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令和03年10月07日

令和3年三重県議会定例会 知事提案説明(追加提案・その19、20)

 ただいま上程されました議案の説明に先立ちまして、今後の県政運営にあたって、知事として私の所信を申し述べ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
 県議会の皆様とは、二元代表制のもと、県政を推進する車の両輪として協力し合いながら、県民の皆様の期待にお応えし、さらなる県の発展につなげていきたいと考えています。
 私は先の知事選挙において、ふるさとのために、コロナ対策、災害対応、産業振興に力を尽くすことを訴え、当選させていただきました。三重に生まれた私は、国での35年間の行政経験を生かして、県民の皆様の負託に応えるべく、鞠躬尽力し、県政の課題に取り組む所存です。
 三重は気候穏やかで、豊潤な土地柄、食材にも恵まれた地域であり、また、中京圏と近畿圏の中間に位置し、交通の要衝であるとともに、産業立地の面でも優位性のある地域です。そうした土地柄も関係しているのかもしれませんが、県民性としては「温和でやさしい」とされる一方、「積極性に欠けるきらいがある」とも言われることがあり、もっと県の良さ、素晴らしいところを発信していくべきであると、東京、名古屋、大阪、パリで勤務した私は感じています。
 幾度もの災害に見舞われてきた三重県においては、県民の皆様の安全・安心の確保を最優先としつつ、県内外に積極的に三重の魅力を発信し、県内産業の一層の振興を図り、人口減少などの課題に粘り強く対応することで、県民の皆様を元気にすることが私の使命であると考えています。
 こうした取組を着実に進めていくため、県政150周年を迎える2026年を見据え、仮称ですが「みえ元気プラン」を策定し、県民の皆様が笑顔で明るく暮らせる社会づくりに全力で取り組みます。
 
(昨今の県内外の情勢認識)
 国際社会においては、米中対立が激しさを増す中、地政学的に両国の間にある日本は、安全保障の面で、重要な役割が期待されています。また、経済面でも環太平洋パートナーシップ協定の重要なプレーヤーでもある我が国に期待される役割は増大しています。
 また、地球規模での温暖化が進み、海水温の上昇による異常気象、大規模自然災害の頻発が問題となっています。このため欧州を始め、世界的に脱炭素社会への流れが加速しています。他方、夏場に北極海の氷が溶け、北極海航路が使えるようになり、従来の6割の距離・時間で東アジアと欧州が結ばれることで、地政学的な変化も起きてきます。
 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大は、引き続き世界経済の大きなリスク要因となっています。
 国内に目を転じると、新型コロナの感染拡大に関しては、9月30日をもって全国の緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が解除されたところですが、今後、デルタ株も含め新たな変異株の流行にも警戒が必要です。また、経済への影響も深刻であり、特に観光業、交通産業、飲食業やその関連事業、農水産業、製造業などに携わる事業者の方々が大きな打撃を受けています。
 さらに、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計では2065年の我が国の人口は8,800万人であり、国を挙げての人口減少への対応が急務となっています。減少する労働力対策としての生産性の向上に加え、女性や障がい者、外国人などすべての人が働きやすい環境づくりなどが進められています。また、太平洋側の三大都市圏を結ぶスーパー・メガリージョンの形成に向けた取組は引き続き発展し、都市のコンパクト化も図られていきます。
 三重県においても、新型コロナへの対応が焦眉の急であり、さらには局地的な豪雨の頻発などの大規模自然災害への備えが求められています。
 また、人口減少に対応するために、地方創生の取組を加速する必要があります。リニア中央新幹線の早期完成によるスーパー・メガリージョンのメリットを最大限に生かし、三重の魅力の積極的な発信により関係人口・交流人口の増大や移住の促進につなげていくことに加え、生活圏の段階的縮小にも配慮する必要があります。
 さらに、日本周辺各国の動向や近海での安全保障の状況、経済安全保障の重要性にも留意しつつ、県産品の販売促進面やコロナ禍が収束した段階での観光面において、アジア経済圏へ積極的にアプローチしていく必要があります。
 
