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三重県議会 > 県議会の活動 > 委員会 > 委員会会議録 > 平成29年度 委員会会議録 > 平成29年10月17日 障がい者差別解消条例策定調査特別委員会 会議録

平成29年10月17日 障がい者差別解消条例策定調査特別委員会 会議録

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               障がい者差別解消条例策定調査特別委員会

                           会議録
                          (開 会 中)
開催年月日   平成29年10月17日(火曜日) 午後3時28分~午後4時51分
会議室         504議会運営委員会室
出席     13名
             委  員  長     杉本 熊野
             副委員長      小林 正人
             委        員     芳野 正英
             委        員      中瀬古 初美
             委        員     岡野 恵美
             委        員     倉本 崇弘
             委        員     田中 智也
             委        員     木津 直樹
             委        員     山内 道明
              委         員    藤田 宜三
             委        員     津田  健児
             委        員     三谷 哲央
             委        員     中森 博文

欠席     なし
出席説明員    出席を求めず
参考人       2名
           特定非営利活動法人三重県精神保健福祉会 理事長    山本 武之 氏
           公益社団法人三重県障害者団体連合会 会長           世古 佳清 氏
委員会書記
          議事課         主幹     黒川 恭子
          企画法務課     主任    樋口 慎也
傍聴議員    なし
県政記者    なし
傍聴者        1名
協議事項
1 参考人からの意見聴取について

 (1)障がい者を取り巻く現状等について

2 その他
 
【会議の経過とその結果】
 
〔開会の宣言〕
 
1 参考人からの意見聴取について

○杉本委員長 本日は障がい者を取り巻く現状等として、障がい者が日常生活や社会生活において差別を受けたり、配慮がなされなかったと感じた具体例や差別の解消に向けた政策として望むこと、障がいのある方もない方も共生する社会に向けての課題などについて、参考人からの聞き取り調査を行います。
 以前の委員会で決定したとおり、本日は特定非営利活動法人三重県精神保健福祉会理事長、山本武之様、公益社団法人三重県障害者団体連合会会長、世古佳清様、以上2名の方に参考人として出席を求めております。
 本日の調査の進め方についてですが、初めに特定非営利活動法人三重県精神保健福祉会理事長の山本武之様からお話を伺い質疑を行います。その後、公益社団法人三重県障害者団体連合会会長の世古佳清様からお話を伺い、質疑を行いたいと存じます。
 なお、出席を求めた公益社団法人三重県障害者団体連合会会長の世古様から補助者を同席されたいとの申し出がありましたので、これを許可することに御異議ありませんか。

 

          〔「異議なし」の声あり〕

 

○杉本委員長 異議なしと認め、補助者の同席を許可することといたします。
 なお、参考人からの聞き取りは、質疑を含めそれぞれ40分以内といたしたいと存じますので、御了承願います。
 また、参考人に御退出をいただいた後に委員会討議を行いたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

