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保環研年報 第12号(2010)

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 三重県保健環境研究所年報 第12号(通巻第55号)(2010)を発行しましたのでその概要をご紹介します。

 

 各研究報告(原著、ノートおよび資料)の全文(PDF形式)をご希望の方は、こちらからダウンロードできます。

 

 

 


 

研究報告

 ノート

2010rep1 異臭苦情食品中の揮発性有機化合物の分析法の検討

  吉村英基,大垣有紀,森 康則,川合啓之,前田 明,志村恭子

   キーワード:揮発性有機化合物,ヘッドスペース法,内標準物質

 食品の異臭苦情発生時の対応に必要とされる揮発性有機化合物の分析手法の検討を行った.試料の前処理は細かく砕くのみとし,海砂を使用した標準試料を用いてヘッドスペースGC/MS法で標準添加回収実験を行ったところ,ベンゼン,トルエン,p-ジクロロベンゼンについては65~102%の回収率を得ることができ,食品中の概ねの含有量を把握することが可能であることを明らかにした.

2010rep2 三重県における農産物中の残留農薬検査について

  大垣有紀,川合啓之,林 克弘,前田千恵,林﨑由美子,竹内 浩,一色 博,志村恭子

   キーワード:残留農薬,一斉分析法,食品衛生法,ポジティブリスト制度

 当研究所ではこれまでに農産物中の残留農薬迅速系統分析法を開発し,さらにこの方法を行政検査に適用して農産物中の残留農薬検査を行ってきた.三重県内に流通している農産物の農薬残留実態を把握し,より効果的な食品監視を行う目的で,過去12年分の検査結果について整理した.検査を実施した1212検体のうち142検体から残留農薬が検出された(検出率11.7%).キャベツからアセフェート,ほうれんそう,こまつなからシペルメトリン,オレンジ,りんごからクロルピリホスの検出が多かった.残留基準を超過した農産物は,1212検体中4検体であった(違反率0.3%).

2010rep3 2009/10シーズンにおけるインフルエンザ患者の発生動向等について

   山内昭則,福田美和,高橋裕明,大熊和行

  キーワード:新型インフルエンザ,2009/10シーズン,発生動向,推計患者数

  2009/10シーズンにおけるインフルエンザの発生状況は,北海道,沖縄をはじめ各地で特徴的な発生動向を示すとともに,多数の患者発生が報告された.三重県では,定点当たり患者数累計(2009年36週~2010年13週)は全国で10番目と比較的多数の報告であった.迅速診断キット測定状況は患者報告計32,587人のうち28,167人(86%)が迅速診断キットの結果に基づいて報告されていた.そのうち283名はB型(陽性例数の1.0%)の報告であったが,このB型陽性例には,かなりの偽陽性が含まれていることが示唆された.集団かぜ発生状況は,時間の経過とともに,概して高等学校→中学校→小学校→幼稚園に移る傾向を示し,学校分類別総数に対する措置実施施設の割合は高等学校85.4%,中学校92.7%,小学校94.6%,幼稚園69.0%であった.また,患者総数(推計値)は329,590人で,2000/01~2007/08の8シーズンの季節性インフルエンザ患者を対象として推計したシーズン当たり平均患者総数(推計値)162,987人の約2倍の流行規模であったと考えられる.三重県では,180例のインフルエンザウイルスNAタンパクのシーケンス(アミノ酸解析)を完了し,2例からオセルタミビル耐性株が検出され,そのうち1例は感受性株との混在株であった.

2010rep4   臭気成分を指標とした食品廃棄物コンポストの熟度判定研究

  市岡高男,片山貴幸,吉岡 理

   キーワード:食品廃棄物,コンポスト,熟度,アンモニア態窒素,発芽試験,臭気,ガス試料

 コンポスト化が難しく再生利用が進んでいない食品廃棄物について,コンポスト化の熟度判定手法を確立し,これをコンポスト化のチェックに用いることで良質なコンポスト製造とその利用促進を図るための研究を行った.熟度判定については,コンポスト化過程における数種項目の消長の解析結果から,コンポスト化時間の経過にともなって減少する溶出液中の全窒素に占めるアンモニア態窒素の割合が,有用な熟度判定指標となることが示唆された.次いでコンポストの溶出液についてシャーレ発芽試験の根伸長率が,障害発生の危険性が少ない安全なコンポストと判定できる80%に達するコンポスト化経過時間を決定し,この時点の全窒素に占めるアンモニア態窒素の割合を熟成の判定値にできることを示した.また悪臭の原因となる未熟なコンポストの臭気について,新たに提案したコンポストの臭気試験のためのガス試料調製法と二点比較法の組み合わせにより求めた簡易臭気指数に相当する値で,比較的正確に判定できることが明らかとなった.