(新内閣への期待)
 10月4日、岸田新内閣が発足しました。
 新内閣においては、国難である新型コロナ感染症による危機への対策として、感染拡大防止策をはじめ、ワクチン接種の加速、医療提供体制の充実・強化などの対策をスピード感をもって講じていただきたいと思います。
 さらに、新総理は、新しい日本型資本主義の象徴は地方であるとし、災害に強い地域づくりの推進や農林水産業、地域の商工団体、観光業などの支援を掲げられています。新内閣においては、数十兆円規模の経済対策を講じられると聞いており、それによって地方の振興に必要な施策を着実に進めていただき、真の意味で「地方が主役」となれるよう、新総理の強いリーダーシップのもと、しっかり取り組んでいただくことを期待します。
 
(これからの三重づくりに向けて)
 三重の歴史をひも解くと、日本最古の正史「日本書紀」において、伊勢の国は「可怜国(うましくに)」、すなわち、海・山の豊かな食材に恵まれた自然豊かで美しい地域とされ、古くから伊勢を中心に発達した諸街道や都と東国を結ぶ最重要ルートとして栄えた東海道を通じ、人、もの、情報の交流が盛んでした。1876年に現在の三重県が誕生した以降は、交通網の発達や産業の集積が進み、地域に大きな被害をもたらした自然災害や公害を乗り越えながら、豊かな暮らしを実現してきました。恵まれた立地環境の中で、先人の知恵と努力の積み重ねにより、三重は多様な魅力を有する地域として発展を遂げてきており、長年培われた県土と産業・文化を今後の発展に最大限生かす必要があると考えます。
 一方、人口減少・高齢化の進展が加速し、大規模自然災害の脅威が増す中で、世界の情勢変化や新型コロナの感染拡大により、暮らしや経済の先行きが見通せない状況が続いています。
 三重県が直面するこのような課題を克服し、将来世代も含め県民の皆様が元気に、かつ安全・安心に暮らすことのできる持続可能な地域となるよう、全力で取り組む必要があります。
 県民の皆様の命と暮らしを守るための取組をしっかりと進めるとともに、県内各地の特性に応じて地域資源を磨き上げ、未来を担う人を育て、先端技術等を積極的に取り入れながら、三重の魅力や競争力を高め、コロナ後の変化にも対応しつつ交流の一層の拡大などにつなげることで、産業の振興をはじめとする地域課題の解決を図っていきます。
 このような考え方のもと、県民の皆様とともに、強靱で多様な魅力あふれる現代の「美し国」をめざし、新たな三重づくりを進めていきます。
 
(新型コロナウイルス感染症対策)
 次に、今後の県政展開について申し上げます。
 新型コロナ感染症の新規感染者数は8月26日には過去最大の515人となり、感染拡大を食い止めるため、「三重県緊急事態措置」等の対策を講じてきました。こうした厳しい措置への県民の皆様や事業者の方々のご協力により、9月以降、感染者数は大きく減少し、モニタリング指標等も着実に改善傾向にあったことから、「三重県緊急事態措置」は、9月30日をもって終了しました。
 第5波を完全に収束させるために、10月1日から14日までを「三重県リバウンド阻止重点期間」と位置づけ、対策を行っているところです。
 また、次の波に備え、今後も感染拡大を食い止めるために、あらゆる手立てを講じる必要があります。そのために、これまで行ってきた新型コロナ感染症対策の結果のレビューやそれをふまえた今後の対策を検討し、県民の皆様に分かりやすくお示しします。
 また、感染、発症予防のために、重症化リスクを低減するワクチン接種を促進します。特に若い世代への接種を推進するため、希望する方が円滑に接種できるような優先枠の設定などに取り組みます。さらに、治療法として軽症者が重症化しない抗体カクテル療法等を推進する必要があります。こうした手法をとりつつ、最前線で新型コロナ感染症に対応していただいている医療従事者の皆様への支援も充実します。第5波への対応結果を踏まえ、臨時応急処置施設や宿泊療養施設などについても着実に整備を進めるとともに、今後の感染拡大に備えた医療提供体制整備についても取り組んでいきます。
 さらに、これらの取組に的確に対応していくため、新型コロナウイルス感染症対策本部や保健所の体制を一層強化します。
 