  (1)参考人意見陳述

○杉本委員長 この際、参考人の山本武之様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、お忙しい中にもかかわらず本委員会のためにご出席をいただき、まことにありがとうございます。委員会を代表して心からお礼を申し上げます。忌憚のない御意見をお述べくださいますようどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、参考人からの意見聴取を行います。参考人の方からは、障がい者を取り巻く現状等として、障がい者が日常生活や社会生活において差別を受けたり、配慮がなされなかったと感じた具体例や差別の解消に向けた政策として望むこと、障がいのある方もない方も共生する社会に向けての課題などについてお聞かせいただければと存じます。
 山本武之様、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○山本参考人 私は、三重県精神障害者家族会連合会、最近は精神保健福祉会と名乗っておりますけれども、そこの責任者をしております。
 先ほどは本当に御丁寧に委員長のほうから出席に対するお礼をいただきましてありがとうございます。むしろ私どものほうがこういう席で現状を報告させていただいて、こちらがお礼を申し述べたいというふうな気持ちでおります。
 さて、最近、障害者の権利に関する条約、それから障害者差別解消法と進んできまして、今度の条例のほうに行くわけですが、約10年前に千葉県が最初に条例をつくりましたけれども、私どもの仲間が千葉県におりまして、そこの会長とも何か変わったかなと話したんですが、いや変わらんと言っていました。そういうことで私自身は、権利条約のときも、それから、差別解消法のときもそうでありますが、国や自治体における大きな差別解消に向けた施策の抜本的な取組がない限りは前進しないんじゃないかと、失礼な話ですけれども、そう思っております。
 今回、私は現状の話をした後にお金がかからなくて簡単にできる施策を1つ提案申し上げたいと思うんですが、これは精神独特の問題でありますので、3障がい全てに通用する問題ではありませんけれども。
 さて、最近、この3年ぐらいの間に私ども精神障がい者の周りで起こっていることについて、ちょっと資料を準備しましたので、その資料の中の困っていることというところをちょっと見ていただきたいと思うんですね。
 「医療機関で受診を断られる」、これは3年ちょっと前で、秋でしたけれども、津市内で大きな病院が統合失調症だと言ったら特定健診を断ったと。たまたまその方が、その方のお母さんが家族会の会員だったということで、私が津庁舎の事務所にいたら電話がかかってきて、山本さん、断られた、どういうこっちゃと、早速お母さんと一緒に抗議を申し入れました。そうしたら断った職員の上司が出てきて、それは済みませんでした、明日早速受けていただきますということで、翌日お母さんも付き添っていきました。そうしたら今度は、男性の看護師が2人、レントゲン室へ行くときも統合失調症当事者の前後を挟むようにして、尿の検査で採尿するときは便所の入り口に仁王様のように立っていた。これはお母さんの言うことをそのまま私が言っているわけですけれども、そういうことで、本人は特別扱いされて周りの通院してみえる方々からの視線を感じてしようがなかった、あの病院はもう行きたくないと。そんなことがありまして、私どもは再度その病院に抗議をしました。病院もいろいろ、内部で話し合いをしたかと思うんですが、最終的に謝罪していただくまでに実に1年以上を要しました。去年の1月です。忘れもしないんですけれども、最終的に謝罪していただきました。
 どうも小耳に挟んだところによりますと、そこの病院の中では、もしものことがあったらどうするんだ、ほかの患者に危害を加えられたらどうするんだという議論をしたようでありました。私どもは皆さんも御存じのように、精神科病院を退院して地域で暮らしているということは、自傷他害のおそれのない全く一般の人と同じ立場なんだということ、退院を決定した医者のお墨つきだし、もし何かあるとすればそれは医者の責任でもあるんだということを話しながらいろんな形でこの誤解、偏見の解消に向けた行動をしているわけであります。それが1つであります。
 「ツアーから排除される」、これも津市在住の方でありますが、統合失調症の方です。ある旅行会社で2回、ヨーロッパの1週間以上のツアーに行ってきました。2回は何の問題もなかった。3回目ですけれども、3回目に行こうとしたら、統合失調症のあなたはツアーに連れていくことができないと。彼女は飛行機に乗るとき、ヨーロッパまで行きますから、一昼夜ぐらいかかるわけですね。薬を飲むものですから乗るときに添乗員なんかに私は統合失調症で食事の後に薬を飲みますよということを言って、ツアーの参加者はみんな彼女のことを知っているわけですね。3回目のときに旅行会社が、あなたが来るとあなたと一緒に飛行機に乗るのは怖いという人がおるので、あなたは遠慮してほしい、そういうことなんです。これもたまたまその方のお母さんが家族会に入っていたから私どもに届いた話、それで早速私も手を打ちまして、あのとき朝日新聞の記者ともあれして、実は取材していただいて記事にしていただきました。朝日新聞もちゃんと、旅行会社の固有名詞を出さないように取材して出してくれまして、その記事が残っておりますけれども、そういう実態です。
 そしてその最初の会社は、その新聞に載ったことを知って本人に電話して、あんたは何でこんなことを、うちの会社のことを載せるんだということで、会社が逆に障がい者の本人にパワハラというか、圧力をかけると。裁判をやるならやってみろ、こんなもの、民事だからおまえらが勝てるわけないという感じで、そんな企業がいまだに存在する、これも3年前の話です。まだそうなんです。
 「アパートの入居を断られる」、これは私自身なんですが、私はこの精神保健福祉会、家族会連合会で7万人の例の社会的入院の人を退院促進させるというふうなことで、一時期ですけれども、退院促進のモデル事業を県がやっていたときにその支援員をさせてもらった関係もありまして、最近でもその関係で病院とあれして御本人の住むアパートなんかを病院のワーカーと一緒に歩いたりするわけですけれども、そのときに家主が、山本さん、統合失調症、これはあかんわと。昔の名前が精神分裂病やろ、これはあかんわ、あんたが言うように、地域へ来れば医者の保証があるんだ、自傷他害のおそれはないと言ったって、アパートの入った、周りに住んでおる人はそうではないと。みんなその統合失調症は精神分裂病という名前を知っておる、その人が来たということになると、これは問題になると、それは山本さん、ちょっと待ってくれという感じなんです。
 うちの家族会連合会が今そういう人たちのための保証人事業というのをやっておるんですけれども、身寄りのない方の退院を促進するための保証人を今まで三十数人かかわって今現在11人やっておるんですが、そういうことで、今でもそのことでやっぱり統合失調症イコール精神分裂病、何をするかわからない、怖い存在というのが定着しておると。これはほかの障がいとは違う一つの大きな偏見差別。
「不審者扱いされて通報される」、これも皆さん、簡単に一般的に言えば誰かが、どこかPTAのある人が。今最初のこの1番に書いていますように、三重県では約3万8000人の精神科に通ってみえる人がいるわけです。そのうちの精神保健福祉手帳所持者は1万2000人ぐらい、精神科の通院助成を受けている人が2万5000人ぐらいいるんですね。約2万人の方が就労できない状態でお家にみえるわけです、お家に家族と一緒に。その人たちは昼間行くところがないんですよ。家族は散歩しようとかと言うわけです。本人も昼間動いていないと夜寝られないから、昼夜逆転になるということで、通院先の先生からもそういう指導を受けているし、たまに行くデイケアなんかでもすごく言われているから散歩に行くわけですね。たまたまその時間が例えば午後2時半から3時ごろになったとすると、変な男が歩いておると、下校時の子どもが危ないんじゃないかという電話をするんですよ。これも津市であったんですよ。私が津警察署の生活安全課の人とも話をしたら、それが実に大変なことに110番で通報されるとパトカーが行って本人の両脇を2人が挟んで確保しながら、あなた、どこへ行くんだと。110番通報だと、そういうマニュアルがあるそうです。警察に聞きました、マニュアルどおりにやらないかんと。本人はびっくりですわね、びっくりですわ。歩いておったらわしは不審者になると。統合失調症の方ですから身なりもちょっと乱れているかもしれませんけれども、れっきとした退院して地域で暮らしている人、運悪くこの人は3カ月前に2回目の通報をされた。本当にこれもお父さんが家族会に入っていたからわかったわけで、その3カ月後に、だから半年後に本人はそのことが原因で入院したということなんです。こういうことがある。
 その下ですけれども、「学校の隣にグループホームを建てようとしたら、子供が危ないから反対!」、これは松阪ですけれども、平成11年にグループホームの準備をして建てようとして、できるのに3年かかりました。小学校の隣です。そうしたら何が一番先に起こるかというと、ここに書いてあるとおりです。学校の子どもが危ない、これの前提条件は統合失調症の人が7人も8人もいるグループホーム、そんなもん危ないに決まっている、そういう意識がまだ定着しているんです。まだまだです。これは本当に3年かかりました。松阪工作所の施設長らがすごく頑張って地元と話し合って、最終的には地元の会長が、わしらがここで反対してしまうと、わしらが反対して障がい者のグループホームができなくなる、これは歴史に残るかもしれない、逆にここでわしらが決意すれば、逆の意味で、いい障がい者のグループホームをつくったということで、いい意味での歴史に残るという、開所式の挨拶は本当に立派な挨拶でありました。現実はそういうことなんですね。
 「統合失調症と言うと、ほとんど話も聞いてもらえない」、これは雇用開拓の問題です。雇用についてはどういう歴史があるかといいますと、精神障害者の雇用率が、雇用率で入ったのは平成17年度なんですよ。2005年度なんですね。雇用してもよい、なんです。やっと13年後の来年度、平成30年度に雇用義務化、雇用しなければならないになるんです。この間、私たちはたくさん精神障がい者の、もう働ける人たちがいるんですから、雇用開拓の仕事もやりました。たくさんのところへ行きました。もう本当に最初のうちはここに書いてありますように、「接客業ですから精神障がいの方はとてもだめです!!」。その裏には何があるか、そんな危険な人は何をするかわからないというあれが流れておるんですね。
 これにちょっと書いていないですが、四日市の三菱系の化学会社へ行きました。うちは危険物があるから統合失調症の人はだめです、ただそれだけです。それで私たちがいろいろ時間を使って15分も話した、今退院して地域にいる人は自傷他害のおそれのない保証つきの人だというふうに言ったとしても、世間はそう見ていないというふうな感じで全部けられます。実態はそうなんですね、まだまだそうなんです。最近はうつ病に関しての理解が大分広がっていますけれども、統合失調症に関しては、そういう、底辺に何をするかわからん怖い存在としてずっと流れ込んでしみ込んでいます。
 時間も余りありませんので、2ページ目をちょっとめくっていただきたいと思うんです。
 2ページ目、誤解・偏見の解消に向けてということでちょっと書いていますが、(イ)、(ロ)、ちょっとはしょっていきますが、精神分裂病の100年間、私ども家族会は、統合失調症の以前の名前が精神分裂病だと、1900年から2002年までずっとその名前だけでもう人格否定です。何をするかわからんという否定だったんですね。そういう歴史が長いこと続いています。ですから、私たちは今、ここにも書いていますように毎年三家連のイベントで大会をやって、その大会には100人ぐらいの当事者が集まって、そこへ開催地の民生委員の人たちに参加してもらって実際に見てもらって、数十人いる当事者はどういう人だ、統合失調症の人はどういう人だと、本当に危険な存在なのか、皆さんにそのアンケートを、今年は松阪でやりました。松阪で地域の約60人の民生委員の人が参加してくれました。アンケートの答えがみんな逆で、優しくて親切で思いやりのある人ばかりだと。実にそうなんです。統合失調症、精神分裂病の人の半数ぐらいの人は、100円拾っても警察に届けるという、うそをつけない、そういう性格の人なんです。それが逆に何をするかわからんという形でずっと今定着をしておるわけであります。
 私たちはそういうことで、前々からみえ県民力ビジョンなんかでも意見を出しましたが、もちろんこの実情について学校教育の一環の中でカリキュラムとしてやっていただく、これは物すごく大事なことでありますが、まず私は、間違った名前をつけたそのためにこの100年間、そして今もなお、私は47歳の統合失調症の息子がおるんですが、そういう人たちが被った労苦に対して名前をつけた日本精神神経学会、そして100年間行政の当事者であった内閣総理大臣あたりにメッセージを発していただいて、本当にこの精神分裂病というのは間違った名前であった、そのことによって多くの当事者や家族の方に御迷惑をかけましたと一言言ってほしい。これは3障がいではありませんけれども、本当にこれがお金のかからない、精神疾患、精神障がい者に対する誤解、偏見をなくしていく、そして差別を解消していく突破口になるんではないかと、私はそういうふうに思っています。
 それで、どうも国のほうはなかなか動きそうにありませんから、皆さんにお願いをしたいと思うんですが、全国で初めて精神分裂病の患者、家族に対して、労苦に対するそういうメッセージを三重県知事として、100年前からの知事の代表として発信していただければ三重県内の統合失調症、精神病患者全体への誤解、偏見、差別の解消に大きく貢献できるのではないかというふうに感じております。
 ちょっと長くなりましたけれども、私の最初の発言はこれで終わりたいと思います。
   

