄物として甘露を分泌するため、果実や葉にすす症状を引き起こします。
7 防除対策および注意事項
(1)キュウリ、トマト、ミニトマトにおいて、現在、本種に対する登録農薬はありません。本種の発生・被害の早期発見に努め、確認された場合は寄生部位をすみやかに除去し、ほ場外へ持ち出して、土中に埋めるかビニール袋に密閉して処分する等適切に処理してください。
(2)スベリヒユ等の雑草にも寄生するため、ほ場及び周辺の除草を徹底してください。