 コロナ禍により県内の多くの事業者の皆様が大きな打撃を受けています。このことから、飲食店・集客施設や、飲食店の休業等の影響を受けた農水産業、卸売業などの関連事業者のほか、さらなる感染防止対策に取り組む事業者や事業継続・業態転換に取り組む中小企業・小規模事業者への支援も実施していきます。
 
(防災・減災、国土強靱化)
 三重県においては、今後30年以内の発生確率が70%から80%とされ、「必ず起こる」南海トラフ地震をはじめとした地震や、気候変動等の影響により「いつどこで発生してもおかしくない」風水害に、ハード・ソフトの両面から備えていく必要があります。
 災害に屈しない県土づくりに向けて、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」等を活用し、県内の防災・減災、国土強靱化を強力かつ計画的に推進します。
 道路においては、大規模災害時におけるリダンダンシーの確保に向け、高規格道路のミッシングリンク解消等の道路ネットワークの機能強化対策を推進します。また、法面・盛土の土砂災害防止対策や、無電柱化対策等を推進していきます。さらに、河川の堤防整備や河道掘削、ダム・砂防堰堤・海岸堤防の整備、治山事業など、あらゆる関係者が協働して行う流域治水対策を推進していきます。加えて、道路や河川、ダム、港湾、ため池等のインフラ老朽化対策についても集中的に実施していきます。
 また、「自助」、「共助」、「公助」の取組の連携による防災・減災対策を推進するとともに、災害対応力のさらなる強化を図るため、いつ災害が起こったとしても適切に対応できるよう、危機管理体制の見直しを行い、拡充を検討します。
 
(医療・健康)
 新型コロナ感染症は、これまでの医療のあり方に大きな影響を与えています。法改正により新興感染症等への対応に関する事項を医療計画に位置付けるよう定められたことから、国の動向も見極めつつ、次期「三重県医療計画」のスタートとなる令和6年度に向け、県内の医療の提供体制について検討を進めていきます。
 また、医療・介護分野の人材確保や、がん検診の促進をはじめとする総合的ながん対策に取り組むとともに、認知症になっても地域で安心して暮らせるよう、「共生」と「予防」を車の両輪として市町等と連携し、取組を推進していきます。
 さらに、コロナ禍において、運動不足や食生活の乱れなどに起因する心身への影響が懸念される中で、生活習慣病等の基礎疾患を逓減させる予防や健康づくりの重要性が再認識されており、「新しい生活様式」に対応した健康づくりの取組を市町等と連携し、推進していきます。
 
(産業の振興)
 産業振興については、県内企業数の99.8%を占め、本県の経済をけん引し、地域社会の維持に寄与する中小企業・小規模企業の振興にしっかりと取り組み、CASEへの対応などによる大きな構造変化に直面している自動車関連産業や全国1位のシェアを占める電子デバイス産業など、本県を代表する基幹産業の振興にも取り組みます。
 また、産業振興を推進するうえで、担い手としての人材の育成・確保は極めて重要です。データ化やデジタル技術により企業の経営を革新させるDXの推進を喫緊の課題として捉え、重点的に取り組んでいくとともに、地域の産業政策と一体となった雇用機会の拡大を図っていきます。
 さらに、令和8年度の東海環状自動車道の全線開通や、令和9年のリニア中央新幹線の品川・名古屋間の開業により、本県へのアクセスが飛躍的に向上することで、物流の効率化による県内企業の生産性向上が期待されます。こうしたメリットを生かせるよう、企業の本社機能の移転や、サテライト機能の誘致、国内外の企業による県内への投資を働きかけていきます。併せて、県内のリニア駅候補地となった亀山市において、リニア駅の建設を促進する取組を進めていきます。
 これらの施策を強力に推進することで、本県の経済基盤の確立をめざします。
 
