I 環境先進県をめざして
I 環境先進県をめざして
1「県民と共に環境創造を進める三重県庁の率先実行取組」
(1)多様な県機関へのISO14001の導入
(2) 先進的な取組を進める三重県庁のグリーン購入
(3) 計画段階から環境に配慮された公共事業を推進する「環境調整システム」
(4) 28℃の適正冷房を推進する「夏のエコスタイル」
(5) 年間を通して行う自主的な庁舎周辺の美化活動
2.「環境と経済を同軸に捉えた環境創造」
(1)ISO14001認証取得支援
(2)産業廃棄物税の創設
(3)リサイクル製品利用推進条例
(4)企業環境ネットワークで取り組む産業廃棄物の再資源化
(5)産業廃棄物の自主情報公開システム
(6)日本環境経営大賞の創設
3「身近なことから始める勇気と根気の環境創造」
(1)広範な県民参加で進める環境県民運動の展開
(2)地域で活躍する環境NPO等への支援
(3)県内最大規模のエコイベント「環境フェア」の開催
(4)全国一位のこどもエコクラブ会員数
(5)企業、団体、消費者、行政機関と連携して取り組むグリーン購入
(6)三重県自然環境保全条例の改正
4「みえ発・地球環境に貢献する環境創造」
(1)森林政策を大きく変える森林環境創造事業
(2)先進的な環境政策を取り入れた「三重県生活環境の保全に関する条例」
(3)廃棄物広域処理システムの構築
(4)不法投棄を断固許さない産業廃棄物の監視体制
(5)ダイオキシン類、環境ホルモンに関するきめ細やかな継続的監視と公表
(6)野生鳥獣との共存のための新たな取組
(7)全国に発信・公開する三重の環境情報
I 環境先進県をめざして
三重県では環境先進県を目指し、環境への負荷が少ない循環型社会づくり、自然と共にある環境づくり、環境と経済を同軸で捉える「環境経営」の推進などの環境施策を推進しています。施策の推進にあたっては県組織自らが「率先実行」し、「協働・連携」と「情報公開・情報発信」を実施手法の軸として進めています。
1.「県民と共に環境創造を進める三重県庁の率先実行取組」
三重県では、環境負荷低減に取り組む県民や企業の皆さんから、「環境先進県づくり」を進めるための信頼できるパートナーとして認めていただけるよう、県庁自らがまず環境負荷の低減に率先して取り組んでいます。
(1) 多様な県機関へのISO14001の導入
県庁のISO14001は、平成13(2001)年3月に認証取得範囲をすべての地域機関に拡大しました。この環境マネジメントシステムに基づき、オフィス活動のみではなく、イベントや公共工事、環境基本計画を含む全ての事務・事業活動での環境配慮を進行管理しています。また更新審査を控え、システムを見直し、より実践的なISO14001システムの再構築に取り組んでいます。
なお、平成13(2001)年度の取組の結果、地球温暖化の原因となる二酸化炭素は、平成10(1998)年度に比較して炭素換算で約737トンの削減となり、その経費節減効果は約7億6千万円でした。
また、平成14(2002)年2月には警察本部、医療機関、県立学校において、3月には県立大学、試験研究機関においてもモデルとして認証取得しました。
(2) 先進的な取組を進める三重県庁のグリーン購入
三重県庁では、平成13(2001)年10月に「みえ・グリーン購入基本方針」を策定し、グリーン購入に取り組んでおり、平成13(2001)年度には、日常的に購入するすべての消耗品(単価契約物品)が環境配慮型商品になっています。
また、「三重県低公害車等技術指針」を策定し、公用車の購入時における低公害車の導入に努め、さらに、リサイクルセンターを活用した不要物品の有効利用にも努めています。
(3) 計画段階から環境に配慮された公共事業を推進する「環境調整システム」
環境配慮型の公共事業を促進するため、「三重県環境調整システム推進要綱」を改正し、平成13(2001)年10月1日から施行しました。平成13(2001)年度は、5件の開発事業について環境配慮の調整を行いました。
(4) 28℃の適正冷房を推進する「夏のエコスタイル」
地球温暖化の防止を図るため、夏の一定期間において、冷房温度を28℃に設定し、ノーネクタイ、ノー上着などの軽装で過ごす「夏のエコスタイル」が県庁内で徹底され、一つのライフスタイルの転換が起こっています。
(5) 年間を通して行う自主的な庁舎周辺の美化活動
平成13(2001)年度には、県庁全体で約6,000人の職員が自主的に庁舎周辺の美化行動を行いました。
2.「環境と経済を同軸に捉えた環境創造」