  (2)参考人への質疑

○杉本委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御意見を受けまして、委員の皆様から御質疑等をお願いいたします。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て発言し、また委員に対しては、質疑をすることができないことになっておりますので、御了承をお願いいたします。
 それでは、御質疑をお願いいたします。

 

○芳野委員 ありがとうございました。
 先ほどの提言についてはちょっとまた考えていきたいなと思うんですけれども、それ以外に今三重県障害者相談支援センターですと、知的障がいと身体障がいに対しては、支援課があるわけですが、精神障がいに対しては、先ほどいろいろお話があったように差別、被害に対する相談窓口がなくて、親御さんたちがそうやって実際に交渉に行っているという状況だと思うんですけれども、制度的な部分でそういう差別の解消、当事者との話し合いをする機関、そういうのもやはり要望というか、必要性を感じておられるのかというのをお聞かせいただけないかなと思うんですけれども。

 

○山本参考人 障害者自立支援法が施行されて3障がい一元化の相談支援体制もできてきまして、当事者に対する支援については、多少でこぼこはあるし、行政間の地域差は若干あるかと思いますけれども、一定行き届いているんじゃないかと、私は思っています。問題は、家族なんですね。家族の人は先ほども申しましたようにいまだに頭隠して尻隠さずで、周りを見て具体的な例で言いますと、津市に在住する方が隣の町に相談に行く、そういうふうなことが日常茶飯事です。ですから、私どもが県の庁舎で家族相談というのをやっていますけれども、津市の方は比較的少ない、津市を離れた人たちが相談の電話、あるいは面接に見える割合が高い、いまだにそうなんです。
 そういうことで、家族に対する地域ごとの相談支援体制が非常に大事かなというふうに思います。
 私どもは、当事者に対する支援センターに対して家族の人の相談にも耳を傾けてもらえないでしょうかというふうな話はしておるんですが、やはりそれは本来業務じゃないものですから、その辺はやっぱり見てやっていただきたいなというふうに思っています。
 以上です。

 

○芳野委員 ありがとうございました。例えば先ほどの家族への支援というのは確かに大事な視点で、これは考えていかなあかんなと思います。もう1点、先ほどの各種の事例というのも、家族会ですから山本さんが中心になってそういう病院との交渉とかをされていると思うんですけれども、本来というか、よその条例なんかでも行政機関が間に立ってあっせん等々をやっていくということを取り入れている県もあると思うんですけれども、そういうことへの必要性というのはやはりお感じになっているのか、それとも今の対応で結構そういう形ができてきているのか、その辺はいかがでしょうか。

 

○山本参考人 私は、私らが直接対応する、そんなことを言ったらあれですけれども、私どもがやるべき仕事があるわけで、そのことで時間をとられるよりも行政にそういうふうにやっていただければ本当にありがたいことなんです。ところが現実に行政が動いてやるには、私も立ち会ったことがありますけれども、前に就労継続支援A型の事業所で差別扱いを受けた当事者についてのことで県の方と事業所のある市町の担当者の方が来たんですが、これはやはり民事訴訟的なことで証拠があるかないかという問題で、行政の方はそんなに強く言えないんです。証拠がないですから、何の証拠だというふうに言われる。確かに行政の方は、私たちが同席していると、あるいはそのA型の事業所を運営している方が、家族が来ているというだけでやはりちょっとびびっていますけれども、行政の方だけだと多分、失礼な話ですけれども、難しいかなというふうに思っています。
 ですから、今回条例ができても、例えば名古屋市の栄地区禁煙、喫煙すると科料を科すとか、現行犯で科料を科すような形でないと、とても無理なんじゃないかという気はします。