2010rep5 三重県における微小粒子状物質の現状

  小山善丸,佐来栄治,塚田 進1),秋永克三,西山 亨,寺本佳宏,棚瀬敦史,大熊和行

   キーワード:大気,PM2.5,浮遊粒子状物質

  2007年から2009年にかけて,三重県北勢地域の3地点において粒子状物質の調査を行った.PM2.5質量濃度は沿道地域,住居地域,バックグラウンド地域の順に18 ~ 24     μg/m3,13~20 μg/m3および10~16μg/m3の範囲にあった.調査期間中のPM2.5質量濃度に明確な減少傾向は見られなかった.

 PM2.5質量濃度の変動は3地点で概ね同様の傾向がみられた.PM2.5の含有成分を調査したところ,地点間の濃度差は炭素成分の影響が大きいと考えられ,PM2.5質量濃度の変動はイオン成分濃度の変動による影響が大きいと考えられた.また,PM2.5中の元素状炭素は沿道地域,住居地域,バックグラウンド地域の順にPM2.5質量濃度の10.2~38.1,6.7~23.8,6.0~23.2%の範囲にあり,全炭素成分では18.8~46.2,15.0~37.1,14.4~30.1%の範囲であった.

2010rep6 浮遊粒子状物質に含まれる多環芳香族炭化水素類について(3)

  佐来栄治,小山善丸,西山 亨,吉岡 理

   キーワード:浮遊粒子状物質,多環芳香族炭化水素類,粒径別実態調査,パーソナルカスケード

          インパクト(PCI)サンプラー

  浮遊粒子状物質に含まれる多環芳香族炭化水素類(PAHs)について,三重県北勢地域の3地点(納屋,桑名,桜)において2008年8月から2010年3月にかけてパーソナルカスケードインパクト(PCI)サンプラーを用いて粒径別実態調査を行った.
  実態調査の結果,粒子濃度については,納屋,桑名,桜とも2.5μm以下>2.5μm~10μm>10μm以上の粒径の順に粒子濃度が高い傾向を示した.フィルタに捕集されたPAHsの濃度については,粒子濃度同様2.5μm以下>2.5μm~10μm>10μmの粒径の順に高く,地点別では,各粒径とも納屋>桑名>桜の順に高かった.PAHsの濃度については,各地点とも秋期から春期にかけて高く,春期から秋期にかけて低い季節変化が見られた.

2010rep7 三重県における2007~2009年度の酸性雨の状況

  西山 亨,佐来栄治,小山善丸,寺本佳宏,吉岡 理,大熊和行

   キーワード:酸性雨,全国環境研協議会,初期酸度,全無機態窒素沈着量,

                            潜在水素イオン沈着量,Zスコア

 2007年度から2009年度に三重県四日市市桜町で実施した降水の調査結果を報告する.その結果,水素イオン濃度指数は,年平均で4.42-4.51を示し,2007年度の全国61測定地点の平均値と比較すると全国で3番目に低い値に相当した.また,全国のデータと比較すると,海塩粒子の影響が少ないことが分かった.初期酸度指数についても全国平均より酸性側にあるものの水素イオン濃度指数に比べてその差は小さく,中性化成分が少ないと考えられた.また,全無機態窒素沈着量や潜在水素イオン沈着量は全国のデータと比較してもかなり多く,全国環境研協議会が全国酸性雨調査に使用する地域区分でCJ(中央部)よりもむしろJS(日本海側)やWJ(西日本型)に近い傾向を示した.

2010rep8 廃棄物リサイクル製品の安全性評価のための分析手法に関する研究

  吉岡 理,山﨑美香*,吉村英基,秋永克三

   キーワード:廃棄物リサイクル製品,安全性評価,六価クロム

 廃棄物リサイクル製品の安全性評価を行うため,従来から実施されている溶出試験を補完する分析方法を検討することを目的として,埋め戻し材およびコンクリート廃材を試験対象とし,製品中に含まれる重金属類等について環境中での挙動を予測しうる試験法・試験条件について検討を行った.溶出試験に,エアレーション等による酸化促進条件,溶出溶媒のpH条件等を付加した試験等を実施したところ,多くの条件が重金属類の溶出量を増大する要因となり得ることが明らかになった.

