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平成21年02月10日

1.春肥(基肥・芽だし肥)の施用

意義

春肥の重要性を訴える説は多く、特に一番茶新芽に対する寄与は大きいとされています。しかし、年間吸収量のうち、この時期に吸収する割合はそれほど高くなく、むしろ夏から秋にかけての時期の方が高いことも報告されています。

したがって、この時期に一定の窒素を与えて供給量を確保しておくことも重要ですが、必要以上に与えても利用されず、地下に流れてしまいます。また、極端な例ですが、窒素欠乏状態におかれた茶樹に春肥を与えたところ極めて多く吸収され、一番茶新芽の窒素含有率も高まる例も報告されています。

年間における茶樹の栄養管理を見据え、その中での春肥の位置づけを考えていくことが重要です。

時期、資材および施用量の考え方

ある程度気温が高まってこないと吸収もあまり多くないと推察され、極端に早くから与えてもあまり意味がないと考えられます。ちなみに地上部は約10℃(3月下旬)くらいから生育を開始するといわれており、一方、樹液の調査によると2月中旬から多く採取できた例もあります。したがって、この間の時期から利用できるよう与えていく考え方が一般的でしょう。

また、肥料の種類によって施用後の肥効が異なるので、肥料の種類とあわせて考えていくことが必要です。

有機質肥料の場合この時期は気(地)温が低いため、分解が遅れることが多く、それを補う意味で硫安などの速効性の化成肥料を組み合わせて施用している例が多いようです。また化成肥料についてはアンモニア系の肥料を与えた方がよい例が多く報告されています。

さらに、近年は成分の溶出がコントロールできる肥効調節型肥料が各種開発されており、こうした資材を用いることは、省力的にかつ無駄の少ない施肥体系に有効と考えられています。

年間の茶園管理ビジョンの項でも述べましたが、本参考書では、年間生葉収穫量1600kgを想定して従来の考え方に基づき有機質肥料と速効性の化成肥料を組み合わせて、こまめな施肥体系として体系例1を、そして、新しい考え方として肥効調節型肥料を活用した省力的かつ効率的な施肥体系として体系例2をそれぞれ提唱し、それぞれに沿って各時期別に記述していきます。

体系例1

この期間に有機質肥料と速効性化成肥料との組み合わせて分施して(元肥、芽だし)いく場合、年間窒素施用量の約30%程度をこの時期に与えていく考え方が一般的のようです。

<施用例>

時期 肥料の種類 成分量
(%)
10a当施用量
(kg)
施用成分量
(kg/10a)
N P K N P K
3月上旬 有機配合 8 5 5 120 9.6 6.0 6.0
3月中旬 菜種油粕 5 2 1 100 5.0 2.0 1.0
4月上旬
(萌芽直前)
普通化成 12 5 6 40 4.8 2.0 2.4

体系例2

肥効調節型肥料を活用した本体系では、一番茶萌芽期までは有機配合肥料、肥効調節型肥料、化成肥料(硝化抑制剤入り)をそれぞれ組み合わせて、窒素発現を確保しようと考えています。

さらに本体系では、窒素吸収が活発化すると見られる一番茶摘採直後からの肥効を一番茶摘採直前から肥効調節型肥料を施用しておくことで確保しようと考えています。こうすることによって、一番茶摘採後~夏期までの肥効が降雨に応じて期待でき、こまめに施用することが困難な大規模経営にも導入可能な省力的体系と考えられます。

<施用例>

時期 肥料の種類 成分量
(%)
10a当施用量
(kg)
施用成分量
(kg/10a)
N P K N P K
3月上旬 有機配合 7 6 5 120 8.4 7.2 6.0
3月中旬 被覆尿素(70日) 41 0 0 40 16.4 0.0 0.0
4月上旬
(萌芽直前)
硝化抑制剤入化成 12 3 5 40 4.8 1.2 2.0
4月下旬
(一茶直前)
被覆尿素(100日) 41 0 0 40 16.4 0.0 0.0

施用後の管理

有機質肥料の場合は有機物の分解促進、化成肥料の場合でも成分の溶出を安定させるために、施用後は必ず浅く耕耘して土と良く混和しましよう(特に肥効調節型肥料は土と混ざって水分が安定することによってその機能が発揮されます)。

また、近年見られるように極端に降水量が少ないような場合には、肥料成分が吸収されるかたちで茶樹の根に届きにくくなります。こうした場合は適宜灌水により養分吸収しやすくすることも効率的な施肥を考えるうえで重要です。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 中央農業改良普及センター 専門技術室(茶普及課) 〒515-2316 
松阪市嬉野川北町530
電話番号:0598-42-6707 
ファクス番号:0598-42-7762 
メールアドレス:fukyuc@pref.mie.lg.jp

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