 

○杉本委員長 ほかに御質疑はいかがでしょうか。

 

○中森委員 ありがとうございます。最初のほうで手帳を保有している方が若干というか、所持されている方々から見て、私から見るとパーセントが低いんではないかなと、このように思いまして、このことと障がい者雇用にカウントできる計数とは影響があるのか、またその手帳は申請しないのか、持てないのか、その辺の様子はいかがですか。

 

○山本参考人 先ほど言いましたように手帳を取ることも、都市化されたところでは周囲に対して意外とさばさばしているんですが、例えば東紀州方面では手帳を取ることすら何か近所に迷惑をかけているというふうなことでなかなか取らない。市町のほうは、具体例で申しますと、実は昨年度四日市市が2級の通院の助成を100%始めたんです。そうしたら途端に手帳所持者が増えました。津市より多くなりました。そういう現実なんです。ですから、手帳のメリットということが一つはあるというふうに思います。
 それともう一つは、先ほど言いましたように、地域差によるそういう誤解、偏見ということですね。例えば私は尾鷲のほうにも単身赴任していましたが、あの辺は本当に地域性が強いんです。ですから、例えばそこの町、紀北町へ、前は海山町やった、海山町へ手帳を取りに行くということは、町の職員がみんな知るということになるわけですね。そういうことなんです。だからそういうことが身にかかるということで、そういう2つの点、その面というふうに思っています。

 

○中森委員 ありがとうございます。地域間格差があるというふうに承りまして、私の住んでいる伊賀地域、名張市では、手帳所有率が向上しているんではないかなというふうに伺っていまして、それによる雇用率にカウントがされるということと手帳をお持ちでないと雇用率にカウントできないという話を聞いたんですけれども、それは事実でしょうか。

 

○山本参考人 基本的にそう。一般的に判断の基準がないものですから。

 

○中森委員 そういうことですね。

 

○山本参考人 ただ一つ、精神障がい者の定義というのは2つありまして、障害者基本法上の日常生活または社会生活をする上で大幅な制限を受ける人という定義があるんです。ところが精神保健福祉法でもう一つ定義があるんです。精神保健福祉法では統合失調症、あるいはそれに類する病名を有する者というふうな形の2種類あるんです。これもちょっと課題なんですけれども、基本的には障害者基本法のほうで3障がいを統一しているというふうな考えだろうと。
 以上です。

 

○中森委員 ありがとうございました。

 

○杉本委員長 ほかにいかがでしょうか。

 

○田中委員 まず三家連の会員というか、全ての御家族の方が加入しておられるわけではないですよね。そのあたりの正確な数字はつかみにくいと思うんですけれども、どういうふうに捉えておられますか。

 

○山本参考人 いい質問をいただきました。実は一番たくさんいたときは380人ぐらいの三家連の会員がいたんです。現在300人を切りました。会員の基準というのは、年会費を納める人と、ただ、その周りにつながっている人は、今300人を切ったとはいえ100人ぐらいはいます。会としてはそういうことです。
 ただ、最近皆さんも御存じだと思うんですが、早期の支援、ひきこもり状態で陰性症状といいますけれども、引きこもり状態のときに医療にかかって初期症状のうちに治療をする人たちが多い、だから精神科を受診する人は多くなっているけれども、家族会に入る人はある意味で重症化している、重症化しないとなかなか家族会には入らないということで、最近、今の数字のように三百数十名から二百数十名まで減っているというのが実態です。これはある意味でいいことである、当事者にとってはというふうに考えております。

 

○田中委員 ありがとうございます。何で聞かせていただいたのかというと、冒頭の困っていること、いわゆる差別事例をお話しいただいた中で、いみじくもおっしゃった、たまたま家族会に入っているから私どもとして捉えてこういう対応をさせていただいたけれどもという発言が幾つかあったと思うんです。だから家族会に入っている方の当事者、そこにつながっている当事者の方はそうやってある意味救われるというか、御対応はしていただいていますけれども、そうではない方々というのがたくさんいるんじゃないかなというふうに思っていて、今回本県として条例をつくったとしても、その方たちに手が届くのか、寄り添えるのかということについては非常に不安を持っていまして、そのあたりについてはどうお考えですか。

 

○山本参考人 そのあたりについては、前々から私ども病院との連携ということを言っているわけです。各病院、あるいは各クリニックがあるわけですけれども、クリニックに関しては相談窓口を設けなさいとかいろいろ言っておるんですが、難しい面もあるんですが、通院してみえる、あるいは入院してみえる家族の方に対する家族教室、これをできたら何らかの形で行政から支援していただいて、病院が開きやすいようにしてほしい。今、三重県内に精神科病院は14ぐらいあるんですが、実際に自主的に自分のところで家族教室を開いているのは3から5ですね。その年によって開いたり開かなかったりするところがあります。そんな程度なんです。今おっしゃったように病院が家族教室を開くから来てくださいというふうな形でやると、これは学校でPTAの人が教師に対して弱いのと一緒で、教師から言われたらすぐやる、これはもう患者と医師の関係、病院の関係ですからそういうときは必ず皆さん来ますので、比較的そういう精神障がい、あるいはこれからの家族、あるいは当事者にどう対応していくかというふうなことについての対応の仕方、私どもはSSTと言っていますけれども、そういう訓練についても周知させやすい。だから私どもが一番今大事にしているのは、多くの関係者とつながっている病院とつながって、そこで関心を持っている人を紹介してもらう、そういうふうなことを中心に置いてやっています。

 

○田中委員 ありがとうございました。非常に御示唆に富んだお話を聞かせていただきました。私も統合失調症に変わる前の時代に精神科100床を抱える病院で勤務しておりましたので、非常に思いがございます。これからしっかりとした条例、冒頭で抜本的な取組がない限り大きくは変わらないという、三家連としては諦めみたいな部分もあるんだろうと思うんですけれども、行政としても少しでも解消できるように前へ進めていきたいというふうに感じました。ありがとうございました。
 以上です。

 

○杉本委員長 まだ御質疑のある方もあると思うんですけれども、予定の時刻が参りましたのと、田中委員に今非常によくまとめていただきましたので。また、今後さらに深めたいところのある方は直接また三家連のほうにお伺いしてということで、今日は本当にありがとうございました。
 精神障がいの方が危険な人、危険な存在ということでずっと偏見と差別を受けてきた、受けているという現状をお教えいただきました。その出発点が1900年につくられた精神病者監護法であったということで、100年以上たちました。そのあたりのところについてメッセージを発信していただきたいという提言もしていただきました。
 今日伺ったことを今後のこの委員会での議論の中にしっかりと反映してまいりたいと思います。
 本日は本当にお忙しい中、本委員会のために御出席いただきましてありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 