資料

2010rep9 食品添加物試験法の内部精度管理の結果について

  竹内 浩,一色 博,前田 明,吉村英基,川合啓之,林 克弘,林﨑由美子,大垣有紀,志村恭子

   キーワード:食品添加物,保存料,防かび剤,酸化防止剤,甘味料,漂白剤,発色剤

 2010年4月,理化学的検査部門の組織改編に伴う業務移管により,食品添加物等の検査を当研究所で行うこととなった.各食品添加物試験法の分析精度を確認するために標準添加回収実験を行った.回収率については,保存料8種は81.0~101%,防かび剤4種は88.1~105%,酸化防止剤4種は83.2~104%,甘味料2種は75.2~101%,漂白剤は101%,発色剤は95.7~101%とすべての項目で回収率70~120%を満たし良好な結果が得られた.

2010rep10 三重県における2009年度環境放射能調査結果

  吉村英基,森 康則,前田 明,志村恭子

   キーワード:環境放射能,核種分析,全ベータ放射能,空間放射線量率

 文部科学省からの委託により,2009年度に実施した三重県における降水中の全ベータ放射能測定,降下物,大気浮遊じん,淡水,土壌,蛇口水および各種食品試料のガンマ線放出核種(Cs-137,I-131,K-40)分析,ならびに空間放射線量率測定の結果について報告する.
   2009年度の環境および食品中の放射能レベルは,すべて平常値であった.
   核種分析においては,人工放射性核種であるCs-137,天然放射性核種であるK-40が,一部試料から検出されたが,過去の検出状況および全国の調査結果と比較して特に問題は認められなかった.
   降水中の全ベータ放射能,モニタリングポストを用いた空間放射線量率の連続測定およびサーベイメーターを用いた月1回の空間放射線量率の測定結果でも,異常は認められなかった.

2010rep11 三重県における水道水質外部精度管理

  前田 明,吉村英基,森 康則,志村恭子

   キーワード:水道水質,外部精度管理,変動係数

  安全で信頼のできる,おいしい水を求めるという国民的ニーズの高まりを背景として1992年に水道水質基準の改正があり,それに伴い,厚生省(当時)から検査機関は相互に協力して外部精度管理に係る組織を形成し,客観的な外部精度管理を定期的に実施するよう努める旨の通知が発出された.
       三重県では,1993年11月に策定した「三重県水道水質管理計画」に基づき、1997年5月に、「三重県精度管理協議会」を設立し,毎年度,外部精度管理を実施している.
      本報ではその結果および検討内容について概要を報告する.

2010rep12 三重県における2005~2009年度の麻しん・風しん抗体保有状況の推移

  福田美和,山内昭則,高橋裕明,矢野拓弥,田沼正路,大熊和行

   キーワード:麻しん,風しん,抗体保有,ワクチン

 PA抗体保有状況および風しんHI体保有状況調査を基に2005~2009年の経年推移を検討したところ,以下のとおりであった.

(1) 1~9歳の麻しんワクチン接種率の経年推移をみると,2005年度は93%とやや低かったが,2006~2009年度は96~100%の範囲にあり,2006年4月に導入された麻しん・風しん混合ワクチンの2回接種制度の効果が僅かではあるが現れた傾向がみられた.また,10歳以上の接種率をみると,年度によってやや変動するが81~90%の範囲にあり,概して高年齢ほど接種率が低下する傾向がみられた.

(2) 2005~2009年度における麻しんPA 抗体陽性率(抗体価16倍以上)をみると,1~9歳では91~96%とやや低い範囲にあり,10歳以上では98~99%と高い割合で推移している.

(3) 1~9歳の風しんワクチン接種率の経年推移をみると,男性では2005年度は81%と低かったが,2006~2009年度は93~98%の範囲にあり,女性でも2005年度は83%と低かったが,2006~2009年度は93~100%の範囲にあり,麻しんと同様に2006年4月に導入された麻しん・風しん混合ワクチンの2回接種制度の効果が現れた傾向がみられた.また,10歳以上の男性では60~94%の範囲で年度によって大きく変動し,同女性では82~94%の範囲にあり,女性の接種率は男性より高く,男女とも高年齢ほど接種率が低下する傾向がみられた.

(4) 2005~2009年度における風しんHI抗体陽性率(抗体価8倍以上)をみると,1~9歳の男性では2005年度79%,2006~2009年度93~96%,同女性では2005年度81%,2006~2009年度89~98%と,ワクチン接種率と同様に2006年4月に導入された麻しん・風しん混合ワクチンの2回接種制度の効果が現れた傾向がみられた.また,10歳以上の男性では年度によって変動するが70~81%とやや低い範囲にあり,同女性では94~96%の範囲にあり,女性の陽性率は男性より高く,男女とも高年齢ほど陽性率が低下する傾向がみられた.

