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平成20年08月05日

ブリ資源の長期変動特性について
~ブリ成魚の来遊資源動向の検討~

水産海洋学会2003年度研究発表大会要旨(2003年12月5日)

久野正博(三重県科学技術振興センター)

目的

ブリはモジャコ(稚魚)から成魚まで様々な成長段階で漁獲される沿岸漁業の重要魚種である。ブリ資源に対しては1950年代頃までは定置網が主たる漁業であったが、1960年代頃からモジャコ採捕漁業が活発化し、大量の稚魚が漁獲されるようになった。近年は、まき網漁業による漁獲が増加傾向にあり、ブリ資源に与える影響が懸念されている。ブリ資源を持続的に有効利用するためには、ブリ資源の変動特性を把握する必要があり、本研究では主に定置網による漁獲統計を用い て、ブリ成魚の長期来遊資源動向について検討した。

方法

ブリ銘柄別漁獲動向の検討には、三重県ブリ定置漁獲統計および神奈川県、静岡県、高知県、富山県の各水産試験場等がまとめた漁獲資料を用いた。CPUEとしては、長期間の集計漁場数データが整備されている三重県の1ヶ統当たり漁獲尾数を用いた。環境要因の検討には、Yasunaka and Hanawa(2002) によるレジームシフトの発生時期、北太平洋指数(NPI)等を用い、ブリ資源の変動との関連について検討した。

結果と考察

全国の「ぶり類」長期漁獲動向によると、近年のブリ漁獲量は高水準にあると言えるが、漁獲圧の増大もあり、単純に資源動向を反映した結果と判断することはできない。定置網での漁獲変動は来遊資源量の変動を反映すると言われることから、三重県における1ヶ統当たりのブリ漁獲尾数を用い、ブリ銘柄の長期来遊傾向を検討した結果、三重県におけるブリ銘柄の漁獲水準はレジームシフトと関連した10~20年の好不漁を繰り返しながら、長期的には指数関数的に減少していることが明らかになった。日本海側において古くから定置網漁業の盛んな富山県におけるブリ銘柄の長期漁獲動向を三重県と合わせて検討した。富山県においてもブリ銘柄の漁獲量はかつての高水準期に比べて大きく減少しているが、三重県と比較してさらに好不漁の変動が激しい。富山県では温暖レジーム期にブリ好漁、寒冷レジーム期にブリ不漁の傾向が明確に認められた。ブリの漁獲増加期には冬季のNPIが高い(アリューシャン低気圧が弱い)傾向、ブリ漁獲減少期にはNPIが低い(冬型の気圧配置が強い)傾向が認められたことから、気候変動によってブリ成魚の来遊水準が大きく変化していると考えられた。

定置網に入網するブリは、1950年代以降小型化が進み、若齢魚中心の資源構造に変化している。ブリは大型の高齢魚ほど南下時期が早く、より南方で産卵するとされている。資源減少期には三重県におけるブリ成魚の来遊時期が遅れる傾向も認められた。1960年代以降は漁獲圧が増大した時期であることから、環境要因だけでなく漁獲圧の増大が若齢魚中心の資源構造に変化させた可能性がある。ブリの主産卵場は東シナ海にあり、産卵場周辺の海洋環境がブリの産卵と仔稚魚の輸送、太平洋系群と対馬暖流系群の加入量の配分に影響していると考えられる。ブリ資源の変動要因をさらに解明していくためには、産卵場周辺における海洋環境の変動ならびに漁獲圧の変動を検討する必要がある。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 水産研究所 企画・水産利用研究課 〒517-0404 
志摩市浜島町浜島3564-3
電話番号:0599-53-0016 
ファクス番号:0599-53-2225 
メールアドレス:suigi@pref.mie.lg.jp

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