○杉本委員長 ここで参考人が退室されますので、しばらくお待ちください。

 

                  〔参考人 退室〕

 

                  〔世古参考人及び補助者 入室〕
 

 

   (3)参考人意見陳述

○杉本委員長 この際、参考人の世古佳清様に一言御挨拶申し上げます。
 本日はお忙しい中にもかかわらず本委員会のためにご出席をいただき、まことにありがとうございます。委員会を代表して心からお礼申し上げます。
 本日は忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いをいたします。それでは、参考人からの意見聴取を行います。
 参考人の方からは、障がい者を取り巻く現状等として、障害者が日常生活や社会生活において差別を受けたり、配慮がなされなかったと感じた具体例や差別の解消に向けた政策として望むこと、障がいのある方もない方も共生する社会に向けての課題などについてお聞かせいただけたらと存じます。
 世古佳清様、よろしくお願いいたします。

 

○世古参考人 それでは、意見を述べさせていただきます。
 私は三重県障害者団体連合会の会長を務めています世古佳清といいます。
 日ごろは松阪の障害者団体の会長という肩書とあわせていろいろなほうで携わらせていただいておりますので、ちょっとここへ文章をしたためてきた分を、まず提案させていただきます。
 まず、障害者差別解消条例の策定調査が進められております県議会の委員会の中におきまして、意見を述べる機会をつくっていただきましたことは本当にありがとうございます。
 また、県議会議員の皆様におかれましては、日ごろから地域の障がい者福祉のために御尽力いただいていることもここであわせて御礼を申し上げます。
 さて、いただきましたこの機会に私ども障がい者、公益社団法人三重県障害者団体連合会の会長としての意見を述べさせていただきたいと思います。
 障がい者に対する差別事例を踏まえた現況とこれまでの国及び県及び市町の行政への取組に対する各意見や期待を述べさせていただきたいと思います。
 まず、障がい者に対する差別の現状についてですけれども、障がい者は心身にそれぞれ個人差と言っていいんですか、個人の能力によって違った障がいがあります。このことは日常生活や社会活動の支障を来す主たる原因と思われます。それというのはやはり障がいの部所に応じてそれぞれの症状も違いますので、その中で教育とか移動手段、それから雇用などいろいろな場面が挙げられてきましたけれども、障がい者は障がいを持たない人とはできることが違うかもという差別が当然のように考えられています。そういった扱いを受けてきたのは従来、法律ができるまではかなりあったかなという感覚を持っております。
 障がいを持った子は何の疑問も抱かれず全て盲学校、聾学校や特別支援学校へ行くことが当然のように今までされてきました。また車椅子に乗った人や視覚障がい者、それから聴覚障がい者に対しても駅やショッピングセンターなどの移動、コミュニケーションなどにおいてやはり1人でできない部分がたくさんあるかと思います。
 こうした障がいによって施設入所が前提となり、地域での生活が困難なことも多く考えられるわけであります。最近、雇用促進法の関係で障がい者の就労、また来年4月からは精神障がい者も雇用対象のカウントに上がってくるということになっておりますけれども、そういうのがあると思います。
 一方、考え方の面においては、障がいは個人の努力で克服し、社会に適応する、自分から適応するということですね、そういう障がいの個人モデルや医療的な必要なリハビリを含めたケアとか福祉用具によって機能を回復して、障がいを克服するということも、障がいの医学モデルの考え方ではなく、障がい者が障がいのない人と同じような日常生活と社会参加ができないのは社会の仕組み、また制度が障がいになっているという障がいの社会モデルという考え方が徐々に普及してきたこと、今まではどちらかというと重度障がい者は隔離、言い方は悪いですけれども、そういう状態があったかと思われます。
 このようなことは特に昨年4月に障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法ということでこれが施行され、政府の各省庁、三重県をはじめとする地方自治体、市町も含めてですけれども、行政機関の不当な差別解消や合理的配慮の提供に関する職員対応という要領が整備されてきました。事実、自分自身も確かにそういう、以前とちょっと違ったなという感覚を持っております。
 事業者に対しても各庶務大臣が事業の分野別の対応指針を策定し、その内容の啓発に取り組んでいただいておる結果だと思っております。私自身も最近この県庁のロビーに来たときとか、市町の役場へ行ったときとか、ほかのところへ訪れたときに、自分から行き先がわかっていてもやはりどちらへ行かれますかと一声かけていただくとありがたいというのをつくづく感じておるということを思います。特に先日も買い物に行ったら荷物をお持ちしましょうかと車まで持ってきていただいたという事例でも、私自身も感じておる状態でございます。やはり障害者差別解消法の一部が行き渡ってきたのかなというのがあります。
 しかし、先日うちの会が行った研修会の中でも、宿泊施設等で盲導犬の同伴はだめだと言われてちょっと福祉課関係と調整させてもらったことがあるんですけれども、やはり私とこのホテルは盲導犬はあきませんよとか言われやんようになったし、場合によっては、同じ中で会議をするにしても私みたいに車椅子、つえも使うんですけれども、車椅子の場合、エレベーターがないとか、段差があって移動に困難を来すという場合もやはりまだまだ所によっては十分でないと思っております。
 また、三重県の象徴的なイベントが行われる三重県総合文化センターの大ホール、皆さんも御存じだと思いますけれども、たくさんの席数があるんですけれども、車椅子で行くと一番後方へ1人座ってくださいというスペースしか確保ができないということを聞いております。
 それと、多目的ホールへ上がるときのエレベーターと多目的ホールのほうへ行く通路の一部分にやはり屋根がないんです、あそこは。先日もちょっと福祉課等と調整のときに話をしたんですけれども、維持費だけで1億円以上かかるからすぐには無理だとかいう話をお聞きしたような状態ということもあるんですけれども、そういう面からいくとまだまだもうちょっと配慮してほしいなというところも確かにあります。
 次に、差別解消法を掲げた施策の件でございますが、何度も申し上げますが、昨年4月に障害者差別解消法が施行され、それぞれの取組が少しずつ進んできたということは、私も感じております。だが、同法の附則第7条では、これは障害者自立支援法の中でも同じような状態ですけれども、法律の施行後3年間実施した経過を見て見直していくということが定められております。
 障害者差別解消法という法律そのものは、差別をしてはあきませんよという大枠で定められておる法律です。だから私どもが求めている同じこの中でも差別解消条例、県条例というものを早くしてほしいということで、機会あるごとにお願いしておるのは、大枠で、同じ船の中でもここへ行きなさいとかどこへしなさいとかというのがやっぱりあると思いますので、そういう面でもう少し詰めた条例的なものを、全国的にもかなり、この法律ができる前からつくってみえる条例があるんですけれども、三重県としても三重県らしい条例をつくっていただければと思っております。
 どこまで、一口に条例というと、ただ条例をつくったらそれでいいかというのでもないと思いますけれども、三重県が初めての条例じゃないからとりあえず他県、市によってはつくっているところもあるんですけれども、そういうのも参考にしながら三重県らしい条例をつくっていただければと思っております。
 そのあと障害者差別解消法の視点に当たって、条例が、あるいは障害者基本法、一番これは大もとですけれども、をベースとした条例という考え方と、私たちが目指しているものは、障がいのあるなしにかかわらずお互いに人格と個性を尊重し合いながらともに生活できる社会の実現を目指していきたいと思っております。
 このような社会の実現に向けた三重県の取組が平成27年3月に策定されておりますけれども、やはりまだまだ行き渡っていないというのが現状だと思います。
 共生社会づくりを進めるための関係条例については、先ほどもちょっと触れましたけれども、人権が尊重される三重をつくる条例というような感覚で、それと三重県のユニバーサルデザインのまちづくり推進条例、三重県で昨年度からしている手話言語条例などがあるんですけれども、全国的にいくと今度2020年の東京オリンピック・パラリンピックがあると思うんですけれども、これに向けてバリアフリーの2020というのが国のほうで始まっております。バリアフリーに対する2020年に向けた取組ということで始まっておりますので、まだ部分的にどこまでどうというのじゃないけれども、とにかく障がいに対するバリアを極力防いでいくという意味で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて始まっておるので、これもまた、各県も追従してそういう策定が急がれると思っております。