(観光産業の振興)
 県内全体で観光産業を振興させるために、美しい自然や豊かな食材、文化や歴史など地域の魅力的な観光資源を生かした周遊ルートの活用などにより、富裕層をはじめ本県を訪れる旅行者が満足できる「拠点型滞在観光」を推進していきます。
 また、自然豊かな三重の魅力を生かしたブルーツーリズムやグリーンツーリズムを推進するとともに、ワーケーションといった働き方改革に資する取組やグランピングなどの新しい旅のスタイルに対応していきます。さらに、観光DXを推進することで、多様化する旅行者ニーズに的確に対応した情報発信を行い、国内外からの観光客誘致を強力に進めていきます。
 加えて、農山漁村地域におけるユネスコエコパークや農泊、農林漁業体験など本県の魅力を生かした自然体験を通じて、国内外からの誘客を促進し、地域の活性化につなげます。
 
(農林水産業の振興)
 農林水産業においては、米農家や林業・養殖業などを営む生産者の方々に対し、「スマート技術」の活用による省力化の推進などの生産振興を図るとともに、多様な担い手の確保・育成、経営体の法人化や協業化を進めます。また、収益力向上のためのサプライチェーン構築に向けた支援について検討していきます。
 特に全国第3位の生産量を誇る伊勢茶については、今年度中に振興計画を策定し、県民の皆様が誇りと愛着を感じながら飲んでいただけるよう、販売促進に取り組みます。また、10月1日に施行した「みえ木材利用方針」に基づき、日常生活などにおいて、木材が使われる社会づくりを進めます。
 さらに、県産農林水産物の売込みに向けて、地産地消の着実な推進を図るとともに、さまざまなチャンネルを活用し、国内外への効果的な情報発信や販路拡大に取り組みます。
 加えて畜産農家の脅威となる豚熱等家畜伝染病や、気候変動の影響が著しい県内養殖業については、さまざまな技術や知恵を総動員し、生産者に寄り添いながら、その対策に万全を期します。
 
 (基盤整備)
 地域の経済活動や集客・交流を支える基盤として、道路整備を進めます。
 北部地域においては製造業を中心とした産業振興等のために、東海環状自動車道をはじめ、北勢バイパスや鈴鹿四日市道路、中勢バイパスの整備促進を図るとともに、鈴鹿亀山道路の早期実現をめざします。
 南部地域においては、観光産業の振興や物流の一層の効率化等による地域活性化をめざし、紀伊半島一周高速道路の早期実現に向け、近畿自動車道紀勢線の整備促進を図ります。
 
(教育)
 人づくりは「国づくり」「地域づくり」の基礎であり、教育は中長期的なビジョンを持って取り組むべき1丁目1番地の施策です。
 コロナ禍における学校での対策などには即応しつつ、三重の未来を見据えた教育施策の推進に取り組みます。
 子どもたちの人格形成の基礎となる「確かな学力」の定着と向上、「いのちを大切にする心や他者への思いやり」、「健やかな身体」の育成について、注力して取り組みます。
 子どもたちが三重の未来の創り手として活躍していけるよう、他者と協働して社会的な課題に向き合い、自己の将来とのつながりを見通すことができる学びの充実など、地域や産業界とも連携し、子どもたちの可能性を引き出す教育に取り組みます。
 また、皆が安心して生き生きと学ぶことができ、誰一人取り残すことのない教育の推進も重要です。
 不登校児童生徒への支援、いじめの根絶に向けた取組を進めるとともに、障がいの有無や国籍、家庭の状況等に関わらず、すべての子どもたちが未来に希望を持ち意欲的に学ぶことができるよう、一人ひとりの状況に応じた教育に取り組んでいきます。
 こうした教育活動が一層効果的で持続的なものとなるよう、少人数学級や習熟度別指導など少人数教育の推進や学校、家庭、地域が一体となって子どもたちを育んでいく学校運営、さまざまな課題に対応するための専門人材の配置とともに、学校における働き方改革を進めていきます。
 