大量生産に始まり大量廃棄にいたる従来の社会を脱し、環境と経済を同軸に捉えた「最適生産・最適消費・廃棄物ゼロ」型の社会を構築するための施策を展開しています。
(1) ISO14001認証取得支援
事業体等の自主的な環境負荷低減の取組を促進するため、市町村や中小企業等にISO14001の認証取得の支援を行っています。平成13(2001)年度末には市町村の取得率が全国第1位、10,000事業所当たりの都道府県別認証取得率が全国第2位となっています。
(2) 産業廃棄物税の創設
産業廃棄物の最終処分場における残存容量のひっ迫などの状況を踏まえ、従来の枠を越えた積極的な産業廃棄物行政を展開する財源を確保するため、平成13(2001)年6月、全国初の「産業廃棄物税条例」を制定し、9月に総務大臣の合意を得、都道府県レベルでは初の法定外目的税として平成14(2002)年4月1日から施行しています。
(3) リサイクル製品利用推進条例
リサイクル製品の利用を推進することによって、リサイクル産業の育成を図り、循環型社会の構築に寄与することを目的に、平成13(2001)年3月、全国初の条例として「三重県リサイクル製品利用推進条例」を制定(平成13(2001)年10月から施行)しました。平成14(2002)年8月末で、18製品を認定しています。この条例に基づき、三重県では、認定製品の率先購入、使用状況の公表、市町村への技術的助言及び情報提供を行っています。
(4) 企業環境ネットワークで取り組む産業廃棄物の再資源化
環境問題について業種の枠を越えた企業間連携、企業と行政の連携を進めるため、平成12(2000)年11月に「企業環境ネットワーク・みえ」を設立(平成14(2002)年8月末現在で183社加盟)し、単独の企業だけでは処理困難な産業廃棄物等の再資源化に向けた企業間の連携を支援しています。
また、平成13(2001)年10月からは産業廃棄物にかかる情報交換を行うための廃棄物情報交換システムを運用しています。
(5) 産業廃棄物の自主情報公開システム
年間1,000トン以上の産業廃棄物を排出する事業者や、年間処理量10,000トン以上の処理業者が、適正管理計画の内容や取り扱う産業廃棄物の情報等を自主的に公開し、誰もが閲覧できる「産業廃棄物の自主情報公開システム」を平成11(1999)年度から導入しています。平成14(2002)年3月末現在で、製造業195、建設業73、産業廃棄物処理業35、その他16の計319の事業者(対象事業者の97%)が産業廃棄物の自主情報公開を行っています。
(6) 日本環境経営大賞の創設
平成14(2002)年度より、全国の事業所を対象に優れた環境経営の取組を顕彰する「日本環境経営大賞」を創設しました。この表彰を通じて、「環境経営」の理念を普及するとともに、環境に関する人材・技術のネットワークの構築などにより、県内企業等の環境経営レベルの向上を促進します。
3.「身近なことから始める勇気と根気の環境創造」
(1) 広範な県民参加で進める環境県民運動の展開
平成13(2001)年度に引き続き、平成14(2002)年度にも、「夏のエコスタイルキャンペーン」と連携して、各家庭の電気使用量の前年比6%節減をめざす「夏のエコポイント事業」を実施しました。(平成14(2002)年8月末現在参加申込世帯数:約24,000世帯)
また、参加者が里山保全活動や自然観察などを通して自然環境学習するとともに清掃活動などを行う「身近な自然を体験する県民デー」を、平成14(2002)年11月23,24日に実施します。
(2) 地域で活躍する環境NPO等への支援
地域で活動するグループやNPOの自主的な環境保全活動の輪が地域に広がることを目的として設置した「21世紀環境創造活動支援基金」を活用し、平成13(2001)年度は99件、平成14(2002)年度前期には40件の活動支援を行いました。
また、平成13(2001)年度より、紀伊半島三県(奈良県、和歌山県、三重県)の森林ボランティアの交流のため、「紀伊半島三県森林ボランティア交流大会」を実施しています。(平成14(2002)年3月現在森林ボランティア登録数:1,097人)
(3) 県内最大規模のエコイベント「環境フェア」の開催
県民、関係団体、環境NPOなどが広く県民参加型の提案を行うとともに、企業においても「環境と経済を同軸に捉えた環境経営が事業の効率化と環境保全を創出する」という新たなメッセージを発信する場として、環境フェアを開催しました。(平成14(2002)年度環境フェア実績 来場者数:46,000人 出展団体:275団体)
(4) 全国一位のこどもエコクラブ会員数