2010rep13 2009年感染症発生動向調査結果

  赤地重宏,矢野拓弥,前田千恵,楠原 一,永井佑樹,岩出義人,田沼正路

   キーワード:感染症発生動向調査,病原体検査定点,インフルエンザウイルス

 2009年1月1日~12月31日までに県内の病原体検査定点医療機関から検査依頼のあった患者数は738人で,病原体が検出されたのは454人(61.5%)であった.疾患別の内訳は,インフルエンザA/H1N1pdm流行に伴い,インフルエンザ様疾患の338人が最も多く,次いで感染性胃腸炎95人,リケッチア感染症63人,ヘルパンギーナ24人,無菌性髄膜炎およびRSウイルス感染症13人の順であった.
      これらのうち,453人(61.4%)から病原体が分離・検出された.主な分離・検出病原体はインフルエンザウイルスA/H1N1pdm(AH1pdm)型,インフルエンザウイルスAH1(AH1)型,インフルエンザウイルスAH3(AH3)型,インフルエンザウイルスB型,Rickettsia japonica,NorovirusGⅡ(NVGⅡ)であった.

2010rep14 2009年度感染症流行予測調査結果(日本脳炎,インフルエンザ,風しん,麻しん)の概要

  矢野拓弥,前田千恵,赤地重宏,岩出義人,田沼正路

   キーワード:感染症流行予測調査,日本脳炎,インフルエンザ,風しん,麻しん

 感染症流行予測調査では,人の抗体調査による免疫保有状態の程度について年齢等の別により分布を知る感受性調査と,病原体の潜伏状況および潜在流行を知る感染源調査を実施している.2009年度に実施した調査結果の概要は次のとおりである.

(1)日本脳炎感染源調査については三重県中部地域で飼育された豚の日本脳炎ウイルス(JEV)に対する赤血球凝集抑制(Hemagglutination inhibition:HI)抗体保有の有無を調査した.IgM抗体の指標となる2-Mercaptoethanol(2-ME)感受性抗体は2009年8月10日1頭,19日に3頭で認められた.

(2)ヒトの日本脳炎感受性調査での中和抗体保有率は338人中174人(51.5%)であった.
(3)動物のインフルエンザウイルスの侵入を監視する体制強化の一環として,豚100頭からのインフルエンザの分離を実施したが,ウイルスは分離されなかった.

(4)ヒトのインフルエンザウイルスの流行動態および規模に最も影響を及ぼす乳児から学童期の年齢層の流行期前のHI抗体保有率(40倍以上)は,A/Brisbane/59/2007(H1N1)は0-4歳22.7%,5-9歳75.9%,A/Uruguay /716/2007(H3N2)は0-4歳12.1%,5-9歳72.4%であった.B型インフルエンザに対しては,B/Brisbane/60/2008(ビクトリア系統) は0-4歳1.5%,5-9歳17.2%,B/Florida /4/2006(山形系統)は0-4歳1.5%,5-9歳31.0 %であった.新型インフルエンザのA/California/7/2009(H1N1pdm)は0-4歳,5-9歳ともに0 %であった.
(5)風しん感受性調査での全年齢層におけるHI抗体保有率は90.2%(男性:82.3%,女性:94.9%)であった.
(6)麻しん感受性調査での全年齢層におけるPA(Particle Agglutination Test)抗体保有率は94.7%であり,免疫獲得状況は良好であった.

2010rep15 2009年度の先天性代謝異常等検査の概要

  楠原 一,永井佑樹,田沼正路

   キーワード:先天性代謝異常等検査,先天性副腎過形成症,先天性甲状腺機能低下症

 三重県における先天性代謝異常等検査事業は三重県先天性代謝異常等検査実施要綱に基づき,アミノ酸代謝異常症3疾患,ガラクトース血症,先天性副腎過形成症および甲状腺機能低下症の6疾患を対象に実施している.2009年度は県内の新生児のうち保護者が希望した17,193件について検査を実施した.そのうち疑陽性と判定し再採血を依頼をした検体は計478件であり,精密検査を依頼した検体は先天性副腎過形成症34件と先天性甲状腺機能低下症23件の計57件であった.また確定患者数は,先天性甲状腺機能低下症の10人であった.

本ページに関する問い合わせ先

三重県 保健環境研究所 〒512-1211 
四日市市桜町3684-11
電話番号:059-329-3800 
ファクス番号:059-329-3004 
メールアドレス:hokan@pref.mie.lg.jp

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