(スポーツの推進)
 三重とこわか国体・三重とこわか大会については、8月26日の中止決定以降、市町、競技団体、関係者の皆様などからご意向を伺い、延期可否の検討を行ってきたところです。県としてもできる限り延期の可能性を求めて検討を進めてきましたが、限られた期間の中で確実に延期開催が可能と判断することは困難であり、苦渋に満ちた決断ではありますが、延期申請を見送ることとしました。
 選手や競技団体の皆様の無念の思いは、とても言葉で言い尽くせるものではなく、これからこうした思いにしっかりと寄り添い、三重県における今後のスポーツ振興のあり方を真摯に考え、その取組を具体化していきます。
 また、「新しい国体のあり方」を含め、今後の国体をどのような形で開催していくのか、日本スポーツ協会等に提案していくとともに、両大会をめざして積み上げてきたレガシーを活用したスポーツの推進にしっかりと取り組んでいきます。
 
(福祉)
 福祉の充実は「国家が近代国家たる所以」と言っても過言ではありません。
 社会の宝である子どもの命や権利を守る児童福祉については、痛ましい虐待被害が後を絶たない中、三重の子どもたちを虐待から守るため引き続き児童相談体制の充実を図るとともに、新型コロナの影響でさらに厳しい状況が懸念される「子どもの貧困」について、経済的困難に起因するさまざまな課題が解消されるよう、学習支援や身近な地域での居場所づくりに取り組んでいきます。
 また、現在、策定を進めている、仮称ですが「三重県ひきこもり支援推進計画」については、この定例月会議で骨子案をお示しします。ひきこもり状態にある方が、社会から孤立することなく多様な生き方を選択し、希望をもって安心して暮らせるための支援を総合的に推進していきます。
 さらに、障がい者や歩行距離の制約がある高齢者の生活実態や、県内の公共交通機関の状況を見ると、公共交通を補完するボランティア団体や地域の助け合いによる輸送サービスの提供も重要性を増すものと考えられます。このような「助け合い交通」の制度の検討に係る市町への支援や、公共交通機関のバリアフリー化も進めていきます。
 
(ダイバーシティ社会の推進)
 将来予測の困難な時代にあって、持続可能な社会づくりの観点から、多様性を認め合うことの重要性が増していると考えています。ダイバーシティ社会では、それぞれ違った個性や能力を持つ一人ひとりが、お互いに影響し合うことにより、個々人では成し得なかったイノベーションをもたらします。
 8月に開催された東京2020オリンピック・パラリンピックは、国籍、障がいの有無、性の多様性などにかかわらず、チャレンジすることの素晴らしさを県民の皆様が実感し、ダイバーシティについて考えていただく好機となったと思います。
 女性活躍の推進や多文化共生社会づくりを進めるとともに、性の多様性に関する取組としての「三重県パートナーシップ宣誓制度」を運用するなど、今後もダイバーシティ社会の実現に向けて、さまざまな分野で県民の皆様とともに、取り組んでいきます。
 
(脱炭素社会・デジタル社会の推進)
 脱炭素社会の実現のための積極的な対応が世界的な潮流となっている中で、国のグリーン成長戦略と連動した取組を進めることが、地域産業の成長にもつながるとの考えのもと、「ゼロエミッションみえ」プロジェクトの始動に向けて検討を進めます。
 また、来るべき脱炭素社会において、必要とされる技術の開発や製品、サービスの需要の高まりによる産業構造の変化、雇用の移動等に的確に対応できるよう、有識者による検討会議を設置し、持続的な経済成長や雇用創出に向けて、今後の取組方向を検討していきます。
 県が脱炭素社会づくりに向けて、率先して強力に取り組むことで、県全体の取組をリードしていきます。
 さらに、国内外であらゆる産業、私たちの暮らしにデジタル技術が導入されることを見据え、デジタル社会の形成をめざして取り組んでいきます。行政においてはデジタル技術も活用し、市町とともに行政の変革を進めます。また、社会全体としてデジタル技術を活用した取組が進むよう、市町や県内事業者等のDXに関する相談支援を行うなど、県として必要な施策に取り組みます。
 また、企画機能を強化しながら、革新的な一層のデジタル化を進めていきます。
 