 それから、障害者差別解消法に視点を当てた条例として、上乗せは横出しという視点で論議がなされておりますけれども、やはり法律の対象は行政機関、事業者のみであり、個人的に商店とか事業者に対する差別の取り扱いはまだまだ十分行き渡っていないと思っております。それというのは、店によっては車椅子では段差があって絶対無理だというのがまだまだあるけれども、それを障害者差別解消法があるから全部直せというのはちょっと酷なところもあろうかと思いますけれども、そういうところもまだまだ見受けられると思います。
 個人的には、強制的ではない一般的なおつき合いの中で差別解消や合理的配慮の提供義務を規定することは、やはり金銭的に問題もあるし、私とこはそこまでよう金かけられないですよという言われる店舗もあるかと思いますけれども、そういう面からもやはり、もう少しできる範囲内でバリアフリー的なものも含めて誰でも気軽に出入りできるというような状況をつくっていただければと思っております。
 市町についてはほとんど職員対応要領はでき上がっておると聞いておりますけれども、そういう中でもやはり市町、行政だけであって、それ以外のところへ出ていくと普及が難しい、啓発の問題もあろうかと思いますけれども、まだまだだと思っております。
 それから、次が相談員体制の充実ですけれども、先日も石川県で全国の障がい者団体というブロックの相談員研修会というのをやったんですけれども、参加してきたんですけれども、やはり問題点は多々あります。それというのは、相談員そのものが県から市町へ移ったことにより一つの組織が弱体化されたような感じを私は受けるんです。従来は県の相談員という肩書で行動できたのが今は各市町、まちの相談員というような感覚の部分が一部あるんです。それが見受けられるんです、相談員として。全国的な対応らしいですけれども、そういう面においても、相談窓口は各市町で全部できているのはできていますけれども、やはり県が主導でそういう従来の相談員体制でやっていただければもう少しあれかな、私自身も相談員をやっていたんですけれども、何かちょっと弱々しい相談員体制になってしまったような気がしてしようがないんです。それというのは、県で相談員研修会をやろうかと思っても市町の相談員で動きが悪い、従来は県の相談員やったもので県で事業をやったら県へたくさんの相談員が来てくれたということもあるんですけれども、これは国の定める法律の仕方かどうかはわかりませんけれども、そういうところでやはりもう少し市町がしっかりと相談員に対して指導なり、研修会、そういうものも含めてしていただきたいということを思っております。
 こういういろいろな相談の中でも、各市町で相談があっても県の障害者相談支援センターまで上がってくる件数は何か少ないということを聞いております。それとも市町で対応できるという感覚かもわかりませんけれども、そういうのがあると思います。
 条例をつくっていただくに対しては、障がいを理由とする差別を解消することの重要性について、県民の関心と理解を深めるためにも障がいと障がいのある人、ない人も含めてですけれども、知識の啓発普及というのをもうちょっと、条例はつくったらそれで終わりというんじゃなくて、一般の人とか、障がい者当人に対しても啓発をしてほしいと思います。
 それから、障がいのある人に対する理解、私は障がい者であるんだから何もしませんというんじゃなくて、やっぱり本人も少々は努力をしてそういういろいろな取組の中へ出るとか、人混みの中へ出るとかという本人の意識もちょっと変えていかなければいかんかなというところもあろうかと思いますけれども、そういうものも含めて啓発をしていただきたい。
 それともう一つの件は、やはりこの障害者差別解消法、検証になりますけれども、条例をつくっていただく中で、それに熱心に取り組んでいただけている企業とか個人を表彰して参考というか、広報を兼ねてしていただく制度もつくっていただければと思っております。
 なかなか、一口に言って、ここはこうしてくださいというところもあろうかと思いますけれども、やはりまずは障害者差別解消条例、これにどこまでどう盛り込んだらいいかというのはまだまだ未知なところもあろうかと思いますが、そういう面も含めてもう少ししていただいたほうがいいと思っております。
 それとちょっとバリアフリーのことで県のほうにもお願いをしたいのが1つあるんですけれども、去年になりますけれども、リニア中央新幹線が名古屋駅構内へ来るということで、障がい者に対する意見聴取会というのが2回ほどあったんです。その中で地下30メートルにできるんですって。だから障がい者がそこを利用するのに、私は三重県から行ったので、近鉄で行った場合に中央コンコースを反対側まで行って30メートルおりてホームへまた戻らなければ乗れませんのかと言って最初に提案したんです。最初のリニア中央新幹線名古屋駅ホームの改修は、その提案でした。だから我々やったら桜通口、表からも入れたら近鉄で来て表からそのままリニア中央新幹線のホームへ行けるんではないかと2回ほど提案したんです。そうしたらその後、一部設計変更してくれたのかどうか知らんけれども、意見が通りまして、一応リニア中央新幹線は表口と裏口から出入りできるようにするということで、提案したのがよかったかなという思いがあります。
 それと今年の春でしたけれども、今度愛知県が中部国際空港の中に国際展示場というのをつくるんです。それもやっぱり、できる前にも、設計図が最終できていない時点から意見交換ということで。竹中工務店がそれを設置するんですけれども、障がい者駐車場を20台つくりました。図面上、工事は2019年完成ですからまだですけれども、そうしたら屋根が全然ついていないんです。20台駐車場をつくって屋根がついていない、そうしたら雨降りに何としておりて玄関へ行きますかと、それも私が提案してきました。
 そうしたら逆に、もう一つあそこに3000台から駐車場をつくるんです。セントレアへ船で行ったところの船着き場の左側のあいているスペースにつくるんですけれども、そうするとそこから入るのに建物をずっと行って反対側に行かないことには正面玄関がないんです、図面上。そうすると駐車場の人はとめておいて建物をずっと通り越してからでないと、玄関がなかったら入るのに困るんだろうということで、それも駐車場に近いところからも入れるようにというので、その2点だけ国際展示場のほうは私が提案をしてきたという状態であるんですけれども、県としてもそういう大きな建物とかいろいろつくる場合は、ある程度そういう機会をつくっていただいて意見を聞き取ってほしい。でき上がってから直してくれというのは大変だと思います。今の三重県総合文化センター、エレベーターに乗るのでもちょっとのところが雨にぬれなければいけない場所があるので直してくれと言ってもなかなか直らないという、そういう面もあるので、やはり県としてもいろいろな建物をする場合には、早めにそういう意見交換の場をつくっていただければ、この法律の関係もあるし、バリアフリーの関係もあるし、2020年バリアフリーのつながりもできてくると思うので。
そういうのに今まで私はいろいろ携わって、県のUDのほうにも携わっていましたけれども、一回もそういうのが出てこない。私が松阪でやっておる場合は、松阪は一応事前にそういうのがあって、私が直接携わっておるというのもあるんですけれども、そういう意味も含めてやはり、建物を建ててから直してくれというんじゃなくて、そういう機会をつくっていただければ、誰もが使いやすい建物ができ上がるんじゃないかというのを一つの提案として、バリアフリーの問題も含めてそういうものを条例とあわせてお願いしたいということを思っております。
 何度も言うんですけど、やはりでき上がってから直してくれと言っても直らないんです、はっきり言って。だからできる前に、名古屋で、私も2回ほど行ったけれども、そういう意見交換の場をしたら修正していただいたというありがたい話もありますので、誰しもが使いやすいような状況を、建設前の段階、設計図ができるか設計図ができる前の見取り図ができた時点ぐらいでそういう意見を述べる場、見る場を設けていただければありがたいかなと。条例を早くつくっていただきたいというのとバリアフリーの関係と、いろいろと述べさせていただきましたけれども、一歩でも障がい者が住みよい三重県としてどこへ行っても障がいのないようなバリアフリーというようにつくっていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