次世代の環境を担う子供たちが、地域で自主的に環境にやさしい取組を行う「こどもエコクラブ」の会員数が、平成13(2001)年度1年間で7,237人を記録し、会員数、加入率ともに日本一となりました。
(5) 企業、団体、消費者、行政機関と連携して取り組むグリーン購入
グリーン購入を推進するため、企業、団体、市町村によるネットワークづくりを目指します。(平成14(2002)年5月末現在グリーン購入ネットワーク会員数:27)
また、広域的な展開をすることで消費者へのグリーン購入の普及促進を図るため、東海三県一市が連携してキャンペーンを展開していきます。
(6) 三重県自然環境保全条例の改正
平成13(2001)年度より三重県自然環境保全条例の改正について検討を進め、原生的自然をはじめとするすぐれた自然環境の保全にかかる措置に加え、里山や干潟、湿地といった身近な自然環境の保全、生物の多様性の確保など、新しい課題に対応するために必要な規定の整備を進めています。
4.「みえ発・地球環境に貢献する環境創造」
(1) 森林政策を大きく変える森林環境創造事業
森林GIS(地理情報システム)を活用して、県内の森林を「環境林」(公益的機能を重視する森林)と「生産林」(持続的生産を重視する森林)にゾーニングし、平成13(2001)年度からは、環境林を「次世代を含む県民共有の財産(公共財)」として位置付けた森林管理を開始しました。また、森林環境創造事業の理念や手法を中心に、全国30道府県の連署で国へ新しい事業の創設を提言し、その後創設された「地域緊急雇用創出特別交付金」を活用し、森林環境創造事業のコンセプトで新規就業者を受け入れ、環境林の整備を行いながら森林に関する基礎的な知識・技能を身につけさせる「緑の雇用事業」を実施しています。
平成13(2001)年度には273ヘクタールの環境林の整備に着手し、平成14(2002)年度にはさらに2,250ヘクタールを整備する予定です。
(2) 先進的な環境政策を取り入れた「三重県生活環境の保全に関する条例」
小型焼却炉の使用等に伴うダイオキシン類の発生、放置自動車や産業廃棄物の不適正処理、また地球温暖化問題など都市生活型公害から地球環境問題に至るまでの今日的な環境問題に対応するため、三重県公害防止条例を全部改正し、平成13(2001)年3月に「三重県生活環境の保全に関する条例」を制定しました。
(3) 廃棄物広域処理システムの構築
ごみの持つ未利用エネルギーの活用と全県的な広域処理システムを構築するため、ごみ処理のRDF化を進めるとともに、市町村で製造されたRDFの安定的な受け皿としてのRDF焼却・発電施設の整備を進めています。(2施設が稼働中、5施設が施設整備中)
また、市町村等のごみ焼却施設で発生する焼却残さや産業廃棄物の広域的な処理体制を構築するため、廃棄物処理センター事業を推進しており、センター指定機関である(財)三重県環境保全事業団ではガス化溶融処理施設の整備を進めています。(県内40市町村及び約80社の企業が参画)
(4) 不法投棄を断固許さない産業廃棄物の監視体制
不法投棄等の不適正事案を徹底的に未然防止するため、平成13(2001)年7月1日から監視班を10班20名(県職員10名、警察官10名)と倍増強化しました。現職警察官10名の配置は全国一です。
(5) ダイオキシン類、環境ホルモンに関するきめ細やかな継続的監視と公表
平成13(2001)年度は、236地点で述べ311件の検体のダイオキシン類の調査を行いました。また、廃棄物焼却炉等の発生源についても、115件のダイオキシン類濃度の行政検査を行いました。これは全国的にもトップレベルの詳細な調査となっています。
環境ホルモンについては、大気、水質、底質の調査を行いました。また、県内で検出率が高い物質についてのデータ集積を行っています。
(6) 野生鳥獣との共存のための新たな取組
県内のサルの群れ63群に電波発信機を装着し、行動域などを把握のうえ、農産物等の被害対策として市町村・地域住民との協働による山への追い上げなどを行っています。
(7) 全国に発信・公開する三重の環境情報
三重の環境が何でもわかるホームページ「三重の環境」を毎日更新(全国初)し、月84万ページビュー(平成14(2002)年8月実績)のアクセスがあります。平成13(2001)年12月には「環境goo大賞2001」の自治体部門で大賞をいただきました。
ホームページでは、県の取組、県民、企業等の活動や三重の環境に関連する条例・規則等の情報を発信するとともに、意見や質問の交換なども行っています。