(人口減少対策)
 人口減少に関する課題は、一朝一夕に解決できない構造的な問題であり、県の施策の効果がすぐに現れるものではありません。倦まず弛まず取組を継続することが重要であり、地域の自立的かつ持続的な活性化を実現するため、あらゆる施策を総動員し対策を進めます。
 令和2年の三重県の合計特殊出生率は1.45であり、目標とする1.8台から乖離が生じており、多様な主体と連携して自然減対策を進めます。出会いの機会の創出や不妊に悩む方への支援、男性の育児参画促進など、結婚・妊娠・出産への支援や子育てしやすい環境の整備を進め、出生率の向上を図っていきます。
 特に、子育て環境について、少子化や家族形態の多様化が進み、共働き家庭が増加する中で、子育て家庭の負担は年々高まっています。県内の待機児童数は本年4月時点で50人となり、これまでの取組の効果が現れつつありますが、道半ばです。仕事と子育ての両立を支援するためにも多様化する保育ニーズにしっかりと対応していきます。
 また、令和2年の県外への転出超過数は4,311人となるなど、人口の流出に歯止めがかかっておらず、社会減対策を強力に進める必要があります。
 とりわけ、転出超過数の約8割を若者が占めていることから、若者の県内定着は重要かつ喫緊の課題となっています。県内高等学校の卒業生の学びの選択肢の拡大につながり、県内産業の人材確保にも資する県立大学の設置について検討を進めるとともに、県内外の高等教育機関や関係機関との連携を一層強化し、学生への県内企業の情報発信や就労に向けたマッチングなどに取り組みます。
 また、働く世代の流出を防ぐことも大変重要です。県内産業の振興などにより、魅力ある働く場の創出・確保を進めていく必要があります。その際、分野を超えた産学官の連携を一層進め、先端技術を活用することも重要です。
 例えば、IoTやAIを活用した新たなモビリティサービスであるMaaSや空飛ぶクルマを活用し、交通・生活等の地域課題を解決するとともに、新たなビジネスの創出につなげます。農林水産業においては、ICTやデータの活用などによりスマート化を進め、若者が魅力を感じる働きやすい農林水産業の実現に取り組んでいきます。
 また、20歳から24歳の若い女性の転出が毎年1,000人を超えていることも大きな課題と認識しており、女性が働きやすい職場づくりに向けて、企業や団体などと連携し、県内企業における女性活躍の取組を一層促進していきます。
 コロナ禍において、大都市圏の人々の関心が地方に向き始めており、三重の魅力の発信や二地域居住・ワーケーション等を受け入れる環境づくりを進めるとともに、地域の受入態勢を整えることにより、他地域からの移住の促進や関係人口・交流人口の増大を図ります。移住の促進については、移住希望者のニーズに応じたきめ細かな相談体制の充実や、移住希望者と地域の方々が継続的に関わりを持てるような取組の実施など、市町と連携しながら対応を進めることで、持続可能な地域づくりにつなげていきます。
 また、交流人口の増加を図ることも大切です。観光は地域の主体的な取組によって交流を活発化させることから、コロナ禍を踏まえた新たな旅のスタイルに対応し、新型コロナにより大きな打撃を受けた観光産業をしっかり回復させていきます。

(県政運営の姿勢)
 最後に、私の知事としての県政運営の姿勢について申し上げます。
 古代中国では、政治のことを「聴政」と呼んでいました。
 また、明治新政府の基本政策である「五箇条の御誓文」には、「広く会議を興し、万機公論に決すべし」と掲げられています。
 私は県政を進める上で、広く県民の皆様の意見を聴くことが大切であると考えています。
 県政の課題に的確に対応するためには、県民のニーズや地域の状況を踏まえて、県民の声に耳を傾け、さまざまな意見や提案をもとに、しっかりと議論し、判断していくことが重要です。私自身も地域に出向いて、県民の皆様、事業者や市町の方々の声をお聴きし、直接、県政に生かしていきます。
 また、さまざまな機会を活用し、多様な関係者の方々の声をより県政に反映させられるよう検討していきたいと考えています。
 さらに、市町は基礎自治体として、県民の皆様と最も身近な存在であり、県の最大のパートナーであると考えています。これまでも市町の方々と県が連携して、災害対策に向けた危機管理体制の強化、人口減少対策などの地域課題の解決に向けた取組を進めてきたところであり、県政の推進にあたっては、引き続き、市町の方々と相互に協力し、緊密に連携していきます。また、県内事業者、団体等の方々とも連携を強化し、県政運営に取り組んでいきます。
 