   (4)参考人への質疑

○杉本委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御意見を受けまして、委員の皆様から御質疑等をお願いいたします。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て発言し、また委員に対しては質疑をすることができないことになっておりますので、御了承お願いいたします。
 それでは、御質疑があればお願いいたします。

 

○岡野委員 いろいろありがとうございました。
 建物をつくる場合に前に意見を聞く機会を持つようにというようなことを条例の中にというふうな御提言だったと思いますので、それについてはいろいろと私らも積極的に取り組まさせていただかなあかんかなというふうに思ったところです。
 それと1つ、条例の中で三重県らしい条例というふうに言われましたけれども、具体的にこの三重県らしいというのはどういうイメージなのかというのがちょっとのみ込めませんので、お願いしたいと思います。

 

○世古参考人 先ほども言われた建物なんかの場合は、私は中身が松阪で携わっておる関係もあったし、そういう名古屋の例もあったので、でき上がってからこれはいかがでしたかと言ったときに支障があってここを直してくれと言うのは難しいと思うんです。だからそういう機会の場をつくっていただければいいかなと、でき上がってからよかったねという面で、なると思うんです。
 大体どこでもそうだと思うんですけれども、設計というのは健常者がやっています。障害者手帳を持っている人が設計をやっておったら、自分が移動するのにこんなところで段差をつくったらあかんとか、エレベーターはこんな小さいのをつくったらあかんとか、いろいろ意見が出ると思いますけれども、大体設計するのは健常者の設計やと思います。だからそういう障がい者当人の意見も聞いていただける場、それを聞いてもらったから全部どうということやないと思いますけれども、そういう場をやはり県としても設けていただいて意見を聞いてほしいなというのがあるんです。
 やっぱり、何度も言うんやけれども、名古屋の新幹線で私が提案したところが取り入れられたというのは、本当に言ってよかったなという思いがあるのと一緒で、やはり提案していなかったら、新幹線でも全てが北口まで行かんならんのやったら、近鉄とか名鉄の人らは全部大変ですよね。だから提案してよかったなとあの件は思っておりますし、三重県にもやはり建物をつくる場合があったらそういう機会を設けていただきたいと。その機会の中でみんなが実現にかなうかどうかというのは別として、そういう機会が欲しいと。
 それと条例の三重県らしいというのは、一応既に他県とか市によっては条例ができていますよね。障害者差別解消法の前から条例ができておる県もあるんです。先に条例ができて、後で障害者差別解消法ができたという県もあるんです、全国的に言うと。だから三重県らしいというのは、結局それらを参考にした上で三重県ではこうだろう、三重県ではこういうのを取り入れていただきたいという特別なあれがあればそれに取り組んでいきたいというのが三重県らしいという一つの言葉。三重県だけでしかないと言うんじゃなくて、三重県らしい、他県のを参考にした上で、三重県ではこういうのを取り入れたらどうやというまでは条例でつくっていいただきたいなというのが三重県らしいというところの一つの言葉だと私は認識しております。

 

○岡野委員 ありがとうございました。いろいろ努力をせなあかんなというふうに思いました。ありがとうございました。

 

○杉本委員長 ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。

 

          〔発言の声なし〕

 