 「信なくば立たず」。兵を去り、食を去ることとなっても、信を去ることはできません。県政の推進にあたっては、県民の皆様の信頼が最も大切であると考えています。
 時代が変化する中で、変化に柔軟に対応し、常に県民の皆様に信頼される行政の実現のために、持続可能な行財政運営の確保や、コンプライアンスの推進など、これまでの行財政改革取組の成果や課題を検証しながら、行財政改革を効果的・効率的に進めていきます。
 特に、財政状況については、これまでの行財政改革の取組により、成果が着実に現れていますが、今後も社会保障関係経費が増加することや、公債費が高い水準で推移すること、また、県債管理基金への積立見送りによる財源不足額の解消といった緊急避難的な措置に頼った予算編成が続いていることなどから、機動的な財政運営がしづらい状況にあるため、持続可能な財政運営の確保に向けた歩みを着実に進めていきます。
 行財政改革を進める際、職員の士気を落とさず、県民サービスの向上を進めることも重要と考えています。
 二本松藩の「戒石銘」に記された、「爾俸(なんじのほう)(なんじの)(ろくは)(たみの)(こう)(たみの)(しなり)下民易虐(かみんしいたげやすきも)上天難欺(じょうてんあざむきがたし)」という言葉を肝に銘じ、職員の士気にも配慮し、県民の皆様のために働く仲間とともに、県政運営を進めていきます。
 三重に新型コロナの脅威、人口減少の荒波が押し寄せる中、私は「太平洋の防波堤」となり、県民の皆様が安全・安心に、元気に暮らしていただけるよう、県政の課題に果敢に立ち向かい、全力を尽くす覚悟です。
 県議会の皆様をはじめ、県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 
(議案等の概要)
 引き続き、上程されました補正予算1件、条例案3件、その他議案6件についてその概要を説明いたします。
 議案第124号の補正予算は、新型コロナウイルス感染症にかかる「三重県リバウンド阻止重点期間」において、飲食店への営業時間短縮要請の対策に必要となる経費として、一般会計で18億5,231万1千円を増額するものです。
 歳入では、国庫支出金について、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金でその全額を増額しています。
 歳出では、10月1日から14日までの間、20時または21時までの営業時間短縮要請に応じた県内対象地域の飲食店に対する協力金を支給するため、18億5,231万1千円を増額しています。
 
 以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
 議案第115号は、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律等の施行に伴い、関係条例の規定を整理するものです。
 議案第116号は、国の交付金を活用した事業の実施期限の延長に鑑み、条例の有効期限等を延長するものです。
 議案第117号は、関係法律の一部改正に伴い、規定を整理するものです。
 議案第118号は、県の行う農林水産関係建設事業に関する経費の一部について、関係市町に負担を求めようとするものです。
 議案第119号は、財産を取得しようとするものです。
 議案第120号は、地方独立行政法人三重県立総合医療センターの第三期中期目標を定めようとするものです。
 議案第121号は三重県水道事業会計の、議案第122号は三重県工業用水道事業会計の、議案第123号は三重県流域下水道事業会計の、令和2年度におけるそれぞれの未処分利益剰余金について、処分を行おうとするものです。
 以上で諸議案の説明を終わります。
 
 次に、認定議案について説明いたします。
 認定第1号から第5号までは、水道事業会計、工業用水道事業会計、電気事業会計、病院事業会計、流域下水道事業会計の令和2年度決算について、それぞれ認定をお願いするものです。
 なお、企業会計にかかる令和2年度決算については、監査委員の審査を経ておりますことを申し添えます。

 最後に、報告事項について説明いたします。
 報告第19号及び報告第20号は、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
 報告第21号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
 報告第22号は、関係法律に基づき、企業会計の資金不足比率について報告するものです。
 なお、企業会計の資金不足比率については、監査委員の審査を経ておりますことを申し添えます。
 
 以上をもちまして提案の説明を終わります。
 なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 総務課 企画調整班 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
電話番号:059-224-2056 
ファクス番号:059-224-3170 
メールアドレス:soumu@pref.mie.lg.jp

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