○杉本委員長 今日はもう具体的にしっかりと聞かせていただきましたので、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 この際、参考人に対して委員会を代表して一言お礼を申し上げます。
 本日はお忙しい中、本委員会のために御出席いただきありがとうございました。
 このたび頂戴いたしました貴重な御意見は、今後の本委員会での議論に反映をし、役立てていきたいと思います。
 本日は本当にありがとうございました。

 

○世古参考人 ありがとうございます。一歩でも二歩でも住みやすい、本当に住みやすい三重県としての努力を重ねていただければ幸せだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。

 

○杉本委員長 ありがとうございました。
 ここで参考人が退室されますので、しばらくお待ちください。

 

                  〔参考人 退室〕
 
 2 委員間討議

 

○杉本委員長 次に、委員会討議として、本日の聞き取り調査等について、御意見のある方はお願いいたします。

 

○中森委員 参考人からお話しいただきました事前に設計協議の件ですけれども、既に三重県にはユニバーサルデザインのまちづくり推進条例もありますし、建築確認申請には一定規模以上の公共施設には事前協議が必要ということとなっているんです。それがやっているかやっていないかは別として、もうそういうことになっていまして、それがきちっとされておれば当該団体に聞くとはされていませんので、そういうことについて事前に建築確認申請には、例えばスロープの勾配、幅、必要な駐車場、屋根つき、それから全体の駐車場に対する障がい者用のスペースの数とかというのがルール的に決まっております。さらには視覚障がい者のための点字ブロックであったり、エレベーターの設置義務であったり、そういうことが一定決まっているんです。それが不十分かどうかは別として、そういうことが決まっている中で、参考人の発言によると、さも不十分かのように受けとめられたので、そこは県と当該行政庁とで確認をとって調整する必要があるんではないかなというふうに私は思いました。不十分であればきちんとせないけないし、相談する団体に必ずしなくてはいけないということとはなっていませんので、設計者が県と協議することとなっていまして、そこが果たして団体と協議する必要があるという条例にするかどうかというのは別の話ですので、そこはちょっと皆様方にも共通の認識を持っていただきたいと思います。

 

○杉本委員長 今日お聞かせいただいた意見は、そういうルールがあるにもかかわらず現状として県有施設の中で対応ができていないというか、それがひょっとしたらそのルールをつくる以前の規格であったのかもしれないですけれども、特に総合文化センターのほうは車椅子では雨にぬれなければ行けないというような現状もありましたので、少しそのあたりは状況を丁寧に聞き取りながら今後の委員協議の中でさせていただくということでよろしいでしょうか。

 

○杉本委員長 ほかにありませんでしょうか。

 

○津田委員 田中委員が言われたもので質問したかったんですけれども、今回来ていただいた方は三家連の方ということで、統合失調症の方の親御さんが中心の会というふうに思わせてもらったんですけれども、例えば通院、入院している方が何人で、そのうち何人が手帳を持っていて、手帳を持っている人の何%が統合失調症で、その親ということで、精神障がい者の親を代表して来られているのかなというふうに途中思っておりまして、ちょっと想像力を働かさせながら考えていったほうがいいのかなというふうに思いました。統合失調症以外の精神障がい者の人もたくさんみえますので。

 

○田中委員 津田委員のおっしゃったとおりでありまして、統合失調症と言われても抑鬱症状が複合していたりとか、専門的に言うとICD10でどういうふうに分類されるか、精神障害でも様々、なだらかにこういう症状が重くて、こっちの症状もあるとかという複合の、内臓疾患みたいに肝臓が悪いなら肝臓が悪くて肝硬変であるとか、肝炎であるとかというのがなかなか決めにくいのが精神障がいの分野ですので、そのあたりのところは統合失調症だけではなく、ただ一定、社会的にやはり観念的に偏見を持たれるケースというのは、統合失調症はじめ多くの精神疾患の場合あるものですからというふうには思っています。統合失調症だけが特別偏見を持たれているということでなくして、もっと多くの病気が偏見を持たれているというのは私も病院にいて感じましたので、そこは津田委員がおっしゃるとおりだと思います。ちょっと補足です。

 

○杉本委員長 今日、参考人としては、差別の現状としてはかなり厳しいところを経験してきてくださったので、そこを御紹介いただいたということだと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 

          〔「なし」の声あり〕
 
2 その他

 

○杉本委員長 次に、少人数による県内調査について、お手元に配付の資料1のとおり実施計画を取りまとめました。これについて何か御意見があればお願いいたします。

 

          〔「なし」の声あり〕

 

○杉本委員長 なければこの実施計画に基づいて議長に対して委員派遣承認要求をいたしたいと存じますが、異議ありませんか。

 

          〔「異議なし」の声あり〕

 

○杉本委員長 異議なしと認め、そのようにいたします。
 続きまして、以前の委員会で中森委員から御提案いただきました各委員が把握されている障がい者を取り巻く現状や障がい者差別の解消に向けて課題と感じていること等に関する各委員へのアンケートについて協議します。
 委員の皆様は、常日ごろの議員活動や政務活動においても県民の方々から障がい者を取り巻く現状として障がい者差別の具体例や政策として望むこと、共生社会に向けた課題等について多くの様々な御意見をお伺いし、課題等を把握されていることと思います。
 さらに、本委員会においても参考人招致を行い、参考人の方から御意見をお聞きするとともに、今後少人数による県内調査を行い、さまざまな現場の声を直接聞かせていただく予定をしております。
 そこで、アンケートについては、これらの結果を踏まえて行うことが効果的であると考えられることから、県内調査の終了時にこのアンケートを行ってはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

 

          〔「はい」の声あり〕

 

○杉本委員長 それでは、そのようにいたします。
 様式については、正副委員長に御一任願えますでしょうか。

 

          〔「はい」の声あり〕

 

○杉本委員長 ありがとうございます。
 それではそのようにいたします。
 次に、次回の委員会ですが、先ほど協議いたしました県内調査の結果の報告と協議を行い、また今までの様々な調査を踏まえて、本委員会として条例案の必要性や方向性について検討を行いたいと存じますが、よろしいでしょうか。

 

          〔発言の声なし〕

 

○杉本委員長 日程等詳細はこの後の委員協議で御協議いただきたいと存じますので、御了承ください。
 御協議いただく事項は以上でございますが、ほかに何かございませんか。

 

          〔「なし」の声あり〕
 
〔閉会の宣言〕
三重県議会委員会条例第28条第1項の規定により記名押印する。
障がい者差別解消条例策定調査特別委員長
杉本 熊野
                              
 